「退職金の源泉徴収票について」知識を高めておきましょう

「退職金の源泉徴収票について」知識を高めておきましょう

2018.09.08

退職金と給与の源泉徴収票の違いを知る

給与所得の源泉徴収票は、所属している会社から1月1日から12月31日の間で支払われた給与などの総額や、源泉徴収税額などが書かれているものです。年の途中で退職した場合は、その年の在職期間分になります。
一方、「退職所得の源泉徴収票」は退職金に対する源泉徴収票ですが、通常の源泉徴収票と何が違うのでしょうか。それに関して、これから解説したいと思います。

退職所得の源泉徴収票について

ここでは「退職所得の源泉徴収票」は、誰がいつごろ発行する必要があるのかということと、受け取ったあとの扱いについて、また「特別徴収票」の説明も合わせて解説します。

通常は勤務していた会社が源泉徴収を行う

普通は、定年退職にしても中途退職であっても、退職金が支給される場合は、その人が所属していた会社の人事給与担当者が「退職所得の源泉徴収票」を作ります。退職所得の源泉徴収票には、支払われた退職金の額、源泉徴収税の額、退職控除の金額、勤続年数などが書かれています。
また、「退職所得の源泉徴収票」は、退職後1カ月以内に、必ず本人に交付することと決められています。そのため、なかなかもらえないような場合は、退職した会社に頼んで発行してもらいましょう。

確定申告に必要な場合があるので保管

これはあまりないケースですが、会社側が退職金を「退職所得」ではなく「賞与」扱いで支給した場合や、給与と同じ明細上で合わせて支払われているときには、退職所得控除が適用されずに、所得税分を引かれてしまいます。
こういう場合には、確定申告をするために、退職金の源泉徴収票が必要になるため、きちんと保管しておきましょう。

特別徴収票とセット

「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」と書いてあるとおり、これは退職金に対する所得税の金額だけではなく、会社から特別徴収されていた住民税の金額を、証明するために発行される法定調書です。
特別徴収票と間違えやすい「特別徴収税額決定通知書」というものがあります。こちらは、単なる通知であるため、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」の代わりにはならないので、注意しましょう。

退職金の退職所得控除について

退職金の退職所得控除額を出すときは、通常の給与との計算とは違うので、ここではそれについて触れていきます。基本的には、勤続年数が20年以下か20年を超えるかで計算法が違いますが、同じ年の間にほかの雇用主からも、退職金を受け取った場合など、控除額が変わってくることもあるようです。
この退職所得控除を受けるためには、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を、会社へ提出しておく必要があります。

勤続年数が20年以下の退職所得控除額

まず、勤続年数が20年以下の人の場合、基本的には「40万円×勤続年数」で計算したものが、退職所得控除額になります。計算してみて80万円に満たない場合には、80万円がその人の退職所得控除額です。つまり最低でも、80万円は控除されるということです。
ちなみに、年単位での計算なので「5年3カ月」といったときには、切り上げて6年という考え方をします。勤続6年で計算するとしたら40万円×6年で、240万円がその場合の退職所得控除額となります。

勤続年数が20年以上の退職所得控除額

勤続年数が20年を超える人であれば、70万円に勤続年数から20を引いた数をかけます。たとえば、25年働いた場合は、25年から20を引いた5年分をかけるので、70万円×5=350万円になりますね。
そして、算出された額(350万円)に800万円を足した金額の1,150万円が、その人の退職所得控除額となるわけです。

源泉徴収票の受取後は控除の確認をする

退職所得の源泉徴収票を受け取ったら、まずは、退職所得控除が適用されているかを確認しましょう。もし「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかったら、退職金から約20.42%の所得税が、源泉徴収されてしまいます。
本来であれば納めなくてもいい分まで、たっぷり引かれてしまったということのないように、「退職所得の受給に関する申告書」をきちんと提出しておきましょう。もちろん、申告書を出し忘れて引かれすぎた税金は、確定申告をすることで精算することができます。

退職所得の受給に関する申告書について

ここでは、今回の大切なポイントのひとつである「退職所得の受給に関する申告書」の扱いについて書いていきます。

退職所得控除の適用のために必要な書類

退職金の支払いを受ける前日までに、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出します。提出の際には、自分の現住所と氏名・捺印、マイナンバー、辞める年の1月1日に住民登録していた住所、そして勤続期間と年数、請求事由の発生した日(これは簡単にいうと退職日)などを、申告書に書き入れます。
万が一、会社に「退職所得の受給に関する申告書」が備えられていない場合には、国税庁のサイトからダウンロードできますし、税務署にも用意されています。

自分用にコピーなどで保管する

退職者から提出された申告書は、特に税務署などから提示を求められない限りは、会社で保管することになっています。したがって本来は、退職した人がこの申告書の控えを取っておく必要はありません。
しかし、何か問い合わせなどが発生したときの備えとして、コピーを手元に保管しておいてもよいかもしれません。

提出せずに確定申告したほうがよい場合もある

通常は、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しておけば、会社のほうで退職金の所得税などを計算して引いてくれるので、あらためて自分で確定申告をする必要はありません。しかし、面倒かもしれませんが、申告書を提出せずに、自分で確定申告をしたほうがよいケースもあります。
「年の途中で退職して、そのまま再就職をしない」というように、所得の少ない場合、普段よりも多く税金が源泉徴収されてしまうことがあることと、生命保険料や社会保険料などの控除が、給与所得に反映されないからです。
ほかに確定申告をしたほうがいいケースとして、会社を退職する人自身が、アパートなどの不動産経営にかかわっていて、その年の不動産所得が赤字になったといった場合。あるいは辞めたあとに事業を始めたけれども、それによる所得が、赤字になってしまったという場合が挙げられます。
このようなときは、まず不動産所得や事業所得のほうの収支計算を先に済ませ、そのうえでまだ赤字がある場合に、退職所得と損益通算することで、還付金がある場合には、それを受け取ることができます。

生命保険の退職一時金についても退職所得に

勤務先からの退職手当はもちろんですが、社会保険制度などで退職を理由として支給される一時金のほか、適格退職年金契約によって、生命保険会社または信託会社から受け取る退職一時金も、退職所得とみなされます。生命保険などの退職一時金の扱いについては、以下のとおりです。

退職所得控除が適用になる

生命保険会社などから受け取る退職一時金にも、退職所得控除は適用されます。そのため、確定申告の際には、会社からの退職金だけではなく、こちらも合わせて計算することで、源泉徴収された税金の還付を受けられます。
確定申告の書類を書く前に、生命保険料などの控除証明書も、添付書類として必要になるので、忘れずに用意しておきましょう。控除証明書は、加入している保険会社から、10月~翌年の1月ぐらいに送られてきます。

掛け金と保険料を引いた差額が適用額

生命保険などの退職一時金に対する退職所得控除適用額は、もしも今まで自分で負担していた掛け金や、保険料がある場合には、給付された額からその自己負担分を引いた差額になります。
節税対策のために、会社からの退職金だけではなく、このような生命保険会社などから受け取る退職一時金についても、きちんと計算することが大切です。それほど変わらないからと放っておけば、思わぬ損をしかねません。

源泉徴収票と一緒に受取る「特別徴収税額決定通知書」について

会社によっては、「特別徴収」という形で従業員の給料から、住民税などを天引きしている所もありますね。「特別徴収税額決定通知書」には、前年の6月からその年の5月までの一年間に納めた住民税の金額が書かれています。
辞める時期によって、今後の所得税の徴収方法にも影響が出るので、確認しましょう。とくに、1月1日から4月30日までの間に退職するという場合は、特別徴収できなくなる残りの住民税分が、5月31日までに支給される給料から、一括して天引きされます。
その点をうっかり忘れていて、あとから「どうしてこんなに一度に引かれているんだろう?」と悩むことのないようにしましょう。

退職所得控除の仕組みと知識を高めると安心

退職金が支払われる前日までには、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておくこと、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を受け取ったあとの取扱い、支払われる金額によって変わる退職所得控除の計算方法についてみてきました。
先にこういった情報を知っていることで、所得額に応じた対処ができるので、そのときの状況に合った方法をとって、せっかくの退職金や一時金を、少しでも多く手元に残したいものですね。

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この記事のライター UKANO 編集部

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