ブラック企業大賞から学ぶ就職企業の選びかた。特徴を知り自衛しよう

April, 01, 2018

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ノミネートされた企業の特徴は希望の企業にあるか

もしも自分が働いている会社が、もしくはこれから働こうとしている会社がブラックな会社だったらと思うといかがでしょうか。
不安になるに違いありません。

ブラック企業大賞のそもそもの目的は「背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくること」です。
ブラック企業大賞にノミネートされた会社の特徴を知ることで、自分自身が今後就職先を考えるにあたっての参考にしてみてはいかがでしょうか。

この記事では、ブラック企業大賞にノミネートされた企業の特徴から学ぶ、企業の見極めかたをみていきたいと思います。
また、もしも自分の勤めている会社がブラックだった場合の対処法にも触れていますので、合わせてブラック企業に対する自衛方法をみていきましょう。

ブラック企業大賞とはどんなものか

そもそもブラック企業大賞とはどのような賞なのでしょうか。
どのような人たちが選考に携わり、どのような賞があるのかみていきましょう。

ブラック企業大賞は企画委員会がある

ブラック企業大賞とは、ルポライター・NPO法人・弁護士などのブラック企業大賞企画委員会によって運営されている賞で、その年に最もブラック企業だったとされる会社が大賞を受賞します。
ノミネートされた会社は長時間労働、セクハラ、パワハラ、低賃金や残業未払いといった、ブラックさを晒されることに。
また賞は大賞だけではなく、さまざまな賞もあります。

ノミネートされる会社は、一般公募ではありません。
企画委員会が選出し、そのノミネートされた会社に対してWeb上で投票が受け付けられます。
またWeb投票で1位になったからといって、大賞になるわけではありません。

良くも悪くも、ブラック企業大賞には企画委員会の主観が多く入っています。
ブラック企業のランキングというよりは、話題性があり取り上げるべき企業をノミネートしていると考えたほうがよいでしょう。

毎年年末に投票を行っている

ブラック企業大賞のノミネート自体はブラック企業大賞企画委員会が行いますが、ノミネートされた企業に対しては一般からのWeb投票を受け付けています。
そのため誰でも投票可能です。

Web投票の受付期間は、11月後半から1カ月です。
2017年度の投票期間は11月27日から12月22日で、Web投票の結果発表は12月23日の授賞式での発表でした。

Web投票で1位になったからといって必ずしも大賞となるわけではありません。
多くの場合は一般からのWeb投票1位はWeb投票賞を受賞しています。
最終的な大賞は、企画委員会によって選ばれます。

大賞以外にも賞がある

ブラック企業大賞には、大賞以外にもさまざまな賞があり、賞の内容は年度によっても変わってきています。
たとえば2017年の賞では大賞の他、特別賞、業界賞、ブラック研修賞、Web投票賞が発表されていて、大賞はWeb投票の数では決まりません。

しかし2014年には株式会社ヤマダ電機が大賞とWeb投票賞をダブル受賞しています。

各賞を受賞した企業名と受賞した理由は、ブラック企業大賞のホームページで確認することができます。
受賞理由はさまざまですが、実際に過労死をした社員や、社内でのいじめによる自殺、長時間労働によるうつ病の発症など、実際に社会問題として取り上げられるべき事例がしっかりと記載されています。

授賞式や発表会見もある

ブラック企業大賞には授賞式や発表会見があり、YouTubeなどでネット放送されます。
またブラック企業大賞のホームページ画面には、第1回の2012年から最新版までのノミネート企業発表記者会見の動画がみられるようになっています。

動画は20分弱で、ノミネートされた9社のノミネート理由などを発表していますので、もしも興味があるのなら一見するとよいかもしれません。
ちなみに授賞式に出席したことがある企業は、2017年までの時点で0社です。
不名誉な賞なのでコメントもしたくないのでしょう。

歴代受賞企業がある

ブラック企業大賞は2012年からスタートしているので、大賞やその他の賞を受賞してきた歴代受賞企業があります。
それらのデータをみてみると、一概に大賞を取っている会社がその年に最も話題となった企業や、有名企業というわけではないようです。

労働問題に対してなにかしらの問題点があり、なんらかの報道をされたり企画委員会が取り上げる必要があると感じた企業が多いようです。
ブラック企業大賞はランキングではありません。
そのためノミネートされる企業はあくまで氷山の一角であり、取り上げきれない多くのブラック企業が存在することは事実です。

ノミネートされた企業の特徴

ブラック企業大賞にノミネートされる企業には、どのような特徴があるのでしょうか。
ノミネート企業からみる、ブラック企業の特徴をみていきましょう。

長時間労働が日常化している

会社の中で長時間労働が日常化している企業は、毎回ノミネート企業にあがっています。
長時間の時間外労働は、さまざまな問題を引き起こすのです。
うつ病を発症する社員もいれば、最悪の事態として社員が過労死したり自殺することもあります。

また残業代が未払いの場合も。
たとえば2014年に業界賞を受賞した株式会社A-1Picturesの場合、社員は多い月で344時間の残業(通っていたクリニック情報では月600時間)をしていたけれども、残業代は支払われていなかったそうです。
その社員はうつ病を発症し、自殺しました。

長時間労働は、社員を身体的な面だけではなく精神的な面でも追い詰めます。
また追い詰められた社員は徐々に会社に対して抵抗する意思さえ奪われていってしまいます。
長時間労働を強いる会社は、ブラック企業と呼ばれるにふさわしいでしょう。

セクハラをされている

セクハラ社員が多いことも、ブラック企業の特徴の1つ。
セクハラと一言でいいますが、英語のセクシャルハラスメントの略で、日本語でいえば「性的嫌がらせ」のことです。

男性の女性に対するセクハラを、多くの人が想像するかもしれません。
しかしセクハラは女性から男性や、同性に対する嫌がらせも含みます。

男女雇用機会均等法第11条で、事業主に対してセクハラ対策が義務づけられているのですが、ブラック企業大賞にノミネートされるような会社は従業員のために、そこまで管理が行き届いていません。
そのため社内でセクハラが蔓延しています。

パワハラを受けている

セクハラと同様に、ブラック企業の中にはパワハラも蔓延しています。
パワハラとはパワーハラスメントの略で、上の立場のものがその権限を使って下のものに精神的、身体的な苦痛を与えることをいいます。

こちらも今までは男性が上位者で、女性が下位の立場であることが多かったのですが、昨今ではその逆も起きています。

パワハラにはさまざまな種類があり、直接殴る蹴るなどの暴力行為をしてくる身体的な攻撃の他に、大勢の前で大声で叱るなどの精神的攻撃、飲み会や食事に1人だけ呼ばれないといった人間関係の切り離し、1人では抱えきれないほどの仕事量を押しつける過大な要求、逆に草むしりや窓ふきという些細な仕事しか頼まない過小な要求、スマホの情報をチェックしたりする個の侵害などです。

たとえば2015年にWeb投票賞を受賞した株式気社引越社関東では、営業職の社員がシュレッダー係に任命されたりしています。

職場でいじめがある

ブラック企業にノミネートされるような会社は、概ね人間関係があまりよくありません。
男女差別などの昔からよくあるいじめだけではなく、男性同士、女性同士でも陰湿ないじめが横行しています。
日頃から鬱憤がたまりやすい会社のため、それをいじめにより発散させているのかもしれません。

特に女性が多い職場は、いじめの数も多いようです。
男性の多い会社ではパワハラやセクハラが多いのですが、女性が多い場合には直接的な攻撃ではなく、精神的ないじめが横行します。

いわゆるお局さんのような存在がいる場合、気にくわない新人などが目につくと他の女性社員などを味方にして無視をしたり、陰口をいったりします。
ランチの時間帯に、標的となった女性社員が1人で寂しくお弁当をつついている姿などがみられます。

仕事内容と賃金が合わない

長時間働いても仕事内容がきつくても、給金は雀の涙くらい。
そのような長時間労働で低賃金という劣悪な環境が、ブラック企業にノミネートされた会社にはみられます。

またかなり大手で他の企業よりも月給がよかったとしても、サービス残業だった場合には賃金が低くなる可能性があります。
サービス残業をしている場合、まずは月給をその月に働いた時間で割ってみてください。
時給換算してみると恐ろしく低賃金で、下手をすると最低時給を割り込むこともあるかもしれません。

2014年に業界賞を受賞している株式会社A-1Picturesでは、月344時間の残業をしていたにも関わらずそれらはサービス残業でした。

派遣や契約など社員差別がある

大手企業になると、正社員だけではなくアルバイトや派遣社員、契約社員などさまざまな形態の従業員を雇っていることが多くあります。
そしてブラック企業は、会社の中で派遣や契約、アルバイトなどに対して社員差別がみられます。

たとえば2012年にありえないで賞を受賞した株式会社ゼンショーでは、アルバイト従業員らが未払いの本給、時間外割増賃金、紛失立替金の支払いを求めて裁判をおこしています。

また訴訟を起こした3名が所属する「首都圏青年ユニオン」は、ゼンショーに対して残業代未払いの件や、シフト差別などについて団体交渉もしています。

産休や有休がとれない

会社の風潮で、産休や有給が取りにくい場合があります。
それまで前例がないため制度に不備があったり、もしも有給が欲しいなどと声に出したら叱られるような雰囲気があります。
また上司の許可が下りない場合もあるでしょう。

本来、産休や育休、有給といったものは申請があれば会社は従業員にそれらを与える義務があります。
労働基準法など法律で決められている従業員の権利を、ブラック企業は無視して与えようとしません。

派遣社員をたくさん雇っている

製造業や食品販売業などでは、非正社員の比率が高いのは仕方ないかもしれません。
しかし同じ業界の中でも正社員が少なくほぼ派遣社員だという会社は、ブラック企業である可能性が高いです。

それらの会社は正社員登用を常に募集しているのですが、過酷なノルマがあったりサービス残業を強いたりするような過酷な環境のため、なかなか正社員が定着せずに辞めてしまうのです。
そのため会社は派遣社員でその穴埋めをしています。

求人に嘘を書いている

ブラック企業の特徴として、求人情報にとても素晴らしいことを書き連ねていることが多いです。
ついつい求人広告にだまされて入社してしまうと、待っているのは残業代未払いや、求人情報で載せていた内容とは異なるといった契約違反。
求人票に書かれている嘘に気がついても、時すでに遅いことが多いのです。

ブラック企業大賞にノミネートされるような会社は、その過酷な環境のため社員の定着率が低く、常に募集を必要としています。
ブラック企業は、従業員の環境を良くする方面ではなく、人を確保するための求人に力を入れる傾向があるのです。

中にはニュースで見た企業もある

ブラック企業大賞にノミネートされるのは、その年にニュースなどで取り上げられた話題性のある会社が多いです。
もちろん報道されたかどうかが基準ではありません。
審査員が労働問題として取り上げられるべきだと考えている、過労やいじめといった問題があれば、知名度の低い会社もノミネートされています。

ただし訴訟真っ只中の会社や、自殺者や過労死を出している会社はそれだけ実際に過酷な環境だということです。
ニュースでみたことがある会社が多くノミネート候補に入っているのは、当然のことだといえるでしょう。

ブラック企業大賞から学ぶ企業の見極め方法

ブラック企業大賞にノミネートされる会社は、ブラック企業の代表といってもいいでしょう。
それらの特徴から、ブラック企業を見極める方法を知りましょう。

求人情報にしっかりと目を通す

求人情報は、給料などだけではなく福利厚生や条件面などしっかりと内容確認をする必要があります。
社員が働きやすい会社の場合には、従業員のために行っている福利厚生をしっかりと書いていたり、実際の従業員の言葉などを載せています。

しかしそうでない会社の場合は、条件面などを書くことができないので、「やりがいのある仕事をするなかで成長する」といったような、だれでも書ける精神論を展開することが多いです。

また会社で求人を出す場合、有名なネット媒体を使ったり紙面での広告を出すと、広告料がたくさんかかります。
ブラック企業の場合は常に人が入ったり辞めたりしている状態なので、求人広告を日々出し続けなければなりません。

そのため、無料のハローワーク求人に常に掲載している傾向があります。
いつみてもハローワーク求人の上位に出てくるような企業は、気をつけたほうがよいかもしれません。

企業に悪いうわさがないか検索

手っ取り早い方法として、企業に悪いうわさがないかインターネットで検索してみるとよいです。
ネット評判や口コミを読めばだいたい企業の風潮がわかります。

しかし注意しなければならないこともあります。
企業で勤めていた前職者の意見などは、多くの場合辛口となりやすい点です。
会社を辞めたということは、何かしら不満があって退職した場合が多いでしょう。
その場合、ネット上に書くのは愚痴や不満です。
すべてを鵜呑みにせず、情報を読んだ上で自己判断することが望ましいでしょう。

就職先地域の賃金の相場を確認

就職先地域の賃金の相場を確認しておくことも重要です。
もちろん業種や職種によっても平均は異なりますので、調べるのは全体のではなく、業種や職種ごとの賃金です。

平均よりも低すぎたり、異様に高い場合は注意をしましょう。
低賃金で働かせたり仕事がきつい可能性があります。
またすでに内定が出ていて迷っている場合などには、賃金について人事担当者に尋ねてみるのもよいかもしれません。

中には、キャリアアップ制度がしっかりとしており、数年後には平均もしくは平均以上の水準にもどれるものもあります。

公式のサイトで社員数の確認

公式サイトも就職前に確認すべきです。
みるポイントの1つに社員数があります。
求人情報と人数を確認して異なるようならば注意が必要です。

もちろん人事担当者が公式サイトの人数修正を忘れている場合も。
しかしブラック企業の場合社員の離職率が高いので、求人情報を掲載したときと現在でまた人数が変動していることがあるのです。
社員数の違いは、離職率が高いかどうかの1つの基準になることを覚えておきましょう。

職場雰囲気の確認

面接などで会社を訪れる機会があれば、しっかりと職場の雰囲気を確認しましょう。
すれ違う社員が礼儀正しく明るい表情で挨拶をしてくれるかなどがポイントです。

表情がくらいとか、声が小さく元気がないといった場合には社員が疲弊している可能性があります。
もしくは人間関係があまりよくなく、それが表情などに表れているのかもしれません。

また面接が社内ではなく別の施設などで行われる場合には、職場の雰囲気を気取られたくない可能性があるので、自発的に面接とは関係なく一度会社周辺をみておくことをおすすめします。
夜遅い時間に行ってみるのもよいでしょう。
残業がどのくらい長時間行われているのか一目でわかります。

募集期間を確認

人気があり離職率の低い会社は、短期間の求人募集ですぐに優秀な人材が採れてしまいます。
逆にブラック企業の場合には人の入れ替わりが激しいので、求人情報をずっと出していることが多いです。

または1つの媒体だけではなく複数出ている場合もあります。
求人広告費を抑えるために、無料掲載できるハローワークで求人募集を常にかけ続けていたり、無名のネット媒体を使用していたりします。

離職率は高くないか

新卒採用などで大人数を採用しているところも注意が必要です。
毎年大勢採用する必要があるということは、それだけ毎年何人も辞めている証拠です。

心配ならば面接などで離職率について尋ねてみるのもよいでしょう。
聞きにくいことではありますが、そのときの人事担当者の表情や返事の内容で、おおよその会社の離職の高い低いがわかります。
ダイレクトに聞きにくければ、社員の平均年齢を尋ねてみるのも1つです。

離職率が高い会社は、社員が不幸なことが多いです。
人を育てるのではなく、若い社員を使い捨てにする傾向があるので、社員の平均年齢が低くなります。
40代以降の社員が極端に少ない場合は注意が必要でしょう。

やたらと精神論を強調している

「やる気がある人、求む」「根性がある人、活躍できます」などやたらと精神論を強調する言葉が多い会社は、誰でもいえるようなことしか求人に書くことができない会社です。
上手に書いているところだと、「若いうちに多くの仕事を任せるので、成長することができます」などと書いているかもしれません。

ようは辛いことも耐える人材を望んでいるということです。
条件面などで人を惹きつけることができないので、求人票には精神面を書き連ねています。

求人票では、条件面の他、福利厚生、その会社でどのようなスキルを身につけることができるのか、やりがいはなにか、キャリアアップの精度はどうなっているのかなどを確認するようにしましょう。

面接員の態度に注目

ブラック企業の面接担当者は、態度があまりよくない人が多いです。
よくみられるのが威圧的な人や横暴な人。
人事担当者だけではなく、社内で上位にあるものが部下に対してそのような態度を多くとっている可能性が高いので注意してください。

また逆にへらへらし過ぎの面接担当者も注意が必要です。
ブラック企業は社員の出入りが多いので、面接に来てくれる人を一人でも多く採用し、穴埋めに使いたいと考えています。
そのため人事に携わっている社員は、下手に出ようとします。
そしてそれがへらへらしているようにみえる原因です。

面接というのは観察されるだけではありません。
こちらから相手企業を観察し、判断を下せる場でもあります。
面接担当者の態度を通し、しっかりと自分の将来を託せる企業かどうか判断しましょう。

職場説明や面接が雑談

職場説明や面接が内容がなく雑談で終わってしまう会社は、ブラック企業の可能性があります。
そもそもブラック企業には「このような人にきてほしい」という明確なビジョンがありません。

彼らが必要としているのは、長く労働に携わってくれる使い捨て出来る人材です。
応募してきてくれた人がどのような人なのかを知ろうとしないので、すべき質問がありません。

面接終了後に「あれ?こんなもので私のなにがいったいわかるのかしら」という感覚を得たら。
そしてそれでも内定が出てしまったら、ぜひ注意をしていただきたいです。

勤め先がブラックだと感じたときの行動

すでにブラック企業に勤めてしまっている場合には、どのように対応したらよいのでしょうか。
対処法をみていきましょう。

身近な人にまず相談

自分の勤めている会社がブラック企業だと感じたときには、まず身近な人に相談してください。
相談する相手は友達や親族などがよいです。
社内の人にはしてはいけません。
信頼していたとしても、もしもその人が口をすべらせた場合、あなたの会社での立場が悪いものになってしまいます。

親や友人などに、どのようなところをブラックだと感じているのか話すことで、あなた自身の気持ちも楽になりますし、客観的な判断を仰ぐことができます。
また別の会社の実情などを聞くことで、自分の会社と比較して考えることもできるでしょう。

労働基準監督署へ相談する

労働基準監督署には、その道の法律の専門家がいます。
そこへ気軽に相談してみるのもひとつです。
労働基準監督署の腰は重いですが、もしも立ち入り調査などで会社に入ることになれば、会社は労働基準監督署に指摘された違法な点を修正しなければなりません。

たとえば残業代未払いなどを指摘された場合には、過去2年分にわたって未払い分の残業代を従業員に支払う必要が出てきます。

労働基準監督署に訴える方法は三通りです。
ひとつは労基法による「申告」です。
労基法に基づき、本人が申告書に記入して訴えます。
会社に知られたくない場合にはその旨を伝えることもできますが、匿名で行いたい場合には申告ではなく、情報提供という形になります。

他に、刑事訴訟法に基づく「告発」と、第三者からの「情報提供」があります。

労働局へ相談してみる

労働局というのは、厚生労働省の地方支部局のひとつで、全都道府県にあります。
両方とも厚生労働省の管轄なので、労働基準監督署と労働局のどちらに相談に行ったらよいのか迷うかもしれません。

二つの違いは、労働基準監督署が労働基準法に違反していないか会社を調査したり臨検したりするのに比べ、労働局は労働者と事業者の間のトラブルを解決するための援助を行っている点です。

大事に発展させたくない場合、話し合いで解決したり、ただ単にアドバイスをほしい場合には、労働局への相談が適しています。

労働組合へ相談する

労働組合とは、一人の力では弱くても団体となり、自分たちが主体となって企業と戦う組合です。
自分から行動して賃金や労働時間の問題を解決していこうとする場合には、労働組合へ相談するとよいでしょう。

日本の労働組合は、多くの場合企業別の労働組合です。
その企業に所属している人しか入ることができません。
もしも勤務先に労働組合がない場合には、企業別の労働組合ではないものを探してみてはいかがでしょうか。
近年、日本でも企業間の垣根を超えた労働組合が増えてきています。

弁護士に相談を行う

完全に違法行為を行っている企業の場合には、弁護士を雇って裁判を行うという選択肢もあります。
企業にあいまいにごまかされず、確実性のある解決をしたい場合には弁護士がよいでしょう。
ただし相談するだけでも費用がかかり、実際に裁判を行うとすれば解決までに何年もかかる可能性があります。

また労働問題に携わる弁護士は2種類います。
経営者側のトラブルを解決する弁護士と、労働者側にたって問題を解決する弁護士です。

労働者側が頼りにできるのは、労働者サイドの弁護士なので、弁護士選びも注意が必要。
「ブラック企業被害対策弁護団」や「日本労働弁護団」など、弁護団に所属している弁護士がおすすめです。

戦うための書類を集めておく

口頭でなにをいっても、企業が「そのような事実はなかった」と述べれば問題は平行線場をたどるだけです。
戦いに勝つためには、事前の準備が必要になります。
残業をしているのなら、毎日どのくらいの残業をしているのかの資料を、怒鳴られたり暴力を受けているのならその録音記録などを証拠として集めてください。

相手がなにもいえなくなるような証拠が存在してこそ、個人が企業を相手に正面切って戦うことができるのです。
タイムカードのコピーなどがあればいうことがないですが、そもそもタイムカードのようなものが存在しない場合には、自分自身で書き記したり、パソコンからメールを送信した記録や、帰宅する前に電話をした記録でもなんでもよいので集めるようにしてください。

会社を辞める準備をする

勤めている会社がブラック企業なら、長居は無用です。
個人が戦っても会社全体を変えるには、時間と労力が必要ですし、会社に在中する間は居心地が悪い思いもします。
未払いの残業代などがあれば、2年前までさかのぼって請求できるので戦って得るべきですが、そうでないのなら早めに見切りをつけて新天地を探しましょう。

また退職届の退職理由は重要です。
会社都合の場合には失業保険が給付されるまでに3カ月間の待機期間があります。
しかし自己都合ではなく特定受給資格者として認められた場合には、この3カ月の待機期間が免除されます。

特定受給資格者は、倒産などの会社都合で場合の他、パワハラなど労働環境が劣悪で辞めざるをえなかった場合も認定される場合があるのです。
しかしその判断はハローワークの窓口が行います。

転職エージェントに相談

転職を決心している場合には、次の転職先でブラック企業を選ばないことが重要になります。
そのために転職活動で転職エージェントを利用する場合には、転職を考えた理由などをしっかりと相談しておきましょう。
悪質な転職エージェントだと、再度ブラック企業を紹介してくる可能性があるからです。

思い切った転職をするのなら、明るい未来を思い描きたいものです。
転職エージェントに残業や福利厚生の面など、これだけは譲れないというポイントをしっかり伝えてください。

思い切って上司に面談する

もしも会社の上司が信頼できる人ならば、給料や人間関係についての悩みを相談してもよいでしょう。
まずは上司に面談の時間を取ってほしい胸を伝えます。
くれぐれも、他の人が聞き耳を立てるような食堂や仕事場で相談をしないようにしてください。
人の口には戸が立てられません。
噂が広がればあなたの立場が悪くなります。

真っ黒なブラック企業でなく改善の余地があるのならば、部署移動などなにかしらの対策をとってくれる場合があります。
特に人間関係の悩みの場合には、上司が間に入ってくれることで働きやすくなる可能性も。

残業代を取り戻そう

残業代が未払いの場合、会社に2年前までさかのぼって請求することができます。
計算するとわかりますが、未払いの残業代というのは決してばかにできない金額です。
そしてそれらが支払われていないというのは、会社が義務を怠っていることになります。

自分で、または弁護士越しに取り返すためには、証拠集めが必要です。
証拠を集めは慎重にする必要があります。
なぜなら会社に隠されてしまうことがあるからです。
証拠がなければ勝ち目はありませんので、少なくとも手元に残業の記録などのコピーを入手しましょう。

そのほかに入手しておきたい書類ですが、雇用契約書や就業規則のコピー、勤怠記録や日報です。
もしもタイムカード自体がない場合は、会社のメールアカウントからの送受信記録なども残業の記録となります。
他にも帰宅時のタクシーの領収書などもとっておきましょう。

特徴を知ってブラック会社から自衛をする

ブラック企業大賞にノミネートされるような企業は、ブラック企業の代表です。
それらの特徴を知ることで、今後の自分のキャリアを考えたときに参考とすることができます。

今勤めている会社がブラックだと判断する材料として、もしくは転職する際に避けるべき会社の例として、ブラック企業大賞の内容を知ることは有益です。
ブラック企業の特徴を知り自衛をしましょう。

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