把握しておくべき年金の受給額。 制度を理解して正しく受給しよう

October, 01, 2018

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年金受給額の把握は人生設計に重要

超高齢化社会で将来の自分たちの年金が受給できないかもしれないから払わない方がいいという意見が出たこともありますが、制度改正で将来を見据えた年金制度となっています。
将来年金はいくらもらえるのか、減額されることないのかなどの心配が出てきます。

年金受給額を把握しておくことは将来の人生設計をするために大切です。
年金をしっかりと受給できるように国民年金や厚生年金制度の仕組みを理解しておきましょう。

年金受給額は公的年金の種類や条件で変わる

公的年金とは国が運営する年金制度で、この制度のおかげで長生きしても子どもに負担をかけずに安心して自立した生活が送ることができます。
公的年金は、国民年金と厚生年金に分けられます。
一般にサラリーマンは厚生年金で、自営業者や退職者は国民年金に加入しています。

国民年金は、誰でも受け取ることができる年金で、加入年数によって老齢基礎年金の額が違います。
厚生年金は、加入年数だけでなく、給料の額によって年金額が異なります。
年収が多いほど、年金を納める額が高いので受給額も高くなります。

公的年金の構造は2階建

公的年金の構造は2階建てになっていて、1階部分は基礎年金部分で、2階部分が厚生年金です。
厚生年金は、基礎年金+厚生年金で、企業年金や確定拠出年金などをのせて3階建てになっている企業もあります。
厚生年金保険に加入しているには、会社のサラリーマンと公務員です。

厚生年金に加入できる期間は、中学卒業の15~70歳までが最大期間です。
厚生年金は原則65歳から支給開始で、その際に受け取れる年金を老齢厚生年金と言います。
障害1~3急になったときに受け取れる年金を障害厚生年金、本人が死亡した場合に配偶者や子供などが受け取れる年金を遺族厚生年金といいます。

支給開始は原則として65歳から

国民年金から支給されていて、65歳になると受け取れる年金を老齢基礎年金といい、厚生年金から支給されていて、65歳でうけとれる年金を老齢厚生年金と言います。
老齢基礎年金、あるいは老齢厚生年金を20歳~40歳まで40年間の満額収めた人は、満額支給額が平成30年で779,300円です。

公的年金は終身支給されるので、長生きすればするほど受給できる年金額は増えます。
それだけでなく厚生年金では収入に応じて受給額も上がり、万が一障害を負った場合は障害年金が支給され、本人が死亡した場合は、配偶者に遺族年金が支給されます。

障害年金は65歳以前から受給可能

脊椎損傷などの事故によるケガや病気などで、仕事ができない、制限されているなどの人が障害年金を受給できます。
受給できる年齢は、20歳以上の公的年金を支払っている人です。
障害を持っていても条件に満たない場合は、年金を受給することができません。

受給額は、国民年金を収めている人は一定額の支給で、厚生年金を納めている人は年収によって年金額が違います。
現在、日本全国で20~60歳未満で障害がある人は、身体障害者約111万人、知的障害約40万人、精神障害約172万人います。

そのうちの6割の人が障害年金を受給しています。
障害年金受給の中で、多い障害の1位が精神障害で31.0%、2位が知的障害で23.2%、3位が脳血管疾患で8.1%です。
障害年金の種類は、障害基礎年金と障害厚生年金で、受給できる年金額は、障害の等級、家族がいるかどうか、初診日に加入していた年金の種類によって異なります。

障害年金の支給基準が見直しへ

制度改正で障害基礎年金をもらっている受給者の審査は今までは都道府県単位で行われていましたが、平成29年に国が一元的にする審査に変更になりました。
それに伴って、日本年金機構は1,000人余りの人に2018年1月までに1,000人の人に対して障害者年金を受給できる程度に当たらないとしての審査結果を通知しました。

なぜなら、今まで地域の医師が判断して診断を下していましたが、認定の医師を2017年4月に東京障害年金センターが請け負うことになったため、認定が下りない人が出るようになったからです。
認定が下りない人のもとには、1年間の障害者年金受給を継続し、2018年度に改めて支給できるかどうかの決定をおこなうとの趣旨の通知が届いています。

2018年7月からの主な改正点は、視覚障害者に対する改正です。
改正前は、視力障害の認定基準は両眼の視力の和でしたが、改正後は良い方の視力で認定されました。
さらに、改正前はゴールドマン型視野計による認定基準のみで、2~4級は視野率による認定基準のみでしたが、改正後はそれに加えて現在普及している自動視野での認定可能で、視野角度、視認点数を用いたより明確な基準による認定になりました。

国民年金は3種類に分けられる

国民年金(基礎年金)第1号、第2号、第3号と分けられています。
第1号被保険者は自営業者や学生、退職者、無職の人などが加入します。
第1号被保険者は各市区町村役場に届出をして一律の金額を納めます。
平成30年度の国民年金料は16,340円です。

保険料を納付していない期間があると、その額は減額した額しか年金を受け取れません。
定額保険料に付加年金料を上乗せして400円を納付すると、年金額を増やすことができます。

第2号被保険者は、厚生年金に加入しているサラリーマンや公務員で、日本法人の海外に居住して勤務している人も当てはまります。
保険料は給与から天引きされているので、個人で払い込む必要はありません。
厚生年金の保険料率は毎年引き上げがありましたが、平成29年以降は18.3%に引き上げられています。

第3号被保険者とは厚生年金に加入している人の配偶者で、専業主婦や年収130万円以下の人が加入しています。
第3号保険者である配偶者は会社の給与から支払うので保険料を支払う必要はありませんが、2階建ての厚生年金はありません。

公的年金は賦課方式で支えられる

現行の公的年金制度では、支払っている保険料は積立てて将来戻ってくるのではなく、現在の公的年金への支払いは現在の高齢者の年金給付に使われています。
つまり、高齢者がその時に年金を支払っている若い世代の人に支えてもらっています。

この世代と世代の助け合いの考え方を賦課方式と言います。
自分が年金をもらう年齢になったら、そのときの若い現役世代が支払う年金料から年金額がきまり支払われます。
そのため、現役世代が少ないと、年金額が減ることになります。

支給額は物価や賃金水準によって変わる

毎年度の保険料の水準を決めて国が負担することと積立金を活用していくことで、現役世代の負担が大きくなりすぎないようにしています。
支給額はマクロ経済スライド制をとっており、その年により若干変動しています。
それは、日本人の平均寿命がのびて受給額が増加することと、社会全体が公的年金制度を支えられる力をマクロに見てバランスをとることです。

以前は賃金や物価の上昇をみて支給額が上がりましたが、平成16年の改正のマクロ経済スライド制の導入により、物価や賃金の上昇と必ずしも連動しなくなりました。
賃金や物価が上昇して年金額が上昇してもマクロ経済スライド制でそれを抑える仕組みです。
物価が下落した場合は、マクロ経済スライド制の調整はありません。

新制度の実施で受給額が下がる可能性も

平成28年12月14日に年金改革関連法が成立し、将来の年金を確保するための法案で、正式には「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」という法律です。
この法律では、マクロ経済スライドの考え方が強化されたので、現在の年金額が下がるケースが出てくる可能性があります。

調整の1点目は、今まで年金受給額を下げられなかった分を景気が良くなった時に調整できなかった分をも調整するので、年金受給額はそれほど伸びがなく据え置きになることもあります。
調整の2点目は、物価に関係なく現役世代の賃金の変動をもとにして、年金額を決めるというものです。
そのため、物価が上がったのに年金受給額が減額になるということがあります。

共済年金は厚生年金に一元化されている

公務員は以前は共済年金に加入していました。
しかし、平成27年度の年金改正で、厚生年金と共済年金が一緒になり、公務員も厚生年金に加入することになりました。
厚生年金と共済年金の一元化により、厚生年金は第1号~第4号までの4つの種別に分けられました。

第1号被保険者は会社員、第2号被保険者は国家公務員、第3号被保険者は地方公務員、第4号は私立学校の教職員です。
国家公務員は国民年金も厚生年金も第2号保険者ですが、国民年金は第2号保険者、厚生年金は第3号保険者です。

一元化によって、加入年齢の上限が70歳、保険料率が18.3%まで引き上げられることになりました。
厚生年金の支給要件に保険料納付条件が加わり、遺族年金の転給制度も廃止されました。

国民年金の受給額に関わる基礎知識

国民年金を受給が月額いくらになるかは、加入期間によって異なります。
では、実際に将来国民年金をいくらぐらいもらえるのかを計算して見ましょう。
また、前払いで国民年金保険料がお得になります。

平均受給額は月約55,000円

年金保険の支給額は、保険料の納付期間を計算して決まります。
厚生労働省の「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額は約55,464円。
国民年金保険料は、国と個人が2分の1ずつを負担しています。
近年、年金を支払う人が増えたことをうけて、国民年金の積立額は平成27年、平成28年と増加しています。
 国民年金だけでは生活できないので、個人年金などを早くからかけておくことが必要です。

加入期間は20歳から60歳まで

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上から60歳未満のすべての人が加入する義務があります。
40年間満額支払い続けた年金を受け取れるのは65歳からで、2018年の満額の年金受給額は年間779,300円、月額64,941円です。

保険料の支払いは全額納付、3/4免除、半額免除、1/4免除、全額免除があります。
下の国民年金受給額早見表を見て、将来受給できる年金額をおおまかにみてみましょう。
滞納はなしとして数えます。

●全額納付の場合(月額64,941円)
1年? ? 19,483円
5年? ? 97,413円
10年? 194,825円 
15年? 202,238円
20年? 389,650円
25年? 487,063円
30年? 584,475円
35年? 681,888円
40年? 779,300円
●半額納付の場合(48,706円)
1年?  14,612円
5年?  73,059円
10年 146,119円 
15年 219,178円
20年 292,238円
25年 365,297円
30年 438,356円
35年 511,416円
40年 584,475円
●全額免除(32,471円)
1年?  ? 9,741円
5年?  48,706円
10年? ?97,413円 
15年 146,119円
20年 194,825円
25年 243,531円
30年 292,238円
35年 340,944円
40年 389,650円

自分がいくら貰えそうか計算してみる

では、実際に計算して受給年金額を調べてみましょう。
国民年金は、それほど複雑な計算ではないので、すぐに算出できます。
国庫予算の引き上げにより、平成21年3月以前と平成21年4月以降では計算方法が違います。
平成21年4月以降の場合は、国民年金受給額の計算方法は次の式に当てはめて求められます。

(保険料全額納付月数+全額免除月数×50%+1/4納付月数×62.5%+半額納付月数×75%+3/4納付月数×87.5%)÷480ヵ月×779,300円=年金受給額
平成21年3月以前の場合は、国民年金受給額の計算方法は次の式に当てはめます。

(保険料全額納付月数+全額免除月数×1/3+1/4納付月数×1/2+半額納付月数×2/3+3/4納付月数×5/6)÷480ヵ月×779,300円=年金受給額
もし、納付月数が480か月より少ない場合は、減額して支給されます。
逆に、60歳以上で任意加入した場合は、40年以上の年金を支払ったとしても40年間の満額支給分以上を支給されることはありません。
65歳で受給開始した場合は、ねんきん定期便を確認すると色々なことがわかります。

また、夫婦ともに国民年金を受給しているなら、それぞれの計算して合計した額が世帯の年金収入です。
例えば、夫が68歳で、妻が65歳とします。
2人とも満額支給で免除日数がないとすると、2人とも満額支給なので779,300×2=年1,558,600円です。
よって世帯の月額は129,883円です。

保険料を10年以上払うことが必須条件

保険料は以前は25年以上国民年金を納付した人でないと、公的年金が受け取れませんでしたが、平成29年8月の改正で25年以上から10年以上に短縮されたので、10年間納付した場合は、国民年金を受け取れるように変わりました。
それまで、無年金者だった人も年金の加入期間に応じて年金が受け取れるようになりました。

10年に満たない人でも60歳から65歳までの任意期間の間に国民年金保険料を任意加入して支払うことができます。
受給期間が25年だと年金額は約4万円ですが、受給期間が10年の人は月約16,000円を受給できるようになりました。
 

保険料は平成29年から固定された

国民年金保険料は段階的に引き上げられましたが、2017年で上限に達したので、今後保険料は固定されています。
国民年金料の水準が16,900円で、それ以上、方法は保険料が上がることはありません。
2017年の国民年金保険料は16,490円で、2018年度の保険料は16,340円です。

国民保険料は、2005年は13,580円でした。
それが16年の間に毎年引き上げがなされ、2017年は最高額になりました。
年金が固定されたとともに、受け取る年金もマクロ経済スライド制をとっているため、物価高に応じて上がるのではなく、受給額が上がることを抑えられています。

保険料を前払いするとトクになる

保険料は前納をすると、少し年金額が安くなります。
前納期間は2年、1年、6か月の3種類で、1括で支払うと保険料が保険料が若干割引になります。
6か月前納の場合、口座振替だと1,120円の割引き、クレジット払いや現金納付だと800円の割引きです。

1年前納では、口座振替が4,150円の割引き、クレジット払いや現金納付が3,510円の割引きです。
2年前納では15,640円の割引き、クレジット払いや現金納付では14,400円の割引です。
クレジット払いは現金納付と同じ金額ですが、ポイント還元があるので、還元率が高いカードだと2年前納で3,500~5,500ポイントほどつきます。

国民年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給

国民年金は原則65歳からの支給ですが、65歳より前に支給してほしい場合は繰り上げ受給、65歳よりあとに受給したい場合は繰り下げ受給ができます。
その制度について詳しくみてみましょう。

65歳以前から貰い始めると減額される

原則は65歳ですが、まだ働いている現役の人で年金がまだ必要ない人や逆に事情があって早く年金をほしい人は繰り下げ請求や繰り上げ請求をすることができます。
繰り上げ受給をした場合は、月々の受取額は減額率が0.5%で繰り上げた月数をかけた額が引き下げられます。

60歳で受給したとすると、30%減額になり支給月額は45,459円です。
逆に、繰り上げ受給では国民年金を60歳から受け取ることができます。
そのため、毎月の受け取る額がかなり少なくなります。

減額された額は生涯そのまま

64歳以前に年金を受給する繰り上げ請求をすると受給できる年金額は下がります。
減額された年金額が一生そのまま続きます。
繰り上げ受給をすると、しなかった人に比べて総支給額が少なくなる場合があります。
60歳で受給したとすると、30%減額になり支給月額は45,459円です。

1年で545,508円で、満額支給の779,300円より233,792円も違ってきます。
61歳だと減額率は24%、62歳だと減額率は18%、63歳だと減額率は12%、64歳だと繰り上げ率は6.0%です。

65歳を超えてからの受給は増額される

繰り下げ請求をすると、65歳以降の支給になるので、支給額が多くなります。
受給額は1か月に0.7%×繰り下げた月数です。
昭和16年4月以降に生まれた人が70歳支給にすると、年金額は42%に増額されます。
1年で8.4%、2年で16.8%増額した年金額を受給できます。

70歳の受給を始めると、支給月額は92,217円に増額されます。
66歳で受給開始すると、8.4%の増額、67歳だと16.8%、68歳だと25.2%、69歳だと33.6%、70歳だと42%です。
年金の受給を1か月遅らせることで0.7%の支給額が増えます。
最近では65歳以降も現役で働いている人が増えており、年金を遅らせることで受給できる額が違ってきます。

厚生年金の受給額に関わる基礎知識

給与がら毎月引かれている厚生年金料は、将来の2段階の年金が受給できるので、国民年金の老齢基礎年金の部分にプラスして受給されます。
厚生年金の受給に関して、今から詳しく知っておきましょう。

平均受給額は月約147,000円

2018年の厚生年金の平均受給額は月額147,927円で、男性が平均166,863円/月、女性が平均102,708円/月と男女差があります。
厚生年金は、年収や納付期間によって金額が大きく異なります。
女性の場合、産後はしばらく働かない人も多く、パート勤めの人も多いので、男女の金額に差があります。

平成24年度ころは厚生年金受給額の平均が15万円以上でしたが、平成26年には14万7千円までがくっと下がり、その後、少しだけ上がっています。
 

保険料の率は給料の18.3%

厚生年金料は基本給+残業代の給与額をもとに出した標準報酬月額と賞与をもとにして出した標準賞与額から算出されます。
厚生年金の保険料率は標準月額報酬の18.3%で、会社と折半なので、個人負担分は9.15%です。

厚生年金料は、標準報酬月額×18.3%+標準賞与月額×18.4%が1年分の厚生年金料で、自己負担分はその1/2です。
厚生年金保険料額表を見ると、年間の保険料がわかります。

支給開始年齢は生年月日により異なる

老齢厚生年金の支給開始年齢は、性別や生年月日によって異なり、平成14年4月に施行された厚生年金保険法の改正で、男性が昭和16年、女性は昭和21年の4月2日以降に生まれた人は生年月日に応じて段階的に支給開始年齢が引き上げられています。

開始年齢が60歳・・・男性が昭和28年4月1日まで、女性が昭和33年4月1日
開始年齢が61歳・・・男性が昭和28年4月2日~昭和30年4月1日、女性が昭和33年4月2日~昭和35年4月1日
開始年齢が62歳・・・男性が昭和30年4月2日~昭和32年4月1日、女性が昭和35年4月2日~昭和37年4月1日
開始年齢が63歳・・・男性が昭和32年4月2日~昭和34年4月1日、女性が昭和37年4月2日~昭和39年4月1日
開始年齢が64歳・・・男性が昭和34年4月2日~昭和36年4月1日、女性が昭和39年4月2日~昭和41年4月1日
開始年齢が65歳・・・男性は昭和36年、女性は昭和41年4月2日以降

企業で働いていれば70歳まで加入できる

70歳までなら企業で働いて厚生年金に加入することができます。
65歳から70歳まで仕事をする場合は、年金を受給しながら保険料を支払うことになるが、在職老齢年金金制度では、一定以上の収入があるなら厚生年金の一部または全額が支払いが停止されます。

基本月額(加給年金を除いた老齢厚生年金)と標準月額相当額能の合計が47万円以下なら支給は厚生年金は全額支給されますが、47万円を超えると一部または全額が支給停止になります。
老齢年金が全額停止の場合は、加給年金も受けられなくなります。

貰える厚生年金の総額は人それぞれ

国民年金は、20歳から加入になりますが、厚生年金は、企業で働き始めた年齢からが加入開始です。
15歳からは働き始めたら15歳から、22歳から働き始めると22歳が加入年齢です。
厚生年金は中途退職や倒産などで、会社を辞めると厚生年金も止まるので、次の職が決まるまでその間は国民年金を保険料として納めます。

厚生年金は、平成15年4月の改正で、総報酬制が導入されました。
平成15年3月以前は月給だけをみて平均給与を決めていましたが、平成15年4月以降は賞与と月給の年収を12で割った額が平均給与として算出されるようになりました。

厚生年金受給額を下のおおよその概算でみてみましょう。

●平成15年4月以降(平均給与と加入期間で厚生年金額を見る)
給与10万円で期間が1年→7,000円、10年→7万円、20年→13万8,000円、30年→20万8,000円、40年→27万7,000円
給与20万円で期間が1年→1万4,000円、10年→14万円、20年→27万6,000円、30年→41万6,000円、40年→55万4,000円
給与30万円で期間が1年→2万1,000円、10年→21万円、20年→41万4,000円、30年→62万4,000円、40年→83万1,000円
給与40万円で期間が1年→2万8,000円、10年→28万円、20年で55万2,000円、30年→83万2,000円、40年→1,10万8,000円
給与50万円で期間が1年→3万5,000円、10年→35万円、20年で69万円、30年→1,04万円、40年→138万5,000円
●平成15年3月以前(平均給与と加入期間で厚生年金額を見る)
給与10万円で期間が1年→9,000円、10年→9万円、20年→18万円、30年→27万円、40年→36万円
給与20万円で期間が1年→1万8,000円、10年→18万円、20年→36万円、30年→54万円、40年→72万円
給与30万円で期間が1年→2万7,000円、10年→27万円、20年→54万円、30年→81万円、40年→108万円
給与40万円で期間が1年→3万6,000円、10年→36万円、20年で72万円、30年→108万円、40年→144万円
給与50万円で期間が1年→4万5,000円、10年→45万円、20年で90万円、30年→135円、40年→180万円

配偶者の国民年金保険料も払っている

厚生年金を支払っている人の配偶者が専業主婦(夫)だった場合、第3号被保険者となり、国民年金の対象となります。
国民年金料は給料から天引されているため、配偶者が国民年金料を支払う必要がありません。
ただ、自営業に転職した場合や配偶者の年収が一定以上を超えた場合は、被保険者の資格が変わります。

本人が住所地に届出を行わずに2年以上経過すると、保険料の納付ができなくなり、未納期間になり、将来その期間の年金が少なくなるとか受給できなくなるという可能性がでてきます。

パート勤務と年金受給額の関係

パート勤務の場合でも一定以上の収入があるときは厚生年金に加入しなくてはなりません。
厚生年金加入できる年収との関係や配偶者控除との兼ね合いなどを知って、損をしない選択をしましょう。

パートでも厚生年金加入の可能性が高まった

女性が働く人が増えたので、平成28年に法改正がなされ、今まで夫(妻)の扶養家族に入ってパート勤務をしていた妻(夫)は、厚生年金の加入条件が引き下げられ、年収が約106万円以上ある場合は厚生年金に加入する可能性があります。

パートをしていた配偶者が厚生年金に加入すると、配偶者が保険料を支払うことになり、その負担分が引かれます。
そのため、配偶者の給料の手取り額が減ります。
その反面、厚生年金に加入すると、2階建ての年金が将来受給できるので年金額が増えます。

よく考えたい配偶者控除との兼ね合い

配偶者控除は、年収が103万円以下の配偶者がいるなら、その夫(妻)は配偶者控除として38万円が所得控除されました。
しかし、平成30年の税制改正では、配偶者控除が受けられる年収の上限が103万円から150万円に引き上げられました。

そのため、150万円まで働いても夫(妻)が配偶者控除を38万円受けられるようになったのです。
配偶者特別控除額は、配偶者の年収が201万円まで適用枠が広がりました。
配偶者は控除枠が広がりましたが、所得が多い夫(妻)は配偶者特別控除が減るか受けられなくなりました。

また、社会保険料の壁はそのままなので、配偶者控除は受けられても配偶者が社会保険料を支払わなくてはならないというケースも出てきます。
支払う税金、控除される税金と支払う保険料の兼ね合いを長期的にみて検討する必要があります。

2015年から厚生年金が実質強制加入に

2015年より、国の監視が厳しくなり、未加入業者に対して強制加入をするようになりました。
厚生年金への加入が義務付けられている事業所は法人及び従業員5人以上の個人事業所です。
とくに加入逃れが多い建設業、飲食業、美容業、介護福祉業なども続々と調査が入っていて、強制的に加入を進められました。

会社が社会保険に加入すると、厚生年金の保険料の自己負担分が給料から引かれるので、従業員は将来2階建ての厚生年金を受給できます。
そのため、事業主にとっては社会保険料支払いは重圧がありますが、従業員にとっては将来の安心ができたことになります。

年金支給額に加給年金がプラスになる場合

65歳になって年金を受給し始めた人に、65歳未満の配偶者がいる場合は、その配偶者が65歳になるまで加給年金が支給されます。
さらに夫の年によって、特別加算が上乗せされるので加給年金と合計すると大きな額になります。

加給年金は厚生年金にのみある制度で、配偶者のみならず、18歳以下の子供がいる場合でも2人までは1人につき、配偶者と同額の年額224,300円、3人目以降は1人につき年額74,800円が支給されます。
また、加給年金は、配偶者が60歳なら5年間、63歳なら2年間受給できます。

年齢差が開いている年下の配偶者ほど、加給年金の受給は多いです。
さらに現在は晩婚化が進んでいるので65歳になったときに、子供が18歳未満の子供も増えています。

一世帯の厚生年金受給額の目安

厚生年金を支払っている人の1世帯当たりの年金受給額は、2階建てなので国民年金受給額に比べて高いです。
実際にどのくらい受給できるか、例を用いてみてみましょう。

夫婦二人で約22万円から約30万円

厚生年金受給額の平均は男性で166,863円、女性で102,708円です。
厚生年金は、給与の額によって個人差があるので全てがそうだとは言えませんが、老後の世帯収入を把握するための目安となるので、世帯のさまざまなケースについての年金額の概算をみてみましょう。

夫会社員、妻専業主婦・・・夫の厚生年金(2人の老齢厚生年金+夫の厚生年金)で約22万円~24万円
夫婦ともに会社員・・・2人の厚生年金なので(2人の老齢厚生年金+厚生年金)で約27万円~約30万円
夫自営業、妻専業主婦・・・2人の国民年金なので(2人の老齢基礎年金)で約11万円~約14万円
これを見ると、夫が厚生年金に加入していた方が妻が専業主婦でも年金が高いことがわかります。
国民年金だけでは、老後の生活が難しいことが現状です。
そのため、早いうちから老後の蓄えが必要です。
 

単身者は約5.5万円から約16万円

独身で暮らしている人で国民年金だけを支払ってきた人の平均年金受給額は約5.5万円、厚生年金のみに満額加入している独身男性の平均年金受給額は約16万円、厚生年金のみに加入している独身女性の平均年金受給額は約10万円です。

途中までは会社勤めをしていて、その後、国民年金に変更になって、また会社勤めをして厚生年金になったなど、複合で年金をもらっている場合は、国民年金部分は厚生年金も変わらないので、40年間で77万9,300円で、厚生年金に加入していた2階部分が77万9,300円にプラスされます。

厚生年金部分の計算方法は、平均年収× 加入期間× 0.005481 です。
平均年収が400万円で、厚生年金に加入して期間が30年だとすると、厚生年金は65万7,720円です。
国民年金と厚生年金に40年間加入していたとすると、合計額は77万9,300+65万7,720=1437,020円です。
将来受け取る年金受給額は、月額11万9,751円です。
 

派遣社員も厚生年金を受給できる

派遣社員が、社会保険に加入できる条件とは、派遣先で働く期間と時間が関係しています。
派遣社員の場合は、派遣されている期間のみが厚生年金保険に加入できます。
派遣期間が終了すれば、厚生年金も着れて、次の派遣先での雇用期間が始まると、新たな厚生年金保険に加入します。

派遣契約が切れた後、同じ派遣先で1か月以内に雇用期間が始まる場合は、厚生年金保険がそのまま継続できるとされています。
派遣社員が厚生年金保険に加入できる条件とは、週30時間以上の働いている場合です。
従業員501人以上の派遣会社の場合は、週20時間以上で加入できることがあります。

疲れとストレス

年金の受給額をより増やすには

将来、年金の受給額を増やしたい人は、今から収入を増やすことを考えておくことが将来の年金を増やすことになります。
個人年金も考慮に入れた上で、将来の備えを考えましょう。

収入を増やせば厚生年金も増える

厚生年金は、給料が多いほど支給額が増えるしくみです。
給料が多い人ほど、将来は余裕のある老後を送れます。
また、同じ会社で長く働く人ほど、収入は増えていくことが一般的です。
若いうちから、しっかりと働いて収入を増やすだけでなく、老後を考えてコツコツと貯蓄をしておくことも大切です。

また、個人年金への加入や個人型確定拠出年金のiDeCoで将来の年金にプラスすることができます。
iDeCoは、定期預金や投資信託などの金融商品を自分で運用し、積立金額を60歳以降におろすことができる商品です。

制度を活用して加入を続ける

国民年金に加入している場合は、非正規雇用で収入が少ない場合や自営業で不景気のため収入がなく、保険料の支払いが困難なときでも保険料を免除してもらえます。
その期間は、免除の届出をだして承認がでれば、加入期間にカウントされます。

その期間は、国民年金保険料の支払いができなくても、半額くらいの年金が受給されます。
それだけでなく、病気やケガで仕事ができなくなったときに、障害の等級に応じて障害年金を受けることができますし、亡くなった場合には遺族が遺族年金を受給できます。
免除の制度を活用して、国民年金に加入を続けることが大事です。

年金受給額は老後の生活に足りるか

一番、気になることは現在の年金受給額で老後の生活ができるかということです。
高齢化社会になり、年金を支える現役が少ないことから年金受給額が抑えられています。
年金だけでなく、それ以外の備えをすることで将来の安心設計をしましょう。

不足はあるが収入の核になることは確か

年金受給額は従来は物価高や賃金に対して増えるものでしたが、制度改正によりマクロ経済スライド制で物価高や賃金が増加してもそれほど変わらないという仕組みに代わりました。
それでも、年金だけで賄うことが困難だとはいえ、老後の収入の中心となっています。

老後の生活に必要な資金は、最低で約22万円、余裕がある生活を送るには約35万円が必要だ言われています。
現役時代に収入が多かったなら厚生年金の受給額だけで生活ができますが、国民年金しか受給していいないなら、夫婦2人でも合わせて約11万円~約14万円です。

年金支給額がその時の物価に見合っていない可能性はありますが、持続させるための法改正がなされているので年金制度自体はなくならないと信じることができるでしょう。
しかし、年金だけでは赤字世帯が多いことを考えると、年に赤字を埋めるための貯蓄や個人年金などの資金が必要です。

iDecoなどで将来に備えた積立てを

将来を考えて、公的年金や企業年金だけでなく、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などの個人で行う年金に加入して積立てをすることで、安心した老後を送ることができます。
iDeCoは、日本在住の人だったら誰でも始められる年金で、上限は職業によって決められていますが、月額5,000円から始めることができます。

かけた積立て金額は、全額所得控除の対象となり、所得税や住民税が安くなり、節税対策にもなります。
運用して得た投資信託の利益や定期預金の利息も非課税です。
60歳以降で受け取るときに、退職所得控除、公的年金控除の対象で、かなりの節税ができます。

制度を理解して支給を正しく受けよう

公的年金には、国民年金と厚生年金があり、国民年金は1階部分で厚生年金は2階部分です。
保険料は国民年金は国が1/2、厚生年金は事業主が1/2を負担しています。
年金制度の改正により、物価高や賃金に応じて年金もスライドして上げ下げするのではなく、マクロ経済スライド制の導入により、年金額が抑えられています。

厚生年金は収入が多いほど受給額が増えることから、若いときからしっかりと働いて収入を増やすことや、個人拠出年金のような個人で入る年金に加入することで、将来の備えに対処できます。
年金制度を理解すると、今から年金をきちっと支払い、継続して保険に加入することで、将来、年金を正しく受給することができます。

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