個人事業主の消費税とは。納付の基準をしっかりと覚え、納税しよう

個人事業主の消費税とは。納付の基準をしっかりと覚え、納税しよう

ビジネス 2018.02.09

個人事業主と消費税の関わり

コンテンツ

現代では、個人事業主として活躍している人が珍しくなくなりました。商売をする以上、消費税は関わってきます。個人事業主では、消費税を払うくらい稼いでいないという人もたくさんいるのですが、個人事業主でも消費税を支払う人もいます。消費税は、どう払うのか、いつ払うのかを整理していきましょう。

消費税の納付義務が生じる場合

納付義務を判断する基準期間

消費税を納付する義務があるのは、課税売上高が1,000万円を超えた場合。この場合、翌々年に消費税を支払う義務が生じます。つまり、今年消費税を払うのであれば、2年前の課税売上高が1,000万円を超えている場合ということになります。

課税売上高が1000万円以上

消費税の納付義務が生じるのは課税売上高が1,000万円以上になった時です。消費税を納めるのは翌々年度の3月31日までです。

ただし、その年が1,000万円以上の課税売上高だったとしても、その次の年の売上が上がらずに課税売上高1,000万円以下に戻ってしまった場合には、また免税事業者に戻ることが可能です。一度、課税事業者になったからといっても、その後、継続して消費税を納付するわけではなく、あくまでも前々年度売上金額を基準に消費税を納付するかどうかが決まります。

特定期間の課税売上高が1000万円以上

前々年の課税売上高が1,000万円を超えなかった場合でも、翌年に消費税を納付する課税事業者になることがあります。これは、特定期間(個人事業者の場合、前年の1月1日~6月30日)だけで課税売上高1,000万を超え、なおかつ、この期間の給与等の支払い金額も1,000万円を超えた場合です。

例えば、特定期間だけで課税売上高1,000万を超えた場合でも、その期間に支払った給与等の金額が1,000万円を超えていない場合は免税事業者を選択することができます。つまり、課税売上高と給与等の支払い額、どちらかが1,000万円以下であれば免税業者を選択することが可能です。

消費税の納付が免除される場合

開業してから2年の間

開業して間もない個人事業主は、2年間は免税業者となります。免税業者とは、消費税を納付する義務がない事業者のこと。この2年間は消費税の納税は免除されるので、売上と一緒に預かった消費税を税務署へ納付する義務はありません。もちろん申告も不要です。

個人事業を法人化してから2年の間

個人事業主であった消費税の課税事業者が、会社を法人化した場合、新会社の設立時の資本金が1,000万円未満であれば、消費税の免税事業者となります。

個人事業主として開業した場合、初年度の売上高に関係なく、一定の要件を満たすことにより、開業年度より2年間免税事業者として消費税の納付は不要です。

そして、個人事業を開業してから2年を経過する時期に合わせて会社を設立し、法人化する場合、一定の要件を満たすことにより、さらに2年間消費税免税事業者でいることも可能。つまり、個人事業で2年、会社で2年の最長で4年間、免税事業者でいることができます。

消費税が免除される一定の案件とは

個人事業主が開業より2年間消費税の免税を受けるためには初年度の1~6月の課税売上高が1,000万円以下で年間の課税売上高が1,000万円以下であること、給与等の支払額が1,000万円以下である必要があります。

会社設立の時も同様で、第1期の上半期について課税売上高が1,000万円以下で年間の課税売上高が1,000万円以下であること、給与等の支払額が1,000万円以下であれば会社設立から2年間は消費税が免除されます。

課税売上高が1000万円以下

1,000万円以上売上高があった課税事業者が、課税売上高が1000万円以下になった場合、免税事業者になりますが、その場合は「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出することにより、免税事業者になることが可能です。

そうすることにより、税務署に意思表示ができ、自分自身も資金管理の面でわかりやすくなります。

消費税の課税区分と取引内容

課税対象となる取引

国内での事業取引には、消費税がかかります。つまり国内での物やサービスの取引には税金がかかるのです。しかし、全ての取引に消費税がかかるわけではなく、免税、非課税、不課税取引のものもあり、これらに該当するもの以外は、消費税がかかります。

税務上の定義の中に取引の判別があるので、消費税を正しく計算するためには事業者はきちんと理解しておく必要があるでしょう。

免税対象となる取引

免税取引は、税率が0%である取引です。消費税は国内での取引にかかる税金なので、国外の取引、つまり輸出するものに対しては発生しません。

免税取引として取引されたものでも、国内で消費された場合は消費税が加算されることになりますが、海外で消費されるものは免税になります。サービスにおいても国際輸送のように海外でのサービスになるものは免税です。

課税対象は国内で消費されているものだけ

消費税は国内での消費に対して課税されるものなので、国外の取引、つまり輸出取引には消費税がかからないとされています。これが免税取引です。

免税店で安く買い物ができるのは、関税や付加価値税がかかっていない商品を購入できるからです。日本の消費税は、付加価値税なので通関前の商品には消費税はかかりません。

非課税対象となる取引

社会政策的配慮や、その性質上課税することが好ましくないという判断がされた国内取引を「非課税取引」といいます。つまり、消費税の対象外となる取引です。

非課税取引は次のような取引があります。

● 土地の譲渡及び貸付け
● 有価証券等の譲渡
● 支払手段の譲渡
● 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
● 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
● 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
● 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
● 外国為替業務に係る役務の提供
● 社会保険医療の給付等
● 介護保険サービスの提供
● 社会福祉事業等によるサービスの提供
● 助産
● 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
● 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
● 学校教育
● 教科用図書の譲渡
● 住宅の貸付け

不課税対象となる取引

不課税対象になる取引は、課税取引に該当しない取引です。取引の性質から、消費税を課す対象とならないものが対象になっています。

● 国外取引

海外の商品を購入するという国外取引には、日本の消費税は課税されません。

● 対価を得て行う取引ではないもの

無償での提供や贈与には対価がないので、消費税は課税されません。つまり、お祝い金の支払いなども消費税は課税されません。

● 従業員の給与

事業取引ではないので消費税は課税されません。

一般的な消費税の計算方法

消費税は、売上と共に受け取った消費税をそのまま納税するわけではありません。仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いた金額で納税します。受け取った消費税ー支払った消費税=納付税額という計算です。

例えば、仕入れが10,000円(税込み10,800円)のものを商品として20,000円(税込み21,600円)で販売したとします。商品を販売した時に消費者から1,600円を消費税として預かりますが、仕入れの時に800円を消費税として支払っていますので、1,600ー800=800となり、納税する消費税は800円となります。

簡易課税制度を選択した場合の消費税

簡易課税制度を利用できる事業者

消費税は、原則課税の他に、簡易課税制度があります。簡易課税制度を利用できる事業者は、下記のような条件があります。

● 前々年の課税売上高が5,000万円以下であること
● 簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出すること

そして、前々年の課税売上高が5,000万円超の事業者は簡易課税制度を適用できません。つまり、小規模事業者のための制度。法人の場合は、前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下であることが条件となっています。

個人事業者が簡易課税制度を適用するためには「消費税簡易課税制度選択届出書」を前年のうちに
提出しておかなければなりません。

簡易課税制度のメリットがある

課税事業者は「簡易課税制度」を選択するかどうかを選ぶことができます。簡易課税制度とは、中小事業者のための簡単な納税方法で、これを適用するためには事前申請が必要です。一度選択すると、最低2年間はこの制度で納税する必要があります。

簡易課税制度のメリットは、消費税の計算が簡単になること。「みなし仕入率」によって「この業種はこのくらいの率で」というざっくりした計算になります。しかし、節税のために簡易課税制度を選んだとしても、必ずしも有利になるわけではありません。

簡易課税の計算方法

簡易課税制度の計算式は、「預かった消費税‐(預かった消費税?みなし仕入率)=納付する消費税」。預かった消費税×みなし仕入率が仕入控除税額です。

原則課税のように、仕入れや経費で消費税をいくら払ったかは考慮しません。業種に応じてのみなし仕入率を当てはめて計算するだけなので計算的には文字通り簡易です。

みなし仕入率によって、受けとった消費税から差し引く消費税が決まるので仕入れや経費として支払う実際の消費税額が少ない事業者にとっては節税になります。

業種別のみなし仕入れ率

● 第一種事業(卸売業):90%
● 第二種事業(小売業):80%
● 第三種事業(製造業等): 70%
● 第四種事業(その他の事業):60%
● 第五種事業(サービス業等):50%

平成27年4月1日以後の課税期間から、金融業・保険業が50%になりました。また、不動産業は、第六種事業として40%に改正されました。

2種類以上の事業を営む場合

2種類以上の事業を営む場合に、1つの課税売上が75%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率で計算します。そうでない場合は、「簡便法」という方法を使います。

● 2種類以上の事業を営む場合【簡便法】

第1種事業の消費税×90%+第2種事業の消費税×80%+第3種事業の消費税×70%+第4種事業の消費税×60%+第5種事業の消費税×50%=仕入控除税額

受け取った消費税-仕入控除税額=納付する消費税

簡便法が使えない場合

簡便法が使えないのは下記のような場合です。この場合、「原則法」という計算になります。

● 貸倒回収額がある場合

● 売上対価の返還等がある時に、各種事業に係る消費税額から、それぞれの事業の売上対価の返還等に係る消費税額を控除しても控除しきれない場合

消費税に関する各種届出

課税対象になった場合

年間売上額が1,000万円を超えた時、課税事業者に該当することがわかった時点で「消費税課税事業者届出書」を税務署に提出します。この届出は、自分が課税事業者になったことを報告するものです。「基準期間」と「特定期間」のどちらで判断したかにより書類が異なるので注意が必要です。

1度提出すると、2年間は強制で課税事業者となります。

免税事業者となった場合

課税事業者になった時も届け出は必要ですが、反対に課税事業者が免税事業者になった場合も消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書が必要。基準期間の売上が1,000万円を下回り免税事業者となる場合は「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を税務署に提出します。

ただし、特定期間の売上が1,000万円を超えた場合は、課税事業者となります。また、高額特定資産の仕入れ等を行った場合の特定期間についても課税対象になるため、注意が必要です。

簡易課税制度を利用したい場合

課税事業者が簡易課税制度を利用する場合は、該当する課税期間が開始する日の前日までに「消費税簡易課税選択届出書」を納税地の税務署へ提出する必要があります。個人事業主ならば、該当する年より前年の12月31日までが期限になります。

消費税の申告と納付

中間申告と中間納付

消費税には、中間申告が必要な場合があります。個人事業主は納付予定金額が前年を超える場合、法人は前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える事業者が該当します。ここで注意しなければいけないのは、48万円というのは国税だけで、地方税は含まれていないこと。

一般的に消費税は、国税と地方税に分かれています。納税する時は一緒に支払うので、分かれているという意識があまりないようです。具体的には、前年(前事業年度)の消費税の確定申告書で、「差引税額(9)」の欄が48万円を超えているかを確認し、中間申告の義務を判断しましょう。

中間申告の義務は、新たに設立された法人の設立事業年度にはありません。また、年税額が48万円以下の事業者については届出書を提出することにより、中間申告を行うことができます。

消費税の申告方法

消費税申告書を作成し納税することになります。消費税申告書の入手方法は3種類あります。

● 国税庁のサイトからPDFデータをダウンロードする
● 確定申告書作成コーナーからプリントアウトする
● 税務署窓口で入手する

また、消費税申告書に必要な添付書類があり、原則課税の場合は付表2、簡易課税の場合は付表5です。

消費税の申告期間

個人事業主の消費税の申告期間は課税期間終了後3カ月以内になります。つまり毎年3月31日になります。所轄の税務署に確定申告書を提出する時に、納付すべき消費税額と地方消費税額を国に納付しなければなりません。

消費税は国税、地方消費税は地方税ですが、消費税の申告は同一の申告用紙で行います。また、納付も同一の納付書で行いますので地方消費税についても税務署が窓口となります。

納付期限に間に合わなかった場合

消費税の納付が期限に間に合わなかった場合は、延滞税がかかります。延滞税の計算方法はとても複雑であり、納付期限に間に合わなかった罰則として支払わされる税金なので、とても無駄な出費となります。

延滞税の計算方法

まず納付期限の翌日から数えて2カ月まで、次に2カ月を経過した日の翌日以降と分けて計算します。延滞税の割合は年によっても変わりますが、2014年1月1日以降は、納期限の翌日から2カ月までは年「7.3%」か「特例基準割合+1%」のうち低い割合が適用されます。

2ヵ月を経過する日の翌日以降は、年「14.6%」か「特例基準割合+7.3%」のうち低いほうが適用されます。

申告義務を怠った場合

納税が遅れると延滞税を支払うことになりますが、申告義務を行った場合は無申告課税が課されます。これは年利最高20%です。無申告加算税は、本来の所得税額に上乗せして納付する罰則的な税金です。無申告加算税の金額が5,000円未満であれば、無申告加算税はかかりません。

無申告加算税の税率

● 税務調査を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合:5%
● 納税額のうち50万円までの部分:15%
● 納税額のうち50万円を超える部分:20%

税調査より前に、自分から遅れてしまうという申告をした場合は、無申告加算税が加算されますが、50万円を超えるか超えないかで加算される割合が変わってきます。

また、期限後申告であっても以下の条件を全て満たしている場合は、無申告加算税は課されません。

● 期限から2週間以内に自主的に申告を行う
● 申告書を提出した日までに税金を納める(期限後申告の場合、申告書を提出したその日が納期限となる)
● 過去5年の間に無申告加算税や重加算税を課されたことがない

青色申告者は申告期限が遅れたら65万控除が受けられない

青色申告の場合には申告期限に遅れると、65万円控除を受ける事ができません。65万円控除を受けるには、確定申告期間内に申告することが前提。10万円控除であれば、期限後申告でも受ける事が可能です。税額計算などの元となる事実を隠蔽したり、データ等を偽って申告した場合には、重加算税が課されます。

消費税を払えない時の対処方法

消費税を払えない時の対処法としては、税務署に申請し、納税の猶予(分割納付)を認める制度を活用するほかありません。それを「換価の猶予」といいます。

支払えないまま何の対応もしなければ、国税の滞納となります。そうすると当然、財産の差押えなどの滞納処分を受けることに。分割で納付するにしてもこの制度を利用しない場合は、通常の延滞税(2か月以上で年利9%以上)が課せられます。

換価の猶予が申請により認められた場合には、「差押えを猶予して、その猶予期間中の延滞税も一部免除しますから、約束通り分割で納付してください」という約束を交わすことになるので、必ず納めるようにしましょう。

消費税のポイント

課税事業者の方が得な場合もある

消費税の課税事業者の方が有利になるのは、預かった消費税より支払った消費税が多い場合です。この場合、預かった消費税と支払った消費税の差額が還付されます。

多額の設備投資をする場合

例えば、賃貸用の建物を建設したとします。この場合、多額の建設費がかかるので、支払った消費税も多額になります。このため、この年の賃貸収入にかかる預かった消費税より、支払った消費税が大きく上回ります。

この場合は、消費税が還付されるので、免税事業者でもあえて課税事業者になって申告納税すると、預かった消費税と支払った消費税の差額が還付されるのです。

輸出をしている場合

輸出をしている事業者の場合、輸出による売上高は免税取引です。つまり、預かった消費税は0になります。しかし、輸出するために仕入れた商品や物流などの支払いには消費税がかかっているため、支払った消費税は発生します。

よって免税事業者の対象であっても、あえて課税事業者になって申告納税すると、預かった消費税と支払った消費税の差額が還付されるので得になります。

免税事業者も消費税を請求できる

消費税制度の問題点として、指摘されているのが益税問題。しかし、現代の法律上は、免税事業者も消費税を請求することになんら制約はありません。

個人事業の場合、開業してから2年間は免税事業者として扱われ、消費税を納税する必要がありません。また、開業してから3年以上経過しても、年間の課税売上高が1,000万円を超えない場合は、免税事業者として継続して事業運営できます。

「消費税」という名目でありながら、事業主の「収入」になっている

免税事業者であっても、お客様から商品代金と一緒に消費税を頂くことは可能です。この消費税は、納税する必要がないので、いただいた税金も受け取った免税事業者のものになります。つまり、商品を販売した個人事業主が、お客様から商品購入費用と一緒に消費税も受け取ることが可能ということです。

ただし、受け取った消費税分には所得税がかかります。消費者側からすれば、納付してもらうために支払った消費税が国に納税されず事業主の懐に入るという見方になるので、このことを益税問題としてとらえている人もいるのです。

消費税の帳簿処理

消費税の帳簿の処理は、下記のような処理になります。

税抜き処理

● 中間消費税を支払ったときの仕訳:「仮払金」または「仮払消費税等」で仕訳する。
● 決算時の精算の仕訳:決算時の「仮払消費税等」と「仮受消費税等」との精算の仕訳する。中間消費税もこの仕訳で精算する。

税込み処理

● 中間消費税を支払ったときの仕訳:中間消費税を支払ったときは、「租税公課」で仕訳する。
● 決算時の精算の仕訳:確定納付額のみ仕訳する。

消費税の還付処理

消費税は課税対象外(不課税)となります。雑収入で処理します。

消費税の課税対象かどうかはしっかり確認しよう

消費税の課税区分は課税対象、非課税対象、免税対象、不課税対象と分かれています。課税対象は、課税対象以外を除いたもの全てになるので、それらがどういったものなのかを正しく把握しておくことが大切です。

事業を開始したばかりのころは免税事業者であっても、業績の伸びに従って課税事業者になることも。消費税の仕組みを理解し、節税をしましょう。免税・課税のいずれにしても、事業にあった納税方法を選んだほうが得策です。

 

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この記事のライター UKANO 編集部

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