【確定拠出年金】掛金の決め方とは。職業別の平均額と上限額を知ろう
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掛金をいくらにするかによって決まる将来の年金額
確定拠出年金は定期的に決まった額を積み立ててご自身の指図で運用し、その資金を原則60歳以降に受け取ることができる年金制度です。
運用期間が60歳までと長期に渡るため、設定する掛金次第で将来受け取れる年金額は大きく変わってきます。
個人型確定拠出年金(愛称イデコ)や企業型確定拠出年金のマッチング拠出では、ご自身で掛金を設定する必要があります。
しかし、掛金をどのように設定したらよいか疑問や悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ここでは確定拠出年金への加入を検討されている方のために、職業別の掛金の平均額と上限額をチェックしていきます。
さらに掛金の決め方や見直しをする際のポイントについてもみていきましょう。
確定拠出年金の職業別掛金平均額と上限額
職業別(国民年金保険の加入状況別)の掛金平均額と上限額について確認していきましょう。
自営業者は月額27,270円
個人型確定拠出年金の自営業者(第1号被保険者)の掛金平均額は、平成28年3月末時点で月額27,270円です。
自営業者の掛金平均額は、会社員や公務員(第2号被保険者)よりも高くなっています。
また、上限額も月額68,000円と、会社員や公務員よりも高く設定されています。
自営業者には厚生年金や企業年金がない分、上限額が高く設定されており、そのため掛金平均額も高くなっていると考えられます。
会社員や公務員は月額14,352円
個人型確定拠出年金の会社員や公務員(第2号被保険者)では、平成28年3月末時点の掛金平均額は月額14,352円です。
平均額の内訳は下記のとおりです。
・企業年金がない会社員:月額16,210円
・企業年金がある会社員:月額10,620円
・公務員等:月額11,117円
上限額は下記のとおりです。
会社員の方は、勤務先の企業が導入している年金制度によって上限額が異なります。
ご自身の上限額がどれに該当するのかご確認ください。
・企業年金がない企業の会社員:月額23,000円
・企業年金がある企業の会社員(企業型確定拠出年金のみ):月額20,000円
・企業年金がある企業の会社員(確定給付企業年金等あり):月額12,000円
・公務員等:月額12,000円
専業主婦は月額16,170円
確定拠出年金法の改正により、2017年1月から専業主婦の方も個人型確定拠出年金に加入できるようになりました。
専業主婦等(第3号被保険者)の平成28年3月末時点の掛金平均額は月額16,170円です。
上限額は月額23,000円と、企業年金がない会社員と同額に設定されています。
ただし、年収が103万円以下の場合は所得税が非課税となるため、所得控除の対象にはなりません。
この点はご注意ください。
企業型の場合は月額7,806円
企業型確定拠出年金の掛金は基本的に企業によって決められた金額が拠出されますが、加入者の自己資金で掛金の上乗せができる「マッチング拠出」という制度が存在します。
企業年金連合会が発表している平成28年度のマッチング拠出の掛金平均額は、月額7,806円となっています。
マッチング拠出の掛金の上限額には下記のルールが定められています。
掛金はいずれかの要件を満たす金額である必要があります。
- 企業が拠出する掛金を超えないこと
- 企業が拠出する掛金とマッチング拠出の掛金の合計が企業型確定拠出年金の上限を超えないこと
マッチング拠出を導入している場合の企業型確定拠出年金の上限額は下記のとおりです。 - 勤務先に企業年金がない場合:月額55,000円
- 勤務先に企業年金がある場合:月額27,500円
確定拠出年金掛金の正しい決め方
掛金をいくらに設定するか決める際のポイントを、節税の観点からみていきましょう。
上限額までかけて所得税や住民税の軽減に活用する
個人型確定拠出年金に加入している場合、掛金は全額所得控除されます。
例えば課税所得が195万円~330万円の方の場合、通常は所得税10%と住民税10%の合計20%が所得に対して課税されます。
この課税所得から確定拠出年金に拠出した掛金の全額が控除されるので、掛金が大きければ大きいほど所得税と住民税が軽減できます。
たとえば、課税所得が300万円の会社員(企業年金なし)の場合の計算をみてみましょう。
平均掛金額での試算をすると、年間180,000円(月額15,000円) の掛金を30年間拠出した場合は、年間の節税額=180,000円×20%=36,000円となり、30年間の節税額=36,000円×30年 =1,080,000円となります。
上限額での試算をすると、年間276,000円(月額23,000円)の掛金を30年間拠出した場合は、年間の節税額=276,000円×20%=55,200円、30年間の節税額は、55,200円×30年 =1,656,000円となります。
確定拠出年金は、運用期間が長期に渡るという特徴があります。
もし上限額まで掛金の拠出が可能であれば大きな節税効果が見込めます。
上乗せ加入を利用する
勤務先が企業型確定拠出年金に加入している場合、自己資金を上乗せして拠出できる「マッチング拠出」という制度が利用できる場合があります。
この制度を利用して拠出した掛金は、個人型確定拠出年金と同様、全額所得控除されますので所得税と住民税の軽減に有効です。
また、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。
受取時の節税面でもメリットがある制度です。
ただし、勤務先でマッチング拠出の制度を導入している場合、個人型確定拠出年金には加入できませんので注意が必要です。
また、このマッチング拠出制度は企業型確定拠出年金に加入している企業が必ずしも導入しているとは限りません。
ご自身の勤務先がマッチング拠出制度を導入しているかどうか不明な場合は、勤務先に確認してみましょう。
掛金の変更方法と見直しのポイント
確定拠出年金では掛金の変更が可能です。
定期的に掛金を見直すことで、家計や年収の状況に応じた拠出を心がけましょう。
個人型は年に1回の変更が可能
個人型確定拠出年金の場合、ご自身で設定した掛金の変更が可能です。
ただし、変更は年1回(12月分~翌年11月分の掛金まで。
ただし実際の納付月は1月~12月)のみとなっています。
変更方法は、対象の運営管理機関に「加入者掛金変更届」を提出します。
一度掛金を変更してしまうと、その対象期間の間は掛金を変更できなくなってしまうため、注意が必要です。
結婚や転職などのライフイベントが控えており収入や支出に変化がありそうな場合は、慎重に金額を見直すようにしましょう。
企業型のマッチング拠出も年1回の変更が可能
企業型確定拠出年金もマッチング拠出の掛金の変更が可能です。
こちらも個人型確定拠出年金と同様、年1回のみ変更できます。
企業によっては事務作業上の負担を減らす目的で、年1回など時期を限定して掛金の変更を受け付けているところもあるようです。
掛金の変更を行う場合は、申し込みのタイミングや変更の方法を勤務先に確認しましょう。
家計や年収の状況によってこまめに変える
ご自身のライフスタイルや収入の変化によって適切な掛金は変わってきます。
特に、30代では結婚や出産、育児、住宅の購入、転職といったライフイベントが発生する可能性が高く、収入や支出が大きく変化するタイミングでもあります。
ライフイベントが発生するタイミングでの掛金の見直しは、今後の資産形成において非常に重要です。
また、上記のようなライフイベントに限らずとも、収入や支出の状況は毎年変化していく可能性があるものです。
最低でも年1回の掛金の変更は可能なので、一度設定した掛金額をそのままにしておくのではなく定期的に見直すことをおすすめします。
自分の年収を目安に掛金額を設定しよう
確定拠出年金は掛金の全額所得控除が可能です。
それによって所得税と住民税が軽減されるため、上限額まで掛金を設定することで最大の節税効果が生まれます。
家計の状況によって上限額まで掛金を設定できない場合は、まずご自身の年収に応じて無理のない金額で掛金を設定してみてください。
その後、昇給や転職等で年収に変化があったタイミングで掛金の見直しを検討しましょう。
同じ年収でも家計の状況はそれぞれ異なるため、年収に対する適切な掛金額は人それぞれですが、将来受け取りたい年金額から逆算して掛金を決めてみるのも一つの方法です。
老後の資産形成のために、ぜひ確定拠出年金を有効に活用してみてください。
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