保健師の年収は高水準と言えるか。職場での待遇について解説

保健師の年収は高水準と言えるか。職場での待遇について解説

ビジネス 2018.08.20

保健師の年収水準と保健師になるためのプロセス

国家資格であり、職務にも高度な専門性がもとめられる保健師。社会的ニーズの高い専門職ですが、年収事情や資格取得のためのプロセスは意外と一般的な情報として広まっていないようです。保健師をこれからめざす人のために、保健師の仕事でどれくらい稼げるのか、保健師になるにはどのようなプロセスが必要なのか、ということを具体的なデータとともに解説します。

保健師の種類

保健師というと、一般には病院や学校に勤めて健康管理や医療行為を行う職業であるようなイメージがあるかもしれませんが、実際には保健師の職域は幅広く、教育現場や医療機関だけでなく一般企業や役所などさまざまな職場で活躍しています。

保健所や市役所に勤める行政保健師

保健師が保健所に勤めるのはある意味でイメージ通りかもしれませんが、8割以上の保健師は地方自治体の役所において勤務しています。
保健所や市役所に勤める保健師は「行政保健師」とよばれ、行政管轄の予防接種の案内や窓口での健康相談などがおもな業務となります。実際に医療行為に携わることはむしろ少なく、窓口を訪れるお母さん世代への育児相談や健康診断の申請を行う会社員への健康面でのアドバイスをすることがメインの仕事となります。
行政保健師は公務員でもありますので、保健師としての業務以外に公務員としての事務作業や窓口業務もこなさなくてはなりません。

学校に勤める学校保健師

地域の小学校から高校までの教育機関に配属される「学校保健師」。養護教諭とは違ったポジションとなり、児童や生徒たちの健康管理や医療面でのサポートを行います。
小学校高学年から高校にかけては思春期に入りますので、多感な時期をむかえた子どもたちの成長にともなう悩みを担任とはまた違った立場から受けとめ、年代に合わせたアドバイスをすることがおもな仕事となります。

企業に勤める産業保健師

最近では産業医とともに、保健師を配置する一般企業が増えています。一般企業に勤める産業保健師は産業医や人事担当者などと緊密な連携をとり、社員ひとりひとりの健康面の管理を担当します。
日本でもここ数年は企業内のメンタルヘルスの重要性が認識されつつあり、産業医と保健師の連携を強化することによって、社員のうつ病やストレス障害による離職を予めふせぐ動きが強まっています。

保健師の年収や待遇

医療系の専門職である保健師。「専門職=収入にめぐまれている」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはどうなっているのでしょうか。職種別の保健師の平均年収についてお伝えします。

保健師の平均年収は528.9万円

保健師全体で見ると、平均年収は厚労省による統計では536.5万円~528.9万円とされています。ただ、これはあくまでも保健師全体のデータであり、職種別で比較した場合はそれぞれの職種ごとに若干の開きが出てくるようです。保健師のなかでもとくに効率よく収入を得られるのはどの職種なのでしょうか。

最も年収が高いのは産業保健師

大きく分けて3つに分かれている保健師の職種のうち、年収の面でもっともめぐまれていると言えるのは産業保健師です。日本国内の産業保健師の年収はおよそ600万円と言われており、学校保健師や行政保健師よりも収入の水準はやや高いと考えられます。
産業保健師が実際に医療行為を行うことはあまりありませんが、社員ひとりひとりの健康状態について細かく把握しておく必要があります。なおかつ、うつ病やストレス障害などの兆候が見られる社員については、産業医と連携をとりカウンセリングを提案するなど、心理関係のスペシャリストとしての役割がもとめられています。

最も年収が安いのは学校保健師

保健師のなかで年収が低いのは学校保健師で、平均で約450万円程度だと言われています。保健師の職域のなかでは行政保健師についで公務員的な色合いが強い仕事であると考えることもできます。
一般教員の平均年収に合わせて、ということなのかもしれませんが、毎日激務がつづく学校保健師の業務内容を考えると、もう少し高い年収でも釣り合いがとれるかもしれません。

産業保健師の年収は企業規模によって変化

平均年収600万円と、保健師のなかでは比較的収入面でめぐまれている産業保健師ですが、収入の水準については企業の規模によって大きく変化し、大企業になるほど月収水準も高くなります。
中小企業なら得られる収入としては低くなりますが、その分担当する社員の人数も少なく、日々の業務もある程度は軽減されるため、あえて大企業ではなく規模のちいさな企業への配属を希望する保健師も少なくないようです。

行政保健師は休暇の保証が手厚い

地方自治体の窓口に勤務する行政保健師は、保健師のなかでは最も公務員らしく、休暇も基本的には役所のカレンダーに合わせて与えられます。
通常の休日もしっかりと確保され、毎日の残業も最小限におさえられている行政保健師であれば、有給休暇や育休、産休なども規定によって保証されており、事前に申請すれば都合に合わせて柔軟にまとまった休みをとることも可能です。

産業保健師の待遇は企業による

産業保健師としてより働きやすい環境を望むのであれば、企業ごとの特性を入念にチェックし、できるかぎり福利厚生が充実している企業を選びましょう。大企業だから必ずしも福利厚生が充実しているとはかぎらず、むしろ中小企業のほうがフレキシブルな福利厚生システムを採用している場合もあります。

保健師になるために

ここまで保健師の収入事情や職域についてくわしく見てきましたが、最後に保健師資格取得までのプロセスについてお伝えします。

看護師免許が必要

保健師になるためにはまず、看護師免許を取得する必要があります。保健師としてどの職場で働くにしても、業務の遂行には専門的な医療知識が必要となり、その知識を身につけ実証するためには看護師としての資格が必要不可欠となるのです。
看護師の基礎教育を終えてからあらためて保健師の養成機関に通うパターン、保健師と看護師両方のカリキュラムが受講できる養成機関に通うパターンのふたつがあり、どちらでも最終的には保健師の資格が授与されます。

保健師養成所を卒業

より専門的な知識を身につけてから保健師として働きたいという方は、いったん看護師資格を取得したうえで保健師養成所に通ったほうが専門性の高い保健師として認められます。
看護学校は3年制や4年制であり、保健師の養成課程は半年から1年のため、保健師として働きはじめるのは最短で4年から5年後ということになります。

行政保健師は公務員の資格も必要

行政保健師になるには、公務員試験に合格しなくてはならないと定められています。より具体的には、まず大学卒業時に公務員試験をパスしておき、そのうえであらためて保健師の養成課程に通い、試験に受かってはじめて行政保健師として認められることになります。
先に保健師の課程を修了してから公務員試験にチャレンジする方法もありますが、公務員試験は難易度的に現役のほうが受かりやすい面もあり、ほとんどは公務員から保健師へ、という流れで資格を取得しているようです。

保健師専門の求人サイトを活用

学校保健師、行政保健師については試験に受かると配属先が決められる仕組みになっていますが、産業保健師の場合は通常の就活とほぼ同じで、求人誌や求人サイトの情報を比較しながら希望の企業を探すことになります。
企業によって給与水準や福利厚生が大きく変わってくるため、自分がどのような環境で働きたいかを具体的にイメージしたうえで、求人情報をチェックするようにしましょう。

保健師の年収は高いと言える

保健師は医療系の専門職であり、収入面でも比較的めぐまれていると言えます。学校保健師、行政保健師、産業保健師。職種ごとに年収や福利厚生の条件が大きく変わってくるため、保健師を志した時点でどの方面に進みたいかをイメージし、職場のミスマッチが起こらないようにしましょう。

この記事のライター UKANO 編集部

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