医療費控除の基礎知識と対象になるものと対象にならないもの

May, 31, 2018

記事が良かったらシェアして下さいね♪

コンテンツ

医療費控除について押さえておくべきポイント

確定申告をするにあたって、もっとも有名な節税対策の1つが医療費控除でしょう。
病院にかからない人はいませんし、その支払ったお金で税金が少しでも安くなるならと誰しもが医療費の申告を考えることでしょう。
ですが、医療費控除は意外にハードルが高く、申告するにあたってはいくつか押さえておくべきポイントがありますので、詳しく知っておいて損はないはずです。

医療費控除の基礎知識

医療費控除とは

もしかしたら、医療費控除をそもそもご存知でないかもしれません。
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの本人あるいは生計を一(いつ)にする家族のために医療費を支払った場合、一定金額の所得控除を受けられる税金の控除制度です。

といってもよくわからないと思うのですが、要するに扶養している家族の医療費をある一定の計算式に当てはめて、その計算に応じて税金を一部免除してくれるものです。

医療費控除で戻ってくるのは医療費ではない

ここで勘違いする人が多いのですが、支払った医療費が全額所得税で帰ってくる制度ではありません。
医療費控除はかかった医療費を計算式に当てはめて、税金が安くなる制度です。

ということは、医療費控除の金額があったとしても、税金がかからない人は、そもそも税金がかからなければ、いくら高額な医療費を支払っていたとしても得することはないということを意味します。
あくまで、所得税と住民税の税金があってこそ安くなる制度であることを忘れないでください。

医療費控除の計算方法

基本的には、自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間(1~12月)10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができます。

所得とは収入から経費を差し引いた金額で確定申告している人ならよくご存じのことでしょう。
しかし、サラリーマンやOLの方たちにはなじみがない言葉です。
たまに所得は手取りの額と勘違いさせる方もいますが、それも間違いです。

もしサラリーマンのように、収入が給与だけなら源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」の部分を所得と考えていただくのが一番分かりやすいでしょう。
その金額が200万円を下回っていなければ、1年間でかかった医療費の合計から10万円を差し引いた金額、それ以下の所得額なら、所得の5%をかかった医療費の合計から差し引いた金額が医療費控除の金額となるのです。

ただし、どんなに医療費が高額になったとしても医療費控除できるのは200万円までが上限とされています。

医療費を補てんする保険金

この医療費控除の計算時に注意すべき1つが医療費を補てんする保険金です。
もし医療保険などに入っていた場合、治療費や入院費用が補てんされます。
この場合は補てんされた金額は医療費控除の対象にはなりません。

ただし、見舞金など医療費以外に余分に支払われた保険金については医療費とは関係なく、その分まで医療費から差し引く必要はありませんので、注意しましょう。
また、余分に支払われた金額が医療費を越える場合も、他の怪我などでかかった医療費と差し引く必要もありません。

なお、補てんされる保険金の中には出産一時金なども含まれますが、最近は病院で出産一時金と入院費用を相殺されて請求をされることがほとんどなのであまり考えなくてもよいでしょう。

乾燥肌と敏感肌にオススメの洗顔料

医療費控除で対象となるもの

入院や治療に関わるもの

医療費控除で対象になるものはかなり複雑で医療費控除だけで一冊の本があるぐらいです。
なので、その代表的なものだけをピックアップして理解していきましょう。
医療費控除の対象となるものは基本的に健康保険が適用されるものというのがベースになり、医師が認めたものが医療費控除の対象と言いかえてもよいでしょう。

つまり、一般の方であれば、病院に行って支払った3割分(後期高齢者なら1割負担の場合もあり)は間違いなく控除の対象です。
また、治療を受けるにあたってバスや電車などでかかった交通費も医療費控除の対象となります。
ただし、タクシーは公共交通機関では行くことができない場所であることなど特別な理由がない限り、控除の対象になりませんし、自家用車のガソリン代なども対象外です。

出産に関わるもの

出産に関わるものも医療費控除の対象となるものがあります。
若い人で医療費控除の申請をする場合においては、出産に関わるものであることが多いです。
出産に関わるものとしては、出産費用はもちろんのこと、流産した場合の治療費、妊娠中絶の手術費、出産前の妊婦健診費用なども対象です。
また、これにかかる公共交通機関の電車・バス代も対象です。

歯科で掛かった費用

歯医者さんでかかる費用でも医療費控除の対象となるものがあります。
通常の治療費はもちろんですが、保険のきかない金歯やポーセレンなどの費用、銀歯や入れ歯の費用も医療費控除の対象として認められています。
また、歯列矯正のなかでも、子どもの発達段階で成長を阻害しないために行われるものについては対象です。

しかし、同じ歯列矯正でもただ歯並びをよくしたいと考える場合に行われるものは医療費控除の対象とはなりません。
なお、この場合も公共交通機関の費用も医療費控除の対象にできます。

医薬品に掛かった費用

薬局の薬も医療費控除の対象となるものはもちろんあります。
医師の処方箋により購入する医薬品は対象となるだけでなく、そのほか、病気やケガの治療のために、病院等に行かず、薬局で購入した医薬品も対象となるものがあります。

例えば、風邪薬や胃薬、頭痛薬、鎮痛剤などはほとんどが対象ですし、目薬や漢方薬などでも対象となるケースもあります。
調べてみると分かりますが、意外と医療費控除の対象となるケースは多いのです。

医療費控除の対象にならないもの

入院や治療に関わるもの

入院や治療にかかるものの中でも医療費控除の対象にならないものもあります。
入院の場合だと一般の病室ではなく個室に入院する場合などの差額ベッド代や家族が患者の身の回りの世話をするために病院に通う交通費などは対象外です。

また、医師の指示によらずレンタルした車いすのレンタル代などは対象外です。
他にもキレイになるための美容整形や、眼鏡・コンタクト代などが対象ではありません。
さらに意外なところで、インフルエンザなどの予防接種なども対象外ですので注意が必要です。

もう1つ注意が必要なものが高額療養費という制度です。
健康保険制度には月ごとに本人が支払うべき医療費に上限が設けられています。
つまり、それ以上の金額については3割負担であっても支払う必要がないのです。
例えば、月に8万8千円以上支払う必要のない人が医療費の支払いで10万円を支払ったら、1万2千円は高額療養費という名目で後から返還されるのです。

本人の実質負担は8万8千円に抑えられるので、医療費控除の対象も当然8万8千円となり、いくら一時的に10万円を支払ったとしても、10万円の申告をしてはいけないので注意しましょう。
ちなみに、あらかじめ限度額認定証という証明を健康保険組合から受け取っていると、病院から8万8千円以上の請求を受けることがなくなります。

医療費控除の計算上も一時的な支出を抑えられるという意味でも便利ですので、高額な医療費がかかりそうな場合には事前に健康保険組合に問い合わせてみることをおすすめします。

出産に関わるもの

出産にかかわるものの中でも同様に対象外なものはあります。
例えば、里帰り出産をするために実家に帰るにかかった交通費は対象外です。
交通費の対象は治療などで病院に通うためにやむを得ずかかる費用が対象なので、実家の近くの病院に行く必然性がなければ対象とはなりません。
他にもカルチャーセンターにおける無痛分娩の受講料などは対象外です。
医師の指導による受講でも何でもないからです。

歯科で掛かった費用

歯医者さんで対象にならないのは次のような場合です。
美容のための歯列矯正は対象になりませんし、治療行為ではない歯石除去のための費用や定期健診なども医療費控除の対象ではないのです。
病気や虫歯になる前の予防のための費用は全体として医療費控除の対象にはならないと理解しておきましょう。

医薬品に掛かった費用

薬局でも、予防に関することは基本的に医療費控除の対象とはなりません。
例えば、疲労回復のための栄養ドリンク、健康増進や病気予防のためのサプリメントやドライアイ解消の目薬など一見医療費控除にも含まれそうですが、これらは対象外です。

メガネとコンタクトが対象となる条件は

日常生活で使うメガネやコンタクトは対象外

身近なところでは、眼鏡・コンタクト代などは対象になりそうな気がしますが、これらは医師の治療を受けるため必要なものでないと対象にはならないのです。
つまり、ないと生活が著しく不便なものでも、医者による治療を必要とする症状を有するか治療が今行われている最中である場合を除いて医療費の対象にはなりません。

幼児で視力が未発達の場合

この医療費控除の考え方は子供の場合も同様で、幼児で視力がまだ発達しておらず、視力を上げるためには眼鏡が必要と医師に指示されて購入するような場合は対象です。
なので、単にスマホやゲームで目が悪くなった子どもに眼鏡やコンタクトを買ったとしても、医療費控除の対象に含めることはできません。

斜視や白内障などの治療で購入する場合

眼鏡やコンタクト代が医療費控除の対象とされる例としては、斜視や白内障、緑内障などが代表的なものとして挙げられます。
また、手術後の眼の機能回復に必要な眼鏡の購入費用なども医療費控除の対象になります。
この場合は、眼科医から所定の処方箋等が控除するために必要です。

特殊な治療に使うコンタクトレンズの場合

コンタクトといっても通常の遠視・近視や老眼など一般的なケースで購入するものは対象外と考えておいて問題ありません。
あくまで対象となるのは、コンタクトレンズを装用することで近視などの角膜の屈折異常を治療する場合など、かなり特殊な治療に使うコンタクトレンズである場合などごくわずかなのです。

なんでもかんでも医療費に含めてしまうと後で対象外とされて、所得税や住民税を追徴で課税される場合もあるので、慎重に判断してください。

医療費控除でどのくらい節税になるのか

給与所得者の税額算出の概要

医療費控除の対象となるものを申請した場合、実際にどのぐらいの節税になるのでしょうか。
経費などがあらかじめ計算で決められている給与所得者にとって医療費控除は数少ない税金を小さくできる方法です。

実際、医療費控除は税金を計算するもとである課税所得金額を小さくできます。
つまり、医療費控除の金額が大きくなるとその分課税所得金額が小さくなる仕組みになっています。

所得が高いほど減る税額は大きくなる

実際、医療費控除はどのぐらい税金に影響するものでしょうか。
所得税は累進課税制度を採用しているため、課税所得金額に応じて医療費控除の税金に対する影響も変わってきます。
所得税は課税所得金額に応じて5%~45%と大きく差があります。
例えば課税所得金額が195万円以下である場合は10万円の医療費控除があった場合は5%計算なので、5,000円だけ税金が安くなります。

一方、課税所得金額が4,000万円を超えれば税率は45%なので同じ医療費控除10万円でも45,000円も税金が安くなるのです。
なお、住民税は一律10%の課税のため、どちらも10,000円は安くなる計算です。
つまり、税率5%なら15,000円、45%なら55,000円が安くなるということです。

医療費控除に必要なもの

サラリーマンの場合

医療費控除を申請するにあたってはサラリーマンとそうでない自営業者などでは提出書類が異なります。
サラリーマンは少なくとも以下の書類が必要です。

1.源泉徴収票 2.領収書など医療費の支出を証明する書類 3.領収書のない医療費(通院交通費等)の支払明細(自分で作成する)の3点です。
確定申告の際には源泉徴収の原本の提出が必須となりますので、会社から受け取ったものをそのまま持参してください。
控えが欲しい場合はあらかじめコピーして保管しておくとよいでしょう。

サラリーマン以外の場合

サラリーマン以外の場合には、以下の書類を必要とします。

1.収支支払報告書などの収入がわかる書類 2.領収書など医療費の支出を証明する書類 3.領収書のない医療費(通院交通費等)の支払明細(自分で作成する)以上の3点です。
営業収入や不動産収入などは収支支払報告書の提出を求められますので、あらかじめ経費の計算を忘れないようにしてください。

必要書類が平成29年分申告分から変更

医療費控除の明細書が必要に

平成29年分の申告から提出書類に変更があり、新たに提出が必要になったのは医療費控除の明細書というものです。
平成28年分まではつけるように促されてきただけの書類ですが、義務化されました。

記載方法は医療を受けた人別に病院・薬局ごとに医療費を集計し合計額を転記するのです。
また医療を受けるにあたってかかった交通費も医療費に含めて計算することを忘れないでください。

医療費控除の明細書のフォーマットが大幅変更

これまでも医療費控除の明細書はありましたがフォーマットに大きな変更がありました。
従来の医療費の明細書は、治療内容・医薬品などを記入していた箇所があったのですが、それに代わって、医療の区分という箇所ができ、診療・治療、介護保険サービス、医薬品購入、その他の医療費という4区分を設け、チェックマークを付すという形式になりました。

これは、かかった病院や薬局ごとに費用をまとめて明細書に記載する形式になったための変更点です。

医療費控除を上手く利用するためのコツ

医療費の領収書はきちんと管理する

医療機関にかかった際にかかる費用は通常数千円です。
なので、医療費控除には目もくれず保管もおざなりになりがちです。
ただ、少額のレシートや領収証だけでも年間を通して積み重なれば数万円になるケースもありますので面倒くさいと思わずにきちんと保管されることをおすすめします。

また、一回でも入院などするとすぐに何万円もの支払いが発生します。
そうなれば、医療費控除の申告ができる額になる場合もありますが、普段から医療費にかかる領収証は大事にとっておきましょう。

医療費の支払いは年内にすませておく

これは医療費が年をまたいでかかりそうな場合に限りますが、医療費がかさんだ年の最後にまた支払う必要がある機会があるなら、年内に支払っておくことがよいでしょう。
年内に支払った医療費は同じ年の申告に使えますが、年を明けてからの支払いは翌年の申告にしか使えません。

この場合、翌年に他に医療費の支出がないと一般的には控除額がゼロになってしまうため、医療費控除の効果を最大限活用するためには医療費の支払いは年中にすませておいた方がよい場合が多いのです。

領収証がなくても控除にできる可能性はある

支払った医療費は領収証があることが最も望ましいですが、万が一なくても控除を認めてくれる場合もあります。
例えば、家計簿などの収支を記してあるものによって支払った金額がわかれば、領収証がなくても支払った事実を証明として提示できる場合もあります。

ただし、これはあくまでも例外で税務署が認めてくれればの話になるので、基本は領収証をしっかり保管して申告しましょう。

医療費控除で必ず知っておくべきポイント

自分だけではなく家族のための支払いも含まれる

医療費で10万円以上の高額を支払う事態は本人だけではあまりないかもしれません。
しかし、配偶者や子ども、親などがいる家庭では複数人分の医療費がかかります。
こうなると、10万円かかる場合も起こりやすくなります。
医療費控除の対象は「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族(両親や子供など)のために支払った医療費も含む」ということですので、家族にかかる医療費は基本的に含めて問題ありません。

たとえ、夫婦で共働きであっても、生計を一にすることにはかわらないので、妻の分を夫の医療費控除の申告に混ぜても何も問題はありません。
もちろん分けて申告してもよいのですが、基本的に10万円を差し引いた医療費が対象なので、ひとりにまとめて申告するほうが賢い選択だということはお分かりでしょう。

会社員も確定申告をする

医療費控除の申告は確定申告の必要があります。
会社員は通常年末調整で会社が本人の代わりに税務署に税金を納めてくれるのですが、医療費控除は年末調整では申告できる対象ではないため、自分で申告する必要があります。
となると、2月16日~3月15日までに確定申告をしなければなりません。

ただし、医療費控除のみの申告であれば、還付申告つまり、申告すると税金が還してもらえる確定申告なので、2月16日を待たずに年明け1月4日(ただし、平日のみ)から受け付けてもらえます。
詳しくはお住まいの管轄の税務署にお問い合わせください。

医療費控除は5年まで遡って申告できる

医療費控除の申告などの還付を受けるための申告は申告期間を過ぎても受け付けてもらえます。
なので、仮に申告をし忘れても5年間は遡って確定申告ができますが、あまり長く置いておくと忘れてしまいますので、早めに申告をすることをおすすめします。
ただ、申告期間は税務署も混んでいるので、それ以外の平日で税務署に行けるのなら、時期を外して申告するほうが待つ時間は少ないでしょう。

所得税の支払いがなくても確定申告したほうが良い場合もある

住宅ローン控除などにより所得税の支払いがもともとないので医療費控除を申告する必要がない場合もあります。
しかし、所得税がなくても医療費控除により課税所得を下げることによって、住民税が軽減されるケースもあるので所得税の支払いがなくても医療費控除の申告をするほうがよいこともあるのです。

ただし、住宅ローンが絡む場合は申告したほうがよいときと、申告しない方がよい場合があり人によって違いが出るので、まずは税務署に相談してみましょう。

家族の中で1番所得が高い人が申告をする

先程、医療費は1人にまとめて申告したほうがよいですが、まとめて申告するなら家族で1番所得が高い人で申告すべきです。
なぜなら、所得税は所得が高い人ほど税率が高くなるので所得の高い人にまとめて申告したほうが安くなる税金の額が大きくなるからです。

所得税額が5%の人が医療費控除を申告した場合と45%の人が申告をした場合とで大きく違うので、覚えておくとよいでしょう。

確定申告はインターネットでもできる

確定申告のイメージは会場で何時間も順番を待って申告するのが一般的なイメージでしょう。
ですが、今はインターネットで確定申告をする「e-Tax」というものもあります。

この方法であれば、自宅に居ながら、インターネットだけで申告が済んでしまいますので忙しい人でも楽に確定申告ができますので忙しくて税務署などに出向いて確定申告をできる時間がない人はこの方法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

確定申告の郵送受付を利用する方法も

「e-Tax」の申告にはマイナンバーカードやカードリーダーが必要で、それらをそろえるのが面倒なら、郵送による方法を活用してみてはいかがでしょうか。
国税庁のホームページに確定申告作成コーナーというのがあり、インターネット上で確定申告の書類を作成できるのです。

確定申告書作成コーナーでは源泉徴収票やその他申告したい書類を用意しておけば、手順通りに思った以上に確定申告書類ができ上がりとても便利です。
作成コーナーには医療費明細書も作ることができますので、手書きだと面倒くさいですが、入力するなら間違えずにできるメリットもあり、余計な手間を省くことができます。

ですので、医療費明細書だけでもこのシステムを利用するという方法もよいでしょう。
こうして作った書類をプリントアウトして添付書類と一緒に税務署に郵送してしまえば、煩わしい確定申告も最小の労力で済みます。

確定申告に必要なもの

医療費控除の申告の際に確定申告に必要な書類は、給与所得の源泉徴収票・収支支払報告書など昨年中の収入がわかる書類、医療費明細書です。
これに加えて、マイナンバーカード1点、もしくは通知カードと運転免許証などの身分がわかる証明書の2点のいずれかを提示すること、さらに印鑑も確定申告書に押印するので必要です。
ちなみに印鑑を忘れると拇印を要求されますので、注意しましょう。

医療費控除の改正点

医療費の領収書の提出又は提示が不要

確定申告の書類には医療費の領収書の提出又は提示について何も触れていませんでした。
というのも、平成29年の改正で医療費の領収書の提出又は提示が不要となったからです。
これまで、領収証を束にしてせっせと会場までもっていったものですが、平成29年分の申告から領収証を提示する必要すらなくなったというわけです。

医療費控除の明細書の提出が必要

一方で「医療費控除の明細書」の提出が必要になりましたが、自分で計算して明細書を作るのは結構手間です。
万が一間違っていたとしても税金の申告は申告者の義務であるため、さかのぼって課税されないよう慎重に計算して申告したいものです。

なお、医療費の領収証の提出や提示が必要なくなったからといって、医療費の領収証は集めなくてよいというわけではありません。
計算の根拠となる医療費の領収証は5年間の保管義務があり、税務署や市役所から提示を求められたらすぐに提示できるようまとめておかなければならないのです。

もし、提示できない場合は証拠書類なしとして追加で徴収されることになりかねませんので、確定申告が終わっても捨てることの無いように注意してください。

医療費控除の特例について

スイッチOTC医薬薬を購入すると一定額を所得から控除

スイッチOTC医薬品は、もともと医師の処方箋が必要だった薬が処方箋の要らない薬としてドラッグストアで購入できるようになった医薬品のことです。
OTCは「Over The Counter」の略でカウンター越しにつまり病院にいかないで薬局で済ませる人が増えることを見込んで国が打ち出した新しい税金の控除政策です。

セルフメディケーション税制ともいわれますが、いま一つ周知が足りていないことは否定できません。
スイッチOTC医薬品は薬局で買えるのですが、薬局の中のすべての薬が対象というわけではないのです。
基本的に薬を購入した際のレシートにセルフメディケーション税制の対象商品であることが星印などでわかるように薬局で工夫して表記されています。

医療費は基本的に10万円を引いた額が控除の対象ですが、セルフメディケーション税制は薬購入費用の合計から12,000円を引いた額を対象としているので、医療費控除よりハードルは低く感じますが、実際に薬局で12,000円以上も1年で買うというのもなかなかハードルが高いかもしれません。

既存の医療費控除とどちらか一方を選択する

セルフメディケーション税制と既存の医療費控除は両方同時に申告できません。
セルフメディケーション税制は12,000を超える薬代を申告できますが、最大88,000円まで、つまり10万円の薬代までが控除の対象と認められます。

一方、医療費控除は基本10万円を超える額の医療費が控除の対象なので、どちらかを選ぶ必要があります。
そもそもセルフメディケーション税制は年々かさむ医療費の軽減を目指して、病院に行く必要がない人が少しでも減ることが一つの目的として挙げられる制度なので、併用して使うことは制度趣旨からもあり得ないのです。

もし両方が対象なのであれば、どちらか控除が大きくなる方を選択して申告しなくてはなりませんので注意しましょう。

医療費控除を上手に活用しよう

医療費控除は給与所得のみのサラリーマン世帯にとって数少ない税金対策の一つです。
なので、もし対象になるようであれば、少しでも税金の支払いを抑えるためにも積極的に医療費控除の申告をすることをおすすめします。

また、実際に医療費控除を申告することで所得税や住民税が抑えられるのはもちろんですが、所得税や住民税が安くなることで、保育園の利用料金・補助制度の申請などにも人によっては影響することもあります。
ですので、面倒だと思っても普段から領収証を決まった場所に保管しておくだけで申告できるのですから、今まで見て見ぬふりをしていた人はぜひ活用していただきたいものです。

Sponsored Link

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでukano358をフォローしよう!

記事が良かったらシェアして下さいね♪