【個人事業主の社会保険事情】加入条件を知って従業員の生活を守ろう

February, 09, 2018

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個人事業主にとっての社会保険とは何か

職業安定所で仕事を探すときに、仕事を探している人は、社会保険があるかどうかを確認します。
というのも、社会保険のほうが国民健康保険料よりも、会社が保険料を負担してくれることもあり、勤め人にとってはとてもありがたい制度だからです。

しかし、個人事業主である社長は、雇用人を社会保険に加入させなくてはならないのに対し、自身は社会保険に加入はできません。
そのため、事業内で人を働かせないと回らない状態であれば、雇用人を社会保険に加入させなければならない条件というのがあります。

自分が社会保険に加入できないとしても、会社の信頼につながるため、しっかり社会保険について考えましょう。

社会保険の基本

社会保険の種類

社会保険と一言でいっても、多種多様な種類があります。
どれも生活をする人や、労働者に対するリスクを軽減させるためのものです。
社会保険は大きく分けて、以下のようなものがあります。

公的医療保険

日本に住んでいる限り、日本国民は医療保険に加入する義務があります。
それを「国民皆保険制度」と呼び、社会保険の中でも代表格であるのが、この公的医療保険です。
加入者と被扶養者が、病気やけがなどのリスクを負ったときに、治療が必要になれば、保障してくれます。

主な公的医療保険は以下の通りです。

● 健康保険:業務以外で、病気になった、けがを負った、病気やけがで休業が必要になった、出産を控えている、死亡したなどのケースに備えるための保険。保険者は、共済けんぽや、健康保険組合。

● 船員保険:保障内容は健康保険と同様で、船員と船員の被扶養者の保険。

● 共済組合など:国家・地方公務員や私立学校の教員が加入する医療保険。

● 国民健康保険:農家や個人事業主が加入する保険。

● 後期高齢者医療制度:75歳以上の高齢者、または65歳以上75歳未満の障害を持つ方の保険。保険者は、後期高齢者医療広域連合。

公的年金

年金は、老後の生活を保障してくれる大切な給付金です。
加入者は、働き盛りである頃から年金受給を受ける60歳まで保険料を支払います。
また、これには加入条件があり、いくつか種類があります。
また、年金加入も国民の義務です。

公的年金の種類は以下の通りです。

● 国民年金:個人事業主(自営業)、会社員、専業主婦など、すべての国民に共通する年金制度。老後を迎えたときや障害を負ったとき、家族が死亡した場合に給付される遺族年金など、必要なときに給付金を受けることが可能。

● 厚生年金保険:内容は国民年金と同様。主に会社員が加入者となり、万が一の場合は、加入者である被保険者とその家族を対象に年金の受給が可能。

● 共済年金:内容は国民年金と同様。国家・地方公務員は「組合員」というものになり、私立学校教員が加入者となる。万が一の場合、組合員・加入者、その家族は年金受給が可能。

● 介護保険:要介護認定を受けた65歳以上の高齢者や、40歳以上64歳未満の方で、特定の疾病による介護や支援が必要な場合、福祉のサービスなどが受けられる。

● 労災保険:業務を行っている人が、業務中または通勤中にけがを負ったり、災害に遭遇した場合、業務を行っていた本人もしくは遺族(亡くなってしまった場合)に、保険が支払われる制度。保険料は会社負担。

● 雇用保険:働く人のための保険。主なものは、失業者に対する失業保険。その他、雇用に関するさまざまな場面でサポートを受けられるもの。保険料は、会社と雇用者が決められた率を支払う。

日本に住んでいる以上、加入しなくてはならないのが国民保険と年金です。
どちらも生活をサポートするものであり、万が一のために備える手段となっています。

社会保険の加入条件

雇用形態として、正社員・パート・アルバイト・フレックスとありますが、事業所で常時働いている場合は、社会保険の強制加入対象となります。
パートやアルバイトであっても、既定の時間以上働いている場合は、事業所が雇用者を、社会保険に加入させなくてはなりません。

アルバイトやパートが適用となるケースとは

1.1週間の所定労働時間、または1カ月の所定労働日数が、同一の事業所で同業務を行っている正社員・一般社員の4分の3以上勤務している場合
2.上記の内容に該当しなくても、短時間労働者の要件にすべて該当する場合

短時間労働者の要件とは?

正社員・一般社員でなくても、以下の要件を満たすとパート・アルバイトであっても、社会保険の加入対象となります。

1.週の所定労働時間が20時間以上となる
2.雇用者の勤務が1年以上の長期勤務となる見込みがある
3.月額収入が88,000円以上になる
4.学生ではないこと
5.会社形態が従業員501人以上である

この条件をすべて満たせば、社会保険の加入対象となり、一つでも欠ければ対象外となります。

強制加入の事業所

事業所として、社会保険に強制的に加入しなければならないという場合があります。
平成28年10月には、社会保険加入の適用範囲が拡大され、今までは対象外だった労働者も、適用となる可能性があるのです。
社会保険の強制加入適用事業所とは、以下の会社になります。

● 事業主を含み、従業員一人以上の会社、国や地方公共団体の法人格
● 常時労働する従業員が5名以上おり、一部の業種を除く個人事業所

一部の業種を除くというのは、理美容業、サービス業、農林漁業のことです。
この業種は、5名を超えていても、社会保険は適用外となります。

それ以外の場合は、社会保険強制加入事業所として、労働者の意思とは関係なく、社会保険に加入させなければならないという義務があります。
また、強制加入事業所であったのにもかかわらず、労働者を社会保険に加入させなかった場合は、法律で罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。

社会保険料の金額の計算

社会保険料は、会社と従業員とで折半して支払うものです。
また、納めなければならない保険料は、収入によって違い、それぞれどの保険であっても、月額標準報酬というものを用いて計算します。

月額標準報酬とは

4月から6月までの給与・賃金をベースにして算定されるものです。
ただし、もらっている賃金の中には、月額標準報酬に含まれないものがあります。

月額標準報酬として含まれるのは、基本給・残業手当・家族手当・住宅手当・役職手当・通勤手当・年4回以上の賞与です。
これらから4月~6月までの給与で平均額をだし、キリのよい数字に区分した等級表に当てはめ、算定しています。

一方、月額標準報酬として含まれないものは、祝い金や見舞金などの突発的な福利厚生費・出張旅費・年3回以下の賞与や、臨時で支給されたもの・退職手当です。

保険料を左右するのは、4月~6月の3カ月でどの程度働いたかということなので、残業を該当する月に多くし過ぎてしまうと、保険料が高くなり、後々労働者も会社も苦労します。
結局、折半といえど保険料が高ければ、折半額も高めになるので、注意が必要です。

個人事業主の社会保険

個人事業主の加入条件

個人事業主の事業内で社会保険を扱う場合には、加入するための条件があります。

1.働く従業員の半数以上が、社会保険に加入することを同意すること
2.事業経営が安定していること

このニつがクリアできないと、事業所として社会保険を扱うことできません。
事業経営が安定しているかどうかは、3カ月以上経営をしているかどうかが基盤となります。
それ以下の場合は、社会保険への加入が認められません。
保険料を支払ってもらえるのかどうかを見定めているため、安定した経営状況が必要です。

個人事業主が入るべき社会保険

個人事業を行い、労働者が5人以上いる場合は、労働者を社会保険に加入させる必要があります。
労働時間や労働期間が、社会保険加入条件に当てはまる場合は、加入させなくてはいけません。

一方、個人事業主は、事業所で社会保険を取り扱うことができても、事業所の社会保険には加入できません。
その場合、国民健康保険と国民年金に加入します。
このニつの保険は、日本に住んでいる限りは加入する義務があるため、逃れられません。

5人以上でも任意適用の業種

個人事業を行っており、5人以上の従業員を雇っているとしても、社会保険への加入をしなくてよい業種があります。
たとえば、サービス業や士業、農林漁業などです。
この業種は、原則、社会保険への加入をしなくてもよいということになっていますが、労働者を加入させることもできるのです。

個人事業内であっても、働いている人はサラリーマンと同じ扱いとなります。
その場合、自分は加入できなくても、労働者が常に働いている場合は、社会保険に加入したいと志願されれば、加入させなくてはなりません。

しかし、社会保険加入条件にある、既定の労働時間分働いていなかったり、短期就労の場合は適用外になるので、社会保険への加入義務は発生しません。
どの程度働いてもらうのかで、見極めるとよいでしょう。

社会保険の加入手続き

従業員を社会保険に加入させる場合は、事業所の近くにある年金事務所(社会保険事務所)へ行き、必要書類を提出します。

個人事業主本人が社会保険に加入する場合は、住居を置いている近くの市町村役場です。
また、任意適用事業所として社会保険を取り扱う場合は、先に厚生労働省に、任意適用事業所となることを認めてもらわなければなりません。

その場合は、年金事務所へ出向き、厚生労働大臣への許可申請が必要です。
許可申請が通れば、社会保険を取り扱う事が可能なので、その後も年金事務所で手続きを行います。

従業員への支払義務

社会保険に加入させるということは、事業を行っている個人事業主は、従業員の社会保険料を半額支払う義務があります。
そのため、小規模で利益があまり出ていない事業主にとっては、少々痛手になることも。

反対に、社会保険に加入した従業員も、会社と折半になるので、給与から保険料を差し引くことができます。

個人事業主が扶養に入る

夫婦のどちらかが個人事業主を営むという場合は、年130万円以上の収入がなければ、扶養に入ることが可能です。
一般的には、会社員の妻がパートやアルバイトを行った場合、年収103万円以内であれば、扶養を受けられますが、個人事業主の場合は、年収130万円まで可能です。

そうすると、配偶者の社会保険・厚生年金に加入したままで、個人事業を続けられます。
ただし、130万円以上を超えてしまえば、扶養外となり、国民健康保険と国民年金に加入することが義務付けられます。

会社員との社会保険の違い

個人事業主と会社員との大きな違いは、保険料の金額です。
会社勤めをしていれば、月額標準報酬額によって社会保険料が計算され、会社と折半して保険料を支払いますが、個人事業主が社会保険に加入すると、全額負担となります。

よって、会社勤めをしていたときよりも、収入が多くなればなるほど保険料は高くなり、市県民税や、年金も自分で支払うため、かなりの支出に。
たとえば、個人事業1年目で、会社勤めより収入が少なくなった場合、前年度の収入で保険料が算定されるため、よほどの収益が出ていないと、保険料で苦しむこともあるようです。

社会保険加入のポイントや注意点

個人事業主と法人化

一般的には、個人事業主として活動していると、事業で扱う社会保険は適用になりません。
しかし、個人事業主でも事業を法人化すれば、従業員が一人であっても、社会保険に加入することが可能です。
特に節税の部分が大きくかかわるので、収益がある場合は、法人化したほうがメリットは大きくなります。

ただし、900万円以上の収益がないと、法人化しても税金の負担面が大きくなることもデメリットの一つ。
また、設立に関しても費用がかさむので、業績によって法人化するかを検討した方が賢明です。

社会保険加入での節税効果

年金や国民健康保険料は、確定申告時に控除申請をすることが可能です。
そうすることにより、収入から経費として差し引かれるので、節税対策になります。

よって、収入の調節ができるため、いくら全額負担になるとはいえ、加入してきちんと支払うことが大切です。

健康保険の上限

個人事業主が加入する国民健康保険料には、上限が設定されています。
前年度の所得に応じて、保険料が算定されますが、住んでいる地域の自治体や、加入者の年齢によって上限額が違うため、よく調べてみましょう。

国民保険料は、加入している人の人数や所得に応じて、支払わなければならない金額が変わってきます。
所得か家族で、加入している人数が多ければ多いほど、保険料も高くなるのです。
また、加入している人の年齢が40歳を超えたとき、保険料もぐっと上がります。
年を重ねれば、病気になるリスクがその分高くなるため、保険料も高めになってくるのです。

滞納があると社員が加入できない

事業者が国民年金の支払いを怠った場合、社会保険を会社に導入したくても、社員が加入できないこととなっています。
支払い能力のない会社とみなされ、社会保険への加入が認められないためです。

社会保険は会社の信頼につながります。
いくら個人事業であるとはいえ、社員が一人でもいれば、必ず社会保険に加入しなければならない義務が発生します。
その場合、ペナルティーを課されて、罰則金などを支払わなければならなくなるため、国民年金はしっかり支払い、経費として計上して節税対策へと役立てましょう。

社会保険加入の条件を理解し手続きをしよう

個人事業主は、自分の事業で扱う社会保険には加入できませんが、社員を一人でも雇ったり、正社員と大体同じくらい労働をさせる従業員がいるのであれば、社会保険強制加入事業所としてみなされます。

会社として、保険料を折半しなければいけないリスクが高まりますが、サービス業などの業種は、任意として加入しなくてもよいのです。
加入条件をしっかり見極めて、働く労働者と会社の信頼を守ることが大切です。

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