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国民健康保険の手続きの方法を解説|自分でやれば簡単です

国民健康保険の手続きについて

国民健康保険とは、国民の皆が医療保険の恩恵にあずかれるよう、社会保険に入っていない人などは全員が入らなければならない保険制度です。
これによって全国民が病気やケガをしたときに保険の対象になれます。

その国民健康保険ですが、国民と名は付いているものの、運用自体は各市区町村が運営しています。
そのため引っ越しや氏名の変更、会社の社会保険から国民健康保険への変更、出生や死亡などがあった場合、市区町村役場に行って遅滞なく手続きをする必要があります。
その手続きの方法と簡単な国民健康保険の説明をしていきます。

そもそも国民健康保険とは何か

国民健康保険の手続きの説明の前に、簡単に国民健康保険とは何かを説明したいと思います。
社会保険とはどんな違いがあるのか、などいろいろと疑問をお持ちの人も多いかと思いますので、軽く説明したいと思います。

国民健康保険は市町村が運営する医療保険

国民健康保険は、市区町村が運営する、医療保険で全国にありますが、運営するのはあくまで市区町村単位なので、金額や条件、保険料は住んでいるところによって多少違います。
国からは補助金が出ていますが、あくまで運営主体は市区町村です。
そこから被保険者がケガや病気などをしたときに医療費を決められた割合分、負担するものです。

病気やケガによる医療費の自己負担額が3割

3歳~69歳までの年齢の人は、国民健康保険でカバーされる医療費は7割で、残りの3割を自己負担で支払います。
うちの子は風邪をひいても医者で200円しかはらったことはないぞ、と思う人もいるかもしれませんが、それは義務教育就学児医療費助成制度(義務教育の間の学生の医療費を助成する)いわゆるマル子という制度によって医療費を助成しているからです。

もしマル子の所得制限を超過した場合は原則通り3割負担になります。
乳幼児医療費助成制度(マル乳)も同じです。
3歳未満の人は2割(ただしマル乳)、70~74歳の方は1割(所得制限を超えている人は3割)の自己負担で支払います。

国民健康保険で受けられる医療

国民健康保険が適用になる医療は決まっており、診察、医療処置や手術、薬の支給、在宅医療および看護、入院及び看護(食事代は別)となります。

国民健康保険が適用外になる医療

同じく医者にかかっても、国民健康保険の適用外になる医療があります。
まず美容整形、健康診断、予防接種、正常分娩、経済上の理由による人工中絶、仕事上のケガや病気等、労災保険の適用になる場合、ケンカや泥酔などによるケガや病気、歯科材料費(金歯など)、人間ドックです。

国民健康保険と社会保険の違い

社会保険とは、会社に就職している正社員か、正社員の4分の3以上働いている人が入る保険です。

運営者は、市区町村ではなく協会けんぽ、または各社会保険組合というところになります。
保険料は、国民健康保険が世帯単位で、収入と加入者の人数、年齢などで計算されるのに対し、協会けんぽでは個人の年齢、収入などにより算出されます。

国民健康保険では扶養という概念が無く、加入者が増えるごとに保険額も上がるのに対して、社会保険では扶養という概念があり、認定範囲内の親族ならば何人いても保険料は変わらないのです。
あとは、国民健康保険が加入者のみが支払っているのに対し、社会保険は労働者と会社が保険を折半して支払っていますので、同じ家族構成でも社会保険のほうが実は支払っている額は大きいということがあります。

国民健康保険の加入対象者

ではどんな人が国民健康保険に加入しなければならないのか、これから対象者を見ていきたいと思います。
こんなときは国民健康保険に加入するべき、というのが分かればいいと思います。

その市区町村に住んでいる

国民健康保険に入るには、まずその市区町村に住んでいなければなりません。
これは国民健康保険の運営者が各市区町村であること、市区町村ごとに支給金額や保険料、条件などが若干違うことからです。

職場の健康保険に加入していない

職場の保険に加入しているということは、社会保険に加入しているということですから、国民健康保険に入る必要はありません。

国民健康保険の加入者は、自営業者、農業、漁業に携わっている人およびその家族、パート、アルバイトで職場の社会保険に加入していない人、退職などにより、職場の健康保険を辞めた人とその家族、外国人登録をしていて日本に1年以上滞在している人、です。
これらの人は、加入意思の有無にかかわらず、全員加入することと決められています。

生活保護を受けていない

生活保護を受けている人は、国民健康保険に加入できません。
ではどうするのかというと、生活保護の人は病気、ケガなどの場合、医療扶助というものを、生活保護費とは別に受けれることになっているためです。
よって国民健康保険に加入する必要はないのです。

どうして国民健康保険に加入するのか

これは、国民の全員を何らかの医療保険に加入させて、国民皆保険を達成しようという流れの中で決まったことです。

1955年ごろまでは、農業、自営業者、零細企業の従業員を中心として無保険の人が約3,000万人と、国民の3割もいました。
それが社会問題になっていたのを是正しようとしたのです。

1958年に国民健康法が制定され、1961年には全国の市区町村で国民健康保険事業がはじまり、国民の全てが病気やケガのとき保険で医療機関にかかることが出来る体制が確立しました。
このおかげで、病気やケガをしても、あまりお金の心配をせずに医療機関に行くことが出来るようになったのです。

もしも保険がないと大変なことになります。
例えば、ニューヨークで盲腸の手術を受けた人が8日間入院して800万円も請求されたなどという事例があるそうです。
アメリカは特に医療費が高額なのでちょっと極端な比較になってしまったのですが、日本では保険適用で3割負担だと盲腸の手術と入院で10万円か20万円くらいです。
海外旅行に行くときは保険に入っておくといいですね。

それはともかくとして、国民健康保険のありがたさがわかります。

国民健康保険の手続きができる人と場所

国民健康保険は大事な権利ですので、誰が、どこに手続きできるのかは決まっています。
関係ない第三者は他人の健康保険を手続きできないようになっています。

手続きができる人

本人または同居の家族

国民健康頬県の各種手続きをできる人はまず本人または同居の家族(住民票に記載されていること)で、手続きに来る人の身分証明書(免許証、顔写真付きのマイナンバーカード、パスポートなど)と、マイナンバーカード(届出書類にマイナンバーを記載する必要があるため)国民健康保険証を持っていくことが必要です。

代理人

代理人が国民健康頬県の手続きを行うこともできます。
手続きする場所は同じで、書類が世帯主または該当者本人からの委任状と受任者(窓口へ行く人)の身分証明書(運転免許証、顔写真付きのマイナンバーカード、パスポートなど)が必要になります。
なお、委任状による届け出の場合は、新しい健康保険証はその場では渡されません。
後日、郵送で本人のところに送られてきます。

手続きができる場所

保険年金課

国民健康保険の運営は市区町村ですので、市区町村役場の保険年金課で手続きします。

各市区町村事務所

国民健康保険の手続きは各自治体にある市区町村事務所(出張所みたいなもの)でも手続きできます。

国民健康保険に加入する必要があるのはこんな時

国民健康保険に加入するときはこのようなときです。
なお、期限は、届出る資格を取得した日から14日以内です。
この期限は守らないと、保険の無資格期間ができてしまう可能性があるので、絶対に守りましょう。

他市区町村から転入してきた時

国民健康保険は、各市区町村の運営ですので、他の市区町村から引っ越ししてきたときは当然国民健康保険の引っ越し先への加入手続きが必要です。
必要な書類は、引っ越した元の住所地で発行された転出証明書と、本人確認用の身分証明書およびマイナンバーの個人番号カード又は通知カードです。

市区町村によっては国民健康保険の払込みに銀行口座振替を推奨しているところもあるので、キャッシュカード、預金通帳、銀行届出印を持って行った方がいい場合もあります。
各市区町村に電話で問い合わせてみてください。

職場の健康保険をやめた時

会社を退職した場合には、国民健康保険に移ることになるので、社会保険の資格喪失証明書が必要になります。
退職者医療制度の対象者が職場の社会保険を辞めた場合には、それに加えて年金証書が必要です。
それと、身分証明書とマイナンバーの個人番号カード又は通知カードです。

加入者に子供が生まれた時

国民健康保険の加入者に子供が生まれた場合は、健康保険証と、母子健康手帳が必要です。
それと身分証明書とマイナンバーの個人番号カード又は通知カードです。
これで、新しく子供の分の国民健康保険の加入と健康保険証の発行をしてもらえます。

生活保護を受けなくなった時

生活保護を受けていた人が、保護を受けなくなったときは生活保護の廃止決定通知書を担当窓口に持参します。
それと身分証明書とマイナンバーの個人番号カード又は通知カードです。
これで、健康保険証を再度交付してもらえることになります。

国民健康保険をやめるのはこんな時

今度は、国民健康保険の資格を喪失する場合です。
これも、早く手続きしないと次の保険に入れなくなるので、迅速に手続きしましょう。
身分証明書も一応用意してください。

他市区町村へ転出した時

国見健康保険は市区町村で運用しているので、別の市区町村に住所を移すときは引っ越すところの健康保険から離脱する手続きが必要です。
この時に必要なものは、旧住所になる保険証です。

職場の健康保険に加入した時

社会保険に入った人は、国民健康保険には入れませんから、脱退の手続きを取らなければなりません。
この時に必要なものは、国民健康保険と職場の社会保険の両方の保険証です。
そして国民健康保険証を返却します。

生活保護を受けるようになった時

生活保護を受けるようになったら、医療扶助が出るので、国民健康保険は不必要です。
よって国民健康保険を辞める手続きを取る必要があります。
必要な書類は、保険証と、生活保護開始の決定通知書です。
これを窓口に提出します。

死亡した時

死亡したら、医療保険からは当然抜けることになるので、保険証と死亡を証明できる書類をもって手続きします。

その他で手続きが必要な場合

これらの手続きも面倒ですが、もし変更手続きをしないと医療機関でひと悶着ある可能性があります。
手続きは早め早めがいいでしょう。
身分証明書も一応忘れないようにしてください。

住所や世帯主や氏名が変わった時

この場合の住所変更は、同じ市区町村内で住所が変わったときです。
その住所変更や世帯主や氏名が変わったときは保険証をもって、市区町村役場に手続きに行きます。

保険証を失くしたり使えなくなった時

保険証を紛失したり、汚れて使えなくなったときは、保険証と、身分証明書(免許証、パスポートなど)を持って行って手続きします。

長期旅行などで別の保険証が必要な時

長期旅行などで、別にもう1通保険証が必要になったときの手続きは、必要な書類は保険証です。

修学のため別の住所を定める時

家から遠い高校や大学などに進学して、住所が変わるときは、必要書類は保険証と在学証明書をもって手続きして、別の保険証を発行してもらいます。

退職者医療制度に該当した時

退職者医療制度自体は、平成27年3月末で廃止されました。
ただし、平成27年3月以前から国民健康保険に加入し、平成27年3月末時点で対象となる条件を満たす方は、引き続き65歳になるまで退職者医療制度の対象となります。
国民健康保険への切り替えに必要な書類は保険証と年金証書です。

しかし退職後に国民健康保険でなく、社会保険の任意継続を選択していた場合は特に手続きは不要です。
この制度は、対象の方にはメリットもデメリットもありません。
保険料も給付内容も同じです。

この制度の目的は、退職者が社会保険から国民健康保険に移ることによる国保の収支の急激な悪化を防ぐことにありました。
退職者医療制度に該当する人は、国民健康保険からではなく社会保険から診療費を負担するようになっていたのです。

退職者医療制度に該当しなくなった時

65歳以上になったときは、退職者医療制度には該当しなくなりますから、必要書類の保険証をもって市区町村に手続きに行かなければなりません。
この制度は平成27年3月末で廃止になり、その時点で65歳未満の方に適用するので、もう数年したら完全に関係なくなると思います。

手続きは忘れないようにしましょう

国民健康保険の手続き期間は、届け出の事由が発生したときから14日の間に届けなければなりません。

例えば会社を退職し、その14日以内に手続きをしないと、病気やケガで医療機関にかからなければならなくなったとき、払うのは10割、つまりは全額自費ということになります(申請すれば後で返してくれますが)。

事故や病気はいつかかるかわかりません。
せめて金銭面で余計な負担を被らないよう、保険の切り替えは早く済ませてしまうのがよいでしょう。