退職後の保険。国民健康保険と社会保険の任意継続どちらがいい?

May, 31, 2018

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退職後の健康保険はどうする

退職後の健康保険は、国民保険に加入するか、これまでの社会保険に任意継続で加入するか、どちらがよいのかでしょうか?迷っているうちに退職になってしまった、ということがないように、早めに検討して決めて置きたいですね。

社会保険の任意継続か、国民健康保険か、どちらも収入状況や家族構成によってメリットとデメリットがあります。
もちろん、それぞれで保険料も変わるので注意が必要です。
それぞれを比較しながら、メリットとデメリットについて解説していくので、参考にしてください。

退職後の健康保険の選択肢

退職後の健康保険には、3つの選択肢があります。
保険の種類によっては、一定の条件が必要な場合がありますので、加入を希望する際は条件を満たしているかの確認が必要です。

会社の健康保険を任意継続する

会社を退職して被保険者の資格を喪失したときは、条件を満たしていれば、本人の希望により継続して被保険者となることができます。
これを任意継続といい、「資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2カ月以上の被保険者期間があること」「資格喪失日から20日以内に任意継続被保険者資格取得申出書を提出すること」が条件です。

加入期間は2年間で、「国民健康保険に加入する」「家族の扶養に入る」などの理由で途中で脱退はできません。
扶養家族がいる場合は、家族の分の手続きも同時にできますので、家族もこれまで通り被扶養者としての保険証を持つことができます。
任意継続の被保険者は、一部の事例を除き、原則として在職中と同様の保険給付が受けられます。

【参照URL:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3070/r147

国民健康保険に加入する

特別に手続きをしない場合は、会社を退職したら国民健康保険に加入することになります。
社会保険の資格喪失日(退職日の翌日)以降に、お住いの市区町村で手続きができます。
手続きに必要な書類は、市区町村によって異なるようですので、事前に確認をしましょう。

扶養家族がいる場合、家族の分の手続きも同時にできますが、国民健康保険には「扶養家族」や「被扶養者」という考え方がありませんので、ここは社会保険とは異なります。
なお、任意継続を希望していても、期日までに手続きをしなかった場合は、自動的に国民健康保険の対象になります。

家族の扶養に入る

結婚退職をする場合や、定年退職をする場合を除き、退職者が考える健康保険の選択肢は「任意継続」か「国民健康保険」のどちらかが一般的でしょう。
しかし、配偶者や親が働いていて、既に社会保険に加入している場合で、本人も条件を満たしていれば、家族の扶養に入ることも可能なのです。

扶養に入るには「原則として年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)であり、被保険者の年収の2分の1未満であること」と「3親等内の親族であること」が条件です。
また3親等内であっても、配偶者、兄弟姉妹および直系血族以外は、被保険者との同居が必要です。

国民健康保険と任意継続の比較

国民健康保険に加入する場合と、会社の健康保険を任意継続する場合では、どのような違いがあるのでしょうか。

国民健康保険と任意継続の保険料を比較

退職後の健康保険を選ぶ際に、一番気になるのが保険料の違いでしょう。
もしも条件を満たして家族の扶養に入る場合は、被保険者も被扶養者も保険料はかかりません。
しかし任意継続と国民健康保険に加入する場合は、それぞれ保険料がかかります。

任意継続

任意継続の場合、保険料はおおざっぱにいうと在職時の約2倍です。
なぜなら、在職中に会社と折半していた保険料が全額自己負担になるからです。
しかし、退職時の保険料がそのまま2倍になるとは限りません。
任意継続保険料は、退職時の標準報酬月額によって決定されますが、28万円という上限を設けているため、退職時の標準報酬月額が28万円以上だったとしても、28万円をベースに計算されます。

保険料率は都道府県によって異なりますが、全国健康保険協会の平成30年度の保険料率は10%前後ですので、28万円で計算をすると2万8000円前後が毎月の保険料となり、40歳以上の方は、これに介護保険料が加算されます。

【参照URL:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3130/h30/300209

国民健康保険

国民健康保険の保険料は、自治体によって計算方法が異なります。
前年の所得をベースに算定する所得割や、世帯ごとの加入人数をベースに算定する均等割を用いる自治体がほとんどですが、1世帯ごとに算定する平等割や、保有する資産をベースに算定する資産割という方法もあります。
どの計算方法を採用しているかは自治体によって異なりますので、正確な国民健康保険料を知るためには、市区町村の担当する部署に確認するのがよいでしょう。

国民健康保険料は個人情報なので、電話での問い合わせを受け付けていない場合もあります。
その場合は直接窓口へ行き、保険料の確認をする必要があります。
もし退職することが事前に決まっている場合は、退職日より前に窓口で確認をすることで、時間に余裕をもって任意継続と国民健康保険を比較し、最善の選択ができるでしょう。

保険料を滞納してしまった時の取り扱いの比較

任意継続と国民健康保険には、支払いを滞納した場合の取り扱いにも違いがあります。
任意継続の場合、期限までに保険料を支払わなければ、強制的に脱退扱いされ、即資格喪失となります。
一方で、国民健康保険の場合は、保険料を滞納しても資格喪失とはなりません。
しかし自治体によっては延滞金がかかる場合もあります。

国民健康保険と任意継続どちらを選ぶべきか

国民健康保険と任意継続、どちらの保険を選ぶべきなのでしょうか。
いくつかのケースを紹介しますので、自分の状況に合った選択をするとよいでしょう。

扶養家族がいる場合は任意継続

在職中の社会保険や退職後の任意継続と違って、国民健康保険には扶養家族という考え方がありません。
つまり、国民健康保険にする場合、扶養家族がいれば、その人数分の保険料が割り増しになります。
一方で、任意継続にする場合は、扶養家族に対する割り増しはなく、被扶養者のみの保険料で扶養家族分の保険証を取得できるのです。

また、保有する資産をベースに算定する資産割という計算方法を採用している自治体もありますので、固定資産税を支払ってる場合には、国民健康保険料が割高になる可能性もあります。
したがって、扶養家族がいる場合や、固定資産税を支払っている場合には、任意継続にしたほうがお得になることが多いでしょう。

前職の収入が多ければ任意継続

社会保険料の算定は、標準報酬月額がベースです。
任意継続保険料の算定も、退職時の標準報酬月額がベースに算定されますが、任意継続の場合は標準報酬月額に28万円という上限を設けているため、退職時の収入が多かったとしても、28万円をベースに計算されるのです。
保険料率は都道府県ごとに異なりますが、全国健康保険協会の平成30年度の保険料率によると、平均して約10%前後です。
つまり、28万円×約10%=2万8000円前後が任意継続保険料の上限です。
40歳以上の方は、これに介護保険料が加算されます。

一方で、国民健康保険料の算定は、前年度の所得をベースに計算する自治体がほとんどです。
所得が高ければ高いほど国民健康保険料も高くなります。
2018年度時点の国民健康保険料の上限は、年間77万円とされており、月額にすると6万4000円以上です。
つまり、前職の収入が高い場合は、任意継続にした方がお得なのです。

しかしここで注意すべきなのは、任意継続は最長2年間というルールがあることです。
これは、2年以上加入することができないという意味だけではなく、任意で2年以内に脱退することも認められていないということです。
新たに企業に就職して、その会社で社会保険に加入する場合は別ですが、途中で国民健康保険に切り替えたり、家族の扶養に入ることができないため、退職後2年間を見越して選択する必要があります。

前年所得が低かった場合は国民健康保険

前年所得が低かった場合は、国民健康保険のほうが割安になる場合があります。
また、扶養家族がいない独身世帯の場合も、国民健康保険のほうがお得かもしれません。
任意継続は、収入が全くなくても期間中の保険料はずっと変わりません。

しかし、国民健康保険は、収入が無い場合は翌年の保険料が大幅に下がります。
また、収入が低く国民健康保険料の支払いが難しい場合は、減免措置をとることが可能な自治体もありますので、失業期間が長くなりそうな場合などは、国民健康保険が有利といえるでしょう。

自治体の保険料率が低い場合は国民健康保険

国民健康保険の保険料率は、地域によって異なります。
前年の収入が同じでも、住んでいる地域によって保険料が大幅に変わります。
2倍もの差が出る地域もあるのです。
そのため、国民健康保険の保険料率が低い地域に住んでいれば保険料が安くなるため、任意継続よりも国民健康保険を選んだほうが安くなる傾向にあるでしょう。
お住いの地域の保険料率を確認してみるとよいでしょう。

正確な保険料を把握してお得な方を選ぼう

国民健康保険と任意継続には、状況に応じてそれぞれにメリットとデメリットがあります。
一概にどちらがよいと言えるものではありません。
まずは、それぞれの正確な保険料を把握することが大切です。
退職後に焦って調べだすよりも、事前に余裕をもって調べることで、退職後の自分の状況に合った最適な選択ができるでしょう。

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