個人事業主には源泉徴収票を発行する義務があるのか。書き方を知ろう

April, 01, 2018

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源泉徴収票の書き方のポイントを学ぼう

源泉徴収票は給与等の支払者が二通作成し、該当年の翌年1月31日までに一通を税務署へ、もう一通を従業員へ交付する必要があります。特に個人事業主になって初めて源泉徴収する場合は、わからないことも多いです。理解を深め、正しく源泉徴収票を発行しましょう。

源泉徴収票発行の義務がある場合

すべての個人事業主に源泉徴収の義務があるわけではありません。どのような個人事業主が「源泉徴収義務者」になるのでしょうか。

従業員へ給料を支払っている

「源泉徴収義務者」に該当すれば、源泉徴収票を発行する義務があります。この源泉徴収義務者とは、支払った給与から差し引いた所得税や復興特別所得税を国に納める義務のある者を指します。個人事業主が当てはまるとしたら、どのような場合でしょうか。
アルバイト・パート、青色専従者などの従業員へ給料を支払っている場合、従業員に対して源泉徴収票を発行する必要があります。また、復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源を確保するためのものです。平成25年1月1日から平成49年12月31日までに発生する源泉所得税とこの復興所得税をあわせて徴収しなければなりません。
青色専従者(青色事業専従者)とは、青色申告を行う個人事業主の配偶者や15歳以上の親族で、その事業に従事している人のことをいいます。

個人やフリーランスへ報酬を支払っている

報酬の支払い先が法人の場合は、源泉徴収は必要ありません。個人やフリーランスに報酬を支払う場合に源泉徴収の義務が発生します。以下が「源泉徴収が必要な報酬・料金の範囲」です。

原稿料、講演料など

作家に依頼した原稿料や大学教授などに講演料を支払うとき。ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払いの場合、一人に対して5万円以下であれば源泉徴収の必要はありません。

公認会計士、司法書士、弁護士などへの報酬

このような、特定の資格を持つ人の業務に対する報酬。これには謝礼金、調査費用、日当、旅費などが含まれます。ここでいう「司法書士」とは、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士のことを指します。

社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

「社会保険診療報酬支払基金」とは医療機関から提出された診療報酬請求書の審査、保険者(国保や健保など)から医療機関への診療報酬を仲介して支払うことを目的とする、民間法人です。

プロのスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬

スポーツ選手とはプロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手などです。ここでいう「外交員」とは、外交員、集金人または電力量計の検針員のことを指します。

?芸能人や芸能プロダクションへの報酬

芸能人は通常「個人事業主」となるので、その芸能報酬は源泉徴収の対象です。また、芸能プロダクションを営む個人へ支払う報酬も、源泉徴収の範囲です。

ホステスなど

経営しているバーやクラブで働くホステスなどに報酬を支払う場合、または旅館や飲食店などで行われるパーティ等に派遣したホステス・コンパニオンへの報酬も、源泉徴収の範囲です。

プロ野球選手の契約金など

プロ野球選手と専属契約を結び、契約金を支払うときに源泉徴収の義務が発生します。この契約金は一定の者だけのために役務を提供することを約束し、一時的な支度金や移転料などの名目で支払われます。

広告宣伝のための賞金、馬主に支払う競馬の賞金

製品や事業の内容を広告宣伝するための賞金や賞品、また素人のクイズ番組、のど自慢の賞金や賞品などの支払いが対象です。なお、国や地方公共団体などが広報を目的とした、交通安全の標語の賞金などはこれに含みません。

源泉徴収する必要がない場合

反対に源泉徴収の義務がない個人事業主もいます。自分が源泉徴収義務者かどうか否か、まずは把握することから始めましょう。

給与の支払いがない

一人で仕事をしている、従業員がいない個人事業主は給与の支払いが発生しないので、「源泉徴収義務者」に当てはまりません。よって、源泉徴収をする必要がありません。
外注などの支払いが源泉徴収の必要な報酬・料金の範囲である場合(個人・フリーランスへ支払い)でも、源泉徴収の必要がありません。ただし、例外としてホステスに報酬・料金を支払う場合は、源泉徴収をしなければなりません。

報酬・料金等だけを支払っている

上でもふれたように、給与等の支払いがなく、原稿料、講演料、弁護士などに払う費用「報酬・料金等」だけを支払っている場合、源泉徴収の義務はありません。たとえば、確定申告をするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要がないのです。
また、常時二人以下の家事使用人(家政婦等)だけに給与や退職金を支払っている場合も、源泉徴収は必要ありません。

?源泉徴収票の4つの項目の書き方

源泉徴収票を作成するときは、主に4つの項目の書き方に注意してください。一つずれるとその他の項目の額も変わってしまいます。

支払い金額は額面の給料のこと

源泉徴収票の「支払金額」は、1月1日から12月31日までに支払った給与・賞与の手取りではない額面(社会保険料や所得税控除前の金額)を書きます。業務のための旅費交通費や通勤手当などの非課税収入は入れないように注意してください。
なお、通勤手段にバス・電車などの交通機関を使う場合、「非課税限度額」は10万円で、自動車や自転車を使う場合は片道の距離によって限度額が変わります。

給与所得控除後の金額は年収によって変わる

源泉徴収票上の支払金額がいわゆる「年収」です。その年収から一定額の経費を差し引いた金額が、給与所得控除後の金額となるのです。
給与所得控除は従業員の経費として一定額を差し引くことで、納める税金をおさえることができる制度です。控除後の金額は年収に応じ、下記のようなります。
・年収180万円以下…年収×40%、65万円に満たない場合は65万円
・年収180万円以上360万円以下…年収×30%+18万円
・年収360万円以上660万円以下…年収×20%+54万円
・年収660万円以上1,000万円以下…収入金額×10%+120万円
・年収1,000万円以上…220万円(上限)
年収が多いほど控除の金額が大きくなります。

所得控除の額の合計は2種類の控除の合計

「所得控除の額の合計」とは給与所得控除以外の控除の合計額のことです。この合計額は2種類あります。

人的控除

人的控除は家族の状況に基づき、控除額が定められており年末調整の時点で控除されます。具体的には基礎控除、配偶者・配偶者特別控除、扶養控除、障がい者控除、寡婦控除、勤労学生控除などがあります。

保険料控除

毎月の給与から天引きされている健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、共済掛金などの1年間の合計額です。もし前職分がある場合はそちらも含みます。財務省のホームページにも、詳しい控除額が記載されているので、確認してみましょう。

源泉徴収税額は1年間国に納めた所得税の額

「源泉徴収税額」には源泉徴収で国に納めた所得税及び復興特別所得税の合計額を記載します。まず「A所得金額×B税率-C控除額」の式で所得税額を算出します。
・A所得金額1,000円~194万9,000円、B税率5%、C控除額0円
・A所得金額195万円~329万9,000円、B税率10%、C控除額9万7,500円
・A所得金額330万円~694万9,000円、B税率20%、C控除額42万7,500円
・A所得金額695万円~899万9,000円、B税率23%、C控除額63万6,000円
・A所得金額900万円~1,799万9,000円、B税率33%、C控除額153万6,000円
・A所得金額1,800万円~3,999万9,000円、B税率40%、C控除額279万6,000円
・A所得金額4,000万円以上、B税率45%、C控除額479万6,000円
上で算出した所得税額+(復興特別所得税額×2.1%)=所得税及び復興特別所得税額を記載します。
年末調整により税金を払いすぎた場合は還付金が発生し、逆に所得税差額分を追徴金として徴収されることもあります。

源泉徴収票の作成上の注意点

源泉徴収の金額によって納める税金は各々変わります。源泉徴収票に不備があると、その処理に手間がかかってしまいます。以下の点に注意し、発行しましょう。

内容の正確性に細心の注意を払う

源泉徴収票を作成するには複数の計算が必要なので、ミスのないよう細心の注意を払い、正確な金額を記載しましょう。
万が一ミスがあった場合、税務署へ支払調書を提出する翌年1月31日までなら修正が可能です。しかし、1月31日以降に金額の間違いが発覚しても、事業主側での修正ができません。
その場合、従業員個人での確定申告が必要になります。確定申告となると時間も手間もかかり、従業員の不利益につながります。そのようなことを防ぐために、不備のない対応をしましょう。

会社印の押印は忘れない

法律上、源泉徴収票への会社印の押印義務はありません。ただし手書きの源泉徴収票に会社印が押されていないと、偽造などの恐れもあります。不正防止のためにも印鑑は押したほうがいいでしょう。税務署以外に提出する場合は押印が必要な場合もあります。
また、事前に従業員への承認が必要になりますが、押印の必要がない源泉徴収票は電子交付も可能です。データを電子メールに添付したり、USBメモリなどに保存し手渡しをしたり、社内のインターネット回線での閲覧など、紙に印刷する必要がないので便利で効率的な交付ができます。

不明な場合は税務署に確認を

特に初めて源泉徴収をする場合、勝手がわからず、発行に手間取ることもあるでしょう。迷ったり、不明な点が出てきたら、分からないままにせず、逐一税務署に問い合わせをしてみましょう。
国税庁は税の相談窓口を設けているので、相談ができます。また、国税庁のホームページには税金の計算方法や細かいきまりなどが記載されているので、ぜひ活用しましょう。

源泉徴収票がない場合の確定申告

確定申告を行う場合、源泉徴収票が必要ですが、そもそも、この源泉徴収票が交付されない個人事業主はどのような対応をとればよいのでしょうか。

自分で確定申告をして税金を納める

どこからも源泉徴収されない個人事業主である場合、もちろん源泉徴収票は発行されません。よって自分で確定申告をして税金を納める必要があります。
個人事業主の場合、「白色申告」と「青色申告」に分かれます。事業所にあった方法を選択し、確定申告をしましょう。

白色申告

事前に申請の必要がなく、申請をしなければ自動的に白色申告になります。帳簿づけは簡単ですが、青色申告に適用されるような特典はありません。節税するほどの所得がなく、帳簿づけが面倒だという人がこちらで申告する傾向があります。

青色申告

事前の申請が必要です。帳簿づけは難しくなりますが、赤字が3年間繰り越せたり、「青色申告特別控除(最高65万円)」など、特典があります。また家族への給与が経費としておとせることもメリットです。ある程度所得があり、節税をしたい人はこちらで申告します。

事業所得が38万円以下なら確定申告は不要

個人事業主が専業であり、1年間の事業所得が38万円以下になる場合、また、副業での所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。所得額から所得税の控除38万円を引いた金額が「課税所得」となり、所得金額が所得控除を超えないためです。
税金が発生しないので確定申告は不要ですが、確定申告をしない場合のデメリットも覚えていきましょう。

赤字の繰り越しができない

事前に青色申告をしていれば、赤字を繰り越すことができ、翌年の税額が減ります。確定申告をしないと赤字のうえに、翌年の節税ができません。

ローンが組みにくい

確定申告をしないということは、所得の証明ができないということなので、社会的信用が得にくくなります。よって、住宅や車のローンが組めないといったことが起こり得るのです。

国民健康保険料が高くなる

国民健康保険料は所得の額によって決まるので、確定申告をしないと所得不明扱いになり、一定額の高い保険料が適用されます。所得が低い場合、確定申告をした方が保険料が安くすみます。
事業所得が少なく申告の義務はなくとも、確定申告をしたほうが得だといえるでしょう。

源泉徴収票は従業員のためにしっかり作ろう

このように源泉徴収をすることは、とても重要なことなのです。雇っている従業員には個人事業主としての責任があります。また、信頼関係を築くうえでも大切な作業の一つなのです。
日ごろから帳簿や領収書の管理を徹底し、税務調査で内容説明がスムーズにできるよう心がけましょう。計算や決まりごとで、複雑な作業に感じるかもしれませんが、そこは会計ソフトなどを使い解決するのもおすすめです。しっかり正しく源泉徴収票を交付することで、従業員の税金を間違いなく納めることが大事です。
 

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