150万円に引き上げられた配偶者控除。損をしない働き方とは?

May, 31, 2018

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配偶者控除を賢く使おう

夫が会社員で、妻がパートで働いている場合、妻の年収が150万円を超えているのであれば、夫に課される税金はそのまま給与から差し引かれてしまいます。
これが「150万円の壁」と呼ばれるものです。
しかし、妻が年収150万円を超えて働かないようにすれば、夫は「配偶者控除」を受けることができます。

「配偶者控除」の制度は、妻の年収が150万円以下の場合、夫にかかる税金を減額してもらえる制度です。
つまり、あえてパートの仕事量を調整することで、夫婦トータルで見れば、収入を最大化することも可能ということです。
仕事量を減らした分を、節税分で補ってさらにプラスに持っていくことも可能なのです。

しかし、配偶者控除には「逆転現象」と呼ばれる落とし穴もあります。
妻の年収が150万円であっても、社会保険料を多く支払う事になってしまい、結局年収129万円の人より損をしてしまうという恐ろしい現象です。
配偶者控除の制度を賢く利用し、得をするためには、制度について詳しく知っている必要があります。

配偶者控除が150万になるメリット

妻の年収が150万までは夫の収入から38万の控除が受けられる

配偶者控除を受けられる夫の年収は、原則的に1220万円以下です。
妻の年収が150万円までであれば、夫の収入から38万円を控除されます。
この場合の控除とは、通常課税されるべき収入のうち38万円分が一部非課税になるということです。

例えば、妻の年収が100万円で、住民税が10%の場合、夫は収入のうち38万円から3万8千円分を自治体へ支払わなくてはなりませんが、これが非課税となるので3万8千円分得をするということです。
夫の収入のうち、38万円分は非課税で額面通りそのまま受け取れるようになるということです。

3万8千円もあったら、子供のために何が買えるでしょうか?子育てでは何かと物入りになりますし、無視できる金額ではありません。
少しパート時間を見直すだけで、一年でこれだけ将来のために貯金ができるとしたらどうでしょう。

以前は、103万円まででなければ配偶者控除を受けられない仕組みでしたが、妻が税対策のための就業調整を行う事の無いように、国が政策として配偶者控除を受けられる年収の範囲を拡大しました。
ただ、150万円になったからといって就業調整を行わなくてよいかというと、そうではないというのが実情です。

段階的に配偶者控除が受けられる範囲も広がった

さらには、妻の年収が150万~201万の夫であっても、新たに配偶者控除を受けられるようになりました。
これを配偶者特別控除といいます。

38万円満額の控除を受けられるのは、妻の年収が150万円以下、夫の年収が1,120万円以下の夫婦の場合です。
それ以上であっても、妻・夫の年収によって段階的に受けることができます。
妻の年収が201万円を超えてしまうと、夫は年収がいくらであっても配偶者控除は受けられませんのでご注意ください。

また、夫の年収によっても配偶者控除額は変動します。
具体的には、1,120万円まで、1,170万円まで、そして1,220万円までの3段階です。
妻の年収が150万~201万であれば、4~8万円違うだけで1~5万円分の控除額が9段階で変わります。

自営業の妻は得をする

夫が自営業であれば、夫は第1号被保険者であり、妻も第1号被保険者とならざるを得ません。
つまり、会社員の妻と違い、2人分の保険料を支払わなければなりません。

しかし、今回の法改正では自営業の妻が得をするようになっています。
妻の年収が106万円を超えた場合、一部の大企業限定ではありますが、パートも第2号被保険者になれるチャンスが与えられるようになったのです。
第2号被保険者になることができれば、負担する保険額が減ったり、将来もらえる年金額が増えたりする可能性があります。

年収を103万までに抑えていた人達の勤務時間が増える

以前の法律では、年収が103万円を超えると38万円分の配偶者控除が減る、もしくは受けられなくなるということで、就業調整を行う人が続出していました。
それが150万円まで限度が拡大したことで、勤務時間を以前ほど気にすることなく働くことができるようになりました。

特に11~12月の年末調整の時期になると、就業調整のため休みを取るパートが多く、企業にとっては悩みの種でした。
そもそも、「103万円の壁」は今から半世紀も前の、女性が主婦をする前提で作られた法律であったため、時代に合っていないということから改正の運びとなりました。

配偶者控除はいつから変わるのか

所得税は2018年から

所得税については、2018年から新しい配偶者控除が適用されます。
つまり、2018年(平成30年)1~12月に働いた分の所得を、2019年のはじめに税務署へ確定申告する時からの適用となります。
国税庁によると、平成30年分の年末調整から申告書の様式も変更されるそうです。

住民税は2019年から

住民税は、前年の所得に応じて課税される税金です。
そのため、新しい配偶者控除が適応されるのは、所得税からさらに1年遅れた2019年からの適用となります。

社会保険の壁

社会保険は年収130万になると扶養から外れる

夫が会社員、つまりサラリーマンの妻の場合は、夫に扶養されているため社会保険料を払わなくて済んでいます。
しかし、妻のパート年収が130万円を超えてしまうと、扶養から外れてしまい、社会保険料を払わなくてはならなくなります。

健康保険料を自分で払わなければならない

一つ目に、健康保険料を自分で支払わなくてはなりません。
ただし、60歳以上または障がい者は年収180万円未満の場合を除きます。

年金も自分で払う必要がある

二つ目に、年金を自分で支払わなくてはなりません。
この二つを「社会保険の壁」という人もいます。

130万ではなく106万の場合もあるので注意

妻が夫の扶養から外れる年収は、2通りあるのでこちらも注意が必要です。
106万円の社会保険の壁が存在します。
従業員が501人以上の場所で週20時間以上勤務していて、一ヶ月の賃金が8万8千円以上かつ、勤続期間が1年以上の見込みである場合です。

住民税の壁

年収100万を超えると住民税の徴収がある

年収が100万円を超えると、パートの妻本人の所得に住民税が課税されます。
つまり、年収105万円分を稼いだとしても、額面通り受け取れなくなります。
この場合、100万円を超えた5万円分について住民税が課税されます。

住民税の場合は給与所得控除65万円分と、基礎控除33万円分を受けることができます。
年収が105万円の場合、実際に住民税が課税される額は、105万円から2つの控除を足した98万円分を引いて7万円分となり、これに住民税がかかる計算となります。

所得税の壁

103万を超えると所得税が課税される

妻の収入が103万円を超えると、103万円を超えた分に対して所得税が課税されます。
つまり、例えば年収が108万円であれば、103万円を超えた5万円分に対してのみ所得税がかかります。
103万円については控除、すなわち非課税となります。

ちなみに、103万円の控除の内訳は所得控除65万円、基礎控除38万円です。
基礎控除の額が住民税と異なるので、このような差が生まれるのです。
収入が多くなるほど払う税金が増えるということも留意しましょう。

逆転現象

年収129万以下の人の方が得をする

たとえば保険料徴収前の年収が132万円のAさんと、年収が129万円のBさんがいます。
その差はたったの1万円です。

そこで、社会保険料の壁の話をおもいだしましょう。
年収が130万円を超えるAさんは、夫の扶養から外れ、妻は健康保険料と年金を自分で支払わなくてはなりません。
一方、Bさんは夫の扶養内ですので健康保険料と年金を支払う必要はありません。

Aさんは、いくら支払う必要があるのでしょうか?Aさんが介護保険料も負担する場合、約26万円支払わなければならないケースがあり得ます。
さらに税金も引かれて、残った手取り額は105万円程度しかありません。

Bさんは、この約26万円を支払わなくて済むのですから、税金が引かれても手取り額は125万円ももらえます。
これを逆転現象といい、その差は歴然としています。
130万円を超えたら、自己負担となる社会保険料の徴収はかなり大きな額になると覚えておいたほうがよいでしょう。

配偶者控除改正によるデメリット

社会保険を考えずに働くと大幅に手取りが減る

法改正によって103万円の壁が150万円の壁に拡大したとはいえ、106万円または130万円の壁、つまり社会保険の壁という「落とし穴」があることは繰り返しお伝えしました。

この106万円または130万円という数字を忘れて、ただ150万円以内であればよいという考えでいると、社会保険料を支払う必要が生じ、場合によっては数十万円の手取り額が減額になってしまいます。

このデメリットをしっかりと頭に入れておけば、130万円以上稼いだ後でショックを受けずに済むでしょう。
130万円を超えるか超えないかという時であれば、129万円以下に抑えるのが賢い選択といえます。

夫の年収が1,220万以上だと控除がなくなる

妻がいくら頑張って就業調整をしたとしても、夫の年収が1,220万円以上だと控除がなくなってしまいます。
法改正前は、夫の収入は無関係でした。
つまり、もともと年収が高かった人にとっては、実質的な増税となってしまいます。

どういうことかというと、夫の年収が1,500万円、妻のパート年収が100万円のご夫婦がいます。
法改正前は、103万円の壁をクリアしているため、夫は38万円の配偶者控除を受けることができました。
しかし、法改正後は妻のパート年収が150万円の壁をクリアしていても、夫の年収が1,220万円を超えているため配偶者控除を受けることはできません。

配偶者手当がなくなる可能性がある

配偶者手当をもらっている家庭もあるでしょう。
夫の会社によって設けられた家計に優しい制度ですが、妻が高収入になると、手当を支給してもらえなくなる可能性があります。

平成27年の厚生労働省の調査によると、約7割の企業で配偶者手当があるとのことです。
しかし、妻の収入制限がある企業は8割を超え、その額は103万円または130万円が多数を占めています。

また、妻が高収入でなくても、配偶者手当を廃止する方向に社会が動いています。
あまり配偶者手当のことをあてにしない方がよいかもしれません。

損をしないように計算しながら働く

ただがむしゃらに頑張って消耗するよりも、計算して損をしないようにスマートに働くのが理想です。
何も考えずにシフトを組んでしまえば、場合によっては年間で数十万円分のただ働きをしてしまいかねません。
そうならないために、次のようなことを心がけましょう。

150万円の壁よりもある意味重要な「106万円または130万円の壁」「社会保険の壁」をまず一番に覚えておきましょう。
住民税の100万円、所得税の103万円、社会保険料の106万円または130万円、そして配偶者控除の150万円を意識しておくとよいでしょう。
子供の将来の教育資金も貯めたいところですし、節税対策は賢い妻の腕の見せ所といえます。

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