個人事業主の住民税はこのようにして決まる。計算方法と仕組みとは?

April, 01, 2018

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個人事業主が払う義務のある住民税

会社員から独立して個人事業主、フリーランスになると、いろいろなことを自分でやらないとならないことが多くあります。
今まで会社でやってくれていたことで自分でやらないといけないものの一つに税金の納付があります。

住民税について

税金の中でも住んでいる地域によって納める税金が住民税です。
会社員であれば、給料から天引きされているので、年一回の住民税の決定通知をみるくらいで、あまり気にしていない部分ではないでしょうか。
住民税の仕組みなどを調べてみましょう。

確定申告で税額が決まる

住民税は、どのように決められるのか会社員でいたときには、あまり考えなくても勝手に給料から引かれて会社が社員から預かってまとめて納付してくれますので、支払い忘れもなく問題はなかったのです。

個人事業主となれば、自分で納付しなければならないのですから、気になるのはその税額やいつどこに収入の申告をするのかなど疑問に思うことでしょう。
住民税は、税務署に確定申告をすることでその書類をもとに、お住まいの市区町村が6月頃に前年分の住民税決定通知書を送付してくるのです。

市区町村民税と都道府県民税の合算

住民税には、市区町村民税と都道府県民税が含まれていますので、一枚の納付書で両方の税金を納められるようになっています。
一部の例外を除き、住民税は、所得に応じて変わる部分である所得の10%分と、所得に関係なく納税者に同額の税金がかかる定額部分で決められます。

市区町村民税は、10%のうちの6%、都道府県税は、残りの4%となっています。
また、納税者に均等になっている部分の住民税のうち、都道府県民税は1,000円、市区町村民税は3,000円となっています。
ただし、復興特別住民税が上乗せされている期間は、平成26年度から10年間となっており、都道府県民税、市区町村民税それぞれに500円上乗せされることとなっています。

均等割と所得割の2種類ある

市区町村から送付されてくる住民税決定通知書をみると、計算方法や税率が記載されていますので、一度じっくりとみてみましよう。

前年住民税の年額が記載されている表に、均等割と所得割という金額が記載されています。
均等割は所得の高い低いにかかわらず、全員同じ金額を納付する税金となっています。

住民税の均等割は、たとえ個人事業主の事業が赤字となっていても支払いをする必要がありますので注意が必要です。

住民税の納付方法と時期について

個人事業主となると、住民税は自分で決められた期限内に指定の金融機関や市区町村の窓口まで支払いに行く必要があります。
また、その年の1月1日時点の住所の住民税を納付することになることも覚えておく必要があります。
実際にどのような納付方法があるのか調べてみましょう。

6月中旬に通知書が届く

会社員のときには、住民税の事など気にもしないで仕事をしていた方が多いでしょうが、個人事業主になると、住民税の徴収方法が全く変わります。

会社員のときは住民税は毎月給料から天引きされていた事もあり、毎月納付かと思っている方もいるでしょう。
しかし個人事業主は「普通徴収」という徴収方法。
それに対して会社員の場合は、「特別徴収」という徴収方法です。

「普通徴収」になると、各市区町村から、住民税決定通知書が6月中旬くらいには自分宛に届くので、各納期限までに支払うことを忘れないようにします。
所得税の支払いを終えて時期をずらして住民税の納付の用紙が届くので、注意しておきましょう。

納付期限日には金融機関によっては、窓口の混み方により、時間がかかる場合もありますので、なるべく手間のかからない方法を考えておくとよいでしょう。
現在では多くの市区町村で口座振替も可能になっていますから、事前に各自の市区町村ではどういう納付方法があるのか確認しておくとよいでしょう。

一括払いか分割払いか選択できる

個人事業主の場合の住民税の支払い時期は、多くの場合、6月、8月、10月、1月の年4回に分けて支払うことができる納付書が届きますが、先に一括で払ってしまうこともできます。
納期限より前であれば、2回に分けて払うことも可能です。

自分の都合によって納期限までに納付することを気をつけていればいつ支払ってもよいのです。
ただし、一括払いをすることで割引はないので保険料などとは違うことを覚えておきましょう。

指定の窓口か金融機関で支払う

住民税の納付について、多くの市区町村では納付の利便性をよくするようさまざまな対応をしています。
従来は、市区町村の住民税の納付窓口や指定金融機関の窓口で現金納付することが多かったのですが、多くの市区町村では口座振替も可能になっています。

金融機関の窓口で待たされる事と時間の制限などを考えると、口座振替を利用できる市区町村は活用したいところです。
ただし、口座振替の場合は、納付書の記載されている納期限日に指定口座から引き落としされるので一括で納めたいときなどは、従来通りの納付方法がよいでしょう。

バーコード付納付書の場合はコンビニで払える

住民税の納付額が4回に分けられた納付書のうち1回の納付書が30万円以下の場合には、市区町村によっては納付書にバーコードがついているときも。
その場合、金融機関以外のコンビニでも納付できるようになっています。

口座振替には日数がかかるので、最初の納付期限の6月にバーコード付きの納付書であれば、コンビニを利用できるので便利です。

住民税の計算方法について

個人事業主になって初めて自宅に住民税決定通知書が6月に届いてから、その税額に驚く方も多いのではないでしょうか。
この通知書には前年の所得に対する住民税が記載されていますから、扶養家族の変化などや税額控除の大きな変化がない限り、毎月給料から天引きされていたものとそんなに大きく変化していないはずです。
住民税の計算方法について調べてみましょう。

みんな一律となる均等割

住民税は均等割と所得割という2種類の税額の算出方法によって決められます。
前年の所得が基礎控除額よりも少ない所得であれば非課税となるので、この均等割もありません。

均等割には市区町村民税3,000円に復興特別住民税が500円上乗せされて3,500円、都道府県民税1,000円に復興特別住民税が500円上乗せされて1,500円となり、一律に納税者から年間5,000円徴収されています。
ただし復興特別住民税は平成35年まで続くことになっています。

所得に応じて税率が変わる所得割

住民税のうち、所得割は、収入から各種の所得控除をした所得に対して決められた税率で算出した額になります。
所得割の計算式は、【[所得金額]-[所得控除額]】×10%-【税額控除額】=【所得割額】です。

ここでの所得金額とは、収入-経費、所得控除額とは、基礎控除額+扶養控除+社会保険料控除+生命保険料控除+医療費控除などの控除項目を引いた額、税額控除額とは、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除や配当控除など税額から直接引く額です。

確定申告の際、青色申告者であれば、青色申告特別控除が所得控除額に含めてよいので、税額が少なくなるというメリットがあります。
ただし、青色申告者になるには、事前に税務署へ届けておくことが必要です。

均等割額に所得割額を合算する

個人事業主の住民税の金額は、均等割額と所得税額の合算額となります。
これを4等分して余った額は、1回目の税額に足しているのです。

住民税の控除について

住民税の決定には、誰でも同額である均等割部分と所得に応じて変わる所得割部分で決められることで気になるのは所得割が自分の場合いくらになるのかという点ではないでしょうか。
所得割額の決定に大きく関わる各種控除について調べてみましょう。

控除の種類について

所得控除として、「基礎控除」は、個人事業主本人の分の控除額で一律に38万円所得控除できます。
「医療費控除」は、1月1日から12月31日までの間に自分で支払った医療費が10万円を超えるか、総所得金額が200万円未満の場合の所得金額の5%を超える額の医療費を自分で支払ったときに、医療費分を控除できます。

「社会保険料控除」は、国民健康保険料や国民年金保険料や介護保険料を支払った額です。
「生命保険料控除」は、自分で支払った生命保険料で支払った額によって決められた控除額が適用されます。

自分の民間会社に支払った年金保険料も別の決められた控除額が適用されます。
「損害保険料控除」は、その年に支払った損害保険料の額によって決められた額の控除額が適用されます。
「地震保険料控除」は、その年に支払った地震保険料の額によって一定の額が控除額に適用されます。

「扶養控除」は、配偶者以外の生計を共にしている扶養家族がいる場合に決められた控除額を適用されます。
「配偶者控除」は、配偶者が所得が38万円未満であれば、決められた控除額を適用されます。
「配偶者特別控除」は、配偶者の所得が38万円を超え76万円未満のときに配偶者の所得に応じて決められた控除額が適用されます。

「勤労学生控除」は、納税する本人が勤労学生の場合に、決められた額を控除額として適用されます。
「寡婦控除」は、夫と死別または、離婚後再婚をしていない状態で扶養する子供がいる場合で所得額500万円以下の場合に決められた控除額が適用されます。
「寡夫控除」は、妻と死別または離婚後再婚をしていない状態で扶養する子供の所得が38万円未満であれば決められた控除額が適用されます。

「障害者控除」は、本人または扶養する家族が障害者である場合にその等級により決められた控除額が適用されます。

「小規模企業共済等掛金控除」は、支払った小規模企業共済の掛金などを控除額に適用できます。
「寄付金控除」この控除対象になる特定の寄付をした額が決められた控除額が適用されます。
「雑損控除」は、災害や犯罪などによる資産の損害を受けた場合に一定の控除額が適用されます。

税額控除として、「住宅借入金特別控除」は、自分の住まいとなる住宅を購入、リフォームをした場合、決められた条件を満たしていれば、決められた率によって所得税を減税できます。
「配当控除」は、配当所得があった場合に所得税の減税にできます。

生計を共にしている家族分も対象となる

個人事業主に扶養者がいれば、その扶養家族の分の保険料を支払った場合に所得控除ができます。
社会保険料控除および、医療費控除が対象です。

ここで注意が必要なのは、自分が支払った分しか控除額にはできません。
また、保険料の支払いをした領収書は大切に保管しておくことが重要です。

青色申告者にだけ適用される控除がある

個人事業主の場合に、確定申告で税金を支払うことになりますが、その方法を白色申告と青色申告を選択できます。
青色申告をする場合には、開業後2カ月以内に税務署で青色申告の申請をすることが必要です。

青色申告をしないでそのままでいると、自動的に白色申告となりますので注意が必要です。
青色申告にすると、所得控除に青色申告特別控除も適用できます。

住民税の仕訳について

個人事業主は、会社員の場合と違い、税金も多くの種類の税金を納付します。
その中で住民税は、経理上でどのような処理をするか、仕訳を調べてみましょう。

そもそも、住民税は、事業に関わらず、個人事業主本人にかかっている税金なので、事業の経費とはなりません。
それ以外の個人事業税、固定資産税、自動車税、登録免許税、印紙税などの税金は、経理上で経費支出の租税公課として処理できます。

現金で住民税を支払っている場合には、経理上記載することが必要ではなく、事業用の金融機関口座から住民税の引き落としをしている場合には、借方に「事業主貸」貸方に「預金(住民税額)」となり、わかりやすいように、備考欄に住民税などと記載しておくとよいでしょう。

租税公課にならない所得税や相続税や、国税、地方税の延滞税や加算金なども同様になりますので、調べてから間違いのないように記載しておきましょう。

正しく理解し漏れなく申告しましょう

個人事業主になると、多くのことを間違いなく進めていくことが必要となります。
住民税だけでなく、個人事業税などもあります。
確定申告を間違いなく行うこと大切であり、これらの納税に間違いや遅れがないように業務を進めていくことが重要です。

確定申告の準備も日々の経理上の記録や証拠書類など自分で管理をしっかり行い、正しく漏れのない申告が個人事業主としての社会的信用を高め、安定した経営のために大切なことなのです。

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