UKANO家計のクリニック

地域や職業別世帯年収の分布をチェックしよう。年収アップのコツとは

地方によって変わる世帯年収

都内の世帯年収

同一の生計を立てる世帯の合計年収を指す、世帯年収。
全国平均は出ていますが、都道府県別の分布をみると、地方によって差があることがわかります。

東京都内の世帯年収の平均金額は、612万円です。
平均世帯年収は、一部の高所得世帯によって釣り上げられることがあるため、年収中央値というものが設定されており、東京都の年収中央値は572万円です。
こちらのほうが現実生活の感覚に近いと感じる人が多いでしょう。

23区別世帯年収比較

さらに、東京都23区を区別に比較してみましょう。
2016年総務省発表の資料によると、世帯年収が最も高い区は港区で1111万円、次に高い区は千代田区で915万円、三番目に高い区は渋谷区で772万円となっています。

中でも注目は、六本木や麻布などの高級エリア、六本木ヒルズやミッドタウンを擁する港区。
僅差の一位などではなくずば抜けた地位を確保しています。
2位との格差は実に200万円近いという堂々ぶりです。

東京都内の世帯年収の分布図を見てみると、この首位3区の世帯年収が飛びぬけていることがわかります。
たとえば、4位の中央区の世帯年収は3位の渋谷区に比べて150万円も低い金額となっています。

また、低いほうから7つの区(最下位から、足立区335万円・葛飾区342万円・板橋区356万円・江戸川区357万円・北区360万円・荒川区363万円・墨田区370万円)はいずれもあまり変わりはありません。
低いほうから8番目以降の区はいずれも400万円の大台に乗っています。

関東は世帯年収が高い

県別の世帯年収の分布を見てみると、関東地方は世帯年収が高い傾向にあることがわかります。
なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

関東圏でも、世帯年収がとくに高いのが東京都、そして埼玉県、神奈川県です。
東京都の世帯年収が高い理由としては、物価が高く賃金も高いということ、そして人口密度が非常に高いということが挙げられます。
日本の総人口のじつに1割以上が東京都に住んでいる計算になります。
これらの要素が、さまざまな業種の取引を活発にするとともに、求人の競争を激しくし、消費と賃金を高騰させる原因となっています。

では、埼玉県・神奈川県の世帯収入が高い傾向にあるのはなぜでしょうか。
ひとつは、東京都に近いため物価や賃金のレベルが影響を受けているということが考えられます。
それに加え、東京都内へ通勤している人、つまり東京都で働いて高い賃金を得ている人が、これらの地域に住んでいることも関係しています。
実際、これらの県では昼間人口が大きく減少します。

日本の都道府県で平均が低い県

全国の統計から都道府県の収入を比較してみると、一人当たり県民所得が最も低い順に、沖縄県、鳥取県、青森県となっています。
一人当たり県民所得は、個人の給与だけでなく、株の配当や企業の所得なども含まれての平均となっており、内閣府が発表している県民経済計算に基づいています。

一方、厚生労働省発表の賃金構造基本統計調査をもとに算出された2016年の平均年収ランキングでは、平均年収の最も低い順に、沖縄県、岩手県、青森県となっています。

平均年収が高い職業

特別な資格が必要な職業

弁護士や公認会計士、税理士といったいわゆる士業は、難しい試験を突破して特別な資格を取得する必要があるため、全体的に高い水準の収入が得られます。
とくに弁護士の平均年収は全体で925万円と、士業の中でも高水準。
20代のうちから平均年収が700万円以上となっており、若手のうちから稼げる職種です。

公認会計士の平均年収は798万円と、弁護士ほどではありませんが高収入です。
若手のうちから600万円以上の収入があり、50代まで継続的に年収アップが望めます。

公務員は平均年収が高い

公務員の年収は、一般の平均年収より少し高い水準にあります。
たとえば、30代、行政職の地方公務員であれば、だいたい470万円というレベルです。
これに残業代やさまざまな手当てが上乗せされます。

公務員はサービス残業がなく、残業した分はすべて残業代として加算されます。
また、家族構成や住宅の状況により、各種手当が合計100万円以上つくことも。
そのため、年収自体の水準はそれほど大きな差がなくても、受け取る金額は同年代と比べて高水準になることがあります。

さらに、世帯年収という観点で考えれば、夫婦とも公務員の家庭では世帯収入が高水準になります。
なぜなら、一般的に民間の会社では給与に男女差があり、女性の収入が低くなりがちですが、公務員の場合は男性と同等の収入が得られます。
また、産休・育休等の制度が充実しているのも女性の収入にとっては有利なポイントです。
加えて、夫婦とも公務員であれば、夫婦の収入金額の差が小さいため、課税のシステム上、手取り金額が大きくなります。

IT系やコンサル系も年収が高め

IT系、コンサル系の職業も収入の水準が高めであるうえ、社会的に見て前途が有望な職種です。
IT系の中でもITコンサルタントの収入水準は高く、ITコンサルタントの全世代平均年収は657万円、20代の若手では400~500万円(同じIT系のプログラマと比べると100万円ほど高い)、40代以上では平均890万円です。

実力が評価される気風の外資系では、同業他社に比べ収入の水準が高めであることが多いでしょう。
また、ヘッドハンティングされて転職したり、独立したりすれば、年収1000万円以上になることも珍しくありません。

平均年収が高い企業の悩み

高い年収の得られる企業で働けるのは望ましいことですが、それなりの犠牲が伴うこともあり、悩みを抱える人もいるようです。
たとえば、大手企業ならではの問題として、規模が大きく硬直した組織の中でやりがいが感じにくいというものがあります。
社会的責任が重くなり、激務を余儀なくされることもあるでしょう。

また一方で、外資系など実力主義の企業では、同じように勤務していても収入に個人差が出ることや、競争に勝ち実績を残すために勤務時間や仕事量が不規則になってしまうことも悩みの原因となります。

年収の高い企業への転職方法

年収アップできる転職を目指すには、自分磨きや情報集めのほか、アピールや交渉の技術も必要です。
転職を支援してくれる転職エージェントや転職コンサルタントに相談してみるのもひとつの方法。

エージェントやコンサルタントは、転職希望時期や希望勤務地、現在の職種や年収などから、自分に合った条件のよい転職先を紹介してくれます。
紹介だけでなく、言い出しにくい年収の交渉を代行したり、ものごとの進め方について適切なアドバイスをしたりしてくれます。

女性でも年収を高くする働き方

日本の社会で女性が収入を増やすためには、働き方に一工夫必要です。
ひとつは資格を取得すること。
今の仕事で手当の対象になる資格やより信頼を得て顧客獲得につながる資格、転職に有利になる資格など、目的を持って取り組みましょう。

二つめは、空いた時間に別の仕事をすること。
ブログやアフィリエイト、株式投資やFXといった資産運用など、さまざまな方法があります。
気軽にできるものもあれば勉強が必要なものもあり、初めからあまりお金にならないこともありますが、好きなことから始めてみるとよいでしょう。
趣味から始まって、今ではマルチに活躍している女性は多いです。

企業の中で収入を増やすには、昇進していくことも大切です。
昇進するということは上司になるということ。
仕事ができるということももちろん必要ですが、人をまとめ、人を動かす者として何よりも必要なのは、コミュニケーション能力です。
人間性を磨き、良い本を読んだり、優れた人と付き合う機会を大切にし、コミュニケーション能力を向上させることに努めましょう。

独立で変わる年収

独立してフリーランスになることで、会社に属しているのとは違い、頑張れば頑張っただけ収入につながるようになります。
フリーランスには収入面だけでなく、時間を自由に使えたり、自分の信念に沿って仕事を選ぶことができるという魅力もあります。

フリーランスとして収入を増やすコツは、自分のホームページやブログを持つこと、複数のクライアントから仕事を受けること、自己管理能力や営業能力などを向上させること、情報収集と人脈づくりに積極的になること、目先の収入ではなく実績作りを優先することです。

平均よりも年収を上げるために

給料の高い職業を選ぶ

年収を上げるためには、もちろん給料のよい職業を選ぶことが必要です。
給料のよい仕事とは、責任の重い仕事か、あるいは技術が求められる仕事であることがほとんどです。
そのため、医師や弁護士、エンジニア、一般業界における管理職などの給料は高水準となっています。

給料の高い職に就くためには、資格や技術を身に着けることができれば一番よいのですが、そうでない場合には長く続けることができる、自分に合った仕事を選ぶのがベストです。
長く続けることができれば、ポジションが上がる可能性も大きくなり、収入のアップにつながります。

一般的には、商社や保険会社、出版・マスコミ、金融など、大企業が多くテレビにコマーシャルが多い業界は、一般的に景気がよく、給与の水準も高い傾向にあります。
就職先を選ぶ際に参考にするとよいでしょう。

残業をうまく使う

休日出勤や残業は「手軽に少しだけ」年収をアップさせるよい方法です。
時間外の労働は割り増し賃金となっているため、効率も少し良いでしょう。
もちろん、仕事がたくさんあって間に合わない時に率先して残業や休日出勤をすることをおすすめしているのであって、仕事の効率を落として無駄な残業をすることはおすすめできません。

会社によっては、残業代のカウント方法に問題があったり、休日出勤を形だけ振替休日にすることで処理するため、収入につながらないこともあるので注意が必要です。

昇進を狙う

時間が必要ですが、年収を上げるためのリスクが少なく確実な方法として、現在勤めている会社の中で昇進することです。
一般的に、リーダーや課長・部長など、人を管理するポジションになるに従い、収入も上がるものです。

ただし、現在平社員で残業が多い場合などは、管理職になると残業代がつかず、その分の減少が役職手当による増加を上回ってしまうと、逆に年収が下がることもあり得ます。

昇給がどのくらいあるか計算する

昇給には、定期昇給〔年齢や勤続年数による)とベースアップ(企業の業績による)があります。
昇給額を昇給前の給与で割って100を掛けた値を昇給率(%)といいますが、2017年中小企業白書によれば、2016年度の昇給率は、大企業・中小企業ともに1.8%ほどでした。

ちなみに、上司や先輩の給料を把握する機会があれば、今の会社でどれくらい昇給が見込めるかの目安にすることができます。

社内で必要な存在になる

社内で必要とされる人間になることは、たとえば派遣社員から正社員に抜擢されるという場合にも、平社員から主任級に、さらには管理職に、最終的には重役へと収入アップの道を上っていくためにも必要なことです。
また、リストラを無事に乗り切るためにも大切なことです。

ここで注目したいのは、リストラ回避、派遣社員から正社員、平社員から主任級という場面では、与えられた仕事を効率よくこなす、いわゆる仕事のできる人間が必要とされますが、それ以上の場面では重視されるポイントが少し違ってくるということ。

管理職や重役に抜擢される人には、自分の考えと長期的な視点を持っていること、人を動かすすべを心得ていることが求められるため、必ずしも最も効率よく仕事ができる人間が上に立つよう選ばれるわけではないでしょう。

転職のオファーを受ける

転職は、うまくいけば年収が上がりますが、年収が下がってしまうこともあり得ます。
比較的安全なのは、先方からあなたを見込んでのオファーがあった場合。
とくに、同業種・同業界での転職であれば、期待されている働きができる可能性が高いでしょう。

オファーを受けるかどうか検討するにあたり、注意したいのは収入カーブ。
提示される目先の年収は今の会社よりも高いかもしれませんが、40歳、50歳と長く勤めた場合の将来の年収がどうなるかも比較する必要があります。

周りを見て学ぶ

どのような職種であっても、人とのかかわりの中で仕事をすることは避けられません。
個々の技術や能力だけでなく、コミュニケーションが結果を大きく左右することがよくあります。

事実、コミュニケーション能力の高い人はそうでない人の1.85倍の収入を得ているという調査結果もあります(ハーバードビジネススクールの研究による)。
コミュニケーション能力をどのように向上させたらよいでしょうか。
最も簡単な方法は、身近にいる人のやり方を見て学ぶことです。

同僚やクライアントから信頼されている人の言動をよく観察し、どのように信頼関係を築いているのか学びましょう。
職場や取引先だけでなく、プライベートで付き合いのある人から学べることも多いでしょう。
心から信頼できる人、話に説得力のある人、人を動かす力のある人に積極的に近づきます。
そしてその人のコミュニケーションのやり方を吸収するようにしましょう。

上司とのコミュニケーション

上司との良いコミュニケーションにより給料を上げてもらう方法もあります。
やみくもに要求するのではなく、昇給に値する働きをしていると感じる正当な理由があるときに、一人の立派なビジネスパーソンとして、ビジネスマナーを守って交渉を行います。

普段から上司と良いコミュニケーションをとり、プロジェクトを積極的に提案したり、あまり人気のない仕事や残業も進んで取り組む姿勢、欠勤・遅刻のない責任感のある様子を見てもらっておくことも大切です。

上司が忙しくない時間と環境を見計らって時間をとってもらいましょう。
昇給に値すると思われる理由やアピールしたいポイントをリストアップしておくとスマートです。

副業をやってみる

会社以外の収入を増やすことを考えるのもひとつの方法です。
自分の興味や環境に合った、続けやすい副業を気軽に始めてみましょう。
副業にもいろいろありますが、FXなどの投資やウェブライター、アフィリエイトや覆面調査など、休日に空いた時間でできるものがよいでしょう。

共働きを検討する

夫婦ともに働くことができれば、当然のことながら世帯収入はアップします。
一方、子どもの保育園や、配偶者控除が受けられなくなり税金が高くなることなど、共働きによる支出もあります。

どれくらい働くのか、家事の分担はどうするのかなど、前もって計画と相談が必要です。

少しの努力で年収をあげる

年収の地域や職業による分布についてご説明するとともに、年収をあげるコツもご紹介してきました。
もちろんお金がすべてではありませんが、少し多めにあると生活が楽しくなることも事実。
少しの努力でチャンスを作り、年収アップにトライしてみるのはいかがですか。