育児休業給付金には上限がある?支払い上限と計算方法や申請の注意点
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育児休業給付金の支給の「上限」がある
育児休業中は仕事ができない場合がほとんどであり、そのため収入が減ってしまいます。
そのような状況で助けになるのが育児休業給付金ですが、実はこの給付金には支給の上限が設定されています。
上限を知らずに計画を立ててしまえば、いざお金が必要になった際に困った状況に陥ってしまうでしょう。
正しく給付金の上限を知り、無理のない計画を立てて育休を迎えるようにしていきましょう。
育児休業給付金の上限金額について
それでは実際に育児休業給付金の上限について見ていきましょう。
育児休業給付金は、育休に入る前までの賃金をもとに支給額が決定されます。
この賃金に支給の上限額が設定されていますので、まずはそれを知り、具体的な計算方法なども見ていきましょう。
賃金月額の上限額は44万7,300円
育児休業給付金の額は、育児休業に入るまでの賃金の月額によって決まります。
具体的には、育休前の6か月間の額面月額給与を平均した金額が基準です。
休業前にもらっていた賃金が多ければ多いほど育児休業給付金も多くなりますが、実は基準となる賃金月額には上限額が決まっています。
この上限額は平成29年8月1日以後の支給対象者から変更となり、現在は44万7,300円です。
それまでの上限額から2万2,800円引き上げられました。
もし育休前6カ月間の月額給与平均が44万7,300円を超えていたとしても、上限である44万7,300円とみなされて計算されることになります。
支給率による上限額の変更
育児休業給付金の支給額は、育休前の賃金月額を基準にし、そこに支給率をかけることで決定されます。
現在この支給率は、育休開始から6カ月間は67%、6カ月経過後は50%となっています。
先述の通り、賃金月額の上限が決まっていますので、これに支給率をかけることで1か月間の支給額の上限を求めることが可能です。
平成29年8月1日以後の支給対象者の場合、賃金月額の上限が44万7,300円ですので、育休開始から6カ月間は67%の22万9,691円、6カ月経過後は50%の22万3,650円が上限となります。
この上限額は、上限額変更前の受給者と比べ、育休開始から6カ月間では15,276円、6カ月経過後では11,400円増額されています。
基本的な支給金額の計算方法
続いて基本的な支給金額の計算方法を見ていきましょう。
計算式は、【休業開始時の賃金日額×支給日数×支給率(6か月まで:67%、6か月経過後:50%)】です。
先ほどまでは賃金月額でお話をしてきましたが、実際の支給額を計算する際は日数で割って日額に直してください。
以上が基本ですが、育休中も賃金をもらっている場合には注意が必要です。
「育休中の賃金」が「育休前の賃金月額」の13%?80%に該当する場合、支給額は【育休前の賃金月額×80%?育休中の賃金】となります。
またもし、「育休中の賃金」が「育休前の賃金月額」の80%を超えていた場合、給付はされませんので注意しましょう。
上限額に定義される賃金について
給付額の基準となる、育休前の賃金月額ですが、これは額面月額給与となります。
手取りの給与ではなく額面の給与となりますので、基本給に残業代や交通費などが加算された、税金や保険料が引かれる前の金額ということです。
ただし、この賃金には賞与は含まれないことに注意してください。
手取りで計算してしまったり賞与を加えて計算してしまうと、誤った支給額を計算してしまうことになってしまいます。
毎月実際に振り込まれている金額ではなく、給与明細で確認するようにしましょう。
上限額の対象はおよそ年収500万円以上
賃金月額の上限は44万7,300円ですが、上限額以上の対象者は多いのでしょうか?賃金月額の上限を年額に換算すると、約537万円となります。
厚生労働省の統計調査によると、平成28年の平均給与は年収422万円、40?44歳の男性の場合でも平均563万円です。
これらの平均給与には賞与が含まれているため、賞与を差し引けば、ほとんどの場合で年額500万円未満となるでしょう。
以上から、賞与を差し引いた金額で上限額の対象者となる人はかなり限られる傾向があると言えます。
【参考:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2016.htm#a-01】
育児休業給付金の支給期間の延長について
育児休業給付金には、支給期間が決まっています。
しかし、この支給期間をどうしても伸ばしてもらいたいという場合もあるでしょう。
そのような際には、延長してもらえる可能性があります。
支給期間の延長の条件などについて、詳しく見ていきましょう。
平成29年10月より2歳まで延長可能に
育児休業給付金の支給期間については、延長が認められています。
延長するには条件がありますが、もし必要となった場合には延長することもできますので、延長についても知っておきましょう。
そもそも育児休業給付金の期間はお子様が1歳(一定条件の場合は1歳2カ月)になるまでとなっています。
しかし、もしこの期間を終えても給付が必要な場合、お子様が1歳6カ月になるまでの期間、延長して給付を受けることが可能です。
また平成29年10月から、お子様が1歳6カ月を迎えた後も必要と認められる場合、2歳になるまでさらに延長して給付を受けることが可能になりました。
延長条件について
それでは、育児休業給付金の支給期間が延長される条件について見ていきましょう。
まず1つ目のケースは、お子様が1歳もしくは1歳6か月になって以降、保育所などでの保育が必要な状況であるにも関わらず、実施されない場合です。
ただし前提として、認可された保育所などに申し込みを行っていなくてはなりません。
2つ目のケースは、お子様の養育に関わる配偶者が死亡、負傷、疾病などに該当する場合です。
この場合の配偶者とは、婚姻の届出の有無に関わらず、事実上の婚姻関係にあってお子様の養育を常時行う予定にあった人が該当します。
以上2つのケースのいずれかに該当する場合には延長が認められます。
育児休業給付金についての注意事項
育児給付金の上限額や支給期間の延長についてここまで紹介してきましたが、実はそれ以外にも注意すべきことがあります。
給付金の支給を受けるには申請が必要であり、それをしなければ給付金は支給されません。
ここからは給付金の申請について詳しく見ていきましょう。
育児休業給付金申請には期限がある
育児休業給付金の申請を行うときは、申請期間に期限があることにも気をつけておきましょう。
給付金は育児休業に入れば自動的にもらえる訳ではなく、申請が必要です。
また、申請期限を過ぎてしまえばもらえなくなってしまうので、注意しなくてはなりません。
育児休業給付金の申請は基本的に会社が行うことになっていますが、自分自身で行うことも可能です。
会社が行う場合、育児休業開始から10日以内にハローワークに申請書類を提出しなくてはなりません。
もし自分自身で申請する場合は、育児休業開始から4カ月後の末日までが申請書類の提出期限となります。
給付金の支給は申請から4カ月かかる
給付金が支給されるまでには時間がかかることにも注意が必要です。
申請してから実際に支給されるまでには4カ月かかりますので、その間は支給のない空白期間となってしまいます。
申請期限を守っていたとしても、申請が遅れれば遅れるほど支給開始が遅くなってしまうので気をつけましょう。
会社で申請する場合でも個人で申請する場合でも、早めに申請しておくに越したことはありません。
会社で申請する場合は、産休がスタートする1カ月前までには会社に対して申請しておくようにしましょう。
個人での申請は2カ月ごとの追加申請手続き
自分自身で申請を行う場合は、2カ月ごとに追加申請の手続きが必要な点も要注意です。
育児休業給付金は2カ月ごと支給されることになっており、次の2カ月の支給を受けるためには追加の申請が必要となるのです。
初回の申請手続をすれば期限一杯まで自動的に振り込まれる訳ではありませんので気をつけてください。
万が一2カ月ごとの申請を忘れてしまい、申告漏れとなってしまった場合、次の2カ月間は給付金が振り込まれなくなってしまう可能性があります。
給付があるのとないのとでは生活にとても大きな影響があるため、確実に給付を受けられるよう、追加申請手続きは確実に行うようにしましょう。
給付金を理解して収入減の準備と心構えをしよう
育休中は収入が減りますので、不安を抱えるのは当然のことです。
少しでも安心して育児に専念するためには、給付金について正しく理解し、準備しておくことが大切です。
給付金は育休前の給与を基準に計算されますが、上限金額が設定されていますので、その点も把握しておきましょう。
また、場合によっては給付期間の延長も可能です。
給付金の支給を受けるには申請が必要であり、申請の期限や支給開始までの空白期間、個人で申請する場合には追加申請などにも注意する必要があります。
事前に疑問点は解消し、心構えをしっかりした上で育児休業を迎えましょう。
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