契約社員の雇い止めは失業保険にどう影響するのか。無期雇用転換とは

April, 01, 2018

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雇い止めに対する不安を無くそう

契約社員として働いているとつきまとう悩みが、「次も契約を更新してもらえるだろうか」ということ。
契約を更新してもらえなかった場合、次の仕事がすぐに見つかるわけではありません。
また、仮に見つかったとしても新しい職場・仕事に慣れるのは大変なことです。

同じ就業先で長く勤められるのが一番。
多くの契約社員が更新を続けてほしいと考えます。
そんな契約社員にとって「会社が契約社員を雇うのを止めること」、つまり「雇い止め」されることはとても大きな問題です。

契約社員の雇用状況について法律でどう定められているのかを知り、雇い止めに対する不安を無くしていきましょう。

雇い止めの場合の失業保険はどうなる

会社を退職した場合は、ハローワークで申請すれば失業保険がもらえます。
仮に雇い止めになったとき、きちんと失業保険はもらえるのでしょうか。
雇い止めされた場合の失業保険について学びましょう。

雇用保険の離職理由が重要

失業保険は、大雑把にいうと「自己都合退職」か「会社都合退職」かによってお金をもらえる期間や金額に変化があります。
自己都合退職・会社都合退職の違いがどう決まるかというと、仕事を辞めた理由。
これは正社員でも契約社員でも同じです。

正社員の場合は、自分から辞めるといったら自己都合退職に、会社からクビをいい渡されたら会社都合退職です。
契約社員の場合は、契約社員からの更新しないは自己都合、会社からの更新拒否は会社都合と判断されます。
しかし、自分から辞めるといった場合でも、職場でのいじめが原因だったり、勤務時間や賃金が労働契約したものと異なることが原因だと、会社都合退職になります。

会社都合なら特定受給資格者に

仮に会社都合で仕事を辞めた場合は、失業保険の特定受給資格者となれます。
特定受給資格者は、「給付制限はなく給付日数優遇措置あり」という優遇のもとに失業保険を受け取れます。
3カ月の給付制限がないため、仕事を辞めたあと、比較的すぐに失業保険を受け取れるように。
また、給付日数優遇措置で失業保険を少し長めに受け取れます。

この優遇の差で、一般受給資格者と特定受給資格者では給付日数が最大2倍にもなるといわれます。
失業保険を申し出た場合には、離職理由が実際の理由と合っているか確認するとよいでしょう。

契約社員の産休は雇い止め理由になるのか

「正社員ではないけれど子供が産まれたから産休をとりたい」という場合、契約社員はどうすればいいでしょうか。
産休を申し出て、「働けないなら契約更新はもうしません」といわれる可能性はあるのでしょうか。
契約社員が産休を申し出た場合、産休が雇い止めの理由になるのかについて、知識をつけていきましょう。

産前産後休業は法律で付与が認められている

産前産後休業は契約社員でも利用できる制度です。
男女雇用機会均等法9条では、女性労働者が産前産後休業の取得などを理由に解雇や不利益な取扱をしてはいけないと定められています。
つまり、会社は産休を理由に雇い止めをしてはいけないのです。

また、平成29年1月に育児・介護休業法の改正が行われ、契約社員が育児休業を取るための条件が以前よりも少し優しくなりました。
契約社員であっても、堂々と産休を求める権利があります。
雇い止めを恐れず、産休の権利を主張していきましょう。

契約社員の育児休業には条件がある

産休の申し出があったら会社は条件なく認める必要がありますが、育児休業は誰でも取れるわけではありません。
育児休業を取るためには一定の条件を満たす必要があります。

契約社員の場合は、「入社してから1年以上経過していること」「子が1歳6カ月に達する日までに労働契約が満了することが明らかではない者」という条件があります。
そのため、入社半年の人だったり、1年以上勤めていても子供が1歳3カ月のときに辞めると決まっている人などは育児休業はとれません。
育児休業を取りたいときには、自分の就業期間などをきちんと確認しましょう。

契約社員の雇い止めが無効になるケース

もし「もう契約更新はしません」と会社から雇い止めされてしまった場合、それが不当な理由だったときは無効になるときもあります。
どういったケースに雇い止めが無効になるのか知識を身に付けて、自分の身を守れるようになりましょう。

雇い止めの予告が無い場合

会社側が契約社員を雇い止めする場合、早めに本人に予告しましょうと法律で定められています。
「明日から労働契約は取りやめます」と突然いわれたら誰だって困ってしまうもの。
そこで法律では、「会社は契約満了の日の30日前までに予告しなければならない」と決められています。

ただし、「契約が合計3回以上更新」「契約期間が1年を超える」または「契約期間が1年以下で繰り返し更新し最初の契約から合計1年を超える」契約社員について定められたものです。
この条件に当てはまっており、30日前までに予告がなかった場合は雇い止めを無効にできます。

契約更新を繰り返した場合の雇い止め

契約更新を3回、4回と繰り返していると「今回も更新してくれるだろう」と期待してしまいませんか?
始めに契約するときに契約の更新回数や年数の制限を設けていれば別ですが、大体の人が更新を繰り返せば長期契約への期待を高めてしまいます。

制限を設けずに契約更新をしていて、突然「もう契約の更新はできません」というのは解雇にも近い扱い。
契約社員の期待を保護するため、こういった解雇に近い雇い止めは無効を主張できます。
実際に、過去には雇い止め無効の判例も出ています。

合理的理由が無ければ雇い止めは認められない

契約社員の雇い止めが無効になるケースもある通り、会社が雇い止めをするには合理的理由が必要です。
会社の不合理な扱いから、法律はきちんと契約社員を守っています。
合理的理由が無ければ雇い止めは認められないので、雇い止め理由が不当だと感じた場合はきちんと主張しましょう。
ときには専門家に相談する勇気も必要です。

契約社員の無期転換ルールとは何か

不合理な雇い止めの無効で契約社員を守ると同時に、「無期転換ルール」によって契約社員の雇用を安定させる決まりを国は作っています。
無期転換ルールとはいつから利用でき、利用するとどう変わるのでしょうか。

有期労働契約から無期労働契約へ

無期転換ルールを利用すると、有期から無期へ、つまり契約期間が定められている契約社員から契約期間が定められていない社員へ変われます。
契約期間の定めがなくなれば更新せずにずっと勤務を続けられるので、雇い止めの不安から解放されることに。
契約社員でありながら安定性を得られます。
無期転換ルールを利用するには同じ就業先に5年超えて勤めており、更新回数1回以上である必要があります。

申し込み期限は契約期間の初日から末日

「同じ就業先に5年以上勤めたし、無期転換したい」となった場合にはいつから申し込めるのでしょうか。
申し込みできる期間は、「有期労働契約期間の初日から末日まで」と決まっています。
つまり、働いている間はいつでも申し込むことが可能。
勤務6年目の初日から申し込めます。
5年以上勤めるという条件を満たせばいつでも申し込めるのはとても有り難いもの。
6年目のときでも7年目のときでも、自分が無期雇用に変えたいと思ったタイミングで申し込みましょう。

無期雇用転換する際の注意点

いざ無期雇用を申し込んだものの、会社側と食い違いがあると後々に問題が起こってしまいます。
会社と問題が起こるのは避けたいもの。
注意したい点をきちんと把握しておけば、円滑な無期雇用への転換・雇用継続ができます。

トラブル回避の為に書面で申し込もう

「契約社員として同じ就業先に5年以上働いた。
では無期雇用転換を申し込もう」と私たちが申し込んだ場合、会社は断れません。
私たち契約社員が申し込めば、それだけで無期労働契約が成立します。
法律上は口頭での申込みでも有効ですが、何か起きたときに記録が何もないと問題になる可能性が。

トラブルを避けるために、無期雇用転換の申し込みは書面で申し込むべきです。
申込書を渡して受理通知書を受け取り、きちんと無期雇用転換を申し込んだ記録を残しておきましょう。

正社員を意味しているわけではない

よく勘違いされるのが、無期雇用=正社員という勘違いです。
無期雇用転勘換が成立して、「やった。
正社員になれたぞ」というのは大きな間違い。
「労働契約は何月何日まで」という労働契約期間の定めがなくなるだけなので、実は契約社員という立ち位置は変わりません。
何か問題が起こらなければ、更新をせずとも定年まで働くことができる契約社員になれたということです。

しかし、会社の方で別途決まりがあれば、正社員の立場になれたり、待遇が改善されることもあります。
無期雇用転換を申し出るときに、会社と条件に変化はあるのか確かめる必要があるでしょう。

雇い止めが増える可能性も

無期転換ルールは、労働契約法が改正された2013年から施行されました。
「同じ就業先で5年以上勤める」という条件は、2013年改正時からカウントされます。
早い人は有期労働契約が2018年で勤務期間が5年に達することに。
そのため、2018年4月からは無期雇用転換ルールを利用して無期雇用契約社員になる人が大勢出て来るでしょう。

会社側で無期用転換を申し込まれたくない場合、有期契約が5年に達する前に契約更新をやめてしまおうとなる可能性も。
無期雇用転換を防ぐための雇い止めは無効にできるかもしれません。
もし無期雇用転換を防ぐために雇い止めされた場合は、都道府県労働局雇用環境均等部(室)に相談しましょう。

不当な雇い止めで困ったら専門家に相談しよう

雇用期間に定めのある契約社員にとって、契約の更新はとても大きな問題。
「次も更新してもらえるだろうか」といつだって不安なもの。
会社の業績が悪くなり雇用が終わってしまう可能性だってあります。
また、「産休・育休を取りたいけれど、それを理由に雇い止めになったら困るなあ」なんて考えてしまう人もいるのではないでしょうか。

産休・育休は契約社員でも取得できるれっきとした制度です。
不当な雇い止めは無効にできたケースも実際にあるので、産休・育休などの持っている権利はきちんと利用しましょう。
もし不当な雇い止めにあって困ったときは、一人で悩まずに専門家に相談することが大切です。

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