仕訳で悩む為替手形|取引の立場と取引内容をおさえれば理解できる

タグ :  / / September, 08, 2018

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為替手形について理解しよう

為替手形(かわせてがた)とは、手形の振出人が発行して、指図人(受取人)に額面の金額を、代わりに支払ってもらうために取り交す有価証券のことです。日常生活ではなじみのない手続きのため、実際に処理するときや、簿記を学習するうえで戸惑う人も多いでしょう。
為替手形の仕訳処理に関わる三者の立場や、枠割について一つずつ知り、為替手形取引の全体を、正しく理解しましょう。

為替手形の仕訳のポイント

為替手形には、振出人・名宛人(支払人)・指図人(受取人)が関わります。それぞれ、振り出し人=手形を発行する(振り出す)人、名宛人=手形の金額を支払うことを引き受ける・支払う人、指図人=手形の金額を受け取る人のことで、一つの為替手形についてそれぞれ違う仕訳をします。
わかりやすく受取人をA社、支払人をB社、振出人をC社として、それぞれがどう関わっているのか詳しく見てみましょう。

仕訳のポイントは両方と取引しているC社(振出人)

為替手形を正しく仕分けるときにポイントになることは、為替手形を振出す「振出人」C社です。C社はA社から商品を仕入れたため、支払う義務(債務)があり、B社に商品を売っているため、代金を受け取る権利(債権)があります。
受け取るべきお金と支払うべきお金ですから、C社を介さずに直接、B社がA社に支払って締めることができれば、必要な手続きは完了します。これを可能にするのが、為替手形です。

為替手形は振出人≠支払人

この仕訳で重要なことは、為替手形を発行することができるのは、A社に対して債務があり、B社に対して債権があるC社だけだということです。
為替手形を引き受けてもらえば、実際に支払うのはB社であり、振り出したC社ではありません。つまり、為替手形を発行する振出人と支払人は、同一ではないのです。

為替手形とはどんなものか

為替手形とは、手形を発行する人(振出人)が、一定の金額を本来受け取るべき指図人(受取人)へ、期日までに支払うように、名宛人(支払人)に委託する有価証券です。結局、支払人から受取人に支払うだけなのですが、会計上の仕訳では、間に売掛金や買掛金、そして為替手形が仲介するなど複雑です。このようなやりとりは、日常ではほとんどないため、なかなか理解できないことも仕方ありません。
為替手形取引の仕訳を理解するには、あらかじめ次のようなことを、しっかり把握しなくてはなりません。使われる専門用語「振出人」「名宛人」「指図人」が示す役割と、誰の立場で仕訳処理しなければならないか、商品売買取引における買掛金と売掛金の計上方法、手形を受け取った人は、「受取手形」仕訳を使い、手形を振り出した人は「支払手形」仕訳を使うという、約束手形の処理方法などです。
手形仕訳で、手形により実際に支払う人と、実際に受け取る人と違う「振出人」という第三者の存在が、よく理解を妨げるといいます。本来支払い・受け取るべき振出人が、それぞれ別々に手続きをするよりも、支払いを支払い人に委託し、受取人が受け取るという手続きのための有価証券なのです。

為替手形の三者間取引

為替手形取引に登場するのは、振出人(手形を発行する人)、名宛人(額面の金額を支払う人:支払人)、指図人(額面の金額を受け取るべき人:受取人)の三者です。下でそれぞれの立場と「何をしたい、すべき人なのか」を詳しく紹介するので、それぞれ立場と役割をしっかり把握して理解しましょう。

為替手形の三者間取引とは

ポイントになるのは、振出人です。振出人は他のニ者と取引のある唯一の存在で、名宛人(支払人)に対しては、売掛債権(売上代金を回収する権利)を持ち、指図人(受取人)に対しては、買掛債務(仕入代金を支払う義務)を負っています。
振出人は、この売上先(名宛人=支払人)に対する「売掛債権」、または「売上そのもの」の代わりに、それを「買掛債務」または「仕入そのもの」として、仕入先(指図人=受取人)に支払ってもらうために、為替手形を振り出します。
為替手形には「(支払人)から(受取人)に、(金額)を(期日)までに支払ってください」と記載がありますが、名宛人と指図人が知り合いの必要はありません。ただし、為替手形科目を含む三者の会計仕訳は、全く異なります。

手形代金を受け取る側(受取人・指図人)

受取人とは、為替手形の振出人から交付を受け、その最初の所持人となる人のことです。自ら支払いを受けることもできますし、裏書きしてた人に手形を譲渡することもできます。

指図人とはどの立場か

為替手形の代金を受け取るのが「指図人(受取人)」です。振出人は、指図人から商品を仕入れたため、買掛債務がある、つまり指図人にとっては、振出人に対して売掛債権を持っています。指図人とは、額面金額の支払いを受けられる権利者であると、債務者に対して指図(指定)される人をいいます。

手形代金を支払う側(引受人・名宛人)

支払人とは、為替手形の額面金額を支払うものとして、振出人によって指定され、それを引き受けた人のことです。支払人として記載されただけでは、債務を負ってはおらず、その引き受けという手形行為を行うことで、主たる債務者となります。

引受人・名宛人とはなにか

誰でも、何の見返りもなしに、ただ債務を負うことはありません。前提として、支払人は振出人に対してなんらかの「債務」を負っている必要があり、それと相殺することを条件として、為替手形の支払を引き受けるのです。
支払人から見れば、振出人に対して支払うべきだった、買掛債務の金額を為替手形で相殺する代わりに、為替手形の金額を受取人に支払う、つまり当初支払うべきだった相手が、為替手形によって、指定された相手に変わるだけです。

振出人とはどの立場か

振出人は関わる三者の中で、他の二者と取引している唯一の存在です。それぞれに対して債権・債務があるため、為替手形を振り出す意味があります。

手形を発行する振出人

振出人は支払人に対して債権があり、代金を回収する権利があります。同時に、受取人に対しては債務があり、代金を支払う義務がありますが、これらをそれぞれ手続きするよりは、受け取るべき金額を支払うべき相手に直接支払えば、一度に完了できます。
振出人が受取人に対しての債務を、為替手形として相殺し、同時に支払人に対しての債権と、為替手形を相殺するため、結果として債務と債権が、直接相殺されることになります。現預金を支払ったり振り込んだりすると、金額によっては高額な手数料がかかることもあります。為替手形はそれらを節約すると同時に、手続きを簡単にすることができます。

為替手形三者それぞれの仕訳の例題

為替手形は、関わる三者によって仕訳方法が全く違います。それぞれの立場ごとに具体的に例を示し、どんな仕訳になるかを見てみましょう。

受取人(指図人)の場合

まず、受取人A社の例を考えてみましょう。C社に商品を100円で販売し、代金としてC社が振り出してB社が引き受けた為替手形を、受取ったときの仕訳は以下の通りです。

  • 借方は科目が「受取手形」で金額が100、貸方は科目が「売上」で金額が100

その後、手形が満期を迎えて、処理された場合を考えてみましょう。「かねてから受け取っていたC社が振り出して、B社が引き受けた為替手形100円が、本日満期を迎え当座預金口座に入金された」という場合の仕訳は、以下の通りです。

  • 借方は科目が「当座預金」で金額が100、貸方は科目が「受取手形」で金額が100

手形には、為替手形のほかにもいくつかありますが、受け取った手形は共通して「受取手形」となります。この2件の仕訳で「受取手形」科目が同じ金額で相殺され、受取手形の残高がきちんと0になっていることにも、注意しましょう。

引受人(名宛人)の場合

次に支払人B社の例を見てみましょう。「かねてから買掛金のあるC社から、C社振り出しA社を指図人とする為替手形100円を提示されて、これを引き受けた」という場合は、下のように仕訳します。

  • 借方科目は「買掛金」で金額は100、貸方科目は「支払手形」で金額は100

その後、為替手形が満期日を迎え、「引き受けていたC社振り出しの為替手形100円が、当座預金から決済された」という場合の仕訳は、以下のようになります。

  • 借方は科目が「支払手形」で金額が100、貸方は科目が「当座預金」で金額が100

受取手形と同様に、手形の種類に限らず、支払うべき手形は共通して「支払手形」です。ここでも2件の仕訳で、「支払手形」科目の残高は0になっています。

振出人の場合

最後に、振出人C社はどうなるのでしょうか。A社に対する買掛金100円を支払うため、かねてから売掛金のあるB社を名宛人とする為替手形を、B社の引き受けを得て振り出した場合、下のように仕訳します。

  • 借方は科目が「買掛金」で金額は100、貸方は科目が「売掛金」で金額が100

ポイントは、仕訳に「手形」が出てこないことです。手形は仲介しますが、会計上は買掛金と売掛金の総裁だけです。実際には、仕訳伝票の摘要欄に手形のナンバーを記載するなどして、あとで確認できるようにしておきます。

仕訳が売上の減少と仕入の減少になるとき

為替手形は、現預金や売掛金や買掛金・約束手形などの債権や債務と同じ役割をしますから、実際の取引の中では、同じ債権・債務・現預金と相殺したり、直接売上や仕入の減少とされたりする場合もあります。

問題によっては、売上の減少・仕入の減少

例えば、簿記検定の問題で「かねてから」とある場合は、振り出しまたは決済以前に、仕入や売上などの会計上の仕訳があることを示しています。
また、それがないならそのときに直接、売上や仕入などの減少として、為替手形が使われていると考えられます。状況と取引の実態に合わせ、慌てずにしっかりと取引自体を把握することが肝心です。

受取人(指図人)の場合

例えば、C社はA社から商品100円を仕入れ、代金は売掛金のあるB社を名宛人とする為替手形を振出し、B社の引き受けを得てA社に渡した場合、A社はどのような仕訳になるでしょうか。この場合、A社が「受取人」です。
A社に限って必要な取引をピックアップすると、まずC社がA社から商品100円を仕入れた、つまりA社はC社に対して商品100円を売り上げたこと、そしてその代金として、B社に引き受けられた為替手形を受け取ったことだけですから、仕訳は以下のようになります。
借方は科目が「受取手形」で金額は100、貸方は科目が「売上」で金額は100
この場合A社は、売上と同時に代金として為替手形を受け取っているため、直接売上が相手科目になります。

引受人(名宛人)の場合

B社がC社から商品100円を仕入れ、C社はその代金をA社を指図人(受取人)として為替手形を振出し、B社がそれを引き受けた場合を考えてみましょう。この場合は、B社が「支払人」です。
借方は科目が「仕入」で金額は100、借方は科目が「支払手形」で金額が100
この場合も、仕入と同時に為替手形を引き受けているため、買掛金などの債権を仲介せずに仕訳します。

振出人の場合

振出人であるC社が、A社に対する仕入の支払いのために、B社に対する売上100円を、為替手形として引き受けてもらい振出す場合を考えてみましょう。

  • 借方は科目が「仕入」で金額は100、貸方は科目が「売上」で金額が100

相手科目が債権・債務の時と同様に、手形が仕訳を仲介しません。直接売上と仕入が相殺し合います。

為替手形と約束手形

いわゆる「手形」とは、将来の特定の期日に、定められた金額を支払うことを約束した有価証券です。手形は小切手と同じように、現預金のような役割を果たしますが、一般に満期日まで長期になることが多く、納品・完成までに時間がかかる建設業などでよく使われます。
手形にはその性質によって、「為替手形」と「約束手形」があります。為替手形でも、特に大きな金額をやりとりする場合、ニ度の手間が一度で済みますし、その移動にかかる手数料も節約することができます。
手形は大きな金額でも、たった1枚の手形で済み、お金を数える必要がなく、支払うのにも受け取るのにも余計な手間がかかりません。決済には、金融機関の窓口を通るため記録が残るうえに、紛失や盗難にあったとしても、被害を免れやすいというメリットがあります。

為替手形のメリット・デメリット

為替手形には、満期日が設定されます。支払い期日をその日まで伸ばすことも、特定の日に調整することもできます。通常、支払うことができずに融資を受けるとなると、当然それにかかる利息を支払わなくてはなりませんが、手形には金利がかかりません。
また、発行するためには銀行に一定の信用がなくてはならないため、発行できる時点で審査に通っているということ、つまり一定の社会的な信用を持っているということの証になります。一方で、満期日に支払いができない、つまり不渡りを出してしまうと、手形交換所の規則に基づいて、「不渡り処分」を受けることになってしまいます。
全ての金融機関に通知され、6カ月以内に2回目の不渡りを出すと、銀行との取引は停止され、当座預金取引と融資が2年間受けられなくなり、事実上倒産となります。

為替手形と印紙

手形には、額面の金額に応じて印紙税がかかります。金額が大きかったり枚数が多かったりなど、印紙税がかさんでしまいます。原則として、振出人が印紙税を負担しますが、振出人の署名がない手形で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは、手形を作成したとされて負担しなくてはなりません。
契約金額が10万円未満なら非課税、10万円以上100万円以下なら200円、100万円を超え200万円以下なら400円など細かに決められています。

為替手形を理解するために

会計処理の中でも、為替手形は特に理解することが難しいものの一つです。しかし結局は、会計仕訳の一つに過ぎないため、覚えてしまえば処理は簡単です。
大切なことは、為替手形に関わるのが他と違い、三者であるという立場で考えなくてはならないため、取引がどのように行われたのかを正確に見極め、把握することです。そうすれば、慌てて仕訳を誤ることもなく、きっと正しく処理できるようになるでしょう。

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