フラット35とは。取り扱い金融機関を比較する際のポイント
ずっと金利が固定の住宅ローン
フラット35は住宅金融支援機構が提供している全期間固定金利の住宅ローンです。
融資期間中に金利が変動しないため、将来金利が上昇するリスクを気にしなくてよいことが特徴です。
多くの金融機関がこのフラット35を取り扱っていますが、どの金融機関のフラット35を契約すればよいかわからない場合もあるでしょう。
ここでは、フラット35の仕組みを理解するとともに、フラット35を取り扱う金融機関を比較する際に重要なポイントを詳しくチェックしていきます。
フラット35の仕組み
フラット35の基本的な仕組みと種類を理解しましょう。
金融機関はフラット35の代理店
多くの金融機関で取り扱われているフラット35ですが、フラット35を提供しているのは住宅金融支援機構です。
住宅金融支援機構ではフラット35の金利の範囲を融資期間ごとに定めており、その範囲の中で取り扱い金融機関が金利を設定しています。
取り扱い金融機関は言わばフラット35の代理店と言えます。
融資率と融資期間で金利が変わる
フラット35の金利は、融資率と融資期間で金利が変わります。
融資率とは住宅取得費用に対する融資額の割合です。
融資率は9割以下と9割超で金利が異なり、0.44%程度の差があります。
住宅取得に係る金額の1割の頭金を準備することができれば融資率9割以下の金利が適用されるため、金利を低く抑えることが可能です。
また、融資期間によってもフラット35の金利は変わってきます。
融資期間が15~20年と21~30年で住宅金融支援機構が定めている金利の範囲が異なるためです。
融資期間が短い15~20年の場合、0.06%程度金利が低く設定されています。
フラット35の種類
フラット35にはいくつかの種類が存在します。
主な種類は下記のとおりです。
【フラット35】
民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。
【フラット35】Sという、省エネルギー性や耐震性に優れた質の高い住宅を取得する場合に対象となるオプションを利用することで、金利を一定期間引き下げることができます。
【フラット20】
【フラット35】のうち、融資期間が15~20年のものを指します。
融資期間が21~35年のものと比較して金利の範囲が低く設定されていることが特徴です。
フラット35と同様、【フラット35】Sの利用で、金利を一定期間引き下げることが可能です。
【フラット35(リフォーム一体型)】
中古住宅を購入すると同時にリフォームを行う方のための住宅ローンです。
【フラット35】では融資の対象にならないリフォームに係る費用も融資の対象となります。
【フラット35】Sの利用が可能です。
【フラット35】 リノベ
中古住宅の購入に加えて性能向上リフォーム(省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれか)を行う場合の住宅ローンです。
【フラット35】の金利から0.5%引き下げることができます。
【フラット35】借換融資
フラット35では借り換えも可能です。
民間の住宅ローンはもちろんのこと、フラット35から借り換えることもできます。
15~20年の金利は21~30年のそれより低く設定されているため、すでにフラット35を21年以上の融資期間で契約している場合でも、15~20年の融資期間のものに借り換えることで金利の軽減が見込めます。
フラット35は総額で比較する
フラット35でかかる費用には金利のほかに、事務手数料や団信保険料といった手数料が存在します。
取り扱い金融機関を比較する際には、金利と手数料を合わせた総額で比較することが大切です。
金融機関によって異なる金利
フラット35の金利の範囲は住宅金融支援機構が定めていますが、その範囲内であれば取り扱い金融機関が自由に設定できます。
金利の低いネット銀行などでは、住宅金融支援機構が定める最低金利を設定する傾向がありますが、その分事務手数料が割高に設定されている場合があります。
金利は毎月更新されますので、金利比較サイト等で最新の金利をチェックするようにしましょう。
金利以外にかかる手数料
フラット35では金利以外に発生する手数料があります。
手数料の種類は下記のとおりです。
事務手数料
フラット35の契約時に取り扱い金融機関が徴収する手数料です。
この事務手数料は金融機関で自由に設定できるため、金融機関を比較する際の大きなポイントになります。
事務手数料には融資額に対して一定の比率を徴収する定率型と固定の手数料を徴収する定額型があります。
一般的に定額型のほうが手数料が安くなる傾向がありますが、その分金利が割高に設定されていることが多いので、事務手数料の安さだけで金融機関を選ばないように注意しましょう。
団信保険料
団信保険とは住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になったときに以降の返済が免除される生命保険です。
フラット35では団信保険の加入は任意ですが、もしもの場合に備えて加入を希望する場合も多いので初めから金利に含まれているのが一般的です。
団信保険料の加入を希望しない場合、通常の金利から0.2%程度が差し引かれます。
保証料と繰り上げ返済手数料が無料
フラット35は保証料がかかりません。
保証料とは保証会社に支払う手数料のことです。
保証会社は融資の返済が滞った場合に契約者に代わって返済を立て替えますが、立て替えてもらった債務が免除されるわけではありません。
立て替えてもらった金額は保証会社に返却する必要があります。
住宅ローンを契約している側にとっては特にメリットのない手数料なので、保証料が無料なのは重要なポイントです。
また、フラット35では繰り上げ返済手数料も無料です。
将来的に早期完済や借り換えを考えている場合はメリットがあります。
住宅取得費用の10割まで借り入れが可能
フラット35の融資額の上限は、建設費または住宅購入額の10割までとなっています。
頭金が準備できない場合でも住宅取得費用の全額を借入れることが可能です。
ただし、前述したとおり融資率によって金利は変わってきます。
融資率が9割超の場合、貸し倒れリスクの観点から0.44%程度の金利が上乗せされます。
9割超の融資を希望する場合は、「併せ融資」という方法もあります。
併せ融資とはフラット35と民間の住宅ローンを併用する方法です。
住宅取得費用の9割までをフラット35で契約し、残りの1割を民間の住宅ローンで契約することで合計の金利を安く抑えられる場合があります。
ただしこの併せ融資は対応していない金融機関もあるので、事前の確認が必要です。
取り扱い金融機関のサービスを比較してみよう
フラット35の仕組みを理解したら、今度は取り扱い金融機関ごとに異なるサービスを比較してみましょう。
病気になった場合の保障内容
死亡や高度障害以外にも、病気や失業などで返済が困難になる場合があります。
フラット35の取り扱い金融機関では、そのようなリスクに備えた保障が存在します。
これらの保障は住宅金融支援機構が提供するものと金融機関が独自に提供する2種類があります。
住宅金融支援機構が提供する保障は「新3大疾病付機構団信」で、がん・急性心筋梗塞・脳卒中が原因で一定の要件に該当する場合、以降の債務が免除される制度です。
手数料はフラット35の金利に0.24%が上乗せされる形で徴収されます。
金融機関が独自に提供するものには、「3大疾病保障」や3大疾病保障に5つの重度慢性疾患を加えた「8大疾病保障」、「失業保障」などがあります。
金融機関によって保障内容や手数料が異なるので、比較する際のポイントとなります。
住宅が完成するまでの資金が借りれる「つなぎ融資」
フラット35の融資が実行されるタイミングは対象となる住宅が引き渡される時です。
すでに完成している住宅を購入する場合は問題ありませんが、注文住宅などの場合は引き渡しの前に土地代金や着工金の支払いが発生する場合があります。
このように、住宅の引き渡し前に必要となる住宅取得費用に対して実行される融資がつなぎ融資です。
つなぎ融資は対応している金融機関が限られているので、引渡し前の支払いが発生するようなケースでは対応の有無が金融機関を比較する際に重要になります。
つなぎ融資にはフラット35とは別で事務手数料などの費用が発生しますので、事前に確認しておきましょう。
振込手数料やATM手数料がお得に
フラット35などの住宅ローンを契約している場合、借入先金融機関の振込手数料やATM手数料など住宅ローン以外の手数料が優遇されるケースがあります。
これらの手数料優遇は、近年多くの金融機関が採用しているロイヤリティプログラムの一環です。
ロイヤリティプログラムとは業績に貢献してくれた優良顧客に特典を提供するマーケティング施策です。
フラット35を含む住宅ローンの契約者は、金融機関に対して金利収入や手数料収入をもたらす優良顧客と言えます。
普段から頻繁に振込をしたりATMを利用している場合はチェックしておきたいポイントの一つです。
民間の住宅ローンとの違いを知る
民間の金融機関の住宅ローンと、フラット35の違いについて知っておきましょう。
審査基準や金利、保証料など違う項目があります。
固定金利と変動金利の比較
フラット35と民間金融機関の住宅ローンの大きな違いは金利の種類です。
フラット35は原則、全期間にわたって固定金利ですが、民間金融機関の場合は変動金利と当初固定金利型が主流です。
当初固定金利型とは、融資実行から3年・5年・10年などの一定期間は固定金利でその期間が終了すると変動金利に移行するタイプのことを言います。
金融機関によっては独自で全期間固定金利の住宅ローンを提供しているところもあります。
フラット35と民間住宅ローンで異なる審査基準
フラット35の審査基準は民間住宅ローンと比較して甘い傾向にあります。
これは民間の住宅ローンを提供する金融機関が利益を得ることを目的としているのに対し、フラット35を提供している住宅金融支援機構の目的が国民の住宅普及支援にあるためです。
年収に対する返済負担率や住宅取得費用に対する融資率などの基本的な基準はありますが、民間の住宅ローンのように職業や雇用形態、勤続年数などの制限はありません。
フラット35は保証料が無料
前述したとおり、フラット35は保証料が無料です。
民間の住宅ローンの保証は一般的に保証会社が行うため、融資残高に対して0.2%程度の保証会社に支払う保証料が必要です。
一方、フラット35は提供元の住宅金融支援機構が保証を行うため保証料がかかりません。
最近では民間の住宅ローンでもネット銀行等を中心に保証料が無料のところも増えてきました。
しかしメガバンクや地方銀行では、まだまだ保証料が徴収されるケースが多いです。
賢くフラット35を利用しましょう
フラット35は取り扱い金融機関によって金利や手数料、サービス内容が異なります。
さらにご自身の借り入れ状況や意向によってもこれらの金額は変化します。
金利の低さだけに着目するのではなく、必要なサービスや保障の検討とそれに伴う手数料を含めた総額で金融機関を比較することが大切です。
フラット35の仕組みや金融機関を比較するポイントを理解することで、最適な金融機関を選択しフラット35をお得に利用しましょう。
Sponsored Link
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitterでukano358をフォローしよう!
Follow @ukano358