医療費控除対象の「介護保険サービス」|種類と申請に必要なもの

March, 05, 2018

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介護保険サービスで医療費控除を利用する

確定申告などで申請することができる医療費控除の対象となっているのは、通院や入院、薬代など、病院に係る費用だけが対象と思われがちですが、介護保険サービスの利用に係る費用も、医療費控除の対象として認められています。
ただし、すべての介護保険サービスが医療費控除の対象となるわけではありません。

どのような介護保険サービスが医療費控除の対象とされているのか、また、医療費控除の対象とならない介護サービスにはどのようなものがあるかを把握しておくことが重要です。
介護保険サービスを継続利用している場合には、金銭的な負担も大きくなります。
医療費控除の対象となるものがないかを確認し、申請できるものがあれば、手続きをとりましょう。

洗顔するときのポイント

医療費控除対象となる介護保険サービス

介護サービスで療養上の世話に相当する部分

介護保険制度の下で、介護サービス事業者から居宅サービスや介護予防サービスの提供を受ける場合、療養上の世話に相当する部分の対価は、医療費控除の対象となります。
療養上の世話に相当する部分には、次のようなものが挙げられます。

・訪問看護

・介護予防訪問看護

・訪問リハビリテーション

・介護予防訪問リハビリテーション

・居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】

・介護予防居宅療養管理指導

・通所リハビリテーション【医療機関でのデイサービス】

・介護予防通所リハビリテーション

・短期入所療養介護【ショートステイ】

・介護予防短期入所療養介護

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る。

・生活援助中心型の訪問介護の部分を除く複合型サービス(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるものに限る。

なお、上記の居宅サービス以外に、指定介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設を利用する費用も医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象となる金額は、指定介護老人福祉施設(特養)の場合、施設サービス利用料(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する額、介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設の場合には、施設サービス利用料(介護費、食費及び居住費)として支払った額となります。

先述の部分と併せて利用した時の居宅サービス

先述した療養上の世話に相当する部分と併せて利用する場合にのみ、医療費控除の対象となる居宅サービスもあります。
具体的には次のようなケースが挙げられます。

・生活援助中心型を除く訪問介護【ホームヘルプサービス】

・夜間対応型訪問介護

・介護予防訪問介護(※2018年3月末まで)

・訪問入浴介護

・介護予防訪問入浴介護

・通所介護【デイサービス】

・地域密着型通所介護(※2016年4月1日より)

・認知症対応型通所介護

・小規模多機能型居宅介護

・介護予防通所介護(※2018年3月末まで)

・介護予防認知症対応型通所介護

・介護予防小規模多機能型居宅介護

・短期入所生活介護【ショートステイ】

・介護予防短期入所生活介護

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所に限る。)

・生活援助中心型の訪問介護の部分を除く複合型サービス(先述した療養上の世話に相当する部分に含まれない組合せにより提供されるものに限る。)

・生活援助中心のサービスを除く地域支援事業の訪問型サービス

・生活援助中心のサービスを除く地域支援事業の通所型サービス

医療費控除にならない介護保険サービス

生活援助中心型の訪問介護

訪問介護のなかでも、生活援助を中心とした訪問介護は、医療費控除の対象とはならないので注意が必要です。
生活援助とは、介護を受ける人が何らかの理由で家事を行なうことができない場合において、身の回りの世話などの日常生活をサポートするサービスです。
具体的には、調理や配膳などの食事の準備、洗濯や掃除、買い物の代行などの家事の援助が挙げられます。

認知症高齢者のためのグループホーム

認知症高齢者のためのグループホームの利用料金は、医療費控除の対象ではありません。
認知症対応共同生活介護を実施するグループホームは、認知症の利用者を対象とした専門的なケアを提供する施設です。
利用者ができる限り自立して日常生活を送ることができるよう、日常生活の支援や機能訓練などのサービスを提供します。
また、要支援の認定を受けている人を対象とした介護予防認知症対応型共同生活介護を実施しているグループホームも医療費控除の対象とはならないので注意しましょう。

特定施設入居者生活介護などの有料老人ホーム

特定施設入居者生活介護などを実施している有料老人ホームの利用料も医療費控除の対象とはなりません。
地域密着型の特定施設入居者生活介護は、利用者ができる限り自立して日常生活を送ることができるよう、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練などのサービスです。
サービスを提供する施設には、指定を受けた入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームなどがあります。

福祉用具および介護予防福祉用具の貸与

厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具には次のようなものが挙げられます。
これらの貸与に係る費用は、医療費控除の対象にはなりません。

・車いす

・車いす付属品

・特殊寝台

・特殊寝台付属品

・床ずれ防止用具

・体位変換器

・手すり

・スロープ

・歩行器

・歩行補助つえ

・認知性老人徘徊感知機器

・つり具の部分を除く移動用リフト

・自動排泄処理装置

地域支援事業の訪問型および通所型のサービス

地域支援事業の一環として実施される訪問型や通所型の生活支援サービスのなかでも、調理や掃除などの生活援助を中心としたサービスは医療費控除の対象とはなりません。
生活援助を中心としたサービスは、家事代行として利用されるケースもあるため、介護との切り分けが難しいという問題を抱えています。
そのため、医療費控除の対象となるのは、生活援助を中心としたサービスを除く地域支援事業の訪問型及び通所型のサービスです。
サービスを利用する際にはどちらに該当するかを確認しておきましょう。

医療費控除申請に必要なもの

指定居宅サービス事業者の発行した領収書

居宅サービスや介護予防サービスの提供を受けている場合、医療費控除の申請には、居宅サービス等を提供する事業者で都道府県知事が指定した指定居宅サービス事業者等が発行した領収書が必要となります。
領収書は、居宅サービス計画又は介護予防サービス計画を作成した事業者名が記載されたもので、医療費控除の対象となる医療費の金額が記載されている必要があります。

施設へ通う際に支払う交通費

施設利用料だけでなく、施設へ通うために支払う交通費も医療費控除の対象となります。
具体的には、通所リハビリテーションや短期入所療養介護を受けるため、介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設へ通う際に支払う費用で、通常必要なものが医療費控除の対象として認められています。

電車やバスなど、金額が明確な公共交通機関を利用する場合には領収書は不要ですが、施設に通った履歴と照合することができるよう、いついくら支払ったかを一覧にまとめておきましょう。
公共交通機関を利用することができず、やむを得ずタクシーを利用した場合には領収書が必要となります。
タクシーを下車する際に、必ず領収書を受領しましょう。
また、自家用車と使用した場合のガソリン代や駐車場台は医療費控除の対象外なので注意しましょう。

おむつ代

傷病によって、おおむね6カ月以上寝たきりの状態が続いていて、医師からおむつを使う必要があると認められている場合には、おむつ代が医療費控除の対象として認められます。
おむつ代を医療費控除の対象として申請する場合には、おむつを購入した際に発行されるおむつ代の領収書と、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要となります。

また、おむつ代で医療費控除を受けるのが2年目以降の場合で、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
どちらのケースでも、おむつを使用する必要があると認められていることが証明できる書類が必要となるので、寝たきりに該当する場合で、医師からのおむつ使用証明書を受け取らずにおむつを使用している場合には、医師に相談してみましょう。

介護保険の医療費控除額の計算方法

所得200万円以上は対象医療費から10万円引いた金額

医療費控除を申請する年の総所得金額が200万円以上の場合、医療費控除の対象となる金額は、次の計算式で算出できます。

計算式:実際に支払った医療費の合計額 – 10万円

つまり、医療費として支払った金額が10万円に満たない場合は、医療費控除の申請はできません。
これは病院への通院等で発生した医療費にも、介護保険サービスにかかった費用にも共通した条件です。

総所得金額が200万円未満の場合は、次の計算式で算出します。

計算式:実際に支払った医療費の合計額ー総所得金額の5%の金額

医療費控除は、納税者自身もしくは納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、控除を受けることができる制度です。
同一生計の親族のなかに所得がある人が複数存在する場合には、誰の確定申告のときに申請すると控除額が大きくなるかをシミュレーションしてみることをおすすめします。

保険金や払い戻された分は差し引く

保険金で補填された金額や、払い戻しがあった金額については、医療費控除の対象とはなりません。
払い戻しの対象となるのは、介護サービスを利用する際に、1ヵ月の利用者負担限度額として定められた金額を超えて支払った高額介護サービス費の部分です。
保険金からの補填や、高額介護サービス費としての払い戻しがあった場合には、実際に支払った医療費の金額から差し引いて計算することになります。

ただし、保険金等で補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。
給付の目的となった医療費の金額から引き切れない場合でも、他の医療費から差し引くことはできないので注意しましょう。

介護保険サービスは医療費控除を活用しよう

高齢化が進み、介護保険サービスの利用者も増加しています。
その一方で、介護保険サービスが医療費控除の対象となるということを知らずに申告していないというケースも多々あります。
医療費控除の対象となるのは、介護サービスの施設利用料だけではありません。
、施設に通う交通費やおむつ代など介護にかかる諸経費も含めると、思った以上に高額な費用を支払っていることがあります。

まずは自身や親族が受けている、もしくはこれから受ける介護保険サービスが医療費控除の対象に該当するかを確認してみましょう。
該当する場合には、介護にかかる費用を一覧にまとめ、領収書などとともに必要書類をそろえておくことで、申告時にあわてずに手続きすることができます。
医療費控除を活用して、少しでも費用の負担を軽減しましょう。

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