個人事業主の源泉徴収の詳細。 正しく理解して損がないよう納付しよう

October, 01, 2018

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どんな場合に源泉徴収するのか

会社で働いている人の給料明細を見ると、給料から毎月税金が引かれています。
では、個人事業主の下で働いている従業員の給料は、税金が引かれているのでしょうか。
そもそも源泉徴収とは何か、どんなときに源泉徴収されるのか、疑問に感じることがありませんか。

そこで、源泉徴収の仕組みから、源泉徴収の義務について理解しましょう。
とくに、個人事業主が源泉徴収する場合と、源泉徴収する義務がない場合に分けて解説するので、参考にしてください。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う前に、所得税を差し引くことです。
差し引いた従業員の所得税額を、事業所側が税務署に支払います。
その税金のことを源泉徴収税といいますが、正確には源泉所得税と呼ばれています。
源泉徴収制度とはどんな制度か、源泉徴収の納付期間や納付方法などの詳細をみてみましょう。

個人に変わって納税する制度

所得税は、1月1日~12月31日の収入に対してかかる税金です。
確定申告で一度に支払うことは大変になり、納付忘れや納税しないことがないように、毎月の給料や賞与から、先に天引して所得税を差し引き、事業主が税務署に定期的に納付しています。

所得税は、年間の収入が103万円以下だとかからないので、月の収入が88,000円未満だと源泉徴収されません。
アルバイトの人は毎月の給料が違うので、源泉徴収される月とされない月があります。
給与所得の人は、年末調整で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して、多く税金を支払いすぎた場合は、税金が還付されます。

源泉徴収の期間

事業主は、給与や賞与から源泉徴収した所得税や特別徴収の住民税を、源泉徴収した翌月の10日までに、所轄の税務署へ納めます。
住民税を従業員が確定申告する場合は、所得税のみを翌月の10日までに税務署に納めます。
例えば、給料日が8月25日の場合は9月10日までに税務署に納め、締め日が8月31日で給料日が9月5日の場合は、10月10日までに納めます。

納付期限の猶予

給与を支払う従業員が10人未満の場合は、半年に1回の納付に切り替えられます。
そのときは、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出し、その翌月から半年の納付になります。
1~6月分を7月10日までに納めて、7~12月分を翌1月10日までに納めます。

半年納付の場合は、給与、賞与、税理士などへの報酬のみで、剰余金の分配などは入りません。
申請書の1枚をコピーして保管しておくといいでしょう。
税務署へ出向く暇がない人は、郵送でも受け付けています。
詳細は、国税庁のHPで確認しましょう。

源泉徴収票の発行

源泉徴収には、源泉所得税にプラスして復興加算税が課されていて、平成49年までが10.21%の予定です。
100万円以下の場合は、「報酬×10.21%」で、100万円を超えると、「(報酬-100万)×20.42%+102,100円」となります。
年末調整で、源泉徴収された税金が多い場合は還付され、少ない場合は徴収されます。

1月1日~12月31日で、給与や賞与から源泉徴収され、年末調整によって還付や徴収された額が記された用紙が「源泉徴収票」です。
従業員には、年末調整のあとに源泉徴収票を発行します。

源泉徴収後の納付方法

従業員から差し引いた所得税分と、税理士等の報酬から引いた源泉徴収分の合計額を、「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書」とともに翌月10日までに税務署に納付します。
源泉所得税は税務署だけでなく、記載した納付書で郵貯銀行、銀行、信用金庫で納付もできます。

ネット納付をする場合は、税金・各種料金払い込みサービスが提供されている銀行の、インターネットバンキングを契約し、e-Taxで支払えます。
住民税の特別徴収をしている場合は、翌月に従業員の住所の市区町村へ納付します。

個人事業主が源泉徴収する場合

個人事業主も、法人と同様に源泉徴収が必要です。
個人事業主が従業員に対して、給与として支払っている場合は、原則として源泉徴収が必要です。
それ以外に賞金を得た場合も含め、支払先への報酬には源泉徴収税が課されます。
ただし、支払先が法人である場合は、報酬から源泉徴収する必要はありません。
では、個人事業主が支払う報酬から源泉徴収する場合には、どのような場合があるかみていきましょう。

従業員に給料を支払っている

個人事業主で従業員を雇っている場合は、給料や賞与を出しているので、源泉徴収が必要です。
従業員(青色申告の専従者も従業員に含まれる)、パート従業員、アルバイトの給料や賞与、そして外部の業者に仕事を発注した報酬には、すべて源泉徴収をする義務があります。

外注した場合には、支払先に交通費や宿泊費以外で、謝礼や車代などの名目で支払った代金や、品物(商品券など)で支払った場合でも、報酬の対象とみなされ源泉徴収する義務があります。
源泉徴収をしなかった場合は、支払う側の個人事業主に、不納付加算税と延滞税が別途に課されます。

特定の資格がある人への報酬

個人事業主が、弁護士や司法書士に仕事を依頼する場合があります。
その際に、支払う報酬から源泉徴収をしなくてはなりません。
また、確定申告の書類の作成や提出を、税理士や公認会計士に依頼した際に支払う報酬も、源泉徴収の対象です。

それ以外に、外交官への報酬も源泉徴収の義務があります。
このように、特定の資格を持っている人への報酬は、資格を持っているから免除されるわけではなく、源泉徴収の対象になります。

馬主への競馬の賞金支払い

個人事業主が馬主となった場合、競馬で得た賞金の一部を、馬主へ賞金として支払います。
賞金という名目でも、馬主へ支払われる賞金は源泉徴収の対象です。
また宣伝のための賞金も、源泉徴収しなくてはなりません。
この場合は、たとえ支払先が法人でも、源泉徴収する対象になります。

また、クイズ番組に出演して獲得した賞金、広告宣伝で得た賞金や商品も、源泉徴収の対象です。
ただし例外として、広告宣伝のための賞金や、商品の額が50万円以下の場合は源泉徴収されません。

個人への原稿料や講演料

個人に、通訳の依頼やデザインの依頼、雑誌の執筆などの原稿依頼、講演の依頼などをしたときは、通訳料やデザイン料、原稿料、講演料などが発生します。
その際の報酬に対しても、源泉徴収する義務があります。
また、懸賞などの応募で、優秀作品に対して10万円などの賞金が与えられる場合も、源泉徴収が必要です。
ただ、賞金が1回50,000円以下の場合は、源泉徴収する必要はありません。

そのほか、野球選手やサッカー選手などのプロスポーツでは、専属の契約金が発生します。
その契約金も源泉徴収の対象です。
当然ながらスポーツ選手への報酬も、源泉徴収の対象です。
モデルや芸能人の契約金や、報酬に対してもプロスポーツ選手と同様です。

事業主に源泉徴収の義務がない場合

個人事業主で、源泉徴収義務がない場合もあります。
それは、従業員がいなくて一人で事務所を経営している場合や、ニ人以下でお手伝いさんなどに給料を支払っている場合です。
つまり、家事使用人以外、従業員がいない事業主やフリーランスは、源泉徴収の義務がありません。

ここでは、事業主やフリーランスが源泉徴収する義務がないケースについて、詳しく解説します。
また、例外として源泉徴収しなくてはいけないケースも見てみましょう。

従業員がいない個人事業主

個人事業主でも一人で仕事をしている人は、外注で報酬を得たとしても、源泉徴収する必要はありません。
つまり、原則として従業員がいれば源泉徴収が必要で、従業員がいなければ源泉徴収する必要がないということです。

例えば、建築業界の一人親方やフリーランスなど、近年は従業員を雇わずに一人で事務所を構え、活動している人が増えていますが、その個人事業主には源泉徴収などの納付義務はありません。
例外として、常時ニ人以下の家事に従事する使用人がいて、給料や賞与を支払っている場合でも、その個人事業主に源泉徴収義務はありません。

また、従業員がいない個人事業主が、外注で仕事を頼む場合の支払いや、依頼した税理士への支払いにも源泉徴収の義務はありません。
しかし、複数人を雇っている事業主が、個人事業主に仕事を依頼する場合は、支払う報酬に対して源泉徴収する義務があります。

源泉徴収義務者でない場合の例外

個人事業主でも、源泉徴収義務があるケースは、バーやキャバレーに勤めるホステス、コンパニオンなどへ支払う報酬や賞与です。
そのケースは、接待などで宴会の席にホステスを呼んだ場合や、高級クラブなどに特定のコンパニオンを呼んだ場合は、ホステスなどは従業員でなく個人事業主になり、外注者として扱われます。

それは「ホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の業務に関する報酬・料金」として区別されているからです。
支払報酬には、接待などの費用以外に制服の貸与代、衣装代、深夜のタクシー代などが含まれます。
ホステスやコンパニオンなどの報酬に源泉徴収義務があるのは、職場に隠して仕事をしている人もいるので、確定申告をしない人や、忘れる人が多いことが背景にあるようです。

制度を正しく理解し納税しよう

従業員を雇っている個人事業主は、法人と同じように、従業員の給与や賞与、税理士や弁護士への報酬や外注した場合の支払報酬などは、原則として源泉徴収する義務があります。
しかし、従業員や青色専従者がいない個人事業者には、外注の報酬や税理士などの報酬にも、原則として源泉徴収する義務はありません。

源泉徴収された税金は、翌月10日までに税務署や金融機関などで納付し、その後、年末調整を行い確定申告します。
フリーランスや個人事業主の方は、源泉徴収の制度を正しく理解して納税していると、ペナルティを課されることなく安心です。

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