世帯年収700万円家庭の実態
世帯年収700万円の男女割合
サラリーマン全体における世帯年収700万円の、男女割合をご存じでしょうか?
国税庁民間給与実態調査では、男性の年収700万円の割合は6%、女性の年収700万円の割合は1.3%となっています。
この結果を見て、なぜ男性のほうが圧倒的に多いのか疑問に思いませんか?
それは、男性は一度就職したら、働きつづけることが可能ですが、女性は結婚・出産・子育てなど、人生のライフステージの変化によって働けない期間が生じ、その間に男性との収入格差が広がってしまうからなのです。
子供の有無によって裕福度が変わる
ひとことで年収700万円といっても、子供の有無によって裕福度が変わってきます。
当然、夫婦二人の世帯よりも、子供のいる世帯のほうが月々の出費が多くなります。
子供がいる世帯では、年間の教育費・食費・衣類代・医療費・食費・旅行費に加えて、子供の成長にともないマイホームの購入も検討しなければなりません。
そのため、年収700万円といえど、ほとんどを出費してしまっていることが現状なのです。
独身者であれば贅沢できる
一例として、都内在住で年収が700万円の30代独身男性の生活を見てみましょう。
手取り給与:46万円
【支出内訳】
・食費:10万円
・光熱費:20,000円
・通信費:20,000円
・保険:10,000円
・衣類費:50,000円
・交際費:80,000円
・雑費:70,000円
・その他:20,000円
合計支出:46万円
子供のいる世帯と比べて、教育費やその他の出費が重ならないため、同じ年収700万円でも独身者であれば、贅沢できることがわかります。
また、若ければ若いほど、保険や将来に備えての貯蓄が少額で済むため、多くの費用を趣味や交際費にあてられます。
贅沢しなければ専業主婦も可能
専業主婦になるために、夫に必要な収入は年収700万円以上といわれています。
つまり年収700万円は、専業主婦になるための最低必須条件だといえます。
では、本当に年収700万円で専業主婦が可能なのかを、2歳の子どもがいる専業主婦で、シミュレーションしていきましょう。
夫の手取り給与:46万円
【支出内訳】
・食費:80,000円
・光熱費:30,000円
・通信費:30,000円
・保険:30,000円
・衣類費:50,000円
・交際費:20,000円
・雑費:20,000円
・夫の小遣い:50,00円
・貯金:30,000円
合計支出:46万円
上記の通り、年収700万円でも子供がまだ小さくて、贅沢をしなければ専業主婦は可能です。
子供がいるので、どうしても食費や衣類費がかかってしまいますが、いかに浪費を抑えられるかがポイントなのです。
老後のための貯蓄は必須
独身者や夫婦ニ人のみの世帯と比べ、子供のいる世帯では、手取り給与46万円のほとんどを支出してしまうため、貯蓄にまわせる余裕はありません。
ほとんどの子供がいる世帯では、月々の貯金額は10,000~20,000円程度が多く、老後のための貯蓄が十分とはいえないことが実態です。
年収700万円世帯の貯金の目安とコツ
収入の10%は貯金に回す
年収700万円世帯の貯金の目安は、一体いくらなのでしょう。
安定した貯蓄のためには「収入の10%は貯金に回す」ことがポイントです。
年収700万円世帯では、手取り46万円として、月々50,000円の貯金ができれば理想的といえます。
そのためには、月々の生活費を41万円に抑えることが必要となってきます。
普段使用している銀行口座に現金があると、どうしても生活費や雑費に使用してしまうので、給与支払日に自動的に別口座に積立貯金される、「天引き貯金」のシステムを使えば、貯金はたまりやすいです。
老後の資金として個人年金に加入する
公的年金(国民年金・厚生年金)に対して、個人年金とは、個人で老後の貯蓄として運用していくシステムです。
年収700万円世帯といえど、公的年金だけでは不安に感じているはずです。
老後に破綻するリスクを回避するために、今のうちに個人年金に加入しておくことが必要です。
個人年金は、保険会社で多数取り扱っており、毎月引き落とされるので、生活費に使ってしまう心配はありません。
また、老後に年金として受け取れるので、老後の生活費として個人年金を計算に入れておきましょう。
共働きならば20%を目指す
夫婦共働きの世帯の場合は、収入の20%を貯金することをこころがけましょう。
手取りが46万円だとしたら、月々10万円を貯金にまわすようにしてください。
貯金をするポイントは、夫婦で生活費の負担額をよく話し合って、明確に決めることです。
専業主婦より共働き世帯のほうが、一人あたりの負担額が少なくて済むので、その分貯金がしやすくなります。
夫婦で毎月10万円を貯金にまわすために、生活費をいくらにするのかを、よく話し合って計算しましょう。
出費はできるだけ抑える
貯金をするためには当然のことながら、毎月の出費をできるだけ抑えることが重要となります。
子供がいる世帯では、やはり養育費が一番大きな出費となります。
子供一人を育てるためには、生涯で最低でも1,500万円以上の養育費がかかり、大学まで入学させるとなると、3,000万円以上は必要となってきます。
養育費は、子供が大きくなればなるほど高くなってきますので、子供が小さいうちに、どれだけ多くの貯金ができるのかが重要となってきます。
成長期の子供は、どうしても食費や衣服類にお金がかかってしまいますので、外食費や旅行費など出費を減らせる項目は、率先して減らしていくようにこころがけましょう。
貯蓄性のある保険を選ぶ
将来や万が一のときのことを考えると、保険に加入することが必要となります。
しかし、数多くある保険商品の中で、一体どのような保険を選べばよいのか悩むところです。
保険を選ぶ際は、貯蓄性のある保険を選ぶことを視野に入れて、選んでみてください。
終身保険、定期保険、養老保険などの貯蓄性のある保険には、死亡時や病気等への保障のほかに、毎月の積立金に利子がつきますので、かけた保険金以上の金額を受け取れる場合があります。
世帯年収700万円で住宅を購入するポイント
なるべく多く頭金を支払う
住宅ローンを組む際に、8割はローンでの借り入れができますが、頭金を2割程度支払うことが必要とされています。
しかし、半数以上の人は頭金なしか、あるいは2割未満の少ない自己資金で、ローンを組んでいる実態があります。
住宅ローンを組むうえで注意しなければいけない点は、景気の変動で金利が上昇するリスクがあることです。
そのため、頭金が少なければ少ないほど、金利上昇の際に返済が難しくなってきます。
このようなリスクを回避するために、住宅購入の際には、なるべく多く頭金を支払うようにしましょう。
年間の返済額が年収の25%以下
住宅ローンを組む際は、年間の返済額が年収の25%以下に抑えることが重要です。
年収700万円世帯では、毎月の返済額を10万円以下に設定すると安全です。
返済額を決める際は、家計を圧迫せずに無理のない範囲で毎月返済できるかが、重要なポイントとなります。
住宅を購入する際には、先々のことをよく考えてから返済プランを立てていきましょう。
年収の6倍までの物件を選ぶ
住宅を購入する際には、年収の6倍までの物件を選ぶことが妥当だとされています。
6倍とはあくまで上限になるので、これよりも少ないほうがより安全で妥当な数字となります。
また、新築か中古、あるいは戸建てかマンションかの物件タイプやエリアによって、基準となる価格が変わってきますので、注意しましょう。
住宅ローンは3,000万円まで組める
年収700万円クラスならば、住宅ローンの審査は、よほどのことがない限り通りやすいはずです。
しかし、無理のない返済を考えると、住宅ローンは3,000万円以下で組むことを目安としてください。
それ以上の金額を提案されるケースもあるかもしれませんが、3,000万円以上になると、毎月の返済が大変になります。
また、同じ年収700万円でも貯蓄額によって、組めるローンの金額が変わってくることも覚えておきましょう。
無理のない返済年数を設定する
住宅ローンの返済年数を設定するときには、無理のない年数で設定することが重要です。
頭金をできるだけ多く用意して返済年数が少ないほど、完済したあとに自由に使える金額が増えます。
とはいっても、多くの頭金を用意できない場合や、家計を圧迫しそうな場合は、返済年数が30年もしくは35年の長期ローンを選択し、毎月の返済額を減らすと安全です。
また、長期ローンを組む場合は、多くの銀行が年齢制限を設けているので、この点にも気をつけましょう。
金利は固定型を選ぶ
住宅ローンの金利には、大きく分けて変動型と固定型があります。
変動型は、金利が固定型よりも低めに設定されているというメリットがありますが、金利が上昇すると返済額が大きくなります。
ローンを組む際に、金利の低さから変動型を選んでしまいがちですが、今後金利が上昇する可能性も十分に想定できます。
長期ローンを組んだ場合、転職やリストラなどで収入が減った場面を想定すると、金利は固定型を選ぶことがリスク対策といえます。
世帯年収が700万円あっても裕福ではない理由
生活費の節約ができていない
世帯年収700万円は、サラリーマン全体で考えると、かなりの高収入にランクインされます。
しかし、実際には裕福とはいえないのは、なぜなのでしょう。
その一番の原因に、生活費の節約ができていないということがあげられます。
一見、余裕のある生活ができそうな感じがありますが、夫婦に子供二人の家庭となってくると、ほとんど余裕のない生活を送っていることが現状です。
税金が引かれて手取りは約560万円
日本では、累進課税制度が導入されています。
累進課税とは、収入が多ければ多くなるほど、所得税率が上がっていく制度です。
つまり、収入が高い世帯ほど、より多くの税金を払わなければならず、年収700万円クラスともなると、年間140万円程度の税金関係が、給与から天引きされる計算となり、手取りは560万円程度となるのです。
子供の保育料が高い
年収が700万円あっても裕福ではない理由の一つに、子供の保育料が高いということがあげられます。
保育料は世帯所得から計算され、住んでいる地域によっても異なってきます。
ここでもいえることは、所得額が多ければ多いほど保育料が高くなってくるということです。
年収700万円世帯で、2歳未満の子供を保育園に預けるとなると、月平均50,000~80,000円程度はかかり、私立などの保育園ともなると、それ以上の保育料がかかってしまうのです。
貯金などの積立を行っていない
年収700万円といえど、貯金などの積立を行っていないと、貯蓄を増やすことは困難でしょう。
ボーナスが入った月や余裕のある月だけ貯金しても、貯金はなかなか貯まりません。
また、少々家計がピンチになった際に、すぐ貯金をおろして使えるような環境をつくってしまうと、貯金はすぐに底をついてしまいます。
ローンを多く組みすぎている
年収700万円世帯は、ローン審査が通りやすいので、「気がついたら、ローンを多く組みすぎていた」という状況に気をつけましょう。
とくに、車を購入する際にはなるべくローンを組まずに、現金を貯めて購入するか、頭金を多く用意して、少ないローンで購入するようにこころがけましょう。
とにかくローンが重なり出費が多くなることだけは、避けるように注意しましょう。
定期的に家計の見直しをしよう
私たちが気づいていないところで、日々の出費は大きくなっています。
住宅や車などの大きな買い物をするときはもちろんのこと、毎日の生活の中で、むだなコストがかかっていないか確認することが大切です。
そのためには定期的な見直しをして、貯金にまわせるように工夫していきましょう。