「医療費控除はいくらから申請するのか」仕組みと申請方法のポイント

July, 17, 2018

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医療費控除の仕組みといくらから申請するか

自分および自分と生計を一緒にする家族が、1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられます。
この仕組みを医療費控除といいます。

医療費控除は、実際に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、10万円を超えた場合に申請できます。
基本的に医療費が10万円を超えた場合には、医療費控除が適用される事を覚えておいてください。

医療費控除の仕組みについて

それでは、医療費控除の仕組みについてみてみましょう。

適用になると所得税控除と翌年の住民税減税

医療費控除が適用になると、その年の所得税が控除され、翌年の住民税が減税となります。

平成29年までは、医療費の領収書も確定申告書に添付して申請する必要がありました。
平成30年1月1日以降は、医療費の領収書に基づいて「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して税務署に申請するという方法に変更されました。
医療費の領収書を添付する必要がなくなったのです。
「医療費通知」がある場合には、「医療費控除の明細書」の記載も省略できます。

なお、経過措置として平成31年分の確定申告までは以前と同様、医療費の領収書を確定申告書に添付することも認められています。
また確定申告で申請すれば、自動的に翌年の住民税も減額となります。

1/1~12/31の1年間の医療費支出が基になる

医療費控除の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費です。
未払いの医療費は、その年の医療費控除の対象とはなりません。
未払いの医療費については、実際に支払った年の医療費控除の対象です。
クレジットカードやローンで支払った医療費については、元金のみがクレジットカードを使用した年の医療費控除の対象となります。
支払った医療費は、実際に負担した実費である必要があります。

医療費実費負担額の計算方法

実際に負担した医療費の計算方法は【実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額】です。
この場合の保険金などとは、生命保険契約で支払われる入院保険金や、健康保険などから支給される高額療養費、出産育児一時金などです。

医療費控除を申請するには、1年間の医療機関等の領収書を保管しておく必要があります。
なお、医療費の領収書は「医療費控除の明細書」の記載内容が正しいかどうかを確認するため、税務署から提出を求められる場合がありますので5年間は保存しておいてください。
「医療費通知」を添付していれば、「医療費控除の明細書」自体が不要になりますので、医療費の領収書を保存しておく必要はありません。

医療費控除の適用は給与の総所得で異なる

総所得の金額によって、支払う医療費が10万円未満でも医療費控除が適用される場合があります。

支払医療費が10万円以上の場合

実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額を差し引いた金額が10万円以上の場合、医療費控除が適用されます。
通常、実際に支払った医療費が10万円未満の場合には医療費控除は適用されません。
医療費控除が適用される場合には、所轄の税務署への確定申告が必要になります。

支払医療費が10万円未満でも適用になる場合

実際に支払った医療費が10万円未満でも、総所得の金額が200万円未満の方は医療費控除が適用になる場合があります。
そのため、自分の総所得の金額はいくらなのかを正確に知る必要があります。
この場合の総所得の金額とは総収入とは違い、課税対象となる金額のことをいいます。

総所得が200万円未満は総所得×5%の金額

その年の総所得の金額が200万円未満の方は、医療費が総所得の金額の5%を超えた場合には、医療費控除が適用されます。

総所得の金額が200万円未満の方とは、年収に引き直すと311万6,000円未満の方です。

支払医療費が10万円未満の場合に考えること

支払医療費が10万円未満の場合でも、工夫をすれば医療費控除が適用される場合があります。

総所得が基準となるので申請者を考える

支払った医療費が10万円未満の場合でも、総所得の金額が200万円未満の方は医療費控除が適用されるので、家族の中で誰が申請者になるかが重要になってきます。
総所得の金額が200万円以上の方が申請者になると医療費控除が適用されません。
家族の中で総所得の金額が低い方が申請者になるのがよいでしょう。
ただし、医療費控除は所得控除となりますので、所得税を支払っている方を申請者にしなければなりません。

生計を一緒にしている全ての人が対象

医療費控除の申請者は、生計を一緒にしているすべての人が対象になります。
また医療費控除の医療費は、自分および自分と生計を一緒にしている配偶者・子・その他親族のために支払ったものが対象になります。
自分が支払った医療費だけではありませんので、よく確認しましょう。

実費負担医療費に計算できるものの注意点

医師による診療や治療が一般的な医療費控除が適用される医療費ですが、医療費控除が適用されない医療費でも、状況によっては適用になることも。

通院にかかる交通費は領収書があればOK

医師等による診療を受けるために通院する場合、領収書があれば交通費も実際にかかった医療費ということで認定されます。
領収書を失くしてしまった方や、取り忘れる方がいらっしゃるかと思いますが、その場合には家計簿やメモに交通費を記載しておいて、税務署から問い合わせがあった際に答えられるようにしておきましょう。

公共交通機関を利用した場合には、利用した金額を通院した病院の領収書に記載するだけでも税務署で認めてくれます。
この場合、公共交通機関での通院が必要で、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場代・タクシーでの通院は認められていません。
出産で入院する場合には、公共交通機関で行くことが困難なためタクシーを使うことが例外として認められています。
ただし、実家で出産しようとして実家に帰省する場合の交通費は、医療費控除の対象とはならないので注意が必要です。

また入院する際の付添人の交通費も、医療費控除の対象となります。
この場合、付添人は家族以外であることが前提であり、家族が付添い人となった場合の交通費は医療費控除の対象となりません。
ただし、小さいお子さんの通院に付き添いが必要な場合の付添人の交通費は、医療費控除の対象となります。

妊婦に関わる健診や検査の自己負担額はOK

健康診断や検査は医療費控除の対象となりませんが、妊娠と診断されてからの健康診断や検査などを受ける際の費用は医療費控除の対象となります。
不妊治療や妊娠中絶費用も医療費控除の対象となります。
出産育児一時金等で医療費が補てんされて、実際の支払いが発生しない場合には医療費控除の対象となりません。

入院した場合に病院で出される食事代は入院費用として精算され、医療費控除の対象となりますが、出前を取ったり外食した場合は自己都合による食事となりますので、医療費控除の対象とはなりません。
また、医師の指示によるものでなく、本人や家族の都合で個室に入った場合の差額ベッドの料金も対象とはなりません。

治療のための眼鏡はOK

眼鏡を購入する場合、通常は医療費控除の対象には含みません。
しかし、眼科医師の処方箋がある場合や、子どもが視力を上げるために医師の指示がある場合など、治療のためということであれば、医療費控除の対象となります。

治療のための歯列矯正はOK

子供の不正咬合の歯列矯正は、子供の成長を阻害しないためのものとなりますので、子供の発育上必要なものとして医療費控除の対象となります。
ただし、美容を目的とした歯列矯正などは医療費控除の対象となりません。

また歯列矯正は高額となるため、歯科ローンを受けて治療をする場合もあります。
歯科ローンを受けると歯科医の領収書が患者の手元にないことが考えられますが、この場合には歯科ローンの契約書の写しを確定申告書に添付する必要があります。

治療のための市販薬はOK

風邪を引いた場合の風邪薬など、治療や療養のための市販薬の購入は医療費控除の対象となります。
ビタミン剤などの病気の予防や健康増進を目的としたものは医療費控除の対象となりませんので、注意が必要です。

治療のための整体治療はOK

あんまマッサージ指圧師・はり師・柔道整復師などによる整体治療も医療費控除の対象です。
疲れを取ったり、体調を整える場合の整体治療などは、医療費控除の対象外です。

還付金の計算方法について

それでは、還付金の計算はどのようになっているのでしょう。

1年間の医療費支出額と保険金等の収入を把握

還付金を計算する場合には、1年間で自分および生計を一緒にする親族等が実際に支払った医療費の金額と、治療により受け取った生命保険契約の保険金や出産育児一時金等の金額を把握しなければなりません。

保険金などの収入は、まだ未払いでも実際に受け取れる金額を見込みとして算出する必要があります。

還付金の計算式にあてはめる

下記の計算式で、実際の還付金を計算してみましょう。

(医療費支出-保険金等の収入-10万円)×所得税率、所得税率
この場合に差し引く必要がある保険金は、保険金が支払われた治療に対するものです。
たとえその医療費以上に保険金を受け取ったとしても、その他の医療費には影響を及ぼしません。

新制度のセルフメディケーション税制について

平成29年1月1日より、セルフメディケーション税制という制度が新しく創設されました。

その年中に一定の健康診断や予防接種を行っている場合、自分および生計を一緒にしている親族等が風邪薬などのスイッチOTC医薬品(要指導医薬品または一般用医薬品の中で医療用から転用された医薬品)を購入した際に、通常の医療費控除を選択せずに、スイッチOTC医薬品の購入で1万2,000円を超える部分の金額を控除額とする制度です。
この制度を適用した場合には、現行の医療費控除を適用できません。

セルフメディケーション税制は国の医療費削減政策の一つであり、個人が一定の取り組みを行うことを前提として、増加する一方である医療用医薬品をスイッチOTC医薬品に切り替えることを目的としたものです。

健康保持のための健康診断や、疾病予防のための予防接種を受けていることが条件となります。
なお、セルフメディケーション税制による医療費の上限は8万8,000円です。
8万8,000円を超える場合には、通常の医療費控除を選択する方がお得になります。

またスイッチOTC医薬品の販売業者には、購入した医薬品がセルフメディケーション税制対象品であることが一目でわかるように、発行するレシート等に印をつけることが求められています。

支払医療費の計算と申請について詳しくなる

知らない人が損をしてしまう。
医療費控除。
実際に支払った医療費と受け取った保険金等の金額を把握し、医療費控除を受けられるのか、という計算を習得しておく必要があります。
普段から医療費に関する領収書をきちんと保管しておきましょう。

医療費控除は自動的に適用されません。
今後は医療費控除の計算と申請について、ますます詳しくなっておきましょう。

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