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医療費控除に必要な診断書を知る
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額以上だった場合、確定申告をすると所得税や住民税が減税されるというものです。
一般的には1年間に10万円を超える医療費が発生した場合、医療費控除によって所得税や住民税が減税できる可能性があります。
確定申告で医療費控除を申告するには、医療費が発生したことを証明する診断書や領収書などが必要です。
治療内容によっては領収書では申告できず、診断書が必要なこともあります。
医療費控除に必要な診断書を知っておきましょう。
医療費控除に診断書が必要な場合がある
下記のようなケースでは医療費控除に診断書が必要になるので、確定申告まで診断書をなくさないように保管しておきましょう。
領収書では治療目的と判断できない場合
医療費控除は治療目的のものしか認められません。
そのため、領収書に病名の記載がない、病名と治療の関係が成り立たない場合は、医療費控除の対象外となってしまうことがあります。
例えばコンタクトレンズの購入は、医療費控除になるかどうかがわかれます。
多くの方が使用する近視用や乱視用のものは医療費控除対象外ですが、オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)などに使われる特殊なコンタクトレンズは医療費控除の対象です。
メガネも同じで、近視用や乱視用の一般的なメガネは医療費控除対象外ですが、斜視、白内障、緑内障など、手術後に必要なものや治療のために必要なものであれば、医療費控除の対象になります。
上記のように、コンタクトレンズやメガネを購入した領収書を見ただけでは治療目的かどうかわからない場合は、治療目的だということを証明する診断書が必要になります。
医師の診断の有無で治療とみなされる場合
人間ドッグや健康診断をしただけでは、治療目的ではないので医療費控除の対象にはなりません。
しかし、人間ドックや健康診断で病気が見つかった場合は例外です。
人間ドックや健康診断で病気が見つかり、その後引き続き通院や入院、手術などが必要になることがあります。
その場合は、人間ドックや健康診断も検診の一環に含まれることになり、医療費控除の対象になるのです。
医療費控除の対象だと証明するために、その後の治療を証明する診断書が必要になります。
診断書があると医療費控除の対象になる事例
医療費控除の対象になるかどうかを判断するため、診断書があると医療費控除の対象になるさまざまな事例を見ていきましょう。
治療目的の成人の歯科矯正
歯科矯正の場合、子どもの不正咬合を治療するための歯科矯正であれば医療費控除の対象になりますが、大人が容姿の改善や美容目的のためにするのであれば医療費控除対象外です。
つまり、大人が治療のためにした歯科矯正の場合は、美容目的だと思われないようにするために診断書が必要になります。
一方で、子どもの歯科矯正の場合は、医療費控除の明細に続柄が「子」と記載されていればそれだけでOK。
子どもは発育阻害などで行うことが一般的なので、診断書がなくても大丈夫です。
医療器具の購入
医師や歯科医の診察により治療することになり、その治療のために必要な器具と医師が判断した場合は医療費控除の対象になります。
例えば、人工肛門や人工膀胱などのストマ用装具の購入費用、医師の指示によって購入した血圧測定器などは医療費控除の対象です。
医師の指示とは関係なく、自己判断で購入した医療機器に関しては、医療費控除対象外になる可能性が高いので注意しましょう。
また、ぜんそくのために空気清浄機を購入した場合、そもそも空気清浄機は医療機器ではないので医療費控除の対象外になります。
介護用おむつ費用代
寝たきりの方の介護用おむつ代も医療費控除の対象になりますが、「6カ月以上の寝たきりと医師が判断した場合」「おむつ使用証明書が必要」など、医療費控除の対象になるには条件があるので注意しましょう。
介護用のおむつ代も医師の証明が必要で、医師から発行してもらう使用証明書が必要になります。
使用証明書には必要期間が記されているので、期間が過ぎたら再度発行が必要です。
また、レシートであれば介護用おむつだとわかりますが、領収書の場合は但し書きに「介護用おむつ代」と記入してもらい、あて名は使用者の名前を記入してもらいましょう。
介護など療養のためのお世話費用
看護師、准看護師、保健師などのお世話が必要と医師が判断し、介護など療養のためにお世話費用が必要になった場合も医療費控除の対象です。
医師から指示があった訪問介護・看護であれば医療費控除になります。
訪問介護・看護サービスの利用は、後期高齢者医療制度、国民健康保険、社会保険、介護保険が利用でき、これらの保険の自己負担額の全てが控除の対象になるのです。
ただし、訪問介護・看護の際に必要な生活用品や食事代は控除の対象にはならないので注意しましょう。
補聴器やメガネの購入代金
医師が治療が必要だと判断したために購入した補聴器やメガネの代金も、医療費控除の対象になります。
医師の診断書があれば購入場所はどこでもOKです。
メガネの場合、一般的によく購入されている近視用や乱視用のメガネの場合は医療費控除の対象外になってしまうので、治療のために購入したということを証明しなくてはいけません。
そのために、医師の診断書が必要になるのです。
診断書も医療費控除に含まれるのか
病院で手術や入院などをした場合、保険の申告や会社への報告のために診断書を医師に書いてもらうことがありますが、この診断書にかかった費用は医療費控除に含まれるのでしょうか?その答えを確認していきましょう。
診断書は文書料なので適用対象外
病院で手術などをした場合、保険会社に申告したり会社に報告したりする必要が出てきます。
その際に必要になるのが医師に書いてもらう「診断書」です。
診断書を書いてもらうと、「文書料」として費用がかかります。
医療費控除は治療目的のものが対象になるので、一部の例外を除き、診断書の文書料は医療費控除の対象外です。
治療のために必要とされ、医療行為の一環として書いた診断書のみ医療費控除の対象と認められる場合があります。
生保の受取目的や健診の証明は全額自己負担
生命保険の受取目的や健康診断の証明は、全額自己負担です。
生命保険診断書は、保険金の受領で必要になります。
また、健康診断の証明書も、理由があり健康診断が受けられなかった場合などに必要になることが多いです。
生命保険の診断書などは、発行に5,000円ほどかかるなど、場合によっては高額な費用が必要になることがあります。
発行が必要になったときには、大きな負担になるということを頭に入れておきましょう。
転院の場合の紹介状は適用対象になる
基本的に診断書は文書料なので医療費控除の対象外になります。
しかし、文書料でも医療行為の一環と判断された場合のみ、医療費控除の対象になるのです。
例えば、かかりつけの病院から別の病院へ転院するように医師から勧められた場合の紹介状は、医療費控除の適用対象になります。
転院することが医療行為の一環になるため、転院の場合の紹介状は適用対象になるのです。
医療費控除と診断書の知識が節税につながる
医療費控除の知識を知ることで、確定申告の際に申告でき、所得税や住民税を減税できます。
逆に知識を知らないと損をするということです。
場合によっては領収書だけでは医療費控除が認められず、医師の診断書が必要になることもあります。
医療費控除は「治療目的である」ことがポイントになるので、節税のために医療費控除と診断書の知識を知っておきましょう。