パイロットの年収はどれくらい?高収入の事情と操縦士を目指すには
パイロットは高収入
航空機や戦闘機、ヘリコプターなどいろいろなところで活躍しているパイロット。
パイロットの年収は高いとよく聞きますが実際には、どうなのでしょうか?
近年では、大手航空会社だけではなく、低コスト化を図った格安航空会社も参入してきています。
そういった航空会社でもパイロットの年収は変わらないのでしょうか?
パイロットの年収についてと、パイロットになるための方法を詳しくご案内します。
パイロットを志している人は、チェックしてパイロットについて詳しくなりましょう。
パイロットについて
一言でパイロットといってもさまざまです。
まずは、パイロットのことについて知ることが大切です。
働き方を大きく3つに分けることができる
パイロットとは、航空機に乗り操縦する人のことをいいます。
航空機を使用する機関の種類は大きく分けて3つ。
災害時に最前線にいる自衛隊や消防などの公的機関、JALやANAなどのように旅客や貨物を運ぶための航空会社、テレビや新聞社の報道のパイロットや農薬散布・物資輸送などさまざまな目的で使用される民間会社の3つです。
それぞれ、使用される目的や操縦する航空機の種類も違います。
パイロットを目指す人は、どんな航空機に乗りたいのかで方向性が変わってくるでしょう。
機長と副操縦士からなるパイロットの役職
航空機を操縦するには、航空法で2人の操縦士が乗ることが義務付けられています。
最高責任者・管理者である機長と機長の補佐・機長業務の代行を行う副操縦士です。
まず最初に、パイロットとして乗務するには、副操縦士を目指すことになります。
副操縦士になるためには、筆記・面接・心理適性検査・管理職面接・飛行適性検査など多くのテストに合格しなければなりません。
副操縦士を経て、機長へと昇進していくのです。
パイロットとして乗務するには、たくさんの経験や知識が必要です。
そのため、副操縦士になるまでに最低5年、機長になるのに平均約15年かかるといわれています。
平均年収は約1,530万円
パイロットの平均年収は、航空会社によってもばらつきはありますが、ボーナス込みの給与として平均1,530万円ほどとなります。
各会社の有価証券報告書などにて、パイロットの年間平均給与を確認することができます。
航空会社の大手2社では、平均2,000万円前後と平均よりも年収は高くなります。
JALの平成30年度ではパイロットの年間平均給与は2,086万円と報告されています。
やはり、パイロットの年収は高い傾向にあることが分かりますね。
会社の規模で年収が大きく違う
会社によってばらつきのある年収ですが、それは会社の規模で大きく変わってくるようです。
厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、従業員数10~99名の企業では年収823万円、100~999名の企業では年収1090万円、1,000名以上の企業では年収1,721万円というデータがあります。
やはり、大手航空会社の年収が高いといえるでしょう。
【参考:統計で見る日本】
ランクごとに平均年収が大きく違う
役職によっても年収が変わってきます。
機長、副操縦士ではパスしなければならない試験や経験が異なるので、年収が変わるのは必然なことです。
機長平均年収2300万円、副操縦士平均年収1500万円と、800万円ほどの違いがあります。
しかし、国際線と国内線では、年収の違いはあまりないようです。
パイロットの教官の年収は約400~800万円
JALパイロット養成所の場合のパイロットの教官の年収は、400~800万円ほどです。
パイロットのライセンスを「技能証明」といいますが、この資格だけでは、教官として教えることはできません。
多くの教官は、「操縦教育証明」というライセンスを持つことになります。
教官には座学の教官、シミュレーターを教える教官、実機の教官などがあります。
シミュレーターや実機で教える教官は、主に会社から指名された機長操縦士が教官訓練を受けて指導するようになります。
パイロット時代よりも年収が下がってしまうことになるでしょう。
他の職業と比較して特に年収が高いパイロット
賃金構造基本統計調査による職業別収入ランキングでは、パイロットは1位となっています。
2位は医師で平均年収1,154万円、3位は大学教授の平均年収1,074万円。
パイロットが圧倒的に高い年収であることが分かります。
医師や大学教授は、大学を卒業し資格を取得すればなれる可能性がありますが、パイロットについては大学を卒業しただけでは、就職することができません。
大学卒業後もパイロットとなるための試験や学校に入学する必要があります。
なぜパイロットの年収は高いのか
年収が高いのにはそれなりの理由があります。
ここでは、パイロットの年収が高くなる理由を解説します。
パイロットの仕事の重大さ
飛行機を操縦して、大空を飛ぶことのできるパイロットの仕事。
小さな子供のうちから憧れる職業でもあります。
その反面、航空機は多くの乗客の命を預かる仕事となります。
ベテランのパイロットであっても、常にプレッシャーや緊張感との闘いとです。
何かトラブルが起こった場合は、瞬時に判断を下し対応しなければなりません。
少しのミスも犯すことができないのです。
それだけ、重大な役割を担っているといえます。
また、そんなミスの無い瞬時の判断をするためには、操縦している航空機の現況を把握するため、機体の速度や距離、周囲の気温や気圧、そのほかにもさまざまな数字を見ながら、航空機を操縦しなければならないのです。
それだけ、素早い計算や機転が利く必要があります。
パイロットの参入障壁は極めて高い
医者や弁護士のように試験に合格すればパイロットになれるわけではありません。
パイロットとして航空機に乗務するには、飛行訓練が必要となります。
操縦士の受験資格には、21歳以上・野外飛行・夜間飛行・計器飛行などの定められた飛行時間の経験が必須なのです。
しかしながら、飛行訓練ができる機関が圧倒的に少ないのです。
そのため入学するのに採用枠が少なく困難となっています。
大学を卒業すればなれるわけではないので、それ以上の費用や時間、労力を費やさなければならない、難しい職業といえます。
勤務状況が不規則
飛行機の時間に合わせて交代制で働くため、勤務時間、勤務日が不規則となります。
国内線では、1日に3便程度のフライトを行います。
国際線では、1日1便が基本となり長時間フライトの場合は、交代要員も一緒に乗ります。
1カ月当たりの勤務日数や1日当たりのフライト数、乗務時間は厳密に定められているので、過剰な労働となることはありません。
これは、旅客や貨物を安全に運ぶために、航空法にて定められています。
重要な要素の航空身体検査
航空大学の受験時や航空会社の自社養成パイロットの採用試験などで行われている、「航空身体検査」。
安全な航空業務の遂行を行うために心身の状態を確認する検査です。
この検査は、全世界のパイロットに義務付けられており、国によって検査内容や基準は違います。
日本では、国土交通省の管轄で定めています。
目の検査、平衡感覚、心電図、血液などさまざまな検査項目があります。
それらすべての基準をクリアすると「航空身体検査証明」という証明がもらえます。
この証明は有効期間があり、パイロットとして仕事を続けるには、定期的に検査を受ける必要があります。
航空会社が増えたから
今や格安航空会社の参入により、路線や運行数が増え、飛行機を利用する人の選択肢が増えて需要も高まっています。
それに伴って、パイロットの需要が高まったことで、平均年収が高騰したと考えられます。
パイロットになるためには一定の基準をクリアする必要があり参入が厳しいため、パイロットの養成に限りがあることも要因の1つでしょう。
深刻なパイロット不足
ピーチ・アビエーションやバニラ・エアでは、パイロット不足のために運休が相次ぐ状態となっています。
国土交通省では、2022年に必要なパイロットの人数を6,700~7,300人としています。
ところが、現状では5,700人ほどとかなりの人数で足りていません。
なかでも機長が足らなくなることが懸念されています。
能力的に副操縦士のすべての人が機長になれるわけではありません。
航空機は機長と副操縦士の2人が乗務することになっているので、今後は機長がいないため、運航できないというケースも増えるかもしれません。
パイロットに憧れ就職を希望する人はたくさんいるのですが、教育機関が追い付いていないためにこのような事態が起こっています。
体力や健康面の問題
不規則な勤務状況、また勤務前でも体調管理を行わなければならないためフライトの前から仕事に入っているような状態といえるでしょう。
また、フライト中は高度1万メートル以上を飛行しているため、紫外線や気圧または放射線などの人体への影響も少なからず受けることになります。
健康状態を脅かされている過酷な環境での仕事となることも、収入の高さにつながると考えられます。
航空身体検査という、航空法で定められた基準をクリアしなければ航空機を操縦することができません。
航空身体検査は、一度受ければよいわけではなく、定期的に受けパスしなければならないので、現役のパイロットも体力や健康に人一倍気を使っています。
パイロットのなり方
では実際にパイロットを目指したときはどうすればよいのでしょうか?パイロットになるための方法を解説します。
パイロットになるための必要な資格を事前に確認
まず、パイロットになるために取得しなければならない資格があります。
- 定期運送用操縦士
- 准定期運送用操縦士
- 事業用操縦士
- 自家用操縦士
定期運送用操縦士は、主にJALやANAなどの航空会社の航空機を機長として操縦するのに必要な資格です。
准定期運送用操縦士は、航空会社の航空機を副操縦士として操縦するための資格で、2013年より新設されました。
事業用操縦士は、救急・消防・報道などに使用する航空機の操縦に必要です。
自家用操縦士は、自家用ジェット、ビジネスジェットなどを操縦するときに必要な資格です。
主に、無報酬での操縦となります。
一定程度の飛行経験が求められる
パイロットの受験資格の中には、定められた一定時間の飛行経験が必須となります。
飛行経験は日本では航空大学校や自衛隊や航空事業会社等でしか得ることが出来ません。
そのため、航空大学校や航空会社が運営しているパイロット養成所などに入学する必要があります。
自衛隊でも飛行経験は得られますが、協定により自衛隊退官後2年以内は民間航空会社は採用することができないので注意が必要です。
独立行政法人航空大学校を卒業すること
国が設立した唯一のパイロット養成機関です。
全寮制で、2年間でパイロットになるための知識と技能を修得することができます。
受験資格は、短期大学、高等専門学校、専修学校専門課程の卒業者または、卒業見込み者、4年制大学に2年以上在学して、決まった単位を修得した人です。
卒業後は、中小エアライン、格安航空会社、航空事業会社のパイロットなどに就職することが多いようです。
JALやANAなどの大手航空会社は、自社でパイロット養成所を運営しており、そこの卒業生を採用している傾向にあります。
大学卒業後の進路は各社のパイロット養成所を目指す
倍率が高く、狭き門の航空会社のパイロット養成所。
運営を行っている航空会社は、JAL、ANA、スカイマークなどです。
合格倍率は、どの航空会社でも100倍以上となっています。
受験資格は、4年生の大学卒か大学院卒で、卒業した学部は問いません。
自己アピールや適性試験など5次選考を受け、合格すれば入所することができます。
入所後は、まず地上業務を経験し、その次に副操縦士になるために飛行機の操縦技術を身につけていきます。
パイロット養成課程のある大学に進学
東海大学の航空宇宙学科航空操縦学専攻、法政大学の理工学部機械工学科航空操縦学専修、桜美林大学、神奈川工科大学、崇城大学などの大学に進学し、卒業後に航空会社に就職する方法もあります。
そういった大学に進学することで、在学中に航空機のライセンスを取得することができます。
ANAやJALがバックアップを行っている大学が多く、卒業後の就職も大手航空会社に進める可能性が高いといえます。
視力の問題をクリアする
パイロットになるためには、航空身体検査証明という資格が必要です。
航空法に全て定められているのですが、視力もその中にあります。
視力の検査は細かくあります。
一般的な目の検査を遠見視力といいますが、航空法での合格基準は、「裸眼で0.7以上および両眼で1.0以上」「各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡で0.7以上、両眼で1.0以上に矯正することができること」のどちらかに該当しなければなりません。
眼鏡をかけた場合の基準はさらに細かくなるので注意してください。
また、航空法で視力がクリアできたとしても、航空会社では会社ごとに定めている基準が違います。
自分が入社したい航空会社が決まっているなら、その会社の採用基準もチェックしておきましょう。
健康体を維持する
航空身体検査では、血圧やBMIの数値やアレルギー性鼻炎に関しても厳しい検査が行われます。
全ての項目に合格しなければ、航空機を操縦することはできません。
航空身体検査は、機長は半年ごと、副操縦士は1年ごとと定期的に受ける必要があり、検査項目に引っかかってしまうと、パイロットとして働けなくなってしまいます。
パイロットとして長く仕事を行うには、健康を維持しなければなりません。
自衛隊のパイロットについて
自衛隊のパイロットになるには、どうすればよいの解説いたします。
3つのコースがある
自衛隊のパイロットといえば、航空自衛隊。
主に、日本国の空である領空を守ったり、災害派遣や在外邦人の輸送など国民を守ったりするために働いている機関となります。
管轄は、防衛省です。
航空自衛隊で使用している飛行機は、「戦闘機」「輸送機」「救難機」の3種類。
本人の希望も考慮してくれるようですが、操縦や性格の適正なども考慮し決定します。
この決定は命令なので従わなければなりません。
「戦闘機」「輸送機」「救難機」、このコースの中でさらに飛行機の種類が複数あります。
訓練を受ける飛行機の種類によって、配属先が決まります。
高卒でもパイロットになれる
自衛隊のパイロットを目指したときに一番早くなれる可能性が高いのが、航空学生です。
早い時期から自衛隊のパイロットを目指せますが、高校卒業の18歳から20歳までの3年間しか受験資格がありません。
航空学生になったからといって、すぐに飛行訓練が出来るわけではないので注意してください。
入学して2年間は厳しい教育期間となります。
その教育期間を経て、自衛隊に入隊してから飛行訓練の開始です。
とにかくすぐにでも自衛隊のパイロットを目指したいと思っているなら、航空学生になるのがおすすすめです。
一般幹部候補生の飛行幹部候補生でなる
自衛隊の幹部候補を目指す人を養成する制度があります。
これは、一般の大学を卒業又は卒業見込みで自衛隊を受験することができます。
採用試験には、「一般幹部候補生」「歯科幹部候補生」「薬剤科幹部候補生」の3つのコースがあります。
大学で文系や理工系を学んでいた人が幹部候補を目指す場合は、一般幹部候補生で受験します。
この一般幹部候補生の募集区分のなかに、飛行幹部候補生という区分があり、パイロットを目指す人はこの区分で受験となります。
飛行幹部候補生として、合格すれば自衛隊のパイロットとして訓練を受けられるのです。
防衛大学校に入学する
自衛隊の幹部を養成する学校として、防衛大学校があります。
この大学に入学したからといってパイロットになれるわけではありません。
パイロットになるには、在学中に行われる適性試験に合格することが必要です。
自衛隊には、陸・海・空とありますが、1学年で希望と適性試験などによって要員が決定されます。
航空機に乗るためには、適性試験の中のパイロット適正に合格することが必須です。
合格していないと航空機に乗る職種に就けなくなります。
ただし、合格したからといって、必ずパイロットになれるわけではないので注意してください。
自衛隊や民間パイロットの年収
自衛隊や民間ヘリパイロットでは年収はどれくらいなのでしょうか?
防衛大出身の自衛隊のパイロットの場合
自衛隊は、国家公務員です。
なので、基本的には年功序列。
キャリアである防衛大学校出身のパイロットの年収は、25歳(3尉)で570万円、35歳(3佐)で年収900万円、40歳(2佐)で年収1,060万円ほどといわれています。
自衛隊で年収を多くもらうには、防衛大学校を卒業するのが近道となるでしょう。
しかし、入学倍率は高いので、入学するにはそれないの覚悟は必要です。
年収約550万円の民間会社のヘリパイロット
民間ヘリコプターとは、航空写真、遊覧飛行、テレビ中継、救急患者の搬送のドクターヘリなどといった場合に使用されます。
ヘリコプターの操縦資格を得るためには、1,000万円も掛かるといわれています。
しかし、民間会社では、公的機関や各社航空会社より年収が低くなってしまうようです。
パイロットは年収は高いがなるのが大変である
とても人気の高い職業のパイロット。
しかし、パイロットとして仕事をするのは簡単ではありません。
どんなパイロットになりたいかにより、進路は変わります。
複数の選択肢があり、航空会社、自衛隊など。
自分が目指すパイロットはどれでしょうか?
それぞれ、仕事内容も違いますが年収も大きく違います。
いずれにせよ、狭き門で入学、入所の競争率が高く、憧れのパイロットになるためには、人並み以上の努力が必要です。
もちろん、航空身体検査もパスしなければならないので、健康維持と体力強化、勉学に励んでパイロットへの夢を掴みましょう。
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