遺留分減殺請求について知ろう。最低限相続できる分は請求できる

遺留分減殺請求について知ろう。最低限相続できる分は請求できる

ビジネス 2018.03.05

遺言書の内容に不満がある

父や母が亡くなり悲しみに暮れる中、葬儀や初七日、役所への届け出に四十九日法要と、時間だけが過ぎていきます。しかし、遺産相続についての話し合いを忘れてはいけません。そのためには遺言書の有無を確認しなければなりません。

しかし遺言書はあるものの、あなたを除く兄弟姉妹で遺産を分けるようにと書かれていた場合、あなたはその遺言の内容に納得できますか。遺言に書かれていることだからとあきらめますか。

実は定められた法定相続人には最低限の遺産を確保できることが民法に定められていて、これを遺留分と呼んでいます。遺言書の内容に不満がある場合には、この遺留分について請求できる場合があるのです。

 

遺留分減殺請求について

遺留分減殺請求は「いりゅうぶんげんさいせいきゅう」と読みます。一部の法定相続人には相続できる最低限の割合が定められており、少ない場合には請求できるのです。

遺留分とはなにか

法定相続人は民法の規定によって、相続財産を受け継ぐことができる割合が決められており、この割合のことを法定相続分といいます。遺言書が無い場合などには、この法定相続分で遺産を分割します。配偶者と子どもが法定相続人の場合、配偶者が50%、子どもが残りの50%を人数で均等に分割するのはよく知られています。

しかし、遺言書に相続遺産の分配の割合が書かれていれば、それに従うことになるのですが、あなたへの遺産が全くないと書かれていれば納得できないでしょう。遺言書にいくら遺産は渡さないと書かれていても、法定相続人には最低限相続できる持ち分が決められており、これを遺留分とよんでいます。

遺留分減殺請求とはなにか

遺留分とは法定相続人に認められた最低限相続できる持ち分のことだと説明しました。しかし、遺言書によってまったく遺産をもらえなかったり、遺留分より少ない遺産しかもらえなかった場合に、法定相続分以上に遺産をもらった人に対して、遺留分に相当する遺産を請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。

簡単にいえば、たくさん遺産を引き継いだ人にその遺産の一部を請求し、最低限もらえるはずだった遺産を取り戻すための請求ということです。

遺留分減殺請求ができる人

まず法定相続人についてみていきます。配偶者は常に相続人であると規定されており、配偶者に次ぐ順位として第一順位に子ども、その子どもが死亡している場合は子や孫。第二順位は直系の父母や祖父母ですが、第一順位に該当する人が誰もいない場合のみです。そして第三順位には死亡した人の兄弟姉妹となっていますが、こちらも第二順位の人が誰もいない場合に限られます。

遺留分減殺請求ができる人は、当然遺留分が認められている人です。民法1028条には、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分が認められるとなっています。ですので、被相続人の兄弟姉妹は該当しませんし、元々法定相続人ではない甥姪は含まれません。また相続放棄をした人や相続欠格者は相続人としても認められないため、遺留分権利者にもなれません。

請求期限はあるのか

遺留分減殺請求には特別な方法というものがなく、相手と直接話し合って請求する方法と、調停や訴訟による請求の方法があります。請求の方法以上に注意していただきたいのが、遺留分減殺請求には時効があるということです。

相続の協議が開始されたときや、減殺できる遺産や遺贈があることを知ったときから一年間で時効を迎えます。遺贈とは遺言書によって法定相続人以外に遺産を譲ることです。全体でどのくらいの遺産があり、自分の遺留分を計算して、もらった遺産が遺留分より少なければ早めに請求することが必要です。

公正証書遺言がある場合

公正証書とは公証役場において作られる公文書で、証明力が高い書類です。この書類を作る公証人は裁判官・検察官・法務局長などを長年務めた人から法務大臣の任命で選ばれます。公証役場において公証人によって作成される遺言書を公正証書遺言といい、自筆の遺言書と違って無効になりにくという特徴があります。

その公正証書遺言に、あなた以外に遺産を譲ると書かれていた場合にはどうなるのでしょうか。たとえ公正証書遺言であっても、遺留分請求は権利として存在しているので、遺留分減殺請求を行うことはできるのです。

遺留分の計算方法

遺留分は法定相続分に比べて少なく、最低限相続できる持ち分を定めたものです。ここではその遺留分の計算方法を見てみましょう。

遺留分の計算方法

遺留分の計算方法も民法1028条に規定されています。

1.直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の1/3

2.その他の場合は被相続人の財産の1/2

被相続人とは遺産を遺して亡くなった方をいい、直系尊属とは亡くなった方の父母や祖父母のことをいいます。被相続人の財産とは遺産のすべてのことをいい、相続を受けることができる権利者全員分の遺産を足したものです。

そして1/3や1/2が表すのは、法定相続分の1/3や1/2を表し、すべての遺産の1/3や1/2が遺留分という意味ではありません。

計算の具体例

では、具体的な遺留分の計算の仕方を見ていきましょう。

法定相続人が配偶者と子どもの場合

法定相続分は配偶者が1/2、子どもは二人以上のときは全員で1/2。

遺留分は「その他の場合は被相続人の財産の1/2」なので、配偶者は1/4、子どもは一人あたり1/8となります。

法定相続人が配偶者と直系尊属の場合

法定相続分は配偶者は2/3、直系尊属は二人以上のときは全員で1/3。

配偶者の遺留分は「その他の場合は被相続人の財産の1/2」なので1/3に、直系尊属は「直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の1/3」なので、二人以上のときは全員で1/6になります。

配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合

法定相続分は配偶者が3/4、兄弟姉妹は二人以上のときは全員で1/4。

配偶者の遺留分は「その他の場合は被相続人の財産の1/2」なので3/8に、兄弟姉妹は遺留分が認められていないので0となります。

 

遺留分減殺請求のやり方と手順

ここまで見てきたように、相続には遺留分というものが設定されており、遺留分より少ない遺産しか譲り受けていない場合には、遺留分減殺請求によって請求することができます。その方法などを見ていきます。

遺留分減殺請求することを通知する

遺留分を請求するときに、ごく普通に話し合いで解決できればよいのですが、現実にはなかなかそうはいきません。そこで裁判によらない遺留分請求としては、遺留分減殺請求書を作成し、配達証明付きの内容証明郵便で郵送します。遺留分減殺請求書は遺留分の返還の意思表示となります。内容証明郵便で送るのは、あとで受け取っていないといったトラブルを回避できるためです。

交渉や調停をする

遺留分減殺請求書を内容証明郵便で郵送したあと、相手方と交渉に移ります。交渉によって遺留分請求が解決できれば、合意書や遺産分割協議書を作成して遺留分の支払いについて書面化しておきます。

また家庭裁判所の「遺留分減殺による物件返還請求調停」を利用する方法もあります。裁判所で行うといっても調停ですので、話し合いによる解決を目指すものです。遺留分減殺請求は事件ではありませんので、話し合いによる決着がみられないときには、裁判所に訴訟を起こすことになります。

訴訟をする

遺留分減殺請求の訴訟は家庭裁判所ではなく、地方裁判所の民事訴訟として行われます。さすがに裁判となると法律の知識が必要ですので、弁護士に依頼することになるでしょう。訴訟自体に必要な費用はあまり高くはありませんが、弁護士費用は着手金と報酬金などが必要になります。

行使できる権利は利用していきましょう

遺言書に書かれた遺産の配分方法に納得ができず、調停や訴訟に発展することも多いです。遺産は遺言書に書かれた通りにしか承継できないのではなく、遺留分といって最低限もらえる遺産の割合も規定されているのです。ですので、たとえ遺言書に一円ももらえないようなことが書かれていたとしても、権利として遺留分減殺請求ができるのですから活用しましょう。ただし時効までの期間が一年と短い点には注意しましょう。また、公正証書遺言であっても同様に遺留分を請求できます。

できれば訴訟ではなく話し合いで解決したいところですが、現実にはなかなか難しく調停や裁判になることも多いようです。しかし遺留分は権利として認められているものなのですから、きちんと利用して請求していきましょう。

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この記事のライター UKANO 編集部

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