UKANO家計のクリニック

転職や退職したら確定申告が必要。その理由や手続きを確認しよう

転職したらなぜ確定申告をするのか

勤務者の場合は税金を会社が給与から天引きして納めています。
そして会社が年末調整を行うことで勤務者の所得税が確定することから、その場合確定申告は不要となります。

ただし、会社を退職すると税金を会社が代わりに納めてくれないので、自分で税務署に支払うべき税金額を計算して申告する必要性がでてきます。
これが確定申告です。
また、転職した場合、たとえば、年末に転職先に在籍していないときには前の会社の給料分の年末調整を受けていない状態であることから、自分で確定申告をする必要性がでてきます。

どういった場合に確定申告が必要となるのか、そしてなぜ確定申告が必要となるのかを国税庁HPも参考にしながら確認していきましょう。

転職したら確定申告が必要になる理由

前述のとおり、転職をすると確定申告が必要となる場合があります。
以下では確定申告が必要となる事例を把握することで、転職時になぜ申告が必要となるのかを確認しましょう。
また、還付金や無申告加算税など確定申告の損得についても確認します。

転職をして給与を2ヵ所から貰った人

転職をして2カ所以上の事業所から給与・賃金を受けている場合、基本的に自分で確定申告を行う必要があります。
その場合、前勤務先の源泉徴収票を転職先に提出し、確定申告を受ければ問題ありませんが、前勤務先から源泉徴収票をもらえなかった場合や転職先に前勤務先の給与を申告し忘れていた場合など、年末調整を受けていない場合には自分で確定申告をしなければいけません。

【参照リンクhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1400.htm

自分の年間所得税を確定させるため

転職して年末調整を受けていない場合には、年間の所得税額が確定していない状態となっています。
その場合確定申告により生命保険料控除や社会保険料控除などさまざまな控除を行い、実際に支払う所得税額を確定させます。
そうすることで、前勤務先で徴収されていた所得税が多かった場合には還付されることもありますし、逆に少なかった場合には不足分を支払う必要性がでてきます。

会社の他に副業の収入があるとき

会社のほかに副業収入がある場合、その副業収入が年間20万円を超えている場合は確定申告を行う必要があります。

副業が禁止されている勤務先の場合に注意が必要なのは、確定申告を行うことにより会社に副業の存在がばれる可能性があることです。
確定申告により副業の所得と給与所得を合算した数値をもとに住民税が決定され、勤務先に通知されることから、勤務先の給与担当者が副業の存在に気付く可能性が増えるのです。

その場合は必ず勤務先に副業分の住民税が通知されないよう、確定申告時に副業分の住民税を「普通徴収」(住民税の納付を自分で行う方法)とするようにしましょう。

所得税を払い過ぎていると還付金がある

基本的に会社が給与収入から天引きする所得税は多めに徴収されていることが多いです。
そして年末調整により各種控除を申請することで、会社が多めに徴収していた所得税の一部が返還されることとなります。


また、その年に医療費の出費が多かった場合(医療費合計10万円を超える場合)には、確定申告で医療費控除を受けることにより、更に所得税の一部が還付される例もあります。

その他住宅ローン控除を受ける場合も確定申告を行うことで減税となります。

【参照リンクhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2030.htm

無申告加算税が発生しないために

無申告とは所得があるにも関わらず、確定申告期限の3月15日を過ぎて、申告がなかった場合をいいます。
無申告の場合には無申告加算税を別途支払う必要があります。
正当な理由がある場合を除いて、転職をして前職の申告を実施していない場合は無申告加算税の支払いを命じられる可能税があります。

なお、加算税の金額は納付すべき税額に対し、50万円までの場合は15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額納めることになります。

【参照リンクhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2024.htm

転職しても確定申告をしない場合

転職をしても一定の条件を満たすと確定申告をしなくてもよい場合があります。
以下で確認していきましょう。

12月に転職先で年末調整をしている

年末調整は12月に行われますが、転職先においてこの年末調整を受けている場合には支払うべき所得税が確定することから、確定申告は不要となります(年末調整の受けるためには調整を受ける年末までに「扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出しておく必要があります)。

ただし、その場合前勤務先の源泉徴収票を必ず転職先に提出しておく必要があります。
また、副業での収入がある場合にも確定申告が必要な場合がありますので覚えておきましょう。

1年間収入がないとき

転職した場合にはあまり想定されませんが、確定申告が原則不要な場面として1年間(1月1日~12月31日まで)の収入がない場合があります。

ただし、土地の賃貸収入(不動産所得)や競馬の払戻金(一時所得)、所有不動産の売却利益(譲渡所得)、生命保険の満期保険金(一時所得)など収入として認識しにくいものもありますので注意が必要です。
自分に入金がある場合は何らかの収入に該当しないかを疑いましょう。

確定申告に必要な書類と記入方法

確定申告をする場合は所定の様式に記入してくことになりますが、様式の提出時にはほかにも書類の準備などが必要です。
以下で確認しましょう。

前職の源泉徴収票と印鑑が必要

転職をしたときに、年末調整を受けられずに確定申告を行う場合、所定の様式(確定申告書A、確定申告書B)以外に前勤務先および転職先(1月1日~12月31日に給料が発生している場合)の源泉徴収票を用意する必要があります。
また、所定の欄に押印する箇所もあることから、印鑑も用意しておきましょう。
なお、印鑑は実印のほか、認印でも可です。

残高証明書や領収書を用意する

確定申告を行う場合、支払うべき所得税額をの軽減措置として各種控除を行うことが可能です。
各控除ごとに添付する書類を確認しましょう。

1.医療費控除

医療費控除を受ける場合は医療費の領収書の添付が必要です。
また、医療費の明細書も作成します。

2.社会保険料控除

給与所得者の場合には会社が社会保険料を天引きしていることから、源泉徴収票に記載されます。

3.生命保険料控除

生命保険料控除を受ける場合は、各生命保険会社より11月頃に送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付する必要があります。

4.地震保険料控除

地震保険料控除を受ける場合には、各損害保険会社から11月頃に送られてくる「地震保険料控除証明書」を添付する必要があります。

5.住宅ローン控除

住宅ローン控除を初めて受ける年には「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」のほかに以下の書類が必要です。

・住民票

・家屋・土地の登記事項証明書

・不動産売買契約書または請負契約書のコピー

・借入先の金融機関発行の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

【参照リンクhttp://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2010/a/04/4_01.htm

国税庁のHPで計算式の手順にそって記入

確定申告に記載する事項や計算方法などは煩雑に思われがちですが、国税庁HPにて「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、数字を入力するだけで自動的に計算してくれるのでとても簡単に確定申告書を作成可能です。
どの欄にどの数字を入力すべきかも事例ごとにまとめられているため、分かりやすいです。
インターネット上で申告(電子申告)することも可能です。

【参照リンクhttps://www.keisan.nta.go.jp/h29/ta_top.htm?changeie11#bsctrl

転職したら確定申告で無申告加算税に注意

転職した場合には、転職先で年末調整を受けていないとき確定申告が必要です。
確定申告を行わないと無申告加算税の支払いが発生しますので、注意しましょう。
また、確定申告を行うことが面倒でしたくないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、国税庁HPを利用すれば、意外と簡単に確定申告を行うことができます。
一度試してみるとよいでしょう。