確定拠出年金の控除額の計算方法と申請方法について。節税効果は?
コンテンツ
確定拠出年金の控除金額を算出する方法
税制上のメリットがあるといわれている確定拠出年金ですが、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
確定拠出年金の控除による節税効果
掛金が全額所得控除される
確定拠出年金に加入すると、3段階で税制優遇の節税メリットがあります。
その中で最初に訪れるのは、積立時のタイミングでの節税メリット。
毎月掛け金を積み立てる拠出時に、掛金が全額所得控除になるのです。
所得控除が適用されると、毎年所得税と住民税が軽減されます。
確定拠出年金として掛け金を積み立てると、全額「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除が適用されるのです。
そして、課税対象の所得金額が減るので、所得税と住民税が軽減されるという仕組みになっています。
自営業者は確定申告で対応し、会社員は年末調整で対応。
節税額は年収や掛金により変わりますが、積み立てるすべての期間に適用されるので、大きな節税メリットになります。
ただし、掛金には上限があるので注意しましょう。
運用時の売買益に対して非課税
運用時は、分配金などの売買益に対して非課税になります。
運用益が課税されず、本来税金として差し引かれるはずのお金も再投資できるので、効率的でお金が増えやすいです。
受取方法に関わらず、一定額まで非課税になります。
60歳以降に積み立てた資金を受けとるときは、年金か一時金で受け取ります。
年金で受け取る場合は公的年金控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されて、税金がかからない可能性もあるのです。
確定拠出年金は、原則として60歳まで引き出すことはできません。
長期で運用することになりますが、その間の預金の利息や投資信託を解約した利益などはすべて非課税です。
(ただし、特別法人税に関しては、2020年まで課税が凍結。)
例えば、一般的な銀行の預金に預けると、利息に対して20%の源泉税が徴収され、投資信託は、解約したときに利益が出た場合は通常で約20%(復興特別所得税が付加されたため、平成25年1月1日から25年間は20.315%)の税金が徴収されます。
しかし、個人型確定拠出年金で運用している資金は、運用中の利息や配当などがすべて非課税になるということです。
年金は公的年金控除の対象になる
もし生命保険の個人年金に加入している場合は、その年金は雑所得となり課税対象になりますが、個人型確定拠出年金の場合は、公的年金と同等の扱いになるので、税金の対象となる雑所得の計算の際に差し引くことができる所得控除の対象になります。
わかりやすくいうと、税金の対象となる所得からマイナスになり、税金が安くなるということです。
確定拠出年金の給付金は、原則として60歳から年金もしくは一時金のどちらかの受け取りを選択します。
年金の受け取りは雑所得の課税対象で公的年金控除の対象になりますが、一時金の受け取りは一時所得の課税対象で退職所得控除の対象です。
年金で受け取る場合、公的人均等に係る雑所得の金額として、雑所得として総合課税の対象になります。
「公的年金等に係る雑所得=公的人均等の収入金額-公的人均等控除額」で算出され、受け取る年金から一旦7.5%源泉徴収されるものの、確定申告の際に公的年金控除額以内であれば、全額戻ってきます。
(公的年金控除額には上限があり、上限額を超える金額は、公的年金等については雑所得で総合課税される。)
一時金は退職所得控除の対象になる
一時金で受け取った場合、退職所得控除の対象になります。
「退職手当等」とみなされるので、退職所得として分離課税の対象になるのです。
退職所得は「(退職所得収入-退職所得控除額)×1/2」で算出。
一時金を選択すると、他に退職所得がある場合、過去14年分を合算。
また、小規模企業共済制度などの他の制度において一時金を選択した場合は、過去4年分が合算されます。
退職所得控除額には上限があり、上限を超える金額の2分の1の金額は分離課税されます。
退職所得控除の恩恵を受けるための注意点は、企業などに勤務していて、確定拠出年金の一時金とは別に退職一時金を受給した場合、退職所得控除額を計算上で調整する必要があるということ。
他の退職所得があると、一時金全額が退職所得控除対象額に収まらなくなる可能性があり、一時所得として課税される可能性があるので注意しましょう。
死亡一時金は500万円まで非課税
亡くなった日から3年以内に死亡一時金を受け取る場合、税法上の取り扱いは「みなし相続財産(退職手当等に含まれる給付)」となるので、相続税の課税対象です。
確定拠出年金と、会社の退職手当などの他の退職手当等の遺族受け取り分を含めて、法定相続人1人につき500万円まで非課税になります。
例えば、法定相続人が配偶者と子2人の3人で、みなし相続財産が「確定拠出年金の死亡一時金500万円、会社からの退職手当500万円」だとすると、非課税額は1500万円(500万円×法定相続人3人)、受取額は1,000万円なので、非課税額が受取額を上回ることとなり、相続税は課税されません。
しかし、死亡一時金は請求する時期によって税金の取り扱いが異なるので注意が必要です。
亡くなった日から3年経過後5年以内に死亡一時金を受け取る場合、税法上の取り扱いは「一時所得」になります。
また、死亡一時金の請求期限は亡くなった日から年以内なので、5年経過すると確定拠出年金の死亡一時金としては受け取れず、税金の取り扱いは無効。
そして亡くなった方の他の資産(不動産や現金など)と同じく相続財産として取り扱われることになるのです。
確定拠出年金の控除額を確認する方法
計算式に当てはめる
自分の所得税率がわかっていれば、「年間の確定拠出年金掛金額×(所得税率+住民税率)」という計算式で確定拠出年金の控除額を求めることができます。
例えば年収が300万円であれば、「27万6,000円×(5%+10%)=4万1,400円」ということです。
税率を見るときに注意することは、課税所得と年収は違うということ。
年収が1,000万円だとしても、かぜいしょとくは給与所得控除や所得控除(社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など)を差し引いた金額のため、所得税率表の中の「900万超1,800万円以下」の33%にはなりません。
給与所得だけでも220万円あるため、所得控除額を考えなくても「695万円超900万円以下」の23%になるのです。
ネットの計算ツールを活用する
自分で計算しようと思うと、慣れていないと大変な作業を要することになります。
ネット上には、掛け金を積立てるとどれくらい税負担が軽くなるのかを簡単に知ることができる計算ツールがあるので、活用すると便利です。
ネット上にはさまざまな計算ツールがありますが、例えば、「年収、年齢、掛金」を入力するだけで簡単に算出してくれるツールがあります。
ただし、計算ツールはあくまでもシミュレーションで、節税額のイメージを掴むための概算となっており、実際の金額とは異なるので注意しましょう。
源泉徴収票の社会保険料等の欄を見る
控除されているか確認するには、源泉徴収票の社会保険料等の欄を見ましょう。
2段に分けて金額が載っており、上段が小規模企業共済等掛金(確定拠出年金の拠出金)の金額になります。
下段は小規模企業共済等掛金と社会保険料の合計額です。
上段の金額に、自分の所得税率をかけると、減額になる所得税の金額を確認することができます。
最低でも掛金総額の5%が減税になり、個人型で個人払込の方であれば、減額分は全額還付(払戻し)です。
確定拠出年金の控除を申請する方法
会社員は年末調整で控除を受ける
会社員は年末調整で控除を受けますが、確定拠出年金には種類があるので、それによって申請する方法は異なります。
会社員の場合は、毎月の掛け金が給与天引きになっているのか、自分の口座から引き落としになっているのかを確認しましょう。
給与天引きになっている場合は、会社が年末調整をしてくれるので、自分で申請する必要はありません。
自分の口座から支払っている場合は、会社は金額を把握していないので、控除申請書に自分で記載する必要があります。
自営業は確定申告が必要
自営業者が個人型年金に加入する場合は、掛金の全額を所得控除として確定申告する必要があります。
個人型年金の加入者に対し、国民年金基金連合会より、「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発行され、毎年10月頃に届きます。
その年の掛け金負担がいくらだったのかを証明する大切な書類となるので、確定申告まで大切に保管しましょう。
確定申告書には簡易版の申告書Aと汎用版の申告書Bがあります。
自営業者は申告書Bを使用し、「小規模企業共済等掛金控除」の欄にある各項目に金額を記入します。
事業主払込の場合は申請の必要なし
事業主払込の場合は、給与から天引きで支払うことができます。
事業主を経由して掛金を納入してもらうという形です。
その場合、会社が金額を把握しているので、年末調整で所得控除をしてもらえます。
自分で書類を作成したり提出したりする申請の手続きをする必要はありません。
ただし、何か間違いがあるといけないので、年末調整の結果は必ず確認するようにしましょう。
確定拠出年金控除申告書の書き方と必要書類
小規模企業共済等掛金の欄に記入
まず、会社員や公務員の方は、「小規模企業共済等掛金払込証明書」が毎年10月頃に送られてきます。
年末調整の書類と一緒に提出する大切なものなので、届いたらなくさないように保管しましょう。
そして、年末調整の書類の「小規模企業共済等掛金の欄」に必要事項を記入します。
自営業者の場合は、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取ったら、確定申告で必要となるので大切に保管。
そして確定申告書の「小規模企業共済等掛金の欄」に必要事項を記入します。
確定申告書は様式Bの13番に記入
自営業者などは確定申告が必要です。
申告書は様式Bを使用し、第一表左下にある13番(小規模企業共済等掛金控除)の欄に金額を記入します。
そして、第二表右下の13番(小規模企業共済等掛金控除)の掛金の種類欄に「個人型確定拠出年金」と記入。
さらに「支払掛金」と「合計」の欄に、その年支払った掛金の総額を記入します。
確定申告書が作成できたら、申告期限内に小規模企業共済等掛金払込証明書を添付し、税務署に提出しましょう。
控除証明書を添付する
年末調整・確定申告に必要となるのが、控除証明書です。
国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発行されて、毎年10月頃に送付されてきます。
その控除証明書は、年末調整・確定申告に添付する大切な書類です。
掛金の負担を証明するものとなっているので、届いたら内容を確認し、間違いがなければ年末調整・確定申告までなくさないように保管しましょう。
万が一内容に相違がある場合は再発行の手続きが必要となります。
控除申請が必要な人は忘れずに行おう
確定拠出年金に加入することで節税メリットを受けることができます。
年金で受け取る場合と一時金で受け取る場合とでは控除の対象が異なるなど、節税効果は条件によってさまざまです。
また、会社員と自営業とでは控除を申請する方法も違います。
年末調整や確定申告の時期が来る前に、控除額を確認する方法、控除を申請する方法を確認しておくことが重要。
早めに準備をしておき、控除申請が必要な人は、忘れずに行うようにしましょう。
Sponsored Link
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitterでukano358をフォローしよう!
Follow @ukano358