医療費控除の領収書はどう処理すべき?確定申告での取扱い方法

May, 31, 2018

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医療費控除をするには領収書の取扱いが重要です

自分や家族の思いもかけない事故や病気で、医療費がかさんでしまったときに、ぜひ検討していただきたいのが「医療費控除」という制度の利用です。
医療保険ですと事故や病気の前に加入していなければ、保険金も下りてきません。

しかし、医療費控除は条件さえ満たしていれば、誰でも税金が還付されるという恩恵を受けることができます。
そして、その際に必ず必要となるのが病院などでもらう領収書です。
いざというときのため、知識を持っておきましょう。

医療費控除とはなにか

医療費控除というのは、一年間に支払った医療費の合計が10万円以上だった場合、確定申告をすることによって、超えた部分の金額が税金から控除・還付されるという制度です。
簡単に言えば、納めた(差し引かれた)税金の一部が返金されるということです。

生計を共にする家族なら合算して計算することができますし、通院にかかったタクシー代などの交通費も含めることが可能です。
また、年収によっては医療費の合計が10万円に達しなかった場合でも控除の対象となりますので、年間の医療費が結構かかったなと思ったら、試算してみるといいでしょう。

医療費控除の申請に必要な領収書について

医療費控除は確定申告の一部です。
確定申告というのは、具体的には確定申告書を記入して所轄の税務署に提出する手続きのことをいいます。
サラリーマンや専業主婦、パートタイマーにはあまり縁がないと思われがちですが、申請をすると還付金が出るケースも多いので、ぜひ申請をしてみましょう。

治療費を支払ったことを証明するため

さて、確定申告の際には原則として、申告書のほかに申告内容を証明するための書類を添付する必要があります。
医療費の確定申告の場合は「本当に治療費を支払いました」という証拠として、病院や診療所、調剤薬局などでもらった領収書が必要となります。

その他、病状や交通事情によってはタクシー代、医師の指示があって購入した血圧計などの購入費用なども含まれます。
交通費には患者本人のほか、付添いの人の分も計上してかまいません。
電車やバスにかかった運賃は、日付と金額のメモを残しておきましょう。

領収書は保管しておくクセを付ける

医療費控除の対象となるのは「治療」と「医師の指示によるもの」となります。
処方薬はもちろんですが、市販薬、保険診療外の歯科診療や先端医療費も含まれます。
医師の指示があれば、整骨院で受けたマッサージの費用なども控除の対象です。
一方、予防や健康増進、そして美容目的の支出については認められません。

この判断が難しい場合もありますので、まず一番重要なのは医療費に関係しそうな領収書をきちんと保管しておくことです。
確定申告の時期が来るまでは、特に整理できていなくても構いません。
くれぐれも間違って捨ててしまうことのないよう、受け取った領収書やレシートは一か所にまとめて保管するクセを付けておきましょう。

医療費控除の明細書への改正について

確定申告のルールは、年々見直され、改正されます。
手続きが簡略化される場合もありますので、申告前には一度確認する必要があることを覚えておくといいですね。

H29~改正により領収書の提出は不要

平成29年度の改正でも、医療費控除の申告の際に簡略化された事項があります。
申告書の提出時に領収書の提出が不要となったことがそれに当たります。
領収書の代わりに、「医療費控除の明細書」を作成して添付するようになりました。
必要な領収書を添付し忘れて再提出というミスはなくなるでしょうから、改善といえそうです。

【参照サイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-iryouhikoujo2.htm

領収書は確定申告から5年間の保管義務のみ

医療費の領収書の提出の必要がなくなったからといって、確定申告後に医療費関連の領収書を捨ててしまっていいというわけではありません。
税務署から提示を求められた際には提出しなければならないため、紛失しないよう保管しておく必要があるのです。

しかも保管の期限は、確定申告後5年間という長期間にわたります。
もし、毎年医療費の所得控除を申請するならば、年ごとに領収書類を分けて保管しておいた方がいいでしょうし、少し管理が大変かもしれません。
クリアファイルなどを上手に利用して、わかりやすく、かつなくさないように手元に置いておいてくださいね。

H31分までは医療費の領収書でも申告できる

新しい申告方法に完全に移行するまでには、経過措置というものがとられます。
移行中に発生する不利益などを極力減らそうとする一時的な対応のことで、平成31年分までの医療費控除申告には、従来どおり領収書の原本を添付して申告しても構いませんということになっています。

申告のときに領収書を添付しておけば、5年間の保管に気をつかう必要もありません。
確定申告をするのはこの期間内に一度だけというような場合には、従来の方法で申告するのも一つの方法でしょう。

医療費通知を上手に活用する

申告書を記入する際に、とても役に立つ書類があるのをごぞんじでしょうか。
年に一度発行される「医療費のお知らせ」です。
平成29年度分から、この書類が確定申告に使えるようになりました。

健康保険を使って医療機関での診察を受けた場合、自己負担で支払っている医療費は実際にかかった分の1割から3割となっています。
本来ならいくらかかったのかという金額を教えてくれるのが「医療費のお知らせ」で、医療費の確認のほか、健康や医療に対する認識を高めてもらうという目的のもとに発行されています。
各家庭へは直接郵送、もしくは職場を通じてという形で届きます。

添付するだけで明細書記入の必要がない

さて、確定申告の際に「医療費控除の明細書」を作成する必要があることは先にもお伝えしました。
ですが、「医療費のお知らせ」に記載がある項目に関しては、明細書への記入は不要となるのです。
確定申告書に「医療費のお知らせ」を添付して提出するだけで認められます。
そのぶん手間が省けるということですね。

記載事項は領収書の保管義務がない

「医療費のお知らせ」を使って確定申告をすることのメリットはもう一つあります。
それが、「医療費のお知らせ」に記載された事項に関しては領収書の保管義務がないということです。
紛失の恐れが減りますので、これは大きなメリットといえそうです。

医療費通知を上手に活用するための注意点

医療費の通知を確定申告に使用するに当たっては、いくつか注意しなくてはいけない点があります。
まず「医療費のお知らせ」は統一された規格ではなく、加入している健康保険組合によって、記載事項や発行頻度などに違いがあるということです。

場合によっては、「医療費のお知らせ」だけの添付では確定申告に不充分ということも出てきますので、基本をしっかり知っておく必要があります。

病院名や支払った金額など必要事項の記載を確認する

一番重要なのは、「医療費のお知らせ」に記載されている内容が正しいかどうかです。
その確認のためにも、領収書は必要ですね。
チェックするポイントは以下の6項目です。

  • 被保険者名
  • 療養を受けた年月
  • 療養者名
  • 療養を受けた病院、診療所、薬局その他の者の名称
  • 被保険者が支払った医療費の額
  • 保険者等の名称

すべてが記載されていないと、「医療費のお知らせ」をそのまま添付資料として提出することはできません。
その場合は、明細書への記入が必要となります。
また、精神科など個人情報上デリケートな扱いをされる病院によっては、このお知らせに記載されていないこともありますので、気を付けたいところです。

申請する年の1月~12月分が記載されているかを確認

確定申告では、1月1日から12月31日までの収入と支出を計上します。
けれども、「医療費のお知らせ」に記載されているのが、前々年の11月から始まって前年10月までということもあります。
そのような場合には、記載のない前年11月と12月に掛かった診察費や処方薬代などは、別途明細書に記入する必要があります。
そしてその分の領収書も保管しなくてはいけません。

少し面倒ですが、現状のルール内で、保管や処理をしなくては正式に承認されません。
今後の法改正でより便利になることを期待しましょう。

ドラックストア購入分などは記載がありません

医療費通知は、健康保険組合を使用して支払った医療費に関する通知ですから、保険の適用外の支出に関しては控除の対象となるものであっても記載はされません。
たとえば医師の指示があって、ドラッグストアなどで購入した市販薬なら控除は可能ですが、「医療費のお知らせ」には記載されることはありません。

このようなときにも明細書に記入した上で、該当する領収書やレシートを保管しておくという方法で処理をします。
このことから、医療費の申請のためには領収書類の保管が必要になってくるのです。

領収書が多い人は集計フォームの利用が便利

家族ひとりひとりの医療費の記録をつけるとなると、思ったよりも手間がかかるかもしれません。
合計額を計算する必要もありますし、途中で混乱して挫折するかもなどと心配な人におすすめしたいのが「医療費集計フォーム」です。

医療費集計フォームを活用しましょう

「医療費集計フォーム」は国税庁が用意している表計算ソフト用のシートで、マイクロソフトのエクセルなどでファイルを開いて使用します。
ダウンロードができますので、落ち着いて入力することができますよ。
エクセルを持っていなくても、互換性のあるフリーの表計算ソフトで読み込めます。
どんなものか、前もって確認しておくといいでしょう。

この「医療費集計フォーム」に記入した内容は、申告の際に明細書(内訳書)としても利用することができます。

【参照サイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/h29junbi/h29_iryohi-download.htm?】

セルフメディケーション税制との併用は不可能です

平成29年分の確定申告から「セルフメディケーション税制」が導入されました。
これは「医療費控除の特例」として設けられた制度で、一年間に支払った医療費の合計が10万円を超えなくても控除の対象となる可能性があります。
以下はその制度の内容です。

【健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている人が、「セルフメディケーション税制」の対象となる市販薬を(生計を共にする家族のものも含め)12,000円以上購入した場合、医療費の控除対象となる制度】です。

「セルフメディケーション税制」の対象となる医薬品は非常にたくさんあります。
パッケージにマークが記載されていますので、常備薬を一度確認してみるといいですね。
また、ここでいう「一定の取り組み」とは「職場や自治体のものを含めて健康診断を受けた」「インフルエンザなどの予防接種を受けた」ことなどを意味しています。

申告の際には予防接種や健康診断を受診したときの領収書や、健康診断の結果通知書の提出が必要となります。
また、個々の医薬品について明細書への記入と、レシートなどの保管が必要な点は医療費控除の手続きと同じです。
さらに、注意したい点は「セルフメディケーション税制」の申請と医療費の控除申請は、併用できないということです。

医療費控除の申告を考えているなら

確定申告は一見難しそうで尻込みをしがちですが、自分が自営業者ではないために全く無縁のもの、と考えるのは、もったいないといえます。
申請の条件を満たしていれば、確実に税金が戻ってきますので、あまり難しいことではありません。
ただし、実際のところ慣れるまでは面倒な作業といえるかもしれません。
ここでは申請書類を揃えるときのコツについてみていきましょう。

療養者ごとや支払先ごとに分別しておく

医療費の領収書やレシートは、受け取りの都度ひとまとめにして保管しておくことが基本といえます。
そのときに、診察を受けた人ごとに分けておくだけでも後々の役に立ちます。
病院や薬局ごとに並べておけば、より分類がしやすくなります。
そして家族ごとに大き目の封筒を一枚ずつ用意したり、クリップで留めて保管する方法おすすめです。

さらにもう少し余裕があれば、パソコンで「医療費集計フォーム」やそれを参考にして作った表に前もって入力しておくと、さらによいでしょう。
申請のための計算は一年間の合計ですので、まとめて一気に入力をするには、大変な量になることも考えられます。
時間があるときに少しずつでも進めておく方法が一番確実なのです。

e-taxでの確定申告が便利です

もうひとつ、確定申告を便利に進める方法が「e-Tax」を使っての確定申告です。
本来は申告書に記入し、税務署に提出する形で手続きをします。
大勢の人が確定申告のために税務署を訪れますから、毎年相当な混雑となりますし、執務時間も限られています。

ここでぜひ利用したいのが「e-Tax」という国税庁による国営のオンラインサービスです。
正式には「国税電子申告・納税システム」という名称で、国税庁のサイトで必要事項を入力することで確定申告書など納税に関わる書類の作成と申告までが可能なシステムです。

パソコンで申告書データを入力・作成し、それを印刷して税務署に提出あるいは郵送するという方法と、「e-TAX」から申告書データを直接送信するという方法を選べます。
どちらもオンラインで24時間好きな時間帯に利用できること、計算ミスの心配が不要、還付が早いというメリットがあります。

ただし、申告書データを直接送信する方法を選ぶ場合には「電子証明書の取得」や「ICカードリーダライタ」という機器など、事前の準備が必要となります。
まずは申告書データを入力して印刷したものを提出する方法から始めてみるのがいいでしょう。

もし領収書を紛失してしまったとき

なるべくなら避けるべきことですが、領収書の紛失は誰にでも起こりえます。
そのようなときは、どうすればいいのでしょうか。
病院の領収書には再発行できない旨が書き添えられていることがほとんどです。
実際に、領収書の再発行は不可能なのです。

しかし、代わりに「領収証明書(支払証明書)」なら作成が可能で、支払いをした日時と金額、患者の名前や生年月日など確定申告に必要な事項は記載されるので領収書の代替手段にはなります。
ただし、発行に際しては作成費用が掛かることを覚えておきましょう。

また、「医療費のお知らせ」も再発行は不可です。
大切に保管しましょう。
とはいえ、このお知らせは医療費の控除申告に必要不可欠な書類ではありませんので、紛失してもあまり不安になることはありません。
薬局やタクシー料金などのレシートを紛失したときや、そもそもレシートがもらえない公共交通機関の乗車賃などについては、記録をもとに明細書に記入すれば認めてもらえる可能性は十分にあります。

そのためにも病院に行った日、かかった金額についてはなるべくその都度、自分でメモなどで記録しておく習慣をつけるといいですね。

自分に合った領収書の取扱いを身につけましょう

医療費の控除申告は、条件さえ満たしていれば確実に節税効果を得ることができます。
自分が申請すべき額を医療費として納めているならば、さっそく準備をして申請のために実行してみましょう。
今、手元に病院や調剤薬局の領収書、ドラッグストアのレシートがあれば、まとめて保管します。

もし、家族別に領収書を分けることができたら、さらに処理がしやすくなります。
表計算ソフトでの入力まで可能なならば万全です。
あとは、医療費に関わる支出が発生するたびに、そこに付け加えていけばいいのです。
何ごとも、最初が肝心です。
確定申告をするという初心を忘れず、まずは領収書とレシートを集めるくせをつけることから始めましょう。

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