個人事業主の給与とはどんな仕組みか 実は給与が存在しない

July, 30, 2018

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個人事業主の給与の仕組みについて詳しくなる

個人事業主として開業してみたいけれど、給与面がどうなっているのかよく知らないなという人も多いと思います。
個人事業主は通常の会社員の方とは給与の考え方が違いますから、最初は戸惑うかもしれません。

しかし、きちんと理解していけばなんてことはありません。
ここでは給与の考え方や帳簿上でどう処理すべきかを解説します。

帳簿上は個人事業主の給与はない

事業が事業主にお金を貸すという事業主貸

実を言うと、個人事業主は帳簿上の給与は存在しません。
給与として支払われるのではなく、事業主貸として事業が事業主にお金を貸した、というように処理されるからです。
事業で得た収入がイコールでそのまま自分の収入でもあるため、そもそも給与という概念そのものが存在していないわけですね。

たとえばプライベート用に20万ほど捻出したい場合、帳簿上では以下のように処理します。

【借方】事業主貸 200,000 /【貸方】現金 ?200,000
普通預金から受け取った場合は貸方の現金部分が普通預金とすれば大丈夫です。
個人事業主の場合、事業に関わりのない個人的な出費は事業主貸で処理すると覚えておきましょう。

事業主貸を毎月一定額にする決まりはない

個人事業主のプライベートでの支払いはすべて事業主貸になるわけですから、事実上の給与のようなものです。
しかし、だからといって毎月の事業主貸を一定額にしなければならないという決まりはありません。
会社員に支払われる給与のように、毎月一定額を支払わなくても適宜に生活費として振替が可能なのです。

もちろん事業主貸を一定にしても構いません。
普通の会社員と同じように特定の日に一定の金額を振り替えても良いのです。
その方が管理をするにあたって楽な場合もありますし、自分にとって一番やりやすい方法を取るのが一番です。

生活費などプライベート支出はどうするのか

事業のお金を一時的に借りる

事業主貸で処理する、ということは事業のお金を一時的に借りるということです。
事業の収入は自分の収入ですが給与の概念がないために給与としてではなく、事業からお金を借りるという形をとらなければなりません。

生活費に充てたいときは帳簿の備考欄に生活費などの使途を記載します。
事業用のクレジットカードを使用した場合も事業主貸として処理し、備考欄にクレジット支払と記入しましょう。
自分の収入で支払うことには変わりないのに、借りる扱いとは変な感じがしますね。

考え方は事業と個人の財布が一緒ということ

事業の収入を個人的な出費に充てるのだから、事業の財布から出ていることになります。
しかし、この事業の財布は自分の財布でもあります。
ということは事業用の財布と個人用の財布が一緒になっているということです。

入ってくる収入も同様に個人と事業が同一になっているこの財布に入ります。
あくまで同じ財布から出るお金が事業用なのか、プライベートなのかの違いで仕訳方が変わるということですね。

事業用に出て行くお金は経費として、個人用に出て行くお金は事業主貸として仕訳を行います。
しかし、なぜ個人事業主はプライベートの出費を給与として支払ってはいけないのでしょうか。
それは次項にて説明します。

個人事業主の給与が経費に組み込めない理由

事業利益の計算式を理解する

個人事業主の給与が経費に組み込めない理由は所得の計算方法にあります。
その計算式は以下のとおりです。

売上(収入)-仕入(支出)-経費=利益(所得)
見ておわかりの通り、売上から仕入れと経費を引いた金額が個人事業主の所得となります。
この計算式自体には特に難しいところはありませんね。

これでなぜ給与が経費に組み込めないのかという話になるのですが、それはこの計算を個人事業主自身がしなくてはならないことがポイントです。

経費に事業主の給与を組込むと利益が減る

先ほどの計算式を見ると、個人事業主は売上から仕入れと経費を引いた金額が所得となることがわかります。
個人事業主の個人的な出費を給与として計上すると仮定するならばこちらの経費に組み込まれるのです。

つまり個人事業主が自身に給与を支払えるようになると、経費を膨らませて所得をいくらでも減らせることになります。
こうして所得を減少させることができれば支払う所得税も減らすことが可能。

しかし、給与を膨らませて所得を減らすことは認められていません。
ですから個人事業主はプライベートな出費を給与として経費に組み込むことができないわけですね。

年度が終わるまで正確な金額を見込めない

決算において純利益が確定するため

個人事業主にとって少々厄介なのが、年度が終わるまで正確な所得の金額が確定できないこと。
12月31日が個人事業主の決算になるのですが、確定申告をするためには決算が必須。
この決算において純利益が確定するため、年度が終わるまで所得が確定できないのです。

決算するときに事業主貸は事業主借があれば、相殺することができます。
この事業主借とは、事業とは関係ないところで得た収入です。
事業外の収入はすべて事業主借として処理します。

確定申告時には事業主貸と事業主借を相殺し、相殺しきれなかった分を元入金に振り替えます。
元入金とは法人でいえば資本金にあたるもので、開業したときに用意した準備金などのことです。

帳簿で資金を管理しながら事業主貸をする

個人事業主として気をつけなければならないのは、きちんと帳簿で資金管理すること。
いくらプライベートでの支出といっても、事業用の資金から出費することになるので帳簿づけがずさんではいけません。

事業のお金から使途不明のお金の動きがあると誤差が生じてしまいます。
そんなことにならないように、お金の動きがあった時は帳簿でもしっかりと処理しましょう。

プライベートのお金に振り替えする場合は事業主貸、逆にプライベートのお金から事業用にお金を出す場合は事業主借として。
逆に覚えてしまわないように注意してください。

配偶者は専従者として給与を支払える

青色事業専従者給与に関する届出書が必要

家族であり従業員でもある場合は専従者と呼ばれます。
この専従者に給与を支払う場合に二通りの処理の仕方があることを覚えておきましょう。

特に申告等をせずに生計を共にする親族が専従者となる場合は白色申告となり、給与は経費に計上することができません。
しかし、白色事業専従者として控除を受けることが可能。

もう一つが青色申告で、事前に税務署に申請を出しておく必要があります。
こちらの青色申告の場合は専従者の給与を経費として計上することができます。
ただし、帳簿づけが面倒になるデメリットもあるのでご注意ください。

専従者給与が経費になり節税できる

青色申告をすると、それまで経費として計上できなかった専従者の給与が経費になりますから、その分だけ所得が減少します。
所得が減少するということは、支払う所得税も減少するので節税が可能に。

青色申告にはほかにも青色申告特別控除が受けられるなどもあります。
少しでも節税をしたい方はこちらの青色申告をしておくと良いでしょう。

パートを含む第三者の給与も経費

パートを含めた第三者への給与も当然ですが経費として計上できます。
税務署に給与支払事務所等の開設の届出を提出することで、従業員を雇って給料を支払うことが可能です。

一人では大変な事業の場合には自分以外の従業員が必須になりますから、きちんと届出をしなければならないことを押さえておきましょう。

個人事業主に給与がないという仕組みを理解する

個人事業主には給与が存在しないということをしっかりと抑えましょう。
所得を計算するために経費として計上できない個人事業主の給与ですが、あくまで帳簿上の話です。

経費と事業主貸にするときに違いさえしっかり押さえておけば個人事業主になったとしても心配ありません。
初めは不安なことだらけだと思いますが、一つ一つ解決していけば大丈夫。
あなたのやりたいことを不安なくやるために、ちゃんと仕組みを理解しておきましょう。

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