退職金に税金はかかるのか。 手取り額の目安を立てて将来に備えよう

タグ :  / August, 09, 2018

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退職後の税金の仕組みについて

退職後には税金がかかるのでしょうか?そもそも、退職金は必ずもらえるのでしょうか?退職金制度について具体的な内容を把握していない人は多いです。
将来退職金がもらえるのか、退職金に税金がかかるのかなど、わからないことがいろいろあります。

退職後の税金の仕組みについて知り、税金の目安を知ることで、将来自分が自由に使える退職金がいくらかの予測を立てることができます。
退職後の将来のため、退職金制度や税金の仕組みについて学んでおきましょう。

退職金制度について

退職金制度について、具体的な内容を確認しておきましょう。

退職時に企業から受け取る退職金

退職金制度と聞くと、「退職時に企業から受け取る退職金のこと」という漠然としたイメージを持っているかもしれませんが、退職金制度の内容はさまざまです。
法律で義務付けられたものではないので、企業で退職金制度を定めていない場合は、退職金をもらえないこともあります。

退職金は、定年した後に老後の生活を支える大切な資金です。
退職金制度が多様化している今、定年後に焦らないように、今のうちに退職金制度とはどういうものかを確認しておきましょう。

なぜ退職金制度があるのか

退職金制度の成り立ちは、もともと雇い主が使用人に対して、独立の業を営む権利である「のれん」をおくる習慣から始まったとされています。
1722年(享保7年)の「宗竺 遺書」には、「もとで金」という退職金制度に関することが記されているそうです。
同年の「三井家憲」には、「退職手当て」という言葉が記されています。

当時は、主人側(今でいう企業側)と使用人側(自分)が積み立てて、年季明けに退職する者に金一封をおくるとという慣行でした。
「のれん分け」はコストがかかることが原因で、できなくなることがあるので、その代わりの制度として発生したとも考えられます。

確定拠出年金との違い

退職金も確定拠出年金も、老後の生活に役立つ資金であることは共通しています。
確定拠出年金は、老後資金の形成を目的にした制度で、60歳以降に「一時金」または「年金」として受けとるお金。
一方で、退職金は、会社を退職するときにまとめて受け取るお金です
老後の資金として使えるお金だということは共通していますが、資金調達の方法などの違いもあります。
例えば退職金は、会社が退職時に用意するお金で、会社が資金を準備するものです。
しかし確定拠出年金は、会社、個人、または共通で積み立てます。

他にもさまざまな違いがありますが、その違いを一言で表すとしたら、退職金制度は「会社が主導権を握っている」ことが特徴。
確定拠出年金は「自分が主導権を握っている」ことが特徴です。

退職すれば必ず退職金は発生するのか

退職すれば誰でも必ず退職金がもらえるのでしょうか?そうとは限らない可能性もあります。

退職金は必ずもらえるものではない

退職金制度は、法律で義務付けられているものではなく、各企業の就業規則により定められているものです。
退職金制度がない会社もあります。

自分の会社の就業規則に退職金制度について記されているからといって、退職金は必ずもらえるとも限りません。
退職金制度を導入している会社を退職しても、退職金がもらえない場合もあるので注意が必要です。
退職金がもらえない場合として考えられることには、下記のような例があります。

  • 問題を起こして懲戒解雇になった場合
  • (各企業の退職金支払い規則にもよるが)勤続年数3年以内の場合
  • 公務員の場合、勤続年数6カ月以内の場合
  • 会社が倒産した場合
  • いわゆるブラック企業で、退社の際に会社に難癖をつけられた場合

「懲戒解雇」になった場合は、多くの企業が退職金の支払いを行いません。
しかし、懲戒解雇になった理由によっては、退職金の一部は支払われたという判例もあります。

「勤続年数3年以内」の場合は、退職金がもらえないかもしれません。
各企業の退職金支払い規則は、退職金を支払う対象者は勤続年数3年以上(公務員の場合は6カ月以上)と定めていることが多いです。
ただし、各企業により退職金支給の条件が違うので、就業規則を確認しましょう。

「会社が倒産」した場合も、退職金がもらえない可能性が高いです。
もし会社の先行きが怪しく、倒産の兆候があると感じたら、その前に転職したほうがよいでしょう。

「ブラック企業」だったために、退職金がもらえなかったということもあります。
退職する旨を会社に伝えたら、退職を認めなかったり、難癖をつけられたりして、退社トラブルに。
そして、無理に退職したら、退職金を支払ってもらえなかったという事例もあります。

このように、退職金がもらえないケースもいろいろあるので、退職の際にトラブルにならないように気をつけましょう。
また、退職金がもらえないと思い込んでいたが、実は支払日がまだ来ていなかっただけということもあります。
退職金がもらえないと思い込む前に、しっかりと支払日を確認することも大切です。

退職金制度を導入していない会社もある

退職金制度は、会社が必ず導入するものではありません。
そのため、退職金制度がない会社もあります。
退職金を支給する場合、支給する労働者の範囲、計算方法、支払時期などの退職金に関することを就業規則に記載します。
退職金の給付の有無も、支給金額も、会社に委ねられているのです。

退職金がない会社は意外とたくさんあります。
厚生労働省が平成25年に調査した「就労条件総合調査」によると、退職金がない会社は24.5%、退職金がある会社は75.5%。
つまり、約4分の1の会社が、退職金がありません。

その5年前のその平成20年の調査では、退職金がない会社は16.1%でした。
つまり、退職金制度がない会社が増えているということです。
企業規模が小さい会社ほど退職金がない傾向があります。

企業側も、退職金制度について見直すことが多くなっているので、今は退職金制度があると思っていても、実際に自分が退職するときには、どうなっているのかはわかりません。
そのことも心にとめておき、老後の備えをしておいたほうがよいでしょう。

退職金を導入することでの会社側のメリット

退職金は、費用が掛かって会社側にメリットがないように感じますが、そんなことはありません。
実際は会社側にもメリットがある制度です。
退職金制度を導入すると、会社側には下記のようなメリットがあります。

有能な人材を確保するため

「退職金がない会社」と聞くと、良い会社とは思われません。
入社しても、良い会社が見つかるまでのつなぎ程度にしか思われないことが多いです。
「退職金がある会社」のほうが良い会社だと思われ、有能な人材が集まります。
退職まで長く勤務してくれて、退職するときには、引継ぎなどもしっかりと行ってくれることでしょう。

社会保険料の節約のため

社会保険料は、「月給」と「賞与」にかかります。
しかし、「退職金」には社会保険料は掛かりません。
そのため、月給や賞与を低めに設定し、浮いた資金を退職金に充てるということもできます。
そうすることで、社会保険料を節約することも可能です。

節税のため

退職金には掛金があり、外部保留の場合は全額、内部保留の場合は半額を損金算入することができます。
そのため、退職金制度は節税にも有利な制度だといえるのです。
財務体質を実現するために、退職金原資を内部保留にするというメリットもあります。

さまざまな退職金

退職金制度には、さまざまな種類があります。
どのような退職金制度があるのかを見ていきましょう。

基本給次第で退職金が変わる基本給(賃金)連動型退職金制度

退職金制度の多くが「基本給(賃金)連動型」です。
算定基礎となるのは、基本給の最終到達水準のみ。
勤続年数も退職時基本給も同じ人であれば、退職金は同額です。
基本給(賃金)連動型は、年功型退職金制度の典型で、基本給が上がることで退職金も一定水準が保たれます。

しかし、会社側から見ると、退職金水準が毎年上昇することになり、会社の貢献度・功績に関係なく、多額の退職金が支払われることになるのです。
また、退職する時点にならないと、正確な退職金が計算できないという問題点もあります。

基本給(賃金)連動型の計算式

退職時の基本給×勤続年数係数×退職事由別係数(自己都合か会社都合か)=退職金

会社への貢献度は反映されにくい定額方式退職金制度

「定額方式」は、勤続年数などによって一定の退職金の額を設定しており、これに退職事由による係数を乗じて退職金を計算する制度です。
退職金額を一覧表にでき、一目瞭然で退職金の額がわかるので、企業側は退職金の資金準備計画が立てやすく、退職金額が予想額を超えることがないというメリットがあります。

一方で、デメリットは会社への貢献度が反映されないという点。
特別功労金として別途上乗せ支給するなどという手段もありますが、基準があいまいでわかりにくいです。
また、企業側は退職金資金の運用リスクがあります。
これらの理由により、定額方式定食金制度を導入する会社は少ないです。

社会保険料のコスト削減になる選択型退職金制度

「選択型」は、給与の一部を確定拠出年金に拠出して積み立てます。
確定拠出年金に拠出することなく、現行の給与をそのまま受給することも可能です。
どちらにするかは、社員自身の判断で決定します。

選択制は社会保険料のコスト削減と節税になるという点がメリットです。
事業主の人件費の負担は今までと変わらないので、社会保険料のコスト削減の分、会社は総人件費の削減につながります。
個人が労使に備える場合、通常は社会保険料と税金を支払った後の手取りの中から、一定額を蓄えますが、選択制であれば、給与の一定額を事前に老後資金として拠出。
その分が社会保険料と税金の節約になるのです。

仕事の成果が反映されるポイント制退職金制度

「ポイント制」は、勤務中のポイント累計に応じた退職金制度です。
ポイントの種類はいろいろあります。
例えば、「職能資格ポイント」「勤続ポイント」「役職ポイント」「評価(成果)ポイント」など。
勤続年数や職能資格等に対応してポイントが定められ、このポイントをもとに退職金額を算定します。

ポイント制は、退職金に反映させるポイントの要素を企業が任意に設定できるので、人事戦略に合わせた制度の構築が可能。
社員のやる気をより一層引き出すこともでき、ポイント制を採用する企業は増加しています。

ポイント制(一般的累計型)の計算式

退職時のポイント累計×ポイント単価×退職事由別係数=退職金

役職に応じた別テーブル方式退職金制度

「別テーブル方式」は、基本給と連動しない退職金制度です。
役職別や等級別に係数を設定し、それに勤務年数に応じた基準額を乗じて支給額を算出します。

別テーブル方式のメリットは、年功をベースにしながら、役職等の基準設定次第では貢献度を重視できること。
社員の同意も得られやすいです。

一方でデメリットもあります。
それは、退職時の最後の等級で算定基礎額が決定するので、在職途中の貢献度が反映できないこと。
確定給付型の制度なので、企業側には運用リスクが生じます。

別テーブル方式の計算式

等級別算定基準額×退職時の勤続年数別係数=退職金

退職金に税金はかかるのか

退職金に税金はかかるのでしょうか?退職金と税金との関係性を把握しておきましょう。

退職金にも所得税はかかる

退職金は税法上で「退職所得」といわれており、所得税がかかります。
退職所得というのは、退職時に支払われる一時的な給与という意味です。
退職金の所得税を計算するには、独自の計算式を使用するので、退職金か通常の給与かを明確にしておきましょう。

退職金の所得控除(課税対象になる退職金額)を求める計算式

(収入金額(源泉徴収前の額)-退職所得控除額)×1/2=課税対象になる退職金の金額

退職金の所得税額を求める計算式

(課税対象になる退職金の額×所得税率-控除額)×102.1%=税額

退職金に税金がかからない場合もある

退職金は「退職所得」となるので、国が定めている税率の税金を支払わなくてはいけません。
退職金支給前の会社の処理方法はいろいろあり、「自分で確定申告をして支払う方法」「予め給与収入と同じように源泉徴収される方法」「退職所得として源泉徴収される方法」など。
勤務先がどのような支給方法かを知っておくとよいでしょう。

基本的には、退職金は税金がかかりますが、例外として税金がかからない場合もあります。
それは、予め「退職所得の源泉徴収票」で退職金の税金が支払われている場合。
退職金の税金がすでに会社から支払われており、受け取った退職金の額は税引き後の金額になっているからです。

一時金もしくは年金か受け取り方法でかかる税金の違い

会社員が退職金を受け取る方法は、「一時金で受け取る」「一時金と一部を年金で受け取る」「すべて年金で受け取る」などのパターンがあります。
どの受け取り方を選択するかで、かかる税金にも違いが出てくるのです。

「年金で受け取る」方法を選択すると、退職金原資が受け取り期間も運用され続けるので、受取総額が「一時金」よりも多くなります。
そのため、年金で受け取りたいと思う人が多くなるのです。

しかし、退職金を年金で受け取ると、雑所得となり、給与や公的年金と合算して課税されます。
そうなると、所得税や住民税だけでなく、国民健康保険料や介護保険料も高くなってしまうのです。
つまり、必ずしも「年金で受け取る」方法がお得だとはいえません。

税負担を軽減するために退職金を受け取る際の注意点

退職金と個人型確定拠出年金を同年に受け取ると、税負担が重くなるので注意が必要です。
受け取り時の税金は、退職一時金や公的年金と同じ扱いになります。

そのため、同じ年に個人型確定拠出年金を受け取ると、合算して課税されてしまい、所得税の税率が高くなってしまうのです。
個人型確定拠出年金は、掛け金が全額所得控除になって、所得税や住民税の負担が軽減されるなどの節税メリットがあります。
しかし、退職金と同時に受け取ると税率が高くなるというデメリットがあることを覚えておきましょう。

かかる税金の目安

退職金に書かう税金は、給与や賞与に比べると優遇されています。
優遇措置の1つが「退職所得控除」。
勤続年数20年以下の場合は年40万円、20年を超える場合は、超える年数につき年70万円を控除するというものです。

さらに、退職所得控除をした控除後の額の2分の1だけが課税対象になります。
退職所得以外に、給与所得や不動産所得等がある場合でも、合算せずに退職所得だけで税額を計算するため、退職金の税金は安くなるのです。

退職金にかかる税金の計算方法

退職金が支払われる際には、所得税及び復興特別所得税や住民税が、源泉徴収もしくは特別徴収されます。
しかし、長年の労働に報いるため、他の所得と分離して課税されるなど、税負担は他の所得よりも軽いです。
また、勤続年数30年以上の方の退職金については、1,500万円まで所得税も住民税もかかりません。

退職所得金額の計算式

(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得金額
※勤続年数が5年以下の法人役員の場合、2分の1を乗じません。

勤続年数の数え方

勤続年数は、実際の勤続期間なので、5年勤務すれば5年が勤続年数になります。
しかし、他社でも勤務している期間がある場合、勤続年数の数え方が難しくなるので注意しましょう。

他社で勤務している期間も退職金の支給対象期間の場合、その期間が重複していなければ、勤続期間をすべて含めます。
(A社で6年、B社で7年、C社で4年の場合、勤務年数は17年になる。)

勤務期間が重複しており、同じ年に退職金を2回もらった場合、重複している期間は一方の期間を合計に含めません。
(A社で17年、B社で7年7カ月、うち7年が重複している場合、勤務年数は17年7カ月になる。)

知っておきたい退職所得控除

会社を退職して退職金を受け取る場合、その退職金も所得税の課税対象です。
この退職金にかかる税金の計算は、勤続年数などにより控除額(退職所得控除)が異なります。

退職所得控除額の計算方法

  • 勤続年数20年以下の場合:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超の場合:70万円×(勤続年数-20年)+800万円

勤続年数が10年1カ月のように、1年未満(〇カ月)が生じたら、切り上げます。
日数は、30日をもって1カ月とします。
10年1カ月の場合は、11年です。
また、障害者になったために退社した場合、100万円を加算します。

退職所得控除の特例

前年4年内に、他の退職金を受け取っている場合、退職所得控除額の計算方法の特例があります。

前年4年内に、他の退職金を受け取っている場合の計算方法

その年の退職所得控除額(1年未満は切り上げ)-重複している勤続年数の退職所得控除額(1年未満は切り捨て)=退職所得控除額

控除される税金は多い

退職金にかかる税金は、控除が多いです。
そのため、負担が軽減されます。
退職金は退職後の生活を支えるための大切な資金になるので、さまざまな控除を受け、税金として徴収される額を減らし、負担を軽くしているのです。

また、事業主が使用人を受益者等として掛金を払い込み、信託銀行や生命保険会社等が、退職した使用人に退職年金を支給する「適格退職年金契約」というものもあります。
適格退職年金契約の場合、一時支払額がみなし退職金として課税対象になり、月々に受け取る年金も雑所得として課税対象になるので注意しましょう。

退職金を使って税金対策

退職金を使って税金対策をすることができます。
その内容について確認してみましょう。

給与の一部を退職金に回す

企業としては、退職金で払っても、給料で払っても、コストは変わりません。
しかし、退職金にはさまざまな税制優遇措置があるので、受け取る側は退職金に回してもらったほうが、税金が安くなるので、手取りが増えます。

給料の一部を退職金として積み立ててもらえれば、節税になるので、受け取る側は得。
しかし、大企業は給料と退職金の区分がはっきりとしているので、給与の一部を退職金に回してもらうのは難しいでしょう。
中小企業の場合、区分が厳密ではないので、(希望が通るかはわかりませんが)検討する価値はあります。

退職金を確定申告する

退職後に同年内のうちに再就職する場合、または会社を退職するときに、本来は退職所得の確定申告の必要はありません。
しかし、退職した年の所得が少ない場合、確定申告をすることで得をすることもあります。

会社を退職するとき、「退職所得の需給に関する申告書」を会社へ出さなかった場合、または所得税加納の可能性がある場合、確定申告をすると税金の還付を受けるかもしれません。

「退職所得の受給に関する申告書」とは

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、正規の税額を計算して源泉徴収されます。
(退職所得の額が退職所得控除額以下の場合、源泉徴収額は0円となる。)
そのため、原則として確定申告をする必要はありません。

しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、確定申告が必要になります。
退職金の額に一律20%の税率で源泉徴収されてしまい、確定申告で生産する必要があるからです。
「退職所得の需給に関する申告書」の書面は、国税庁のHPから印刷できます。

【参照リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

退職金を損金算入する

法人税法によると、会社役員の場合の役員退職金について、無制限に損金の額に算入できないとしています。
退職給与(退職金の法人税法上の呼び方)で、業績連動給与に該当しないものは、原則として損金の額に算入できません。
これらは、法人税法34条に記されています。

損害算入とは給与以外の費用で損金の額を算入する

もし交通事故などが起きてしまった場合、損害賠償金を支払います。
(本来なら起きないほうがよいというのは前提です。)
原則として、支払った損害賠償金は必要経費になります。

損害参入の時期は、損害賠償金を支払うべき額が確定した日です。
事故などを起こした年のうちに、支払うべき額が確定すればよいのですが、その年には確定しないこともあります。
いくら払うか決まっていなければ、債務は確定しません。

しかし、損害賠償金の額が正式に決まっていなくても、12月31日までに、相手に対して支払う金額を申し出ていた場合は例外。
債務が確定したとみなされて、その額を必要経費に計上することが可能です。
そのようなケースの場合は、相手に申し出た額を支払う意思が明らかになるように、文書で残しておきましょう。

退職金に関わる税改正が検討されている

現在、退職金にかかわる税改正が検討されています。
その内容について1つずつ見ていきましょう。

事前に準備をする必要のある2018年度税制改正関連法案

2018年度税制改正関連法案では、所得控除における多様な働き方への対応が検討されています。
会社に勤務するのではなく、フリーランスで働く人が増加していたり、デジタルエコノミーが進展していたりと、働き方は多様化していることが、税制改正が検討されている理由です。

具体的には、働き方の違いによる所得控除額の差を少なくするため、「会社員向けの給与所得控除を一律10万円げんがく、基礎控除を10万円増額する」という内容。
また、退職一時金の控除制度見直しもされています。
転職者に不利になっている現行制度の見直しの話が進んでいるのです。

これまでの経緯を知り今後の動向を見守る

平成30年度税制改正大網は、2017年(平成29年)12月に作成されましたが、正式に税制改正法が成立したのは、2018年(平成30年)の3月下旬。
ちなみに、毎年この時期に、正式に決定します。

出国時に1,000円を負担する「国際観光旅客税」に関する法案は、3月中には可決が成立せずに、4月11日に日にちがずれ込み、ようやく可決されました。
政府や与党の税制調査会は、別に民間税制調査会があるため、すぐには可決されないということがよくあります。

年収850万以上が増税の対象に

平成30年度の税制改正は、企業は減税となり、個人の負担増が目立つような内容。
その中でも大きな注目を集めているのは、給与所得控除が縮小されることです。

給与所得控除とは、税金の計算の際に、会社員の収入から一定額を経費として差し引くことで、課税対象の所得が減り、支払う税金を減らすこと。

税制改正では、平成32年1月から、給与所得控除を一律で10万円減少させ、年収850万円超の給与所得控除の上限を、一律で220万円から195万円に引き下げる見込みです。
基礎控除は10万円増やします。
これにより、年収850万円超の会社員は、原則として増税になるということです。

転職されている人にも嬉しい税制改革可決

今の退職金控除対象は20年以上勤務の人対象で、現在の多様化した働き方に合っていません。
現在はフリーランスで働く人も増え、働き方が多様化しているので、税制改正は転職者にも嬉しい改革です。

給与所得控除は、給与にのみ適用されるため、フリーランスのような働き方の人には適用されません。
会社員と同じように働いていても、会社員は最低65万円の給与所得控除があるにもかかわらず、フリーランスは実際に負担した必要経費しか認められず不公平でしたが、その不公平をなくすために税制改正が行われるといわれています。

2012年度の改正内容と比較

6年前の2012年度にも税制改正はありました。
このときの税制改正の内容は、所得税に置いて退職金課税の優遇は「1/2課税」を適用できること。

例えば、2,000万円の退職金をもらった場合、課税されるのはその2分の1である1,000万円になるのです。
実際は勤続年数により退職所得控除されるため、もっと低くなります。
この「1/2課税」の対象は役員のみです。

海外の退職金

海外の退職金事情はどうなのでしょうか。
外資系企業の退職金制度についても確認してみましょう。

海外に退職金はあるのか

年収をアップさせたくて、日系企業から外資系企業に転職を考える方も多いです。
しかし、外資系企業では、退職金制度が導入されていないことも珍しくないので、結果として年収がダウンしていたということもあり得ます。

退職金はなくても、確定拠出年金を設けている外資系企業もあるので、いろいろな側面からお金に関することを確認しておくことが大切。
確定拠出年金は、毎月の給与額から一定割合を積み立て・運用に回す制度で、運用先は企業と提携しているファンドから選べることもあります。

退職金制度のないアメリカ

アメリカは、退職金制度がありませんが、公的年金制度があります。
公的年金は「ソーシャルセキュリティ」と呼ばれており、アメリカで働いている人であれば、アメリカ人ではなくても(日本人でも)「ソーシャルセキュリティタックス」と呼ばれている形で支払っています。
つまり、日本人でも年金はもらえるのです。

そうはいっても、退職金がないため、老後資金を何とかしなければいけません。
多くの会社が確定拠出制度をスポンサーにし、社員の退職資金の準備をサポートする仕組みを導入しています。

退職金制度のない中国

中国の関連法律規定では、「経済補償金」「賠償金」の規定はありますが、「退職金」という概念はありません。
企業の制度は中国の法律法規に基づいて制定するため、会社制度に「退職金」の内容を入れなくてもよいのです。

中国では、解雇を含め、労働契約が解除される場合には、一定の事由に該当した場合、労働者に対して「経済補償金」を支払うことになっています。
日本のように退職金を支払うということは、ほぼありません。

世界に合わせて日本の退職金制度がなくなる可能性

アメリカや中国では、退職金制度が一般的ではありません。
そして、世界に合わせて、日本の退職金制度がなくなる可能性もあるといわれています。

退職金制度が重荷になっている企業があることも事実です。
団塊世代が定年退職を迎えるにあたり、多額の退職金の支払いをしなければならないため、耐えられない企業も出てくるだろうと予測されています。
そのような事情もあり、将来的に退職金制度が廃止される可能性があるのです。

退職金はどのように使われているか

退職金がどのように使われているかを知る前に、老後にお金はいくら必要か知ることが大切です。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦で老後にゆとりのある生活を送るには、36万6,000円の収入が欲しいという調査結果が報告されています。
60歳で定年して90歳まで生きると仮定すると、定年後の30年間で必要な額は、約6,700万円です。

ゆとりはなくても、平均的な生活を送るために必要な額は、約3,000万円だといわれています。
この場合、旅行やレジャーや趣味などを楽しむという生活はできないでしょう。

将来を見据えて貯蓄する

都銀や各地の地銀や信用金庫では、「退職金専用定期預金」という退職金専用の預金方法があります。
退職金を受け取ったら、3カ月~1年以内に預けることが条件で、預入期間は1~3カ月間と短期になっていることが多いです。

預入期間は短期ですが、金利が高いことが魅力。
年利で金利が2~3%くらいになっており、普通預金と比べると100倍以上にもなるほど高金利です。

旅行などで消費する

退職金を自分の楽しみのために使いたいという方の多くは、旅行などで消費しています。
「退職金をどのように消費したか?」というアンケートでも、1位が国内旅行(全体の53.3%)、2位は海外旅行(全体の37.7%)と、旅行で消費したという意見がトップです。

時間とお金に余裕ができたら、羽を伸ばしたいので旅行に行きたいと望む方はたくさんいます。
定年後に旅行を楽しむことをモチベーションにして、会社員時代に頑張って働いてきたという方も多いです。

マイホーム建設やリフォームの費用に充当する

退職金で老後に安心した生活を送るため、マイホーム建設やリフォームの費用に充てる方もいます。
定年退職後の世代であれば、家族構成が大きく変わる可能性も低いということも理由です。

若いときにマイホームを建設すると、後に子どもが大きくなったり子どもが増えたりして、再びリフォームが必要となる場合もあります。
しかし、定年退職後の世代であれば、家族構成が大きく変わる可能性が低く、そのときの家族構成に合ったマイホームを建設(またはリフォーム)すればよいのです。
新築の購入やリフォーム済みの中古を買うという人もいます。

投資費用に充てて運用する

退職金を投資費用に充てて運用する手段もあります。
各金融機関では、「退職金定期預金」の他、「退職金運用金融商品」も取り扱っているところが多いです。

退職金運用金融商品は、定期預金と投資信託を組み合わせたもので、損失を抑えながらも、一定の運用利回りが期待できます。
一般的な利回りの相場は5%ですが、みずほ銀行の「退職金運用プラン」は最大の利回りが8%、りそな銀行の「退職金きちんと運用プラン」は最大6%と、いずれも高利回り商品です。

運用の失敗には要注意

退職金は大金なので、ギャンブル感覚で投資を行うと危険です。
運用に失敗すると、大金がゼロになってしまう可能性も否定できません。
それどころか、借金を背負ってしまうリスクもあります。
投資は余裕資金で行うことが必須です。
投資案件の多くが元本保証がないので、生活を脅かすような金額では投資を行わないようにしてください。
退職金は元本保証で、シンプルに運用しましょう。

退職金をどのように使うか

退職金には税制優遇措置がありますが、原則として税金が引かれることには変わりありません。
また、退職金制度は会社によって異なり、退職金制度を導入していない会社であれば、退職金をもらえないということもあります。

まずは、勤務先の退職金制度について調べ、自分がどれくらいの退職金を手取りとしてもらえるのかを知ることが大切です。
そして、老後に必要な資金の目安も計算し、退職金をどのように使ったらよいのかを考えましょう。

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