【厚生年金の扶養の仕組みと手続き】知っておくべき基礎知識

July, 24, 2018

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厚生年金の扶養についての知識を向上させる

厚生年金の扶養に入るためには条件があり、誰もが扶養に入れるわけではありません。
扶養に入ることでさまざまなメリットがありますし、扶養に入っていても条件を満たしていれば働くこともできます。
メリットを受けつつ働くことができますので、世帯収入も伸ばしやすくなります。

しかし、条件から外れてしまえば、その時点でメリットは得られなくなりますし、すぐさま扶養から外されてしまいます。
厚生年金の扶養についての知識を深めて、扶養の条件や得られるメリットなど、詳しく知っていきましょう。

厚生年金の扶養の条件について

まず知っておきたいのが、厚生年金の扶養に入れる条件です。
扶養に入ることでさまざまなメリットが得られるものの、これは誰しもが受けられるものではありません。
扶養にはさまざまな条件があり、それを満たしていなければ扶養には入れませんので注意しましょう。

被扶養者となるためにはどんな条件が必要なのか、また扶養から外れてしまう条件は何なのかを正しく理解しておくことが大切です。

厚生年金加入者の配偶者であること

厚生年金の被扶養者となるためには、厚生年金加入者の配偶者であることが第一の条件です。
これは大前提となる部分ですので、この条件を満たしていなければ、厚生年金の扶養には入れません。

厚生年金に似ているものとして、健康保険の扶養がありますが、これは配偶者でなくても扶養に入ることができます。
健康保険の場合は配偶者以外でも扶養家族として認められ、社会保険料についての支払いは免除されます。

しかし、厚生年金の扶養に入っている場合は、社会保険料に加えて年金の保険料も免除されます。
健康保険の扶養と厚生年金の扶養の違いは、配偶者のみが年金部分まで優遇されるという点です。

配偶者は第3号被保険者となり扶養される

厚生年金の扶養に入った場合、配偶者は第3号被保険者となります。
これは社会保険の区分であり、被保険者はすべて第1号、2号、3号のどれかに分けられます。
第1号被保険者は国民年金のみに加入している人ですので、基本的には自営業、個人事業主などが該当します。

第2号被保険者は厚生年金、共済年金などに加入している人が該当し、厚生年金の扶養に入っているなら夫は第2号被保険者です。
第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者であり、扶養されている人のみがこれに該当します。

配偶者は年間年収130万円未満であること

厚生年金の扶養には所得による制限もあり、配偶者は年間年収130万円未満であることが、扶養される条件です。
130万円の壁という言葉を知っている人も多いかもしれませんが、これが社会保険上の扶養のボーダーとなっているものです。

年間年収が130万円を超えてしまうと、保険料や年金などを自身で支払わなければならないため、国民年金、あるいは厚生年金への加入が必要になります。
また、年間年収は認定日以降の年間の見込収入額ですので、12月など年の後半に認定された場合でも、その月だけで制限を越してしまう場合は、被扶養者としては認められません。

第3号保険者について

厚生年金の扶養への理解を深めるためには、第3号被保険者になることで受けられるメリットを知っておく必要があります。
第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者ですが、それは単なる区分上の分類であって、他の被保険者にはないメリットがたくさんあります。

これはいわば第3号被保険者だけのメリットであり、他の第1号、2号被保険者にはないものです。
第3号被保険者とはどのようなものなのか、扶養に入っていることでどんなメリットがあるのかを知っていきましょう。

毎月の年金保険料の支払いがない

第3号被保険者になるメリットとしては、毎月の年金保険料の支払いがないことが挙げられます。
厚生年金の被扶養者になっている場合は、自身での年金保険料の負担は免除されており、代わりに夫が厚生年金保険料を支払っています。

自身での支払いがないため、一人分の保険料が浮いていることになりますので、高い節税効果が期待されます。
そのため扶養に入ろうと思えば年間収入は低くなるものの、保険料が免除になるので、結果的にお得になる可能性が高いです。

国民年金基礎年金部分が免除されている

第3号被保険者の場合は年金保険料が免除されていますが、これはあくまで国民年金基礎年金部分のみの免除です。
夫は厚生年金に加入しているので、国民年金+厚生年金部分まで支払っていますが、被扶養者の妻は国民年金部分のみの支払いとして扱われます。

厚生年金の扶養に入っているからといって、厚生年金部分まで年金保険料が支払われているわけではありません。
もちろん、厚生年金部分を上乗せして支払う必要はありませんので、支払いが全く不要であることは覚えておきましょう。

将来の受給年金は国民年金のみ

第3号被保険者は国民年金の保険料は免除されていますが、将来的に年金を受け取ることは可能です。
ただし、免除されているのは国民年金部分のみですので、年金に関しても国民年金のみです。
夫の場合は国民年金と厚生年金の両方を支払っていることになりますので、妻よりも受給できる年金額は高いです。

しかし、夫は一人分の厚生年金を支払い、扶養の国民年金は厚生年金全体で負担していますので、妻の受給額は少ないとはいえ、お得であることは変わりません。

国民年金の仕組みについて

厚生年金の扶養について知るためには、国民年金についても理解が必要です。
国民年金と厚生年金は全くの別物ではなく、国民年金と厚生年金の二階建てになっています。
それぞれ密接に関係しているものですし、第3号被保険者の場合は国民年金にも大きく関わっていますので、年金の基礎部分はどのような仕組みなのかを知っておきましょう。

国民年金保険料は必ず加入するもの

国民年金は20歳~60歳の全ての人が加入するものであり、例外はありません。
20歳を超えれば学生であっても保険料の支払いが発生します。
ただし、学生の場合は支払いを延期にすることができますので、申請すれば保険料の支払いは社会人になるまで待ってもらえます。

保険料は一律で決まっている

国民年金の保険料は一律で決まっており、個人によって違っていることはありません。
ただし、年度ごとに変わりはしますので、常に一定額ではないことは覚えておきましょう平成30年は一律16,340円であり、これは年が変われば変更される可能性もあります。

厚生年金の仕組みについて

厚生年金は被扶養者にとってはもちろん、夫本人にも関係するものですし、正しい知識を身に付けておくことが大切です。
年金の仕組みはややこしいものも多いですが、きちんと理解しておけば得をすることも多いです。

厚生年金は会社員などが加入するもの

厚生年金は会社員などが加入するものであり、加入要件から国民年金とは違っています。
国民年金の場合は20~60歳までの全員が対象でしたが、厚生年金は会社員などに限られています。
そのため個人事業主の場合は国民年金のみの加入になります。
ただし、個人事業主も雇人が5人以上は厚生年金の加入になります。

4月~6月の給与と賞与で保険料率が決まる

厚生年金の保険料率は一律ではなく、個人差があります。
保険料率は4月~6月の給与と賞与で決まり、この期間の給与から1年間の見込収入を計算します。
そのため4月?6月で残業が多くなるなど、給与が増える要件があれば、保険料も増加しますので注意が必要です。

支払保険料は雇用主と本人が半分ずつ負担する

国民年金の場合は保険料は全額本人負担でしたが、厚生年金の場合は雇用主と本人で半分ずつの負担となります。
そのため支払っている金額の倍額が実際に支払っている保険料です。
厚生年金の場合は会社が半分負担してくれますので、保険料も安くなり、かつ受給できる年金額も増えます。

厚生年金は国民年金基礎年金に上乗せされる

日本の年金制度はいくつかの層に分けられています。
一番下には全国民が共通で加入している国民年金があり、これが年金額の基礎となります。
そこから人によって厚生年金や共済年金などにも加入し、保険料を支払いますので、最終的な支給額は全てを合計した金額に基づいて決定します。
厚生年金は人によって保険料が違ってくるので、受給額にも個人差が出ます。

年金受給額は国民年金より多い

厚生年金に加入している場合は、国民年金に厚生年金が上乗せされるため受給額は多いです。
厚生年金に加入しているということは、同時に国民年金にも加入していることになりますので、国民年金加入者よりも多くの保険料を支払っているということです。
国民年金と厚生年金の両方を支払っているので、将来的な受給額は国民年金だけを支払っている人よりも多くなります。

厚生年金の扶養の手続きについて

厚生年金の扶養に入れば年金保険料が免除されますし、さまざまなメリットがありますが、条件さえ満たしていれば自動的に扶養に入れるわけではありません。
扶養に入るためには条件を満たし、かつ申請をする必要があり、それができていなければ扶養には入れませんので注意しましょう。

手続きまで終えてようやく被扶養者として認められます。
扶養の手続きとしてはどんなものがあり、何が必要なのかを知っておきましょう。

夫の事業主経由で届出る

厚生年金の扶養は企業ごとに手続きが必要ですので、夫の事業主経由で届出をします。
夫の勤め先に被保険扶養者(異動)届を提出し、認定を受ければ被扶養者となります。
企業ごとに手続きが必要な理由としては、保険料に企業負担分があるからです。

そのため転職をすれば新しい企業でも手続きが必要になり、手続きをしていなければ被扶養者としては認められません。
手続きをしていなければ、第1号被保険者になりますので、自身で全額年金保険料の支払いが必要になるので注意しましょう。

手続きに必要な添付書類

厚生年金の扶養に入るためには、被保険扶養者(異動)届を提出しますが、提出時には他にも添付しなければならない書類があります。
扶養に入れるのは年間収入130万円以下の人のみですので、収入を確認するものが必要です。

手続きの時点で130万円を超えている場合は、扶養の認定がおりませんので注意しましょう。
また厚生年金の扶養は配偶者にのみ認められたものですので、配偶者である証明も必要です。
これらの書類がなければ手続き進められませんので、事前に用意しておきましょう。

雇用保険失業給付受給中の場合は注意

扶養というのは働いていない、あるいは働いていても収入が低い人を対象にしたものですが、雇用保険失業給付受給中の場合でも加入条件があるので注意です。
失業保険の金額は人によって異なりますが、基本日額が3,612円以上は扶養に入れません。

これは一人で生計を立てるのに十分な金額が支給されているとみなされるからです。
そのため基本日額が3,612円未満であれば、失業保険の給付中であっても扶養に入ることはできます。

厚生年金の扶養の知識は将来設計にも繋がる

厚生年金の扶養は条件などややこしい部分も多いですが、きちんと理解することが大切です。
扶養のメリットを理解し、加入条件などを知っておけば、どのような働き方、生活の仕方がもっともお得になるかが分かります。

これは将来設計をする上でも重要なことですし、自分が今どのような状態にあるのかを知っておくことが大切です。
厚生年金の扶養とはどんなものか、自分は扶養に入っているのか、どのような場合に扶養に入るべきか、あるいは入らないべきかなどを知って、上手に制度を利用しましょう。

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