UKANO家計のクリニック

20代平均年収で安心?将来の人生設計と年収のバランスをとるために

年収と必要経費を知って収入UPまで考える

自分の年収は社会で働く人の中で平均なのだろうか、それは誰もが一度は考える悩みでしょう。
より豊かに生活するために収入は多いに越したことはありませんが、まだ若い20代だからまだまだ先と思うかもしれません。
しかし近い将来の結婚や子どもの誕生に備えて心構えはもちろん、そのための費用をどう捻出するかは若い今だからこそ考えておくべき大切なことです。

人生計画は人によってさまざまですから、それぞれのライフイベントに沿って必要な経費を試算し、それを加味した収入アップ計画について考えてみましょう。

20代男子平均年収をいろんな角度から見る

20代はまだ社会に出たばかりで、今の仕事が自分の一生の仕事なのか、向いているのかなどさえ考える余裕がないかもしれません。
まずは20代男子の平均年収をさまざまな角度から見てみましょう。

20代の平均年収は296万円

国税庁による平成26年の調査では、20代の平均年収は296万円。
入社したての新入社員から責任ある仕事を任せられる係長クラスまで仕事の幅は広いため、20代前半(20歳から24歳)と後半(25歳から29歳)では大きく差があります。

また、さらに男女の平均を見てもかなりの開きがあります。
これは女性で非正規社員として働いている人が多いことと平均年収水準が比較的低めの事務系やアシスタント系職種に女性の就業率が高いことなどが原因だといわれています。

20代前半の平均年収は330万円

20代前半男子の平均年収は330万円ほどで、業種によっても多少差があるものおよそ300万円から350万円の間です。
企業の規模が大きいほど高額である傾向がありますが、やはり大きな差はありません。

それは20代前半が大卒新卒直後の研修中であることが理由です。
入社から24歳までは企業もその人のスキルや能力を見極めている段階です。
まだ戦力としてカウントしておらず支持された業務をこなしていくことが当面の課題です。
また、この時期はまだ業務に対して苦痛を感じることは少なく、比較的ストレスは低いようです。

20代後半の平均年収は377万円

20代後半になると、社内の事情にも通じ自分のすべき仕事が理解できるようになり、企業も適切な部署に異動させ戦力として期待するようになります。
そのため20代後半男子の平均年収は377万円と大きく伸び、同時に仕事への意欲も変わります。

大卒は429万円、高卒は276万円。

また学歴で20代の年収差を比較すると、大卒では429万円、高卒では276万円となっています。
それは大卒であれば22歳、高卒であれば18歳である年齢差、また高卒で大企業で採用する人数は限られ中小企業に就職する数が増える傾向や、25歳を超えたあたりから研修期間を終え戦力としてカウントされるようになってからの企業の規模による昇級率が作用していれると考えられます。

20代非正規の平均年収は約210万円

一方、20代の非正規雇用の場合の平均年収は210万円ほどで、正規雇用とは100万円ほどの開きがあります。
20代ではまだアルバイトなどで生計を立て、正社員と同程度の収入を得ている人もいますが、一般にフリーターや派遣社員は昇級・昇進は期待できず将来には不安が残ります。
ほかにも研修制度や各種手当などの福利厚生の適用が正社員に限られることが多く平均年収以外にも開きがあるのが現実です。

業界別ランキング1位は投資銀行業務648万円

まだ戦力にカウントされない、またはされ始めたばかりの20代でも業種別の年収には開きがあります。
最も高額なのは投資銀行業務の648万円、ついでファンドマネージャーやディーラーで560万円となっています。
金融系専門職の20代平均年収は357万円ですが、その中でも上記の2職種は突出して高額です。

企業別ランキング1位はキーエンス1,861万円(全世代)

全世代が対象ですが、就職四季報2019年版によると平均年収のトップは電機・事務機器のキーエンスで1,861万円となっています。
キーエンスは2位の朝日放送に300万円の大差をつけての1位で、しかも平均年齢は36.1歳と上位50社の中では最も若く、若手を中心とした成果主義によって高い利益を出していることでも知られています。
一概には言えませんが、こんな企業なら仕事のやり方次第で、20代のうちに高額の年収を得るチャンスがあるかもしれません。

キーエンスが求める人材は「本質的に正しいことを徹底して考え、主張・実行できる人」とし、採用試験にエントリーシートがなく面接のみでコミュニケーション能力や論理的思考力を重視しています。
年収が高額だということは、それに見合う能力や成果が求められていると考えるべきです。

地域別ランキング1位は東京484万円

また平均年収は勤務地によってもかなり開きがあります。
青森県や秋田県・佐賀県・宮崎県が280万円弱である一方、東京都は484万円、ついで大阪府が415万円となっています。
しかしこれはあくまで平均年収で、それから差し引くべき家賃や光熱費や食費といった基本的な費用の比較はされていないので注意しましょう。

20代平均年収からみた生活費は?

いくら収入が多くても、生活費が多ければ結局手元に残るお金は少なくなります。
20代の平均年収に応じた生活費は平均どのくらいなのでしょうか。

手取り月収19.7万円

20代の平均年収が296万円なら、単純に12ヶ月で割ると25万円弱です。
厳密にいうとサラリーマンなら夏と冬のボーナスも含まれているので実際の月収はもっと少なくなるはずです。
しかしこの金額はサラリーマンを含めた20代男子の平均ですので、ボーナスはないものとして考えます。
総支給額から社会保険や厚生年金、源泉徴収税などを差し引いた手取り額はおよそ19.7万円といわれています。

手取りは額面の80%

総支給額から差し引かれるものには、社会保険料や厚生年金、源泉徴収税だけでなく企業によっては住民税や組合費などが含まれる場合もあります。
それらの平均はおよそ総支給額の20%で、手取りは総支給額面の80%です。

東京都内の一人暮らしで自由に使えるお小遣いは5.7万円

生活するには暮らす家の家賃や水道光熱費、食費が必要です。
それらは東京都内の一人暮らしの平均が家賃または住宅ローンなどの住居費が8万円、水道光熱・通信費が2万円、食費ほかその他生活費が4万円で合計14万円になります。

手取り19.7万円から生活費の14万円を差し引いた残りが5.7万円。
この中から小遣いや貯金へとやり駆使しなくてはなりません。
この金額を、あなたは高いと感じるでしょうかそれとも安いと感じるでしょうか。

20代で備えるべき資金は?

20代は、大学・大学院を卒業して就職したり、多くの人が結婚し女性なら出産を経験します。
それぞれのイベントは非常に幸せなことでもありますが、同時にお金がかかることでもあります。

結婚式費用は平均330万円

20代で結婚する人もいますが、仕事での安定した収入や家族計画などでなかなか結婚に踏み切れない人も多いでしょう。

結婚式にかかる費用の平均は約330万円で、新郎側が全額負担するのかそれとも新郎新婦で折半するのかでも負担額は変わります。
現実的には、結婚のための貯金は男性で平均184万円、女性は平均127万円です。

結婚式は新婦側の意向が重視される傾向にありますが、また双方の両親の意向も踏まえて考えなくてはなりません。
やり方によっては費用を節約したり結婚式をしないという選択肢もありますが、ある程度の貯金は必要になるでしょう。

必要な貯蓄は78.8万円

20代は社会に出て実情を肌で感じ始める最初の時期です。
日々仕事に取り組む中で自分の理想を追いたくなったり、あるいは他の業種に魅力を感じることもあるかもしれません。

そうすると今の会社を退職し、新たな仕事に取り組むことになるのですが、うまくいっても再就職の翌月からの給与支給です。
万が一再スタートが遅れればそれだけ生活費が不足しますから、そのための備えが必要です。

万が一を考えると、手取り19.7万円として最低でも4ヶ月分78.8万円は備えておきましょう。
そうすれば就職先をじっくり吟味できますから、きっと良い職場で再スタートできるでしょう。

平均貯蓄は184万円

総務省が発表した家計調査報告の中で、日本人の平均貯蓄高が1,820万円と発表され物議を醸したことがありました。
これは60代以上の世帯が大きく引き上げているためで、20代にとってはピンとこないのも当然です。

20代世帯当たりの平均貯蓄額は184万円、全体平均の約10分の1です。
また20代で金融資産を持っている人は54.7%しかいませんから、半数近くの人は貯金していないというのが現実です。

年収を上げるには?

生活費を抑えても、収入がアップしなくては万が一に備えることも趣味に精を出すこともできず不自由なままです。
やはり収入を上げる何らかの方法を考える必要があります。

今の会社で出世を目指す

まず、今働いている会社で出世して収入を増やすことを考えてみましょう。
今の会社で働いている40代・50代の社員の給与から将来の給与を予測できます。
高収入が期待できるならより高いポジションを目指すのも選択肢の一つです。

ただポジションを目指すのではなく、分け隔てなく社内外で信頼を積み重ね、実績を上げることを目標にするとよいでしょう。
苦手な上司や顧客に対してもまずは聞き上手に徹し、時に我慢することも大切です。
その暁には高収入が待っていると肝に銘じて力を尽くしましょう。

20代のうちに読みたい本

高いポジションはある日突然訪れることはありません。
仕事や関連することに対してはもちろん、より幅広い社会のことにも興味を持ち、学べることなら何でも学ぶよう心がけましょう。
ビジネス本や自己啓発本だけでなく話題の小説やエッセイなど社会に影響を与えている本はたくさんあります。
若い時から読書家だったといわれる成功者は世界にたくさんいます。
読書で得られた知識だけでなく、その学ぶ姿勢もが成功の秘訣となるかもしれません。

転職する

より高い収入を得る仕事に転職することを考えてみましょう。
一般的に転職はあまり良いイメージがないかもしれませんが、より自分らしくチャレンジしたりより自分らしく仕事をするためには最適な方法の一つです。

30代・40代・50代の平均年収

2017年の年代別平均年収は、30代で455万円、40代で541万円、50台では661万円となっています。
転職すると一時的に年収が落ちることもありますが、今の会社と比較してさらに10年後・20年後の年収を考えて有利であれば転職するのは有効です。

転職エージェントを利用する

自分にあった条件の良い企業に転職するとすれば、仕事をしながら自分で探すのは困難です。
最近では転職者の40%以上が転職エージェントを利用しています。
転職エージェントは、転職活動に必要なサポートを無料で受けることができ、専門のスタッフがあなたのキャリアと希望を聞いて表には出ていない非公開の求人とマッチングしれくれます。

原則として一人の担当者が最後まで受け持つので、面接だけでは伝えきれない転職者の魅力を相手企業にしっかりプッシュしてくれます。
無料で利用できるのは、転職が成立後に相手企業からその人の年収の30%を紹介料として受け取るからです。
今の会社で不当に低く評価されていたり、より自分に適した企業を探すなら転職エージェントは最適なサービスです。

転職に有利な資格

明確に転職先を考えることなく転職したいと考えても、なかなか思うようにはいかないでしょう。
今の会社を辞めてどんな仕事をしたいのか、向いているのか、そしてそれが可能なのかなどさまざまな視点で「仕事をする」ことについて考え抜く必要があります。
その過程で、就きたい仕事に必要な資格があるとすれば、早速その資格の取得を考えてみましょう。

もし転職したい企業があり、しかし転職するにはスキルが不足しているなら、それを補う資格を取得して転職をアプローチするのもよいでしょう。
資格はいろいろで、それだけで絶大な威力を持つ取得困難なものもありますが、誰でも簡単な試験に合格すれば取れるというものもあります。

資格取得の際は思い込みだけで決めるのではなく、市場のニーズがどの程度あるのか、取得した場合につける仕事の年収はどの程度かなど具体的に詳しく徹底的に調べましょう。
転職するのも資格を取得するのも、本人にとっては一大イベントです。
許されるならそのためには徹底的に慎重に準備することをおすすめします。

副業する

今わが国の人口は減り始め、将来の労働力不足が懸念されています。
その対策として政府は働き方改革を進め、労働力の補完と現在の労働環境の改善を進めようとしています。
そんな中でソフトバンクグループやDeNAなど大手企業は副業を一部条件付きで解禁しました。
あくまで本業に支障がないことが前提ですが、副業を禁止する企業が多い中で非常に画期的な判断だといえます。

しかし副業にも多くの種類・形式があり、一見できそうだと思えても実際に取り組んでみるとできなかったり、本業との両立が難しいのに無理をして身体を壊す人もあるといいます。
副業の内容を細かに確認し、慎重に選ぶようにしましょう。
また人気の副業は誰もが狙っているはずです。
ライバルが多くなる前に準備しなくてはならないことにも注意しましょう。

副業に有利な資格

それがあれば副業ができる資格もあります。
中小企業診断士や行政書士、ファイナンシャルプランナーといった仕事は自宅の客間などを利用してすぐに開業できます。
開業すれば相談料は1時間1万円前後が相場ですが、その分資格取得が難しく新規顧客開拓も簡単ではありません。

今労働力不足が問題になっている介護系のホームヘルパーには、土日だけの求人もありますし、他にもアロマセラピストやネイリスト・フラワーデザイナーといった趣味の延長で楽しみながら資格取得できるものもあります。

ここで気をつけたいのは、高収入を得たいから資格取得するのか、仕事が向いているから取得するのかをしっかり自覚しておきたいということです。
将来にわたって続けるなら向き不向きも大切な要素です。
資格はあくまでスキルの客観的な裏付け、証明です。
副業とはいえ顧客のために継続して良いサービスを提供することができることが前提です。
よく考えて決めるのが重要です。

今の年収だけではなく時代の動きも読もう!

20代にはまだまだ将来があります。
だからこそ収入についても将来を思い描き、しっかり計画しておきたいものです。
収入が少ないなら生活費を節約し、同時に収入が増えるようより高いポジションを目指して勉強したり、転職や副業も検討するのも良いでしょう。

これから数十年にわたって働くことが必要になる20代だからこそ、直近の収入だけにとらわれることなく社会の状況や時代の動きを読み、じっくり調べてから決断しても遅くはありません。
本当の意味で自分が活躍でき、誇りを持って打ち込める仕事を目指しましょう。