【遺産相続の放棄】知っておきたい相続によるメリットとデメリット

August, 03, 2018

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遺産相続を放棄するには

遺産を相続する。
この言葉からは、臨時収入が入ってくるかもしれない、といった期待感を覚えますよね。
しかし、現実は、思うほど甘くはないというのが実情です。

なぜならば、遺産にはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあるからです。
マイナスの財産とはいわゆる借金になります。
遺産相続は借金の相続でもあるのです。

もちろん、相続する資産のほうが借金より多ければ問題はありません。
問題は借金が資産を上回っている場合です。
そのような時には、遺産相続を放棄することができます。
ここでは、遺産相続を放棄するやり方について解説します。

遺産相続放棄手続きの弁護士への無料相談

相続が開始された時、借金のほうが資産よりも多いことが明白である場合には、迷わず相続放棄を選択することが多いでしょう。
しかし、資産と借金がどのくらいあるのかわからない場合や、資産のほうが借金を少しだけ上回っている可能性がある場合などは、相続放棄をすることに躊躇してしまうことがあるかもしれません。
そのような時には、弁護士への無料相談をおすすめします。

遺産相続放棄の判断に迷う場合には、弁護士に相談することで間違った判断をくだす可能性を低くすることができるからです。
相続に関して豊富な知識を持っている弁護士は、問題となっている点について適格なアドバイスを行うことができます。
また、弁護士には守秘義務があるので、相談内容が他に漏れることはありません。

手続きの前知識

相続放棄の手続きについて解説する前に、相続放棄について簡単に触れておきます。

相続の放棄は相続人から外れることを意味します。
すなわち、被相続人の遺産について一切の権利がなくなるわけです。
プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがない代わりに、あとで隠し財産が見つかったとしても、それについての権利を主張することはできません。

しかし、相続の放棄をすることで他の相続人との親族関係がなくなるわけではありません。
あくまでも被相続人の遺産分与についての権利がなくなるだけのことです。

手続きの全体の流れ

相続放棄の全体の流れは次の通りです。

  • 相続財産の調査 : 借金も含めた被相続人の相続財産がいくらあるのかを調査します。
  • 相続放棄の手続きをするための書類の準備 : 家庭裁判所に提出する書類を収集します。
  • 相続放棄の手続きをするための書類の作成 : 調査した相続財産および収集した書類をもとに、家庭裁判所に提出する書類を作成します。
  • 家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行う : 収集作成した書類をもって家庭裁判所に申し立てを行います。
    申し立てに必要な費用はこの時に支払います。
  • 家庭裁判所から相続放棄に関する照会書および回答書が送付される : 相続放棄の申し立てを行ったあと、家庭裁判所から相続放棄に関しての質問がなされるため、その書類に回答をして、家庭裁判所に返送します。
  • 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付される : 相続放棄の申し立てが認められれば、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
    この書類が送られてきた時点で相続放棄の手続きは完了です。

以上が相続放棄手続きの流れとなります。

放棄手続きをした場合の費用

相続放棄の手続きをした場合の費用は次の通りです。

  • 家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行う場合に必要な収入印紙代 800円
  • 切手代申立先の家庭裁判所によって異なる

収入印紙代は全国どこでも同じですが、切手代については家庭裁判所によって異なります。
そのため、申し立てをする家庭裁判所に確認する必要があります。

書類の用意

家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行う場合に必要な書類は次の3点です。

  • 相続放棄申述書
  • 住民票
  • 戸籍謄本

相続放棄申述書とは、遺産相続を放棄する人が、放棄の意思を家庭裁判所に対して申し立てる書類です。
なくなった被相続人との関係や相続放棄の理由を記載することとなっています。
家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

住民票は被相続人の死亡が確認できる住民票の除票もしくは被相続人の戸籍の附表を用意します。

戸籍謄本は相続放棄をする人のものと被相続人のものとの2種類が必要です。
このうち、被相続人に関する戸籍謄本は、相続放棄をする人との関係によって必要となるものが異なります。
具体的には、次の通りです。

相続放棄をする人
必要なもの
被相続人の配偶者の場合

  • 被相続人の除籍謄本、改製原戸籍謄本

被相続人の子どもの場合

  • 被相続人の除籍謄本、改製原戸籍謄本

被相続人の孫など代襲相続人の場合

  • 被相続人の除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 代襲相続人(孫)の親の除籍謄本、改製原戸籍謄本

被相続人の兄弟姉妹・甥・姪の場合

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の子どもで死亡している者がいるときは、その人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属(親)の除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 甥、姪の場合には、本来の相続人である親の除籍謄本、改製原戸籍謄本

被相続人の父母の場合

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の子どもで死亡している者がいるときは、その人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属(親)に死亡している者がいるときは、その人の除籍謄本、改製原戸籍謄本

手続き期間

相続の放棄をすることができる期間は3カ月間。
正確には、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」(民法第915条1項)に相続人は財産を相続するか放棄をするかの判断をしなければならないとされています。
もしも、この期間内に何もしないでいると、相続人は被相続人の財産の相続を承諾したものとみなされ、被相続人の有していた資産及び借金を相続することとなります。

3カ月の間に相続放棄の判断が難しいようであれば、家庭裁判所に申し立てを行うことによって、期間を延長することができます。
ただし、延長できる期間は家庭裁判所が決めることとなりますので、こちらの都合通りにいくとは限りません。
また、申し立ては、相続放棄の申し立てができる3ヵ月の間に行わなければなりません。

なお、3カ月の相続放棄の申し立て期間を過ぎてしまった場合でも、相続放棄が認められる可能性があります。
相続人が相続財産の中に借金があることを知ってから3ヵ月経っていない場合がそれにあたります。
ただし、これはあくまでも可能性ですので、必ずしも認められるものではありません。

放棄を検討する際のケース

相続放棄を検討するケースとして、代表的なものは、相続によって被相続人の借金を引き継いでしまう可能性がある場合があげられます。
被相続人の資産ではその借金を返済できない場合には、自分の資産から返済しなければならないからです。

被相続人が事業を行っていて、複数の相続人がおり、事業継続のため、そのうちの一人に資産を集中させる必要がある場合などにも、相続放棄が検討されます。
もっともこのケースは、相続人の間に、あらかじめ事業存続の同意があったり、関係がうまくいっていたりしていなければ難しいかもしれません。

相続放棄のメリット

相続を放棄するメリットは、相続によって相続人が被る不利益を回避する効果があることです。
これまで解説してきたように、被相続人の借金を背負い込む必要がないことが一番のメリットでしょう。

また、被相続人が他人の連帯保証人になっていた場合には、相続人がその地位を相続しなければなりません。
しかし、相続放棄をすることによって、連帯保証人とならずにすみます。
これも相続放棄のメリットといえます。
ただし、このケースは被相続人が他人の連帯保証人であった場合に限られます。
相続人が被相続人の連帯保証人であった場合には、相続放棄をしても連帯保証人の地位はそのまま残りますので、注意が必要です。

相続放棄のデメリット

相続放棄のデメリットとしては、相続放棄の手続きが終わったあとで、新たな資産がみつかった場合に、その資産に対する権利の主張ができない点があげられます。
一度、相続放棄の手続きをしてしまうと、もとに戻すことはできません。
相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったとみなされてしまうからです。
その人の子どもにも相続の権利はありません。

相続放棄の際のポイント

相続放棄の際に注意しなければならないポイントとして、相続財産の正確な把握があります。
何度も解説していますが、相続財産のプラス部分とマイナス部分とを明確にすることで、遺産を相続することによる利益不利益が判断できるからです。

また、相続放棄は財産の内容のみでは決めることができないこともあります。
たとえば、事業承継という視点から見た時には、相続放棄が相続人のメリットになるのか、といった問題があるからです。
そのため、相続放棄について迷った場合には、弁護士などの専門家に相談することも必要でしょう。

郵送のみでも可能

相続放棄の手続きを行うためには、家庭裁判所に対して申し立てをしなければなりません。
その際に、申し立て書類がそろっている場合には、郵送でも手続きができます。
なお、申し立てを行う先は、被相続人が最後に住んでいた地域(住民票除票上の地域)を管轄する家庭裁判所になります。

相続放棄をした場合の財産

相続放棄を行った場合、その相続人は遺産相続の権利を失いますが、相続財産の管理義務は残ります。
すなわち、他の相続人が相続財産の管理をすることができるようになるまで、相続財産の管理を行う義務が民法によって定められているのです。

もしも、相続人全員が相続を放棄した場合には、相続財産法人が設立され、家庭裁判所によって選任された相続財産管理人によって相続財産の管理、清算が行われることとなります。

注意しなければならないのは、相続財産法人の運営費用です。
基本的には、法人設立時に相続財産から支払われるのですが、足りない場合には相続放棄をした相続人が支払うこととなるのです。
金額は相続財産清算事務の難易度によって家庭裁判所が決定します。
場合によっては100万円を超えることもありますので、負担の割合について、相続人の間で決めておくことが必要でしょう。

生命保険金や遺族年金の受け取り方

相続放棄をした場合にも生命保険金や遺族年金は受け取ることができます。
生命保険や遺族年金は被相続人の相続財産に含まれないとされているからです。

ただし、生命保険の場合、保険金受取人が指定されていることが条件です。
指定されていない場合には、相続放棄をしてしまうと保険金を受け取ることができません。
保険金受取人が指定されていない生命保険金は被相続人の相続財産とみなされるからです。

相続権利の放棄完了のお礼の手紙の書き方

相続の放棄は自由ですが、そのことによって面倒をかけたり、お世話になったりした他の相続人がいるかもしれません。
そのような方がいる場合には、手続き完了後にお礼の品物とともに、手紙を書くことをおすすめします。
特別な内容の手紙を書く必要はなく、短く簡潔にお礼の言葉が書かれていれば問題はないでしょう。

専門家に相談を

相続放棄にはメリットもデメリットもあるため、判断に迷うことが多いかもしれません。
そのような時には相続案件を多く取り扱っている弁護士などの専門家に相談しましょう。
専門家の視点を交えることでより正しい判断ができる可能性が高くなります。

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