実は退職金にも税金がかかることを知っていましたか?
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税金の控除もある
退職金は会社を辞めた際に支給される給料ですので、当面の生活や転職などにかかる生活費を保証してくれるものです。
長年の勤労に対する報奨金という名目があることから、一般の所得とは分離されており各種税金が優遇されています。
しかし、だからといって油断していると、余分に税金を払うことにもなりかねないので、退職金にかかる税金についての知識をしっかりと持っておきましょう。
また、退職金は退職に際して労働者に支払われる給料ではありますが、会社によっては支払われないこともありますので、契約の際には退職金の条件などはきちんと把握されていたほうがいいでしょう。
退職金の税金について
退職金にも税金がかかるのですが、具体的にどのように各種税金を払うことになるのでしょうか。
退職金の税金の確定申告や手続き方法など、受給を受ける前に確認しておきましょう。
退職金にかかる税金
退職金から退職所得控除額を差し引いた後の50%が課税退職所得金額となり、住民税、所得税及び復興特別所得税などの各種税金を支払うようになっています。
長年の勤労に対する報奨的給与という側面から、退職所得控除を設けたり他の所得と分離して課税されるなど、一般的に税負担が軽くなるように設計されています。
所定の手続きをしていれば支払うときに源泉徴収または特別徴収されるので、別途確定申告をする必要がありません。
退職時にもらう退職一時金
退職金には退職一時金と退職年金という2種類が存在し、それぞれ税法上の取扱いがちがういます。
退職一時金は一般的に退職金や退職手当と呼ばれるものであり、一度のまとめてもらうタイプの退職金です。
企業年金や中小企業退職金共済など分割で受け取るものから、一部や全部をうけとるまで全てに当てはまります。
税法上は「退職所得」として所得税で優遇されるので、課税所得がすくなくなり税負担をかるくすることが可能になっています。
退職年金の扱い
退職年金は税法上では「雑所得」として扱われるので、公正年金などの雑所得として申告し所得税と住民税を納付することになります。
老齢基礎年金や老齢厚生年金などと合算して申告されることになるので、退職一時金をうけとるときのように「退職所得控除」が適用されず、課税所得が多くなる傾向があります。
所得に分類されるので前年度の所得がベースとなる国民健康保険税や介護保険税などの各種税金も納付しなければなりません。
累進課税制度をとっている日本では退職年金が多い方ほど、税金や保険税の負担が増えることになります。
建て替えも含まれる
退職金には勤務していた企業が倒産した場合に国に建て替えてもらった未払い賃金も含まれるので、課税対象となる退職金の額を計算するときに忘れないようにしなくてはなりません。
国の建て替え制度は労働者の生活を守るための制度ですが、未払い賃金の8割が上限と決められているので本来もらえるお金よりも少なくなります。
実際は別途もらえる退職金が考慮されて支給上限がさらに下がることが多くなります。
若ければ若いほど上限カットが顕著になるので、納得いかない方も多いと思いますが未払い賃金の建て替え分は退職金として税金をしはらう必要があります。
分離課税の方式をとっている
退職金は長年の勤労の褒美と老後の生活の保障という側面があるので、「退職所得」として扱われ税法上の優遇を受けています。
一般的な所得とはちがい「退職所得控除」や「1/2控除」が適用され、実際の課税所得が少なくなるように設定されています。
退職所得の受給に関する申告を行う
退職所得は支払いの時に源泉徴収や特別徴収が行われる源泉分離課税が適用されるので、確定申告の必要はありませんが「退職所得の需給に関する申告」を行わなければ、「退職控除」や「1/2控除」という退職所得特有の恩恵をうけることができずに、退職金額に対して一律で20.42%の源泉所得税率が適用されるので注意が必要です。
例えば勤続年数30年で、退職金2,000万円の場合、きちんと手続きをしたときは課税所得500万円に所得税率20%となりますが、提出しなければ2,000万円に所得税率20.42%がかかってくることになります。
源泉徴収と確定申告
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合は、分離課税制度のメリットを受けることができないので、課税所得がふえ余計な税金を支払うことになります。
それだけではなく源泉分離課税制度が適用されないので、退職所得の確定申告を受給者本人がすることにもなります。
確定申告を自分でやるくらいならまだよいですが、数百万円の税金を余計に払う可能性があることを考えると、「退職所得の受給に関する申告書」はしっかりと提出しておいた方がよさそうです。
税金や控除の計算方法
退職金の税金は勤務年数や金額によって変わってきます。
所得税や住民税の計算は比較的かんたんに行うことができるので、この機会に確認しておきましょう。
控除額は勤続年数によって変わる
退職控除の額は勤続年数によってきめられており、勤続年数が20年以下の場合「40万円×勤続年数」(80万円に満たない場合は80万円として計算)で計算されます。
退職金が900万円で勤続年数が15年とすると、退職控除額は40万円×20年=800万円となります。
勤続年数が20年を基準にして退職控除額も上がっていくので、退職する時期を考える指標にもなるでしょう。
勤続年数が20年を超える場合の控除額
勤続年数が20年をこえる場合の退職控除額は、「800万円+70万円(勤続年数-20年)」という式で求められます。
勤続年数が20年を超えるようになると、税法上のメリットを多く受けられるようになっています。
例えば、退職金額が1,000万円で勤続年数が20年なら退職所得控除額は800万円となり、勤続年数が30年なら退職所得控除額も1,500万円となり課税されることはありません。
また、勤続年数にかかわらず障碍者となったことが原因の退職には、通常の控除額に100万円を加えたものが適用されています。
退職所得金額の計算方法
退職所得金額の計算方法は退職金額に「退職所得控除」と「1/2控除」を適用させたものになります。
(退職金の総額-退職所得控除額) × 2分の1 = 退職所得金額(課税される金額)という式に当てはめることで、退職金にかかる課税所得を算出していきます。
例えば、退職金が1,000万円で勤続年数が30年の場合は、(1,000万円-870万円)×2分の1=65万円が退職所得金額となります。
所得税の計算式
所得税は「課税退職所得金額×税率-控除額=所得税」という式で算出されています。
退職所得金額に応じて異なる税率が適用されており、退職金が多いほど高い税率がかけられています。
例えば、前述のように退職所得金額(課税される金額)が65万円の場合は、所得税率5%・控除額0円が適用されて、約3.25万円の所得税額を支払うことになります。
住民税の計算の仕方
住民税の場合は所得税のときのような計算が必要なく、課税所得に一律10%の税率を適用すればかんたんに算出できます「課税退職所得×10%」。
内訳は都民税(県民税)4%、区市町村税税(市民税)6%になっており、それぞれ合算された値が適用されているわけです。
退職金にも税金がかかるので注意しよう
退職金は基本的に支払い時に源泉徴収されるので確定申告の必要はありませんが、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないときや年間の所得額が少ない場合は、確定申告することで還付される場合があります。
きちんと手続きをすることで、退職金の分離課税というメリットを活用することができるので、申告書を出しておいた方がいいのはもちろんですが、やむを得ない事情がある場合などは状況に応じて節税対策をすることも必要です。
定年退職を除いて、退職金は次のステップに進むためにも重要な資産となりますので、税金対策はしておくべきです。
過不足なく税務処理するためにも、会社任せではなく自分でも計算できるようにしておくといいでしょう。
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