個人年金の、税金控除と税金納付の側面。 この仕組みを理解しよう。

February, 09, 2018

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個人年金の確定申告について

個人年金は、60歳もしくは、65歳から受給できます。
個人年金額を受給した際、一定の条件を超えると、雑所得となり、税金を支払うための確定申告が必要になります。
逆に、個人年金に加入して年金保険料を支払っている期間は、所得税控除のための確定申告での控除申請ができます。
個人年金は、税金の支払いと税金の控除の2つの側面で税金とかかわりがあります。
ここでは、個人年金で税金を払うときに必要な確定申告での所得税の計算方法も含め、個人年金で税金が戻ってくるときと、確定申告での控除申請の方法の両方をみていきます。

個人年金の所得税の計算方法

所得税は年金受取額から必要経費を引いた額

まずは、納税にかかわる個人年金の所得税の計算方法についてみてみます。
これは、60歳以降の年金受給時の納税にかかわる部分になります。
個人年金は60歳もしくは、65歳で年金の受給が始まります。
そのとき、一定の条件を満たすと税金を支払うための確定申告が必要となります。
その一定の条件については後ほど説明します。
まずは、所得税の納税にかかわる個人年金の所得税の計算方法をみていきましょう。

確定申告で申告する際に、まず、保険料負担者と受取人が同一人物か、異なるかの契約内容を確認することが重要となります。
そのことで雑所得になるか、贈与所得になるかが変わります。
所得項目が変わると計算方法や税率も変わるので、ここでは、保険料負担者と受取人が同一人の場合の雑所得について説明します。

個人年金の所得税、雑収入の計算式は、次のようになります。

●年金受取額 ー 必要経費 = 雑収入

年金受取額というのは、1年間に受け取った個人年金の金額で、受け取りを開始した1年目は(基礎年金+増額年金)の金額、2年目以降は(基礎年金+増額年金+増加年金)になります。
基礎年金・増加年金・増額年金とは、大まかに以下の内容になります。

●基礎年金 契約時に決めた年金額で、すでに確定している年金の金額です。

●増額年金 年金の受け取りまでの間に運用利益で買い増しされ増額した配当金です。
契約の種類によっては、配当がないものもあります。

●増加年金 年金の受け取りが始まった後でも、保険会社は受給残高で運用をしております。
運用実績に応じて受給開始後の配当金で買い増しされた配当金です。
こちらも、契約の種類によっては配当のないものもあります。

【参照リンクhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1610.htm】

必要経費は払込保険料総額と見込み年金総額を割って年金受取額をかけた額

次に、必要経費の計算式を見てみます。
必要経費については、受給期間の契約内容によって見込み年金総額の計算が異なりますので多少複雑になります。
まず、必要経費の計算式は次のようになります。

●払込保険料総額 ÷ 見込み年金総額 =必要経費(小数点第三位以下は切り上げ)

この見込み年金総額が、受給期間の種類ごとに計算方法が変わる部分となります。
受給期間の種類は、終身年金・確定年金・保証付終身年金・有期年金の4つに分類されます。
では、それぞれの計算式を見てみます。

終身年金の場合

●年金年額 × 余命年数 = 見込み年金総額

終身年金は、年金受給者が生きている間受給できる年金です。
上の式の年金年額は、1年間に受け取る年金の総額です。
余命年数については、国税庁より余命年数表がpdfにて、発表されていますので、その表と照らし合わせて計算します。

確定年金の場合

確定年金は、契約時に支給期間を設定する年金契約になります。
したがって、受取人が死亡したとしても、契約時に設定した支給期間通りに、年金を受け取ることができます。
確定年金の場合の年金見込み総額の計算式はつぎの式になります。

●年金年額 × 支給期間 = 見込み年金総額

この支給期間というのが、契約にある受け取り期間になります。

保証期間付終身保険の場合

保証期間付終身保険の場合、年金受取人の生死にかかわらず、保証期間中の年金を受け取れる契約内容ですが、見込み年金総額の計算の場合、保証期間が余命年数どちらか長い期間で計算するので注意が必要です。
計算式は次になります。

●年金金額 × (余命年数と保証期間年数とのいずれか長い年数) = 見込み年金総額

有期年金の場合

有期年金は、年金受給者が生存している場合のみ受給できる年金です。
年金受取人が生きている限り、5年・10年・15年と一定期間受け取れる保険契約ですが、この場合、保険契約の支給期間か余命年数のいづれか短い年数をとって計算します。

●年金年額 × (支給期間と余命年数のいづれかの短い年数) = 見込み年金総額

【参照リンク:https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/topics/data/h22/sozoku_zoyo/pdf/01_beppyo.pdf】【参照リンク:http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q6.html】

個人年金の確定申告での控除の方法

個人年金の税金控除

ここからは、個人年金と税金の関係のもう一つの側面である税金控除についてみていきます。
個人年金保険料の支払い期間中は、所得控除の対象となります。
控除申請することで支払い税金額を下げることができます。
控除申請については、会社員と事業主では手続きが多少異なりますので両方を説明します。
また、個人年金保険料控除証明書の書き方についてもみていきます。

会社員は年末調整で受ける

会社員の方は、11月下旬~12月初旬のかけて、会社から年末調整の申請用紙が配られ提出を求められます。
この年末調整のときに個人年金控除の申請をはじめその他の控除申請を行います。
年末調整の申請書と一緒に、配偶者控除申請書と保険証控除申請書も一緒にもらい、必要事項を記入します。
記入方法がわからない場合、会社の総務か経理の人に聞けば教えてもらえます。

必要事項を記入し提出するときは、10月頃に保険会社から「生命保険料控除証明書」という書類が送られてきますので、年末調整の申請用紙・配偶者控除申請書・保険証控除申請書・生命保険料控除証明書をそろえて会社に提出します。
生命保険料控除証明書が届いてない場合や失くした場合は、保険会社に連絡すると再発行してくれます。

確定申告書は税務署や還付申告センターに連絡する

給与所得以外に20万円以上の所得のある人や自営業の人、さらには、公的年金の年金所得から所得控除を差し引いて残額がある人は確定申告の手続きが必要です。
確定申告書は、還付申告センターか最寄りの税務署に連絡すれば取り寄せることができます。
また、確定申告の時期になると国税庁のホームぺージに日曜日に窓口を開設するところが公開されます。
そこへ行くと記入方法などを説明してもらえるので、記入方法がわからない場合は、窓口に行って教えてもらいましょう。

源泉徴収は勤務先に配布される

「源泉徴収票とは、給与・退職手当・公的年金等の支払をするものが、その支払額及び源泉徴収した所得税額を証明する書面」(所得税法第226条)のことを指します。

わかりやすく言えば、会社員の給料は、毎月の給料から所得税があらかじめ少し多めに引かれています。
給与明細に所得税の欄があるので、そこを見るとその月に収めた所得税がわかります。
これは、実際に納税したことを指しているのではなく、納税見込み額が少し多めにあらかじめ天引きされていることを示します。
給料が支払われるときにあらかじめ所得税を引くことを源泉徴収といいます。
また、源泉徴収の金額を証明するものを源泉徴収票といいます。

確定申告のときに、「これだけ多めに所得税を源泉徴収されています」と証明できる源泉徴収票がなければ、確定申告はできません。
源泉徴収票は、年末に会社より配布されます。

生命保険料控除証明書は保険会社から送られてくる

10月ころに保険会社から「保険料控除証明書」が郵送で送られてきます。
年末調整の控除申請のときに、必要ですので、郵送で届いたら大切に保管しましょう。

個人年金保険料控除証明書を書く

個人年金保険料控除証明書の記入は次の通りです。

●年間保険料を計算する
●生命保険料控除に年間保険料を転記する
●所得から引かれる金額の生命保険料控除に計算した控除額を記入する

毎年3月15日までに提出する

確定申告の期限は、毎年3月15日までです。
それまでに申告に必要な書類をそろえて申告しましょう。

所得税で申告をすると住民税の申告は要らない

原則として、所得税は国税・住民税は地方税と別々の税金です。
したがって、所得税は税務署、住民税は市町村役場に申請が必要です。
だだし、確定申告や年末調整をした場合は、税務署が市町村に申告内容を通知してくれるため、住民税の申告の必要はありません。

給与所得以外に20万円を超える所得がある人・年末調整をしていない人は、市町村役場に住民税の申告をする必要があります。
なお、所得税は給与収入が103万円以下で非課税ですが、住民税は98万円以下で非課税です。
そのため、給与所得が98万円より高く、103万円以下の場合、年末調整や確定申告は必要ありませんが、住民税の申告は必要となりますので、注意してください。

さらに、給与所得が20万以下で確定申告が必要ない人と、400万円以下の公的年金収入のみで確定申告をしなくてよい人も、住民税の申告は必要です。
申告漏れの無いようにしましょう。

個人年金の確定申告の対象外の条件

公的年金等の収入金額による

ここでは、個人年金の納税に関係する側面から確定申告の対象外の条件についてみていきます。
個人年金は、契約者と受取人が同じ場合、雑所得となるため確定申告が必要となります。
ただし、平成27年に確定申告不要の法律ができ、一定条件を満たすと確定申告が不要となります。
この条件は、2つにわけられます。
一つは公的年収の金額により、確定申告が必要かどうか決まります。
まずは、公的年金の年間受給額が400万以下の場合、確定申告は不要となります。

公的年金以外の所得金額による

次に公的年金以外でも収入がある場合は注意が必要です。
確定申告不要の条件を満たすには、公的年金以外の雑所得の合計が20万円以下のときになります。
つまり、公的年金が年間400万円以下でも、公的年金以外の所得が年間20万円よりも多い場合は、確定申告が必要となります。

【参照リンク:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm】

【参照リンク:http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q6.html】

個人年金の控除を受けるには確定申告をする事が大事

まず、個人年金は、控除を受ける場合と税金を納付する場合、2つの側面から見る必要があります。
この2つの側面を混同すると、仕組みを全く理解することができません。
ここでは、保険料納付の期間中の控除の部分と年金受給時の税金の納付の部分を見てきました。

個人年金の控除を受けるには、会社員の場合は年末調整で可能です。
ただし、給与所得以外の雑収入がある場合は、確定申告が必要になります。
また、自営業の人も確定申告で控除申請をする必要があります。
自営業の人は、確定申告で控除申請することが大事です。

また、年金受給者の場合、税金を納付する側になります。
特に個人年金加入者で負担者と年金受取人が同一の場合、年金受給額は雑所得となります。
公的年金の年間受給額が400万円より多い場合、もしくは、公的年金以外の所得が年間20万円より多い場合は、確定申告が必要となります。
個人年金の仕組みを理解し、受けられる控除はしっかりと受け、納めるべき税金は、正しく納税しましょう。

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