転職時の確定拠出年金の取り扱い方とは。6カ月以内に手続きを

February, 09, 2018

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会社で企業型確定拠出年金に加入の人は転職時に手続きが必要

確定拠出年金の制度が導入されたのは2001年です。
平成29年の10月の段階で企業型確定拠出年金の加入者が641万人であり、個人型確定拠出年金の加入者は第1、2、3号加入者を合わせ68万人となっており、年々増加傾向にあります。
世に認知度が増す中で、法改正も繰り返し行われ制度の仕組みが変わり、複雑化してきていると言えます。

確定拠出年金には個人型と企業型があるのですが、企業型確定拠出年金を使っていた方が転職する場合にポイントを絞り、やっておくべきことや注意点についてみていきましょう。

【参考URL:https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/nenkin/suii/suii03.html

【参考URL:https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/files/dc_toukei_2016.pdf

転職時の確定拠出年金の移管方法

転職先の担当者に確定拠出年金への加入を申し出る

前職場で企業型の確定拠出年金に加入していた方は、転職先に企業型確定拠出年金の有無を確認しましょう。
これは確定拠出年金法において企業型確定拠出年金を導入していない職場に転職した場合に、個人型確定拠出年金(iDeCo)に切り替えが必要です。
もし転職先に企業型確定拠出年金が導入されていれば、そちらに乗り換える旨を早々に担当者に伝えて滞りが無いようにしましょう。

【参考URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html

個人型確定拠出年金に資産を移す

反対に、転職先が企業型確定拠出年金を導入していない場合はどうしたらよいでしょうか。
その場合は、そのまま放っておくことが一番危険です。
これも確定拠出年金法によると個人型確定拠出年金へ移管する手続きを行うようにと決められています。

転職先に企業型確定拠出年金が導入されていないことが分かった段階で、個人型確定拠出年金へ移管をするよう動き出す必要があります。
個人型確定拠出年金に加入できる運営管理機関(金融機関)に申請を行うことで移管手続きが行えます。

資産を運用する運用指図者になる

転職して個人型確定拠出年金に移管したけれど、諸事情により掛け金を拠出できなくなった場合は解約するしかないのでしょうか。
これに関しては、解約しなくとも資格喪失届を提出することで掛け金を拠出せずに金融商品の運用のみを続けることができます。
これを運用指図者と呼びます。
逆に、運用指図者から加入者(掛け金を拠出できる状態)に戻りたいときも所定の手続きを踏めば可能となります。

ポータビリティ制度を利用する

企業型確定拠出年金を転職する場合、次の職場に企業型確定拠出年金の導入の有無についてあげましたが、それが一般企業への転職の場合ではなく、公務員や専業主婦になる場合には話が変わってきます。
これらは2017年の1月までは個人型確定拠出年金への移管が出来なかったために、個人年金運用指揮者と呼ばれる位置づけになっていました。

現在では、公務員・専業主婦においても個人型確定拠出年金へ移管することが出来るようになりましたので、前職での確定拠出年金を個人型確定拠出年金へ移すことができます。
このように資金を次の場へ持ち運びできることをポータビリティ制度と呼びます。

転職時に確定拠出年金を解約する場合の注意点

脱退一時金の請求には厳しい条件ある

転職時に確定拠出年金を解約したからと言って、今まで拠出してきた金額を受けとることは安易にはできません。
あくまで年金を資産として運用するので、公的年金などと同じ考えになります。
脱退一時金を受け取れる条件としては個人型と企業型により違いがあります。

個人型の場合、国民年金保険料の納付を免除、確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない、通算拠出期間が3年以下、または個人別管理資産が25万円以下、企業型又は個人型確定拠出年金の資格を最後に喪失した日から2年以内、企業型確定拠出年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していない、という5つが条件となります。

企業型の場合、個人別管理資産が15,000円以下の場合、企業型年金加入者、企業型運用指図者、個人型年金加入者、個人型年金運用指図者でないこと。
これに加えて、資格を喪失した次の月から6カ月以内に手続きを行わなければなりません。
以上の条件が整うことで、今まで掛け金として拠出してきた金額を脱退一時金という形で受け取ることができます。

税制の優遇が受けられなくなる

確定拠出年金に拠出した掛け金は、所得控除の対象になります。
年末調整などで納付した税金を所得と掛金により還付することが可能です。
確定拠出年金ではこの運用益が非課税となります(金融商品で運用している際は課税)。

このように確定拠出年金で拠出した掛け金については、所得控除や非課税といった税制の優遇があります。
解約した際の一時所得(脱退一時金)は、他所得と合計し納税額が決まります(課税が発生)。
本来どれだけの税制が受けられているかは以下のURLに記載があります。

【参考URL:https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/tax/】

解約の手続きには締め切りがある

確定拠出年金は原則として60歳までは解約することができませんが、転職などにより確定拠出年金の資格を失うことで解約と呼べる形になります。
資格喪失して脱退一時金を受け取りたいと考えている場合において重要となるのが6カ月以内という期間です。

これは、個人別管理資産が15000円以下、そして企業型年金加入者・企業型運用指図者・個人型年金加入者・個人型年金運用指図者ではないこと、この条件を満たすことで脱退一時金を受け取る資格を得られます。
この条件を解約した次の月から6カ月以内に申請しなければなりません。

転職時に確定拠出年金を放置した場合のデメリット

国民年金基金に自動移管されてしまう

転職した際には企業型確定拠出年金を個人型確定拠出年金へ移管する手続きを6カ月間以内に行わなければならないとお話ししました。
では、6カ月を過ぎるとどうなるのでしょうか。

積み立ててきた金額は、国民基金連合会に自動的に移されてしまいますので注意が必要です。
国民基金連合会は特定運営管理機関に業務を委託する形をとります。
特定運営管理機関の役割としては、自動移換者の氏名や住所等の記録管理、脱退一時金や死亡一時金の請求にかかる事務、企業型年金や個人型年金への資産移換にかかる事務、自動移換者からの問合わせの窓口などがあります。
つまりは、「あなたの資産を管理してあげますよ」ということなのですが、預かってもらうので金銭が発生します。

【参考URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/un-eikanri.html

60歳以降に年金が受け取れなくなる

転職等で確定拠出年金を脱退し一時金の受け取りなどを済まさずに放置した場合には、注意が必要です。
前述したように6カ月を経過すると国民基金連合会に自動移管されてしまいます。
後に述べますが、この際には手数料も発生してしまいます。
その中でも特に注意しなければならないことがあります。
国民基金連合会に自動移管されている期間は確定拠出年金の加入期間とは見なされないのです。

これの問題としては、確定拠出年金への加入期間が10年未満だと、最大で5年間の支給先送りになる可能性があります。
つまりは、60歳でお金が受け取れず、最大で65歳まで年金がもらえないという事態に陥りやすいので、加入期間の確認はしっかりと行う必要があります。
この加入期間は一つの職場での加入年数ではなく、転職先に企業型確定拠出年金がある場合でも合算して計算することができます。

手数料がかかってしまう

脱退一時金の金額の求め方は、個人別年金資産額から手数料を差し引いた額になります。
個人別年金資産額とは、脱退一時金の金額が確定次第決まります。
手数料としては振込手数料があり432円と設定されている事が多いです。

また、6カ月を経過し自動移管されている方などは、管轄の国民年金基金連合会が関わる場合は、「裁定手数料及び振込手数料」として4,104円の費用がかかってしまいます。
移換してさらに4カ月目以降から毎月51円の管理手数料が引かれます。
せっかく貯めた資産を自動管理費用ということで徴収されてしまいますので、期間内に移管するのも出費を抑える手立てと言えるでしょう。

確定拠出年金の転職手続きは忘れずに行おう

拠出して将来の為に運用していた大切な資金が、手続きの滞りにより、かえって損をしてしまう場合があります。
企業型確定拠出年金に加入している方の中で、転職を検討されている方は、転職先で移管が可能なのかを確認するようにしましょう。

また、それが出来ない場合には、個人型確定拠出年金へ6カ月以内に移管するなどの対応を忘れずに行いましょう。
今ではインターネット上に加入診断を審査してくれるサイトや、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金に移管する際にどの金融機関へ依頼すれば良いのかといった情報も載っていますので確認してみるのも良いでしょう。

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