確定拠出年金法の改正による変更点とは。今後の展望についても解説

February, 09, 2018

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確定拠出年金法とは

年金という言葉から連想することは、「毎月自分が納付している年金について」という人も多いのではないでしょうか。
昨今、日本の年金制度についての課題などについて取り上げられ、さかんに報道されています。
きっと、既存の年金だけでは将来が不安で、さらなる老後資金の準備を、今のうちからしておきたいという人も多いのではないでしょうか。

2001年10月から始まった「確定拠出年金法」と呼ばれる、新しい形の年金制度。
公的年金とともに、将来の備えとなるものとして作られたこの制度について、その内容と変更点についてみていきたいと思います。

確定拠出年金法改正に伴う変更点

資格喪失年齢を65歳に引き上げ

平成26年1月1日に確定拠出年金法が改正、施行されました。
改正された点は、資格喪失年齢が引き上げになったことと、脱退一時金の支給要件が緩和されたという点です。
従来の確定拠出年金法においては、資格喪失年齢は一律で60才となっていましたが、この改正で最大65才までに引き上げることが可能になりました。

ただし、これは企業型DC(確定拠出年金)のみに関して適用されます。
また、途中で脱退した場合の一時金支給は、今までは一律で60才までは認められていませんでした。
しかし、今回の法改正によって条件を満たす場合には、60才未満でも支給されるようになりました。

個人型確定拠出年金の加入対象者の拡大

平成29年(2017年)1月1日の施行令においては、どのような点が変更になったのでしょう。
確定拠出年金法が改正された目的は、個人型DC(確定拠出年金)をより広く普及させるためです。
従来は、自営業者などの国民年金保険第1号被保険者と、第2号被保険者のみが加入できましたが、改正後は加入資格が大幅に広がりました。

改正後に加入できるようになったのは、専業主婦などの年金保険第3号被保険者や、企業年金に加入している会社員、共済年金に加入している公務員などです。
つまり20才以上60才未満の国民年金加入者なら、ほぼ全てこの個人型DCの年金に、加入できるようになったということになります。

小規模企業のマッチング拠出が可能になる

企業型確定拠出年金(DC)においても、この改正によりさまざまなメリットが出てきます。
企業型DCは、会社が拠出する掛金と、企業に所属している加入者が拠出する掛金を合わせて、確定拠出年金に拠出するしくみとなっています。
つまり、マッチング拠出が可能になるのです。
ただし、会社がマッチング拠出制度を採用している場合に限ります。

この企業型DCは、加入者にとって税制面でもメリットがあります。
具体的な内容は、加入者が拠出している掛金は、その全額が所得控除の対象になりますので、所得税や住民税が減額されるのです。

これにより、税制の優遇を受けられると同時に、老後の資金も準備できることにもなります。
さらに、将来受給する際には、受け取りの金額に応じた所得控除が受けられるというメリットがあります。

脱退一時金の支給縮小

この制度改正で、主婦などの第3号被保険者や、公務員などが加入できるようになる一方で、脱退一時金の支給の要件が変更となりました。
この変更は、個人型DCに関しての要件となりますが、脱退については第3号被保険者であるという理由や、日本国の非居住者であるという理由での脱退ができなくなりました。
同時に、脱退時の一時金も受け取れなくなりました。

例外として、限定的ではあるものの、やむをえないとして認められる条件を満たす場合は、一時金を受け取れる場合もあります。
受給要件は、2017年1月以降に資格喪失した場合と、2016年12月までに資格喪失された場合とで異なります。
また、2017年1月以降、2016年12月以前とそれぞれの場合で、さらに細かな要件が設定されており、すべて満たすことで一時金が受け取れます。

掛金の複数月分の拠出が可能になる

平成30年(2018年)1月1日施行の制度においては、今まで確定拠出年金の納付は、毎月の単位で拠出することになっていましたが、12月から翌年の11月の範囲内でまとめて、複数月分納められるようになりました。
加えて、1年分の金額を一括でまとめて納めることも可能となりました。

加入者はこれにより、ボーナス月や臨時収入のある月に、まとめて拠出年金を拠出することが可能になり、より加入者のニーズに合う納付が可能になったというわけです。
ただし、納付できる期間は、1月から12月までの範囲内で行うことになります。
既存の加入者も新規の加入者も、年金の納付方法に関して、今までよりも幅が広がったといえるでしょう。

確定拠出年金法改正に伴う注意点

勤務先が加入を許可する必要がある

もしも、企業型に加入を希望する場合には、まずは務めている会社自体が労使合意のもとで、確定拠出年金制度を導入していることが必要です。
そして、第2号被保険者が企業型加入者になるためには、入社後に勤務先が加入することを許可する必要があります。

加入の手続きや管理は、基本的にすべてウェブで行います。
加入後は、各自に確定拠出年金専用のページが与えられますので、ここで自分が毎月納付している金額などの確認ができます。

そのほかには、会社の給与明細などで、加入状況と納付額などの確認もできます。
このときに、明細に「企業拠出金」という項目があれば、これは会社が拠出している積立金を指します。

60歳以上の人は加入できない

個人型DCの加入者は、どの年齢の人が加入の対象となるのでしょう。
原則20才以上60才までの第1号被保険者(自営業などや学生)、会社員などの第2号被保険者、公務員、専業主婦などの第3号被保険者が加入できます。
現在のこの制度では、60才以上の人は加入ができないようになっています。

また、給付を受ける年齢については、原則60才以降から70才までの年齢で受給がスタートでき、自分の好きな年齢で、受給開始の年齢を決められます。
ただし、確定拠出年金に加入した年齢が50才以上の人の場合、将来の給付のためには、通算の加入期間が10年以上必要になります。
また、通算期間が10年未満のときは、将来の受給開始の年齢が繰り下がることになります。

国民年金保険料滞納者も加入できない

加入を希望する人が国民年金保険に加入していて、今現在、年金保険料の納付が滞っているというケースでは、個人型DCに加入はできません。
また、なんらかの事情で国民年金が納められないということから、保険料の免除(全額・一部)や納付猶予を申請し、それが認められて許可が出ている場合も、確定拠出年金への加入はできません。

しかし、万が一、過去に年金保険料の未納期間があったり、もしくは免除を受けていた期間があったりしても、現在はしっかりと納付しているのであれば、加入できるということになります。

確定拠出年金法の今後の展望

拠出限度額のさらなる拡大

確定拠出年金が始まって20年弱ですが、この制度が将来的により安定し、国民が安心した将来と老後を迎えるために、今後はさらなる変更が期待されます。
日本の人口は、近年減少傾向になっていますので、加入者の人口も、将来は当然減少すると予測されます。
また、景気変動により、全体の拠出が不安定になるというリスクもあり得ます。

現在は、企業型確定拠出年金の拠出限度額が決められています。
つまり、現在の制度では、給料に応じて拠出金額が増えてはいきますが、ある一定の金額以上には拠出を設定できないシステムになっています。

もしも今後、高額の年収の人も、その給料に応じて金額を上げることが可能になれば、全体の企業拠出年金額もさらに増えていくことになります。
よって、今後は現在の確定拠出年金法を見直し、変更していくことが必要となるのではないでしょうか。

運営管理機関のサービス拡充

個人型確定拠出年金は、各銀行、証券会社、生命保険会社などの金融機関で取り扱いをしています。
個人型DCに加入するときには、どの機関の商品がより自分に合ったものかを、よく検討する必要があります。
解約がほぼできないことも含め、なるべく途中で変えることは避けたいところです。

個人型DCを扱う企業は、顧客の確保と継続した利用を促すために、さまざまなサービスを行っています。
その一例として、加入時や口座管理機関手数料を一定期間、または無期限で無料にするキャンペーンを行っている企業が増えています。

またそれ以外では、利用者への情報提供のためのサービス・コールセンターの設置、ファイナンシャルプランナーの配置と各家庭への相談派遣、年金専用サイトの設立、インターネットでの加入促進など、さまざまなコンテンツが提供されています。
今後、さらなるサービスの充実を期待したいところです。

加入資格判定の短縮

個人型DCに加入をするときに、加入資格を満たしているかどうかを、自分でも調べられます。
基本的な判断基準は、各サイトや厚生労働省のホームページから、誰でも気軽に確認することが可能です。
主な加入資格は、加入するときの年齢、国民年金基金や農業者年金基金に保険料を納入しているか、などがあります。

各金融機関の個人型DC加入申し込みをしたあとは、国民年金基金連合会が申込み者の内容と条件を調査し、加入できるかどうかを最終的に判断します。
よって、希望者が金融機関の窓口やインターネットなどで、加入の申し込みをしたあとに、正式な加入となるまでの間はタイムラグが出てきます。
今後は、さらに加入者を増やしていくためには、加入資格判定期間の短縮化が求められてくるでしょう。

事務手続きの簡素化

確定拠出年金に申し込むためには、取り扱いのある金融機関の窓口に出向いたうえで申し込む方法、インターネットで申し込む方法などがあります。
会社員の人は、会社の担当者が書類や管理システムを準備してくれ、入社後に加入となります。

確定拠出年金は、まだ申し込みやその他についての情報が少ないことが現状です。
加入希望者や将来加入したいと思う人たちが、もっと簡単に手続きができるようにするために、事務の手続きがさらに分かりやすく、簡潔化やペーパーレス化することが、重要なポイントとなるでしょう。

確定拠出年金制度の変更はこまめに確認しよう

確定拠出年金制度は、これからもますます社会に広まっていくと予想されます。
しかし一般社会の中では、名前は知っているけれども内容については詳しくない、加入しているけれど詳しく説明できないという人も、多いのではないでしょうか。

2001年にスタートした確定拠出年金制度は、数年ごとに内容が改定・変更されています。
確定拠出年金に加入している人も、これから加入を考えている人も、ホームページなどでこまめに変更事項を確認し、今後の自分の年金プランを確認しながら、必要ならば見直しをしていくことを心掛けていきましょう。

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