第1話 FPをもっと身近に!未来に使うお金のことをファイナンシャルプランナーと一緒に考えてみませんか。山中伸枝さんインタビュー

April, 09, 2018

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今回のインタビュイーは、日本FP協会とCFP BOARDとが認定する国家資格をお持ちのファイナンシャルプランナーである山中伸枝さん。
彼女がファイナンシャルプランナーとして社会に役立ちたいという思いの根底には20代の頃に住んでいたアメリカでの原体験がありました。
世界一豊かな国の格差を目の当たりにし、どうすれば豊かな側に入れるのか、豊かでなくとも困らない生活を送れるのか。
それを考え実行しているのが山中さんです。

バブル時代のOLだったので結婚して何も考えずに会社を辞めました。

結婚後に夫がアメリカの大学にいくことが決まっていたので、バブル期の流れで何も考えずについて行っちゃいました。
英語もできなくて「はぁい?」しか言えなかった。
(笑)全てがお気楽に行っちゃったもんだから、アメリカに住むってことに対して厳しさがあるなんて何も想像していなかった。
30年前のアメリカだから今よりもっとクローズだったし、オハイオ州はチャイニーズしかいなかったり。
東洋人に対してもあからさまな差別もあったし、自分の無力さに愕然としてしまった。

そんな中、彼と毎日喧嘩ばかり。(笑)
どっちもできない同士で、歯がゆいことばかりでした。
言葉がわかんないのも大きかったな。
彼は大学院に行くことが決まっていたけど、もっともっと勉強しないと簡単にいけないこともわかった。
そんな彼は落ち込んでるし、苛立ちもありましたね。
私も私で使いものにならないし。
でもここから逃げるわけには行かず、とどまるしかなかった。

そんな中、同じような境遇で台湾人や韓国人の奥さんたちや留学生の集まりで話す機会があったんです。
そしたらみんな全く言い訳をしなくて。

!目の前のことだけじゃなく、長期のビジョンを持っていてここは通過点で今やる頃やらなきゃね!って気持ちで生活していて、言葉がわからないなりにも伝わってきたんです。
私は真逆で言い訳ばかりでしたね。
こんなとこ来るつもりはなかったとか、騙されたなと思っていましたしー15度で寒いし!!ハワイみたいなところじゃないんです。
とてもネガティブな思考ばかりでしたね。
でもこれをきっかけにわたしも何か動かなくちゃと思いはじめて、大学を目指して入学することができました。

大学に入ったものの、上がるのが大変で。

英語の壁がありつつも上に上がるにはテストをしなくてはいけないですよね。
もちろんテストの問題も英語で書いてあって、まず読むのに時間がかかるんです。
電子辞書もありませんでしたから先生に食い下がって、レポートの提出を試みましたが「努力してるのはみんな当たり前なの!あなたの努力を他の人よりすごいってどうやって図るの?実績しかないでしょ、テストの結果を持って来なさい!」とピシャリと言われてしまったんです。

この時に数字や結果が全てで、努力は形にしないと意味がないんだって思いました。
とにかく勉強しましたね。
だから20代は一番辛かった?!でも一番良かった!本当に勉強をして良かった!と今なら思えます。
これが23才~26才の時ですね。
無事に大学を卒業でき、帰国までにあと1年あったので、アルバイトでボランティアや商工会議所さんの通訳、赴任して来る奥さん達のお世話をしたりしていました。

衝撃を受けたのがランチデリバリーのボランティア

裕福なシニアの方が善意で貧しい家庭にランチを配るボランティアに参加しました。
そしてアメリカの格差社会を目の当たりにしました。

薄汚れ、殺伐とした雰囲気の通り。
そしてひっそりと静まり返っているその家。
足を踏み入れ、最初に目に飛び込んできた風景は、乱雑で不潔でなにもない暗くガラーンとした部屋でした。
部屋の真ん中にやせ細った女性。
枕元にはお薬の小さな容器。
長い間患っている様子が一目で分ります。

そしてその女性のそばにたたずむ、小さな女の子。
薄汚れたTシャツを着て、下はオムツです。
3歳くらいでしょうか。
女の子はびっくりしたように、大きな目で私を見つめています。
でも見つめるだけでそれ以上の反応はありません。
母親も同じように、無言でこちらを見つめるだけです。
その目からは、うれしさも悲しさも、なんの感情も読み取ることは出来ません。

母親はやっかいな病気だから、働くのはもう無理そうなのよ。
子どももどこか適切なケアを受けられるところへ行けたらいいんだけど、身寄りもないみたいよ。
そう、先輩ボランティアさんが言っていました。

あの親子にとって、私達の届けたあのランチボックスが命をかろうじてつなげる唯一の栄養源なのでしょう。
あの女の子は一日中病んだ母親のそばで、じっとしているのでしょう。
私はその貧しさ、悲惨さを目の当たりにして、足がガクガク震えました。
あの親子はあのままの状態で、これからも生きていくのか、どうしてあんな生活になってしまったのか。
答えの決して出ない疑問が頭の中をぐるぐる回ります。

人から全ての自由を奪ってしまう「貧しさ」

自ら考え、立ち上がる気力さえも奪ってしまう「貧しさ」

人間らしく生きる権利を奪ってしまう「貧しさ」

日本だったとしても自分が、家族が、豊かで安定した生活をずっと続けられるという保障がどこにあるのでしょう?想いがけずに人生の歯車が狂い出したら、なかなか元にはもどれないのかも知れません。
あの母子の姿は、私と決して無縁の姿ではない・・・、今でも私の記憶にしっかりとあの光景が焼きついています。

アメリカでの出会いを通して私の考え方は大きく変わりました。
落ちたくない!強くそう感じた体験でした。
そうならない為には、教育しかないんです。
勉強して、人とのご縁を大切にし、自分の価値を高め続けるしかない。
わたしはそうやって成長し続けることを心がけています。

次回に続く


山中伸枝 プロフィール

1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。
海外生活で日本ではあまり感じることができない格差を肌で感じる。
留学経験や海外業務を経験し、一人一人が会社を離れてても豊かに暮らせるノウハウがあればみんなが幸せになれると思いCPFを取得。
また山中塾を立ち上げファイナンシャルプランナーの育成にも力をいれている。
育てることも大事だがまずはFPというものがもっと身近になるように、もっと必要と思ってもらえるように講演やマネーコラムの執筆や書籍の執筆にも力をいれている。

公式サイト

確定拠出年金 相談ネット

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