遺留分の割合。相続人との関係や計算方法を確認しよう

遺留分の割合。相続人との関係や計算方法を確認しよう

ビジネス 2018.03.05

遺留分の割合はどうなっているのか

相続財産は被相続人が自由に処分することができ、原則的に遺言によって相続割合も自由に決定することができますが、遺留分制度により、被相続人の兄弟(姉妹)以外の相続人については一定割合の相続財産を取得する権利(遺留分権)が保証されます。さて、この遺留分の割合はどのように決まるのでしょうか。順を追ってみていきましょう。

遺留分とは何か

遺留分の割合を確認する前に、まずは遺留分の内容について確認していきましょう。

遺留分の対象となる財産

遺留分の対象となる財産を「基礎財産」といいます。基礎財産民法第1029条で以下のように規定されています。

『相続開始時の財産(被相続人死亡時の財産)+贈与財産-債務』

なお、上記でいう贈与財産とは被相続人の生前の贈与分のことをいいます。ただし、この生前の贈与分には民法第1030条により以下のとおり一定の範囲が定められています。

『贈与は被相続人死亡前、1年以内のものに限り遺留分の対象とする』

つまり、1年以上前になされた贈与については遺留分の対象財産とならないという趣旨です。すべての生前贈与を遺留分減殺請求の対象としてしまうと、法律関係が不安定になるため、このようなルールが設けられているのです。

故人の遺言よりも優先される

遺留分とは相続人に一定の相続財産を保証する制度ですが、これは相続人の最低限生活を保証するための制度です。そして、原則的には遺言など、被相続人の意思により相続財産の分配割合を決定することができますが、この遺留分は被相続人の遺言より優先されることが特徴といえます。相続人同士のいざこざが行らないよう遺言作成については当初より遺留分を考慮し検討しておくべきでしょう。

一定割合の受取りが保証されている相続財産

遺留分により被相続人の兄弟姉妹以外の相続人については一定割合の相続財産の受け取りが保証されています。例えば、子と配偶者が相続人の場合は子が4分の1、配偶者が4分の1となり、父母と配偶者が相続人となる場合は、配偶者が3分の1、父母が6分の1というように決まった割合で配分されます。

遺留分を侵しての遺贈がなされた場合、遺留分を侵された相続人は遺留分減殺請求権を行使し、最低限の財産の返還を請求することができます。

遺留分を相続できる人とその割合

遺留分により相続できる人の範囲とどのような場合にどのような割合で相続財産が分配されるのかを詳しくみていきましょう。なお、この相続割合は民法第1028条に定められています。

配偶者と子どもや孫

配偶者や子、孫、曾孫が相続人に含まれる場合については、遺留分の全体割合は遺産の2分の1がとなります。例えば、配偶者のみの場合や子どものみの場合はどちらか一方に2分の1が配分され、また、配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どもそれぞれで4分の1ずつの配分となります。なお、子どもが複数人いる場合にはそれぞれ均等の額が配分されることとなります。

直系尊属のみ

直系尊属とは父、母、祖父母、曾祖父母のことをいいますが、配偶者や子どもがおらず、直系尊属のみの場合には全体割合は遺産の3分の1となります。なお、優先順位は父母、祖父母、曾祖父母の順となります。

例えば、父、母ともに存命の場合には父母にそれぞれ6分の1ずつ分配され、どちらか一方のみが存命の場合には一方に3分の1が分配されることとなります。

兄弟姉妹は対象外

被相続人の兄弟姉妹については遺留分の対象外であり、割合は0になります。兄弟姉妹に遺留分権が認められていないのは、相続関係が一番遠いことや代襲相続(本来相続人となるべき相続するものが相続開始前に死亡していた場合に、その子ども達が相続する制度)があることなどが理由として考えられています。なお、遺産相続においては兄弟姉妹も対象となります。

遺留分の請求するときの注意点

遺留分を請求する際にはさまざまな留意点があります。損をしないためもしっかり確認しましょう。

遺留分を請求する方法

遺留分を侵された相続人は、遺留分を侵害している相続人や遺産を受領した者に対し、最低限度の遺産に対する取り分を請求する遺留分減殺請求権を行使することできます。遺留分減殺請求の際には特別な手続きは必要ありません。減殺請求を裁判所に委託することも可能であり、また、裁判外での相手方との直接交渉によっても請求が可能です。

遺留分減殺請求の具体的な流れは以下のとおりです。

1.遺言の内容確認、相続人、相続財産調査

遺留分減殺請求を行う前に、遺留分がどれくらいあるのかをまず確定させます。相続人については戸籍を取り寄せることで把握します。

2.遺産が何かを確定させる

どの資産が相続財産に当たるか、争いがある場合に、まずは遺産が何かを確定させます。

3.遺留分減殺請求の通知を出す

通常は遺留分減殺請求の相手方に対して、遺留分減殺請求の通知を行います。配達証明付きの内容証明郵便で請求すると、消滅時効が絡む際に争いやすくなります。

4.相手方と交渉

遺留分の侵害を行っている人との交渉を実施します。弁護士が間に入るとスムーズに進捗する場合が多いです。

5.合意書取り交わし

相手方との交渉により、話がまとまれば、後日の紛争を防ぐため合意書を交わします。公証役場で公正証書にしてもらうと確実です。

6.裁判所を通じて遺留分減殺請求を行う

相手方との交渉がまとまらなければ、裁判手続きを通じ、遺留分減殺請求を行います。なお、いきなり訴訟を提起するのでなく、まず、家庭裁判所で調停をすることが原則となっています。

7.遺留分減殺請求訴訟

調停で話がつかなかった場合には地方裁判所に訴状を提出して訴えを提起します。判決が不服な場合には不服申立てを行います。

遺留分の放棄できる

遺留分は遺留分権利者に認められた権利です。よって、原則的にいえば自ら権利を放棄することも可能という理屈になります。ただし、遺留分の放棄を無制限に認めると、被相続人が相続人に対して、遺留分放棄の強要をするというような状況が起こってしまう可能性があります。

上記懸念の下、民法では相続開始前(被相続人が亡くなる前)の遺留分の放棄は家庭裁判所(被相続人となるべき人の住所地を管轄する家庭裁判所)の許可がないとできないと定め、遺留分権利者でも相続開始前には遺留分の放棄を行えないよう制限を設けています。

つまり、遺留分権利者の単独の意思表示+家庭裁判所の許可を要することになります。

なお、遺留分放棄の際は家庭裁判所に遺留分放棄許可審判の申し立てを行うことになります。家庭裁判所は遺留分放棄が遺留分権利者の自由意志に基づくものか、遺留分放棄をする必要性があるかなどを考慮し、許可するかどうかを決定することとなります。

遺留分の時効がある

遺留分が侵害された場合に行う遺留分減殺請求権には期限があり、その内容は民法第1042条に定められています。

まず、遺留分減殺請求権は遺留分権利者が相続開始及び減殺すべき贈与や遺贈を知ったときから1年で時効によって消滅します。

もう一つは、相続開始などの事実を何も知らない場合でも、相続開始から10年を経過した場合に遺留分減殺請求権が消滅すると規定されています。これは除斥期間であると考えられています。

なお、遺留分減殺請求権は形成権(単独の意思表示のみによって効果を生じさせることのできる権利)ですので、10年の期間内に1回でも請求権を行使すれば、除斥期間で権利が消滅することはなくなります。

遺留分減殺をおこなう順序

遺留分の減殺について、異なる処分行為が2つ以上ある場合には減殺順序に従わなくてはいけません。まず、遺留分の減殺は遺贈から行われます。そしてこの遺贈を減殺しても遺留分の侵害額の回復が足りない場合、初めて贈与が減殺されることとなります。

そしてもう1点。遺言や相続分の指定、遺産分割方法の指定が行われた場合には、遺贈と同列で減殺の対象になります。

次に、生前贈与や死因贈与が複数ある場合の減殺順序ですが、この場合には贈与契約の先後で判断され、新しい方の贈与から順に減殺していくこととなります(同日付の複数贈与は原則的に案分して減殺されます)。なお、不動産の贈与については契約時を基準にして先後を判断します(登記時でないことに注意が必要です)。

遺留分の計算はややこしいので注意しよう

前述のとおり、遺留分の計算は非常に理解するのが難しいです。遺留分により相続できる人の範囲や相続人の性質によって遺留分の割合がどのように違ってくるのかなど、もし自分自身が遺留分を侵害される立場になった場合には注意が必要です。

具体的な手続きもありますので、そのような場合にはただちに周辺の弁護士や司法書士に相談してみるとよいでしょう。

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この記事のライター UKANO 編集部

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