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ICOCAのお得なサービスが使えるのはJRやバスだけではない
東のSuica、西のICOCA。
よくそんなふうにいわれます。
大阪を中心とする近畿圏、岡山・広島・山陰・香川エリア、そして北陸の石川・富山で標準となっているICカード乗車券がICOCAで、関東のSuicaに匹敵する存在です。
2003年にJR西日本が販売を開始し、2014年には累計販売数が1,000万枚を突破しました。
いまや関西圏や中国地方、北陸に住んでいる人にとって、ICOCAは毎日の生活に欠かせないカードになっています。
さらに2005年には、ICOCA電子マネーサービスを開始。
駅まわりのコンビニをはじめとして、家電量販店やスーパーなど、使える店舗はどんどん増加しつづけています。
また、クレジットカードと紐付けることでチャージを自動化し、独自のポイント付加サービスを追加した、Smart ICOCAという高機能カードも発行されています。
ICOCAはサービスを拡大しつづけていて、使用可能圏の拡大はもちろん、Suicaなどほかの地方のカード乗車券との相互利用の推進や、新しいポイントサービスの付加など、より便利なカードへと進化しつづけています。
ICOCAを交通機関で使う場合
本来の使い方である、ICカード乗車券として使う場合のサービスをみていきましょう。
ICOCAは、JR西日本が運用する駅で使えることはもちろん、関西の民営鉄道カードであるPiTaPaや、関東のSuicaや九州のSUGOCAなど、ほかのJR各社のIC乗車券とも相互利用サービスが確立していて、全国で電車に乗るときに使えます。
JRを利用するだけでは割引されない
2018年8月時点では、ICOCAを使うことで電車運賃が割引になることはありません。
ただし、電車に乗ることでポイントが貯まるサービスはあります。
ICOCAには、Smart ICOCAという高機能なバージョンがあります。
こちらは、手持ちのクレジットカードと連携することで、チャージ入金を行わなくて済むようになっているICカードです。
このSmart ICOCAでは、J-WESTポイントというJR西日本独自のポイントが、列車利用賃200円につき1ポイント貯まるようになっています。
しかし、このポイントサービスは2018年9月末で終了し、2018年10月から新しいポイントサービスが始まります。
「ICOCAポイントサービス」が新たにはじまる
2018年10月1日から、ICOCAポイントという新しいポイントのサービスが始まります。
これによって、Smart でない普通のICOCAでも、電車に乗ることでポイントが貯まるようになります。
ポイントを獲得する方法は、二種類あります。
ひとつはポイント適用区間として、指定された区間の電車に乗ること。
1カ月間単位で計算し、その月の4回目以降の利用1回ごとに、運賃の50%または30%のポイントが貯まりますが、これは京阪神地域だけです。
混雑する時間を避けることで、より多くのポイントが貯まるようになっていて、時差通勤の大きな味方になりそうです。
もうひとつの獲得方法は、区間時間を問わずにたくさん回数利用することで、月11回目の利用から、1回乗るごとに運賃の10%のポイントが貯まります。
チャージしたポイントは電車賃はもちろん、買い物にも使えます。
ICOCAを持っているなら、誰でもポイントを貯めて使えるようになりますが、準備としてWEBや駅の自動券売機で、ポイント用の登録を行う必要があるのでご注意ください。
バスの乗り継ぎや地下鉄併用で割引
現在、一部の民営企業では、ICカード乗車券を使うと、乗り継ぎで割引を行うサービスを行っています。
大阪メトロの場合は、バスと地下鉄で乗り継ぎをすると、運賃が100円お得に、バスとバスの乗り継ぎだとなんと210円も割引になります。
ICOCAもこういった割引の対象になっているので、JR以外の交通機関でも、ICOCAを使っていくとよいでしょう。
障害者の方は条件次第で50%の割引
JR西日本では、障害を持つ方に対する割引も行っています。
100kmを越える長距離の切符や、特急券を購入するときに、身体障害者手帳または療育手帳を窓口で見せると、50%の割引になります。
付き添いの方も申し出れば、多くの場合は半額になるので、たいへん利用価値の高いサービスです。
これは、定期用ICOCAを買うときにも適応され、身体障害者手帳または、療育手帳を見せることで割引になります。
ただし、障害者用のICOCA定期券には、残念ながらチャージ機能がないため、ICOCAポイントなどのポイントを貯めることは、現時点ではできません。
JR東日本などでは切符よりもICOCAを使ったほうがお得
2018年時点で、日本では8%という端数が出やすい消費税をとっているため、電車運賃も実は端数が出ています。
しかし、自動発券機で1円玉を入れることは効率が悪いので、駅で買う切符は10円単位で設定されています。
このとき、本来の電車賃から端数が切り上げられています。
つまり、消費税上げにともない、JR各社は微妙に値上げをしたわけです。
しかし、ICカード乗車券では1円単位で簡単にお金が払えるので、たとえばJR東日本ではICカードで電車賃を払うと、切符を買うより数円安くなることが多いのです。
こういうやり方をしているのは、主に関東の交通機関で、JR東日本や東京メトロなどです。
そういうわけで、東京に行ったら、なるべく電車賃はICOCAなどのカードで払ったほうがお得です。
ちなみに、ICOCAの発行元のJR西日本では、切符とカードの運賃は基本的に同額なので、得することはありません。
ICOCAをショッピングで使う場合
こちらでは、電子マネーとしてのICOCAについて説明します。
割引はなくポイントが貯まるだけ
基本的に、ショッピングをするときには、ICOCAによって価格が直接割り引かれることはなく、ポイントが貯まっていくシステムになります。
2018年8月時点では、Smart ICOCAを使って特定のお店で買い物をすれば、J-WESTポイントが200円につき1ポイント貯まるようになっています。
対象になるお店は、イトーヨーカドー、Ario、LoFtなど。
また、ヤマト運輸を利用しても、ポイントを貯められます。
10月1日からICOCAポイントがスタートし、普通のICOCAでもポイントが貯まるようになるとともに、J-WESTポイントが貯まるサービスは、ICOCAポイントへと移行することになります。
新しいポイントが、どのお店でどのように貯まっていくかは、今後発表される予定になっています。
クレジットカードを登録して還元率アップ
Smart ICOCAは、通常のICOCAにクレジットカードを紐付けたカードです。
そしてICOCAを利用すると、紐づけたクレジットカードから、ICOCAをチャージする形になります。
ICOCAへのチャージによって、そのカードのポイントが貯まるクレジットカードと、貯まらないクレジットカードがあります。
三井住友系のカードやアメックス系のカードなどのほとんどは、いくらSmart ICOCAを使っても、カードのポイントは貯まりません。
おおまかにいうと、銀行系のクレジットカードではなく、消費者金融やショップ系の企業が発行しているカードに、ICOCAチャージをポイント還元してくれるものが多い傾向にあります。
たとえば、エポスカードやライフカード、セゾン系のカードなどがそうです。
もっとも還元率の高いエポスゴールドカードでは2%にもなり、毎日ICOCAで電車に乗ったりコンビニで買い物をしたりしている人にとっては、結構なポイントが得られます。
よって、Smart ICOCAを作るときは、紐づけするカードにポイント還元があるものを選びましょう。
相互利用先でもプリペイドカードとして使う
ICOCAで支払いができる店舗は、全国45万店舗以上。
ほとんどのコンビニやイオン、イトーヨカドーなどのスーパー、マクドナルドなどの飲食店など、日常に密着した多くのお店で使えます。
これは、全国のさまざまなICカード乗車券と、相互利用できるようになっているからです。
Suicaをはじめ、PASMO、Kitaca、manacaA、TOICA、はやかけん、SUGOCAなど、ほとんどのJR系のカードや民営鉄道系カードと協定を結んでいて、これらが使えるお店ならたいていICOCAも使えます。
ICOCAをレジャーで使う場合
ICOCAは、西日本のイベントや観光施設といくつか提携していて、入場料などが割引になることがあります。
地域のイベントで当日券が割引
ICOCAで支払うと、入場料や参加費が割引になるイベントが時期によって用意されています。
日本を代表するサーカス団である木下大サーカスの興行や、女子ゴルフトーナメント、びわ湖クルーズなどです。
木下大サーカスは、入場料が400円も割引されるので狙い目です。
もし行くなら、ぜひICOCAを用意しておきましょう。
観光施設の入場料が割引
京都にある東映太秦映画村は、時代劇に出てくる町並みの中を歩けて、いろいろなアトラクションが楽しめる人気観光施設。
この映画村の入場料が、ICOCAで200円割引になるので、京都に行かれるならおすすめです。
また、「ひらパー」の愛称で知られる大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」も、ICOCAで安く入場できます。
さらに、意外なところでは、彦根市にある彦根城の入場料も安くなります。
ICOCAの割引サービスは、JR西日本のホームページ上で情報公開されています。
ICOCA、割引で検索するとすぐ見つかるので、チェックしておきましょう。
割引ありの駐車場を使って渋滞回避
JRの駅のそばの駐車場には、ICOCAと提携しているものがあり、駐車場とJR改札を同じ日に利用することで、駐車料金が自動的に割引されます。
割引額は100円から200円ぐらいですが、毎日駅のそばに車を駐車して通勤している人にとっては、非常に助かるサービスです。
移動料金の支払いが、全部ICOCA一枚で済むので非常に便利です。
ホームページに提携駐車場の一覧があるので、調べてもしも生活圏内にあてはまる駐車場があれば、積極的に利用していくとよいでしょう。
他の交通ICカードとの割引の違い
ICOCAとほかのICカード乗車券との違いを、割引を中心に見ていきましょう。
PiTaPaでの割引
PiTaPaは、西日本の民営交通機関が発行しているICカード。
東日本でいうとPASMOにあたる存在、というとわかりやすいでしょう。
相互利用できるので、ICOCAかPiTaPaのどちらかを持っていれば、西日本で交通機関を使うのには困りません。
しかし、電子マネーとして使うときには、両者は使い勝手がかなり違います。
最大の違いは、PiTaPaはお金を後払いするカードで、クレジットカードとの提携を基本にしているということ。
ICOCAでいうと、Smart ICOCAが標準になっているわけです。
作るのに審査が必要でハードルが高いのですが、使用者登録ができているので利用回数割引、利用額割引など、登録型の割引サービスが数多く用意されていて、よりお得なカードになっています。
これに対抗するため、ICOCAも2018年10月から登録型の敷居を下げた新サービス、ICOCAポイントをスタートさせます。
Suicaでの割引
東日本のSuicaと西日本のICOCA。
ほぼ完全な相互利用が確立しているので、「売っている場所で名前が変わるだけだから、どちらを持っていてもいいだろう」と思われがちです。
しかし、発行している会社が違うので、細かいサービスはかなり違っています。
Suicaならではの割引サービスといえば「バス特」。
都営バスや都電に乗るとポイントが貯まってゆき、一定ポイント貯まると、Suicaのチャージにフィードバックされる仕組みです。
これに加え、バスからバスへの乗り継ぎでも割引サービスがあります。
東京でバスに乗るなら、SuicaまたはPASMOを使うのがだんぜんお得です。
Suicaでは、バスで障害者割引も受けられます。
下車時に乗務員に、障害者であることを示す手帳を提示しましょう。
ICOCAのお得なサービスで財布に優しい生活を
2018年10月から始まる、ICOCAポイントには要注目です。
これまでPiTaPaに比べ、マイルサービスや割引が少なかったICOCAが、新しいお得なカードに生まれ変わろうとする試みだからです。
これによって、ICOCAはこれまで以上に使い勝手のよいカードになっていく可能性が高いでしょう。
西日本の多くの人が作るカードなので、ぜひうまく利用しましょう。