UKANO家計のクリニック

転職をした後の出戻りを考える。知っておきたい見極めのポイント

出戻り転職に失敗しないためのコツ

転職に失敗したと感じた時に考える出戻り転職。
すでに働いたことがあるので、失敗しにくいような気がしますが、実際はどうでしょう。
同じことを繰り返さないために、どのようなところを気を付ければよいのか。
また、そのコツとは何でしょうか。

転職後の出戻りを成功させるポイント

前の会社の情報をリサーチ

出戻りを成功させるポイントはいくつかありますが、まずは、以前働いていた会社の≪今の≫情報を得ることが重要になってきます。
理由として、以前働いていたときと状況が変わっている可能性があるからです。

「自分の希望しているポジションの募集をしているか。」
「仕事内容は変わっていないか。」

といったことをできるだけ詳しく把握しましょう。

確実に情報を得る方法としては、元上司や同僚に相談するのが一番です。
会社も変化します。
実際に働いている人からの生の情報は、出戻り転職を決断するうえで貴重な材料となります。

では、相談できる元上司や同僚がいなかった場合、リサーチした結果、自分の希望するポストが空いていないときは、どうしたらよいでしょうか。
戻っても新しい仕事を覚えなければならないのであれば、新たな転職先を見つけて、希望している職種を探すという選択肢も視野に入れるべきです。

同じ失敗を繰り返さないために、転職のノウハウを多く持っている、転職エージェントなどで相談することも含め、自分にとってどちらが良いのか、よく考えましょう。

前の会社への貢献度が高い

出戻り転職の場合、以前働いていたときの会社での評価は、大事な判断材料となります。

「仕事を覚える間もなく短期間で辞めている。

「転職の理由が対人関係や仕事の不備。

「退職が決まってからの引継ぎ手続きがいい加減」

などの理由で辞めている場合には、出戻りは難しいでしょう。

ある一定期間働いていて、成果を上げている人であれば、「即戦力になる人材」という会社側のメリットがあり、受け入れを前向きに考えてくれる可能性が高くなります。

そして「貢献度」と同時に大切なのは「円満退社をしている。
」ということです。
出戻り社員とトラブルがあった社員が、まだ働いていることが考えられます。
「また同じことが起こるのではないか。
」と思われ、受け入れに積極的になれない原因になる可能性があります。
良い人間関係を作ることは、仕事をスムーズに進めるために大切なことです。

ポジティブな志望動機を考える

転職する人の割合が増えているとはいえ、出戻り転職は、まだまだネガティブな印象があります。
「転職先での給料が下がったから。」とか「思っていたのと違ったから。」など、出戻りの動機がネガティブでは、会社側が再雇用しようという気持ちにはならないでしょう。
そこで、再雇用することの「会社側のメリット」をアピールすることや、「また辞めない。」と感じてもらえる、志望動機を考えることが大切になってきます。

「転職したことによって得ることができたスキルや成果、または失敗体験などを挙げ、自分が以前より成長したことを説明する。」

「他社で働いたからこそ発見できた会社のよさを挙げ、具体的にどういうことが自分にはできるのかアピールする。」

など、ポジティブで高いモチベーションを感じてもらえる志望動機を考えれば、受け入れに積極的になってくれる可能性が増えます。

元上司から推薦してもらう

退職したとき、戻ることを考えていないとしても、元上司や同僚と良い関係を保つことは、社会生活をスムーズにするうえでも役に立つことが多いものです。
近況報告や情報交換をできる関係であれば、転職の相談もしやすくなります。

会社への出戻り社員についてのアンケートを見ると、(※2016年エン人事のミカタアンケート参照)再雇用のきっかけは、元上司からの推薦が59%と一番高く、次に元同僚の推薦が33%という結果です。
退職後も、元上司や同僚と友好敵な関係を続けていることは、出戻り転職を成功させるための重要なカギとなっていることがわかります。

また出戻り転職だけでなく、元上司や同僚が、起業、転職した場合にも、新し仕事先に誘ってもらえる可能性もあり、選べる仕事先が広がります。

再雇用制度を利用して応募する

再雇用に関する会社へのアンケートを調べてみると、再雇用をしたことがあると答えた会社は、全体の67%と半数以上です。
ところが、制度として導入している会社は、12%とまだ少ないようです。(※2016年エン人事のミカタアンケート参照)

制度には、キャリア・リターン制度、ジョブ・リターン制度、育自分休暇制度、リ・チャレンジ制度、ウェルカムバック・レター制度、カムバック・パス制度など、会社によっていろいろな名前があり、内容も、退職理由を規制しているものから、特に決められていないものまで様々です。

これらの制度の背景には、人材不足の問題があります。
即戦力となる人材の確保のため、以前はあまり目が向けられていなかった「退職者」もターゲットに加え、「外部で経験を積んで、会社を活性化させることのできる人材が、戻ってきやすい環境を作る。
」という会社側の取り組みがうかがえます。

このような制度がある場合は、出戻りのハードル自体は低くなりますが、制度がある場合でも、「円満退社している。」「優秀な人材である。」というのは、出戻りが受け入れられやすくなる、有利な条件と言えるでしょう。

最適な期間は半年~1年の間

出戻り転職の会社側のメリットとして、即戦力になるという点が挙げられますが、戻るまでの時間が長いほど、ズレを調整するのに時間がかかる可能性が高くなります。
最適な期間は半年から一年と言われていますが、出戻り転職において、戻るまでの期間は、それほど重要ではないという意見もあるようです。

転職した先で成果を上げていたり、留学などでのスキルアップ、出産育児といった出戻りの場合は、数年たっても受け入れてもらえる可能性がありますが、その会社から離れていた期間が長いほど、慣れるまでの時間もかかり、復帰のプレッシャーがかかることは、覚悟しておいた方がよいでしょう。

年数が経つほど、後輩や同期が上司になっている可能性も高くなるので、「昔働いていた。」ということは忘れて、新しい状況を受け入れ、新たな関係を築いていく努力が必要です。

出戻り転職のリスク

希望のポストにつけるとは限らない

会社では、退職が決まった時点で新しい人材を募集します。
つまり、戻りたいと思ったときに、希望のポストがすでに埋まっていて、自分の希望のポストにつけるとは限りません。
前の会社で未経験の仕事をするのであれば、新しい会社で、経験のある部署の募集を探した方がよいかもしれません。
転職の目的を明確にし、ある程度変わっている可能性があることも踏まえ、それでも出戻り転職をしたいのかどうかよく考えてみることが必要です。

また元上司や同僚に相談する場合も、「以前働いていたからわかってくれるだろう。
」と思わず、自分の希望のポジションや条件をしっかり伝え、「こんなはずじゃなかった。
」ということにならないように気を付けましょう。

周囲が受け入れてくれない可能性がある

全体の流れとしては、出戻り社員を即戦力と考えてくれる会社も増えてきていますが、一度辞めているということや、退職の理由などによって、周囲からの反発がある可能性は消えません。
また、ずっと働いていた社員と比べて待遇が良い場合は、風当たりが強くなる可能性があるでしょう。

中には、出戻り社員に対して、「自分勝手」「また辞めるのではないか。」と考えている人もいます。
社内に味方がいるとしても、みんなが歓迎してくれるわけではないことを踏まえ、受け入れられなかったときの対応や、そのことを我慢する覚悟ができているかどうかも含めて、出戻り転職を考える心構えが必要です。

以前よりも待遇が悪くなる場合もある

転職中に大きな実績を上げたり、スキルアップできていれば、高待遇で戻ることができるかもしれませんが、会社によっては一度辞めていることで、評価も給料も下がる場合も少なくありません。
戻る前に、給料や、労働条件について、お互いが納得することは重要です。
「本音の転職理由」を思い出し、そのことに対する不満を解消または理解しているか、「それでも戻りたい。」と思うのか、自分自身でよく分析しましょう。

戻ると決めたときは以前より待遇が悪くなっても、その後の努力次第で挽回することは可能です。
特に、転職を後悔して戻ったのであれば、反省を生かして、最初から高待遇を期待せず、コツコツと積み重ねてゆく覚悟をすれば、同じ失敗をくり返さずに済みます。

出世の可能性が下がる

制度化が進んできているとはいえ、出戻り転職のマイナスイメージはまだあります。
一般的に「仕事ができる」といわれている人は、出世できる可能性は高いと言えますが、平凡な評価の人はなかなか難しいでしょう。
出世が遅れるばかりか、できない可能性も考えられます。

以前は、年功序列、終身雇用といった、以前大きな会社に入れば約束されていたことは、だんだん通用しなくなってきています。
スキルアップやより高い給料を求めて転職することは、悪いことではありません。
自分をうまく成長させることができれば、出世にも繋がるでしょう。
ただ、行き当たりばったりの転職は、出世の可能性が下がるばかりでなく、信用も失うので、出戻りでも普通の転職でも計画性が必要です。

出戻りするときはある程度の覚悟をしておこう

出戻り転職は、一度働いたことがあるという安心感から、低リスクの転職に思われがちですが、実は、そこが一番の落とし穴でもあります。
一番気を付けなければいけないことは、「人間関係」という意見が多く、「また一から始める。」という謙虚な気持ちがないと、周囲からの反発を買う可能性があります。
また同じことを繰り返してしまわないよう、出戻る動機とリスクを明確にし、本当に戻ることにメリットがあるかどうかよく考えてから決めましょう。