個人年金は必要か。老後の収入と生活費について確認しましょう

February, 09, 2018

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老後の備えに個人年金は必要か

現在、公的年金制度が整備されており65歳より老齢年金を受給することができます。
ただし、将来受給できる年金は少子高齢化などの影響で減少する可能性があり、別途個人的に将来のための積み立てができる個人年金保険が注目されています。

さて、そもそも個人年金保険が老後のために有用である投資商品なのか確認することが必要です。

老後資金としての個人年金の必要性

個人年金は公的年金の不足部分を補う上乗せ分の準備の意味合いで加入するものであり、自助努力による老後資金の準備といえます。
老後に必要な生活費の把握および受給できる年金の額を把握するなど、今後のライフプランシミュレーションの必要性を把握しましょう。

その結果将来の備えの必要性を把握するともに、他の資産運用方法も知ることで、老後のために一体どの投資商品が魅力的であるのか、ご自身に適しているのかを確認していく必要があります。

老後の収入と必要な生活費

老後に必要な生活費

公益財団法人生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、老後に必要な生活費について、夫婦2人で老後生活を営む上で必要と考えられている「最低日常生活費」は月額で22.3万円という結果がでています。
また、逆に経済的にゆとりある老後生活を送れると考えられている「ゆとりある生活費」は36.6万円という結果がでました。

老後の収入金額

次に老後の収入金額ですが、「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータを参考に確認していきます。
まず、国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は5万5千円と報告されています。
ただし、支給限度額は6万5千円ですので、最高で約6万5千円の受給が可能です。

続いて、厚生年金については夫婦の標準月額は約23万円となっています。
また、高齢夫婦世帯での平均実収入(すべての収入から税金や社会保険料を引いた額)は約18万円となっています。

個人年金のメリットとデメリット

確実に貯金できる

貯金といえば銀行への預金ですが、預金は簡単におろせてしまうため貯蓄を継続できないリスクがあります。
しかし、個人年金保険は一定の期間積立をしないと元本割れになりますので、積立を継続しないといけない心理になることから、より確実に貯金することができます。
自動的に毎月預金から引き落とされるようにしておくとなお、その効果は強まるでしょう。

万が一の場合の保障がある

個人年金保険は基本的に毎月一定額を積み立て、その積立資金を保険会社が運用し、一定の年齢に達したときより年金として保険金を受け取れる制度ですが、被保険者が死亡したときには今まで積み立ててきた保険料払い込み相当額を死亡保険金として受け取ることができます。
このような万一のときの保障もあるので安心して積立することができます。

税金の控除が受けられる

以下の要件を満たした場合は、個人年金保険で支払った保険料は生命保険料控除において、一般の生命保険料控除とは別に個人年金保険料控除の対象となります。

1.年金受取人が契約者または配偶者

2.年金受取人が被保険者と同一

3.保険料の払込期間が10年以上

4.確定年金か有期年金の場合は、年金受け取り開始日の被保険者が60才以上で、年金受け取り期間が10年以上

途中解約は元本割れする

個人年金は保険料払込期間の途中で解約が可能であり、今まで積み立ててきた金額の一定割合を解約返戻金として受け取ることができます。
ただし、一度解約すると将来の年金受取はできなくなります。

解約返戻金は多くの場合、実際に払い込んだ金額より低くなります。
特に保険加入後2~3年度に解約してしまうと元本割れの割合は著しいです。
平均して加入後10年程度経過していれば、元本の9割が戻ってくる場合が多いです。

保険会社が破綻する可能性もある

保険会社が破綻してしまった場合には、今まで積み立ててきた保険料がすべて無に帰することにはなりません。
その場合は生命保険契約者保護機構の救済があります。

具体的には保険会社が破綻した時点の補償対象契約の責任準備金の90%までが補償されることとなります。
なお、責任準備金とは保険会社が保険業法に基づき、保険料の中から積み立てているお金のことをいいます。
この責任準備金は多くの場合解約返戻金の額を上回ります。

インフレに弱い

インフレとは物価上昇のことで、貨幣価値が下がることをいいます。
個人年金保険の契約時に既に受け取る金額は決まっています。
保険料の払込期間は長期になることが多いですが、その間にインフレにより貨幣価値が下がることが想定できます。
例えば100万円契約通り年金を受け取ったとしても、物価上昇により100万円の価値が75万円まで下がっていた場合、75%まで年金の受取額が減ることとなります。

個人年金への加入

個人年金をおすすめできるケース

個人年金保険をおすすめできるケースは以下のとおりです。

1.資金に余裕があること

個人年金保険に加入する場合、毎月積立金が必要です。
毎月の給与からみると無視できる金額ではありません。
途中で解約すると元本割れする可能性もありますので、比較的資金に余裕があり、毎月確実に積立が可能な方におすすめします。

2.リスク資産を避けたい場合

老後の資金を貯蓄するためには、個人年金以外にも株式や投資信託など多くの投資商品があります。
ただし、個人年金については、長期間きっちり保険料を支払えば元本以上の金額を受け取ることできるので、投資のリスクが少ないことがメリットです。

3.確実に貯金したい場合

銀行預金などとは違い、長期間の保険料支払いを実行しなければ解約元本割れとなる可能性が高いです。
その心理もあり、長期間確実に貯金できます。

個人年金が不要なケース

個人年金が不要なケースは以下の3ケースです。

1.公的年金で十分な年金支給を受けられる場合

夫婦で十分な公的年金が受け取れることが確実である場合は、個人年金加入は入る必要性がありません。
ただし、さらに余裕のある老後生活を送りたい場合には個人年金も検討の余地があります。

2.既に潤沢な資産を保有している場合

預金や株式など他の資産運用により既に老後の生活に足る、潤沢な資産を形成されている場合は加入の必要性はありません。

3.将来大幅なインフレになることが予想される場合

インフレが起これば、将来受け取ることができる年金額が大きく目減りします。
今後インフレになることを予想されている方は加入すべきでないでしょう。

個人年金の確定申告

確定申告が必要な場合

個人年金の受取を開始した場合、確定申告が必要となります。
個人年金は通常雑所得として計上することとなります。
その他、確定申告が必要な場合として、会社の年末調整をしていないが、生命保険料控除を受ける場合が該当します。
通常の勤務者の場合は年末調整時に保険料控除を申請することで、所得税の一部が戻ってきくる場合がほとんどです。
自営業者の場合は必ず確定申告が必要ですので、その際に控除を受けます。

確定申告の方法

自営業者の方、サラリーマンの方で不備により年末調整ができなかった方は確定申告が必要です。
確定申告時に生命保険料控除を行う場合は、確定申告書A(税務署の所定の様式)、源泉徴収票(会社から渡される書類)、生命保険料控除証明書(毎年保険会社から11月頃送られてくる)が必要です。
確定申告書の所定欄に金額を記入し、上記証明書を添付します。
ただし、控除額には限度額が定められています。
以下のとおりですので確認してください。

1.新契約(平成24年1月1日以降に加入した保険)

控除の種類は「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3種類があります。
控除最高額はそれぞれ4万円(住民税は2万8,000円)で、合計12万円(住民税は8万4,000円)です。

2.旧契約(平成23年3月31日までに加入した保険)

控除の種類は「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類。
控除最高額はそれぞれ5万円(住民税は3万5,000円)で、合計10万円(住民税は7万円)です。

なお、新・旧の両方の保険に加入している場合、それぞれの制度で控除額を計算します。
合計12万円(住民税は8万4,000円)が限度額になります。

老後に備える方法の1つとして個人年金を検討してみよう

個人年金には継続して貯金を行う確実性があることや、投資商品として安全性があることなど老後の資産形成にとってメリットが多い反面、インフレの場合には将来受け取る金額が目減りするというデメリットもあります。
老後の資産形成の方法は個人年金だけではありませんので、他の投資商品と比較し、1つの選択肢として加入を検討してみましょう。

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