退職後の確定拠出年金の切り替え手続きとは。 ポイントをおさえよう

February, 09, 2018

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確定拠出年金と退職の関係

確定拠出年金は退職準備金

確定拠出年金は、2001年10月より開始され、現在でも加入者数が増加している年金制度です。
これは、毎月一定額を納付することで、老後の収入が目減りする時期に備えて、積み立てる私的年金のことを言います。
この確定拠出年金は、通算加入年数が10年以上であれば、60歳から受給が可能です。
加えて、受給開始時に、一括で受け取るか、月々年金で受け取るかを選ぶことができるため、退職準備金とも言えます。

確定拠出年金には、個人型と企業型があります。
個人型は、個人で拠出(納付)し、個人で運用方針や商品を選びます。
企業型は、従業員の合意に基づいて会社が運用方針や商品を選びます。
個人型も企業型も加入者は、毎月一定金額を拠出(納付)する点は共通しています。

退職準備金としての意味合いをもつ確定拠出年金ですが、退職金との相違点もあります。
大きく分類すると、掛金(資金調達)・会社が倒産した時・積立金の運用・転職した時・将来受給額・税制上の扱いの6つの点で違いがあります。
確定拠出年金と退職金の違いは次のようになります。

●退職金は、掛金を会社が準備するのに対し、確定拠出年金は、会社、個人、もしくは共同で積み立てます。

●会社が倒産した場合、退職金は、社内積み立ての場合、保全されないの対し、確定拠出年金は、社外積立なので保全されます。

●積立金の運用について、退職金の場合、会社が運用方針を決めるのに対し、確定拠出年金の場合、運用方針や商品は自分で選びます。

●転職した時については、退職金の場合、退職金として一括受給でき、勤続年数によって受給予定額を下回る場合があるのに対し、確定拠出年金は、条件を満たさなければ受給できません。
しかし、転職先に資産をそのまま持ち運ぶことができます。

●将来受給できる額については、退職金の場合、社内規定で決められているのに対し、確定拠出年金は、拠出額と運用実績によって決まります。

●税制上の扱いについては、退職金は、退職所得控除の対象になるのに対し、確定拠出年金は、掛金は全額所得控除の対象となり、利息・配当・運用差益は非課税となり、受給時は、退職所得控除または、公的年金控除の対象となります。

つまり、確定拠出年金と退職金の関係でみると、退職金は一時金として一括で受け取ることができます。
しかし、勤続年数が少ないと満期から逆算した金額よりもかなり少ない金額の受給となります。
これに対して確定拠出年金は、一定条件を満たさないと転職時に一時金として受け取ることができません。
その代わり、転職先に資産を大きく目減りさせることなく、転職先に移管させることができます。

【参考リンク:http://www.resona-tb.co.jp/401k/begin/difference-of-401k-severance-package.html】

【参考リンク:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html】

転退職して会社員になると拠出も運営も続けられる

確定拠出年金のうち、企業型の場合、転職して会社員になり転職先の企業が企業型確定拠出年金に加盟していれば、企業型確定拠出年金に加入することができます。
この場合、基本的に拠出(納付)は、事業主が行うのですが、会社の規約に定められている場合は、加入者個人の拠出(納付)も可能となります。
また、運営については、会社が選んだ運用先の中から選択して運用できます。

加えて、転職先の会社が企業型確定拠出年金に加盟していなくても、個人型確定拠出年金に加入して、資産を個人型確定拠出年金に移管させることができます。
この場合、拠出(納付)から運用まで、すべて個人で行うことができます。

【参考リンク:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html】

退職して主婦になると運営のみ

確定拠出年金は、厚生労働省より以下の規定が定められています。
そのため、一定の条件を満たさなければ、退職金のように退職一時金として、まとまった金額を(60歳を過ぎるまでは)退職時に受給することができません。

●国民年金の第1号被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除または一部免除、もしくは納付猶予を受けている方
●障害給付金の受給者でないこと
●企業型確定拠出年金で掛金を拠出(納付)していた期間が3年以下、もしくは企業型確定拠出年金の資産総額が25万円以下

企業型確定拠出年金に加入していて、退職し専業主婦になった場合、加入していた企業型確定拠出年金の運用指揮者となります。
運用指揮者とは、運用資産を売却して、金融商品を購入しなおすことができる人のことを指します。
この場合、運用の指揮はできても、掛金は拠出できません。
つまり、金融商品の買い替えはできても、老後資金の積立は出来なくなります。

【参考リンク:https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/simplified_chart.pdf】

企業型確定拠出年金のメリットとデメリット

拠出金や運営費を会社が負担

企業型確定拠出年金のメリットは、拠出金や運営費を基本的に会社が負担してくれる点にあります。
例外として、企業規約によって、従業員の拠出も可能と定められている会社は、個人による拠出(納付)も可能です。
しかし、一般的には、拠出金・手数料は会社負担となりますので、拠出金の負担と運用経費の負担がなくなる分、資金面の負担が軽くなるとともに、運用利回りは良くなります。

商品を自分で選べない

企業型確定拠出年金のデメリットは、金融商品を自分で一から選べないことです。
会社の選んだ商品の中から選ぶことはできますが、選択肢は狭くなります。
また、先ほど述べたように専業主婦になった場合は、運用指揮者となり拠出(納付)ができなくなります。

個人型確定拠出年金のメリットとデメリット

自分で投資したい商品を選べる

個人型確定拠出年金は、個人で加入する私的年金です。
したがって、自分で投資したい商品を選ぶことができます。
運用商品には、預貯金・投資信託・保険商品の3つのタイプの商品があり、60歳以降にどれだけ受給したいかによって商品構成を自分で選択できます。
20年、30年と長期的視野で考えたとき、個人型確定拠出年金は、選択肢も広いため自分のライフスタイルにあわせて商品を選ぶことができます。

拠出金や運営費は自分が負担

個人型確定拠出年金は、すべて個人で運用するため、拠出金や運営費は自分で負担します。
したがって、手数料等の運営費の高い金融機関を選んだ場合、運用実績が良くても、実質元本割れすることもあります。
ポイントは、運営費用の安い金融機関や金融商品を選ぶことが重要です。
また、金融機関が主催するセミナーや講習会などに参加して、判断力を養うことも必要となります。

確定拠出年金の退職後の行方について

60歳以上の人は年金を受け取れる

企業型確定初出年金の退職後の行方については、加入者の退職の状況によって変わります。
まずは、60歳を超えて退職した場合を見てみます。
確定拠出年金は、基本的に60歳を超えると受給が可能です。
受給の方法としては3つあります。
1つめは、年金として毎月受給することができます。
2つめは一時金として一括で受け取ることができます。
3つめは、一部を一時金としてまとまった金額を受け取り、残りを年金として毎月受給することができます。

基本的に60歳以上から受給は可能ですが、加入年数によって受給できる年齢が変わってきます。
加入年数と受給開始年数については、以下の通りです。

●加入年数10年以上          60歳から受給可能
●加入年数8年以上10年未満       61歳から受給可能
●加入年数6年以上8年未満   ? ? ? ? ? ? 62歳から受給可能
●加入年数4年以上6年未満       63歳から受給可能
●加入年数2年以上4年未満       64歳から受給可能
●加入年数1年以上2年未満       65際から受給可能

退職して転職先で企業型確定拠出年金へ移管する

転職した場合、転職先の会社が企業確定拠出年金に加盟していれば、転職先の企業確定拠出年金に移管することができます。
6カ月間は元の会社で運用され、その後、転職先の会社で運用されることになります。
そのとき、転職先の会社が選んだ商品の中から新しい商品を選ぶことができます。

個人型確定拠出年金へ移管する

転職先の会社が企業型確定拠出年金に加盟していない場合や、退職して自営業を始めた、もしくは、専業主婦になった場合、個人型確定拠出年金へ移管が可能です。
移管手続きを6カ月過ぎても放置した場合(運用指揮者になった場合を除く)、積立資金は強制的に国民年金基金連合会に移し替えられます。

その後、特定運営管理機関に委託されます。
そうなると、自動的に現金化されて、運用をしていない状態で手数料だけ取られます。
さらに、税制優遇も受けることができなくなるため、老後資産は減る一方となります。
手続きは、面倒でも行うことが大切です。

脱退一時金を受け取る

脱退一時金を受け取る方法もあります。
長期間加入している人で、まとまった金額を一時金として受給するには、一定条件が必要です。
国民年金の第1号保保険者のうち、年金保険料の全額免除または一部免除、もしくは納付猶予を受けている人で、障害給付金の受給者でないことが条件となります。

どういうことかというと、自営業の人で国民年金を納付することが経済的に不可能な状態になった時に、国民年金保険料の免除もしくは猶予を受けて、個人型確定拠出年金を脱退することで、脱退一時金を受け取ります。
これは、経済的困窮のために老後の資金を切り崩すことをさします。

以下に、脱退一時金を受け取るための一定条件を記します。
以下にあるように、拠出期間が3年以下、もしくは確定拠出年金の資産総額(積立総額)が25万円以下とあるため、25万円より多い金額を脱退一時金として受け取るには、困窮状態で国民年金を支払うことができない状態でないと、受け取ることができないということになります。

●国民年金の第1号被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除または一部免除、もしくは納付猶予を受けている方
●障害給付金の受給者でないこと
●企業型確定拠出年金で掛金を拠出(納付)していた期間が3年以下、もしくは企業型確定拠出年金の資産総額が25万円以下

【参考リンク:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html】

【参考リンク:http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html】

拠出せず運用のみ行う

退職後、専業主婦になった場合、個人型確定拠出年金に資金を移管せずに、退職前の会社の企業型確定拠出年金の運用指揮者になる方法もあります。
この場合、前述のように拠出(納付)はできませんので、退職前に積み立てた資金のみの運用となります。

企業型確定拠出年金の加入年数や、家庭の所得状況によっては、個人型確定拠出年金に資金を移管するより運用のみ行う方がよい場合もあるので、しっかり計算してより良い選択をすることが大切です。

手続きを放置して自動移管されるのだけはさけるべし

会社を転職して、転職先の会社が企業型確定拠出年金に加盟していない場合、個人型確定拠出年金に資金の移管手続きを6カ月放置すると、国民年金基金連合会へ自動移管されます。
この場合、自動移管に掛かる手数料がかかります。
内訳としては、自動移管されるときに、特定運営管理機関手数料として3,240円、連合会手数料として1,029円。
管理費として、特定運営管理機関に51円/月(4カ月後から)かかります。

仮に、5年間放置したとすると、退職後6カ月後に4,269円。
退職後10カ月後から5年間、51円×50カ月=2,550円の手数料がとられます。
加えて、放置している期間は、全く資金が運用されていませんし、税金の控除はありません。
せっかく貯めた資金にもかかわらず、無駄に手数料と管理費を払うだけで放置することになります。
手続きが面倒だからと放置して、自動移管されることは避けるべきです。

確定拠出年金のことを知って賢く資産運用をしましょう

企業型確定拠出年金は、拠出金と運用費を企業が負担してくれるという点が最大のメリットです。
結婚等で会社を退職する際に、確定拠出年金をどのように取り扱うかについては注意を払う必要があります。
特に専業主婦になる場合や、転職先の会社が企業型確定初出年金に加盟していない場合は、しっかりとした知識を持って判断する必要があります。

勤続年数が長く受給開始年齢に近い場合、拠出せず運用管理者になる方がメリットがあるといえます。
逆に、受給開始年齢まで20年・30年あるなら、個人確定拠出年金に移管して拠出・運用した方が賢明といえます。
個人型確定拠出年金は、所得税・住民税の控除に加え、運用利益は非課税となるため、現役世代にとっては税金対策にもなります。
注意点としては、金融機関の手数料を良く調べ、手数料の安い金融機関を選ぶことが重要となります。

また、退職後、企業型確定拠出年金を放置してそのままにしておくことはさけるべきです。
2016年の時点で、企業型確定拠出年金で運用されず放置されている資産は、1,428億円、約33万人になります。
確定拠出年金のことをよく知って、賢く運用しましょう。

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