コンテンツ
- 健康保険証の役割と保険制度
- 健康保険と被保険者
- 健康保険の種類
- 健康保険証の作り方
- 書類記入時の健康保険証の見方
- 保険証の有効期限
- 健康保険証がないときはどうするか
- 健康保険証で必ずすることとできること
- 健康保険証のQRコード
- 健康保険証とマイナンバーカード
- 働き方別の保険制度
- 新生児の健康保険はいつ加入するか
- 顔写真入りの健康保険証の作り方
- 転職したら健康保険はどうかわるか
- 退職後の健康保険制度
- 年齢別の健康保険
- 健康保険における扶養条件
- 副業等で保険証を2枚もつときの注意点
- 健康保険証の注意点
- 健康保険証を紛失したした場合
- 健康保険証の内容の変更
- 健康保険証の返却について
- 保険証に関する問い合わせ先
- ただしい知識で健康保険を活用しよう
健康保険証の役割と保険制度
健康保険証は、会社勤めなのか、自営業なのか、働き方によって加入できる健康保険が変わってきます。
どのような場合になんの健康保険に加入するのか、健康保険証の役割と保険の制度について詳しく解説していきます。
健康保険と被保険者
健康保険は、被用者保険とも呼ばれいて、企業などに勤める人が加入する、公的な医療保険制度です。
それでは、詳しい保険内容を見ていきましょう。
会社勤めなら健康保険
健康保険は、企業に勤めている人が加入する公的な医療保険制度です。
病気やけがなど、不測の出来事に対応するためにつくられた制度です。
病気やケガで治療を受けるときや、入院して仕事を休まなくてはならなくなったとき、出産や死亡などが発生したときなどに、保険給付が受けられます。
健康保険に加入している人だけでなく、加入者に扶養されている家族も、被扶養者として加入することができ、保険給付を受けられます。
基本的に、病気やけが、出産、死亡などにより収入が不安定になるので、それを補うための補償が大きな役割です。
被保険者とは保険の対象者
保険の対象者は、契約者、被保険者、保険受取人に分けられます。
健康保険の被保険者とは、けがや病気で通院した際に、保険金が支払われる人です。
また、契約者には、保険料の支払いをする義務があります。
保険金を受け取るのは、保険受取人になっている人です。
国籍や年齢、性別にかかわらず、誰でも被保険者になる資格があります。
健康保険の種類
健康保険には、さまざまな種類があり、働き方によって、加入する健康保険の種類が変わります。
健康保険にはどのような種類があるのか知り、自分が加入している健康保険について知識を深めましょう。
健康保険と国民健康保険
健康保険のほとんどは、社会保険の加入者か、国民健康保険の加入者に分けられます。
「社会保険」は、会社勤めの人が加入し、「国民健康保険」は、自営業やフリーターの社会保険未加入者が加入します。
社会保険に加入していた人が退職した場合、健康保険の任意継続をしないときは、国民健康保険に加入し直すことになります。
その他の保険
共済組合や協会けんぽなど、立場や職業によって異なる保険もあります。
共済保険は、公務員が加入する保険で、公務員や教員、私立学校の教員が対象です。
協会けんぽは、社会保険の種類の違いになります。
中小企業に多いのが「協会けんぽ」、大企業に多いのが「組合健保」と分けられます。
そのほかには、船員保険や退職者医療保険、後期高齢者医療保険など、さまざまな種類の健康保険が存在します。
仕事を変えた場合など、どの社会保険に当てはまるかを、しっかりと確認をしましょう。
健康保険証の作り方
健康保険証の発行の仕方は、管轄の協会けんぽ支部に申請します。
申請書を、協会けんぽのウェブページから印刷し、協会けんぽ支部に郵送または窓口に直接持参します。
現在では、各都道府県の年金事務所の窓口でも、協会けんぽの申請書を預かっています。
任意継続被保険者資格取得申出書は、申請する人の住所に管轄する協会けんぽ支部に提出します。
また、任意継続被保険者が、都道府県を超えて住所変更をする場合は、転居先に管轄する協会けんぽ支部に提出してください。
書類記入時の健康保険証の見方
さまざまな書類申請時に、健康保険証の内容を記入することがあります。
健康保険証の種類、番号、記号はどこを見たらいいのか確認しましょう。
国民健康保険と被用者保険
最初に、健康保険証の種類を確認します。
種類は、「国民健康保険(国保)」か「被用者保険(社会保険)」のいずれかです。
被用者保険は、協会けんぽ、組合健保、共済組合、船員保険があるので、あわせて確認をしましょう。
種別の確認
種別の確認は「保険者名称」にて確認できます。
下から2番目くらいに「全国健康保険協会」と記入されていれば、協会けんぽ(一般会社員用)です。
船員用の場合は、左下に「船員保険」と記載されています。
一番下に「会社名+健康保険組合」と記載されていれば、組合保険です。
共済組合は、左上に「○○共済組合」と書かれています。
国民健康保険は、左上に「国民健康保険・被保険者証」と記載されています。
それぞれの記載の違いを覚えましょう。
記号と番号について
健康保険証には、記号と番号が書かれています。
この記号と番号には、それぞれ意味があります。
その内容を見ていきましょう。
保険者番号から分かる内容
国民健康保険に加入している場合と、会社の健康保険に加入している場合では、記号や番号の意味が少し変わってきます。
国民健康保険の場合、記号は発行元の市町村の番号が書かれています。
番号は加入した順番です。
社会保険の場合の記号は、その勤務先の企業の番号で、その企業に入社した順番に割り当てられる番号です。
こちらはすでに退職した人も、含まれる番号になります。
事業者番号から分かる内容
社会保険の場合の記号は、「事業者番号」とも呼ばれ、事業所ごとに振り分けられています。
ジョブカン労務管理などのウェブサイトで、事業者番号を入力すると、住所や会社が特定されてしまいます。
健康保険証の管理には、細心の注意を払うようにしましょう。
保険証の発行機関
健康保険について記入する書類には、保険証の発行期間の記入欄があることも。
保険証の発行機関は、保険者名称と書かれている箇所です。
協会けんぽであれば、「全国健康保険協会 ○○支部」と記入します。
全国健康保険協会に限らず、保険名称に「○○支部」と記載されていたら、全て記入します。
保険証の有効期限
社会保険や国民健康保険には、有効期限があるのでしょうか。
有効期限の違いを見ていきましょう。
社会保険には有効期限はない
会社員が加入する社会保険には、有効期限がありません。
社会保険は、会社に就職したときに資格を取得します。
そして、会社を退職したときに資格喪失するので、会社に勤めている期間が有効期限といえます。
退職者が健康保険の任意継続をおこなう場合は、2年間の有効期限になるので覚えておきましょう。
国民健康保険の有効期限は1年
国民健康保険は、新しい保険証が送られて来るので、有効期限が1年間に定められています。
毎年、各自治体の決められた月の下旬に、新しい保険証が送付されます。
古い保険証は、返却するか各自で処分します。
保険料を滞納している場合は、自動的に送られて来ないので、各自治体の窓口で相談する必要があります。
有効期限が切れたら
国民健康保険の有効期限が切れた保険証を使ってしまったときは、返還請求をされることがあります。
返還請求の対象になった場合、国民健康保険の運営自治体から「医療費の返還請求」などといった形で、郵送されてきます。
通知書に記載された医療費の納付方法で、返還請求分の支払いをします。
この際に支払ったときの領収書は、大切に保管してください。
新たに加入した社会保険などの保険者に、療養費請求することができます。
手続きに必要な書類は、国民健康保険からの医療費返還の通知書、返還請求を支払ったときの領収書、医療機関が発行するレセプトです。
しっかり保管するようにしましょう。
健康保険証がないときはどうするか
転職をしたり、保険証を紛失したりなどして、健康保険証が手元にない場合はどうすればいいのでしょうか。
保険証がない場合、病院での医療機関に支払う医療費が、10割請求されてしまいます。
このような場合の対処法を見ていきましょう。
申請したのに届かない場合
健康保険証の発行を申請しても、手続きに時間がかかり、手元にすぐに届かない場合があります。
その際、医療機関にかかるときは、領収書の保管が大切です。
健康保険の被保険者、被扶養者として認定後の医療機関での受信は、所定の証明する書類などを、添付して申請することで、7割分の還付を受けることができます。
「資格証明書」の発行
転職や退職などで、手元に保険証がないときに、代わりの証明書を発行することができます。
健康保険被保険者資格証明書を発行してもらうことで、保険証を掲示したときのように、一部負担で診察してもらえます。
健康保険被保険者資格証明書交付申請書と、身分証明書を準備して、郵送か年金事務所に直接持参します。
基本的には、事業主がおこないますが、被保険者自身で提出することも可能です。
また、健康保険被保険者資格証明書の有効期限は、20日間です。
この期間までには、健康保険証が届くはずです。
健康保険証が届いたら、資格証は返却します。
入社時に健康保険の加入申請書などの書類を提出した窓口か、年金事務所に返却しましょう。
健康保険証で必ずすることとできること
健康保険証が届いたら、必ずしなければならないことがあります。
また、健康保険証でできることもあるので、確認していきましょう。
健康保険証の裏面に住所を記載する
健康保険証が届いたら、裏面に必ず住所を記載します。
その際には、必ず本人が記入するようにしてください。
また、引っ越しなどで住所が変わった場合も、自身で修正をおこないます。
住所以外の変更点は、必ず所属事業所を経由して届出るようにしましょう。
保険証が臓器提供意思表示カードになる
健康保険証の裏面には、臓器提供意思表示欄があります。
健康なうちに、こちらで自身の意思表示をしておくとよいでしょう。
こちらの記入は任意ですが、意思表示が決まっている場合は、しっかりと記載しておきましょう。
一人ひとりの意思表示ができる、大切な提供の場です。
健康保険証による本人確認
健康保険証は、本人確認の身分証明書として活用できます。
健康保険証で本人確認する場合、顔つきの証明書ではないので、住民票、年金手帳、印鑑登録証明書から2種類以上の本人確認書類が必要になります。
また、転居などにより提出書類に旧住所が記載されている場合、住民票か公共料金領収書が必要になります。
健康保険証のQRコード
健康保険証は、被保険者と被扶養者も含めた加入者それぞれのカードとして発行します。
平成27年6月には、二次元コードを表示しました。
しかし、これ以前に発行した保険証は、差し替えがありません。
被保険者の券面情報が、コード化されているのです。
券面情報以外の個人情報に類する情報は入っていませんが、悪用されないように注意しましょう。
健康保険証とマイナンバーカード
厚生労働省では、2020年度からマイナンバーカードを、健康保険証代わりに使えるようにします。
医療機関や薬局の窓口で、カード裏面のICチップを専用の機械で読み取り、本人の保険証の情報を確認して使用します。
マイナンバーカードの普及率は、全人口の1割ほどのため、使用率の高い保険証機能を追加して、マイナンバーカードの普及率を高める狙いもあります。
厚労省は、マイナンバー制度と診療報酬の審査業務を担う、「社会保険診療報酬支払基金」などをつないだシステムを構築しました。
保険運営者に、加入者のマイナンバーや保険証番号を登録してもらい、患者から提示されたカードを、医療機関がオンラインで加入保険などを照会できるようにします。
働き方別の保険制度
正社員や契約社員など、働き方によっても保険制度が変わります。
具体的な内容を見ていきましょう。
契約社員の場合
契約社員は、雇用形態によって保険が異なります。
所定労働時間と1カ月あたりの所定労働日数が、ともに正社員に4分の3以上であれば、給料額にかかわらず社会保険に加入できます。
この要件に当てはまらない場合は、国民健康保険への加入になります。
しかし、健康保険に加入できない場合でも、見込み年収額が130万円未満で、一定の家族に健康保険加入者がいれば、被扶養者になれる場合もあります。
在留外国人の場合
3カ月以上、日本に滞在する外国人は、国民健康保険への加入義務があります。
中長期在留者や特別永住者、一時庇護許可者または仮滞在許可者、出生による経過滞在者または、国籍喪失による経過滞在者が対象になります。
手続きは、住民登録をおこなった市区町村役場の健康保険窓口に、在留カードまたは外国人登録証を持参すれば、保険証が発行されます。
無職の場合
無職になったら、国民健康保険と国民年金の手続きをはじめます。
国民健康保険の手続きをおこなわなければ、病院などへ行くことができません。
場合によっては、以前勤めていた会社の健康保険の、任意継続の手段もあります。
会社都合の退職や、前年度の所得が低い場合、国民健康保険や国民年金の支払いの減免や、免除申請も可能です。
しかし、自己都合退職の場合、所得が多く減免が受けられない可能性が高いです。
国民健康保険料は、前年度の年収から計算されます。
前年度に所得がある場合、現在無職であっても大きな支払額になる可能性があるので覚えておきましょう。
新生児の健康保険はいつ加入するか
赤ちゃんが生まれた場合、遅くても1カ月検診までには加入しましょう。
赤ちゃんの医療費は、自治体で助成されているので、病院での支払いがなく料金がかかりません。
しかし、1カ月検診のときや、万が一の病気や入院のときには保険証が必要です。
保険証があることで、医療費の助成制度を受けることができます。
もしも保険証がなくて、1カ月検診前に赤ちゃんが病院にかかったときは、医療費が自己負担になる可能性があります。
そのため、赤ちゃんが生まれたら、早めに加入手続きを済ませましょう。
顔写真入りの健康保険証の作り方
顔写真入りの健康保険証は、一部の健康保険協会のみ対応しています。
ほとんどの健康保険証は、顔写真はありません。
2020年度から運用される、マイナンバーカードを使用した健康保険証であれば、顔写真ありになります。
顔写真入りの健康保険証に対応している協会は、ほとんどないでしょう。
身分証明書として、顔写真入りを希望するのであれば、運転免許証や住基カード、パスポートなどがあります。
しかし、年齢や使用用途によっては、持ち合わすことがないでしょう。
顔写真入り健康保険証で、一番手軽に準備できるのは、制度が整ってからのマイナンバーカードといえるでしょう。
転職したら健康保険はどうかわるか
転職してどのタイミングで働き始めるかで、健康保険の切り替え方が変わってきます。
タイミングと切り替え方法を見ていきましょう。
すぐに転職先で働き始める場合
退職後、翌日から働き始める「ブランクなし転職」の場合は、新規の就職先に手続きを任せて大丈夫です。
この場合、社会保険が切り替わるだけなので、「健康保険資格喪失証明書」を再就職先に提出して、手続き完了になります。
転職のタイミングを調整することで、社会保険の手続きが簡単になります。
次の就職先と話し合い、可能であれば、ブランクなし転職をおこなうようにするといいでしょう。
次の仕事までブランクがある場合は健康保険に切り替える
次の仕事に就くまでにブランクがある場合は、別の健康保険に切り替えをおこないます。
ブランク中に病院に通院したときに、健康保険の切り替えをおこなっていなければ、医療費を全額自己負担しなくてはなりません。
切り替えは、収入が不要範囲内であれば、家族の社会保険の扶養に入る、前職の社会保険の任意継続をする、市区町村が運営する国民健康保険に加入する、フリーランス・企業者の健康保険の選択があります。
次の就職にかかる時間も踏まえて、健康保険の切り替えをおこなってください。
退職後の健康保険制度
会社を退職したあとにも、さまざまな形で健康保険に加入できます。
退職後の健康保険制度を確認しましょう。
国民健康保険への加入
退職後の健康保険の切り替えで、まずは選択肢にあがるほどスタンダードな選択法に、国民健康保険があります。
国民健康保険は、加入した日から月末までの日割りで、保険料が算出されます。
社会保険の場合は、日割りの概念がないため、丸1カ月分の保険料が支払いとなります。
退職をして、国民健康保険に加入し、すぐに再就職で社会保険に加入する場合は、保険料のニ重払いの心配はありません。
退職と再就職が同月内でおこなわれた場合、国民健康保険も健康保険も「月末に被保険者でなければ、保険料を徴収しない」ルールがあります。
このため、保険料のニ重支払いにはならないのです。
健康保険の任意継続
退職後、最長2年間は、健康保険の任意継続が可能です。
人によっては、任意継続を選んだほうが、保険料が安く済むケースもあります。
ただし、任意継続の保険料は、サラリーマン時代に支払っていた金額よりも高くなります。
会社が負担してくれていた保険料も、自分で支払うことになるからです。
任意継続をするメリットには、退職時の給与が高ければ、保険料が国保よりも割安になる可能性があります。
また、扶養者が多い場合も、割安になる可能性があります。
デメリットは、加入条件が厳しかったり、滞納に厳しかったり、一度選択すると変更ができなかったりなどがあげられます。
メリット・デメリットを踏まえて、任意継続にするか判断しましょう。
リスク回避のため放置はしない
健康保険に加入していない状態で、病院で受診すれば10割負担することになります。
しかし、何らかの書類の不備により、健康保険の切り替えができていなかった場合、支払った保険料は還付されます。
以前加入していた健康保険の資格喪失の翌日までさかのぼって、資格認定をおこなう必要があります。
資格取得日が資格喪失の翌日からであれば、医療費の返還請求が可能です。
月をまたいでの医療費は、「保険者」に直接請求します。
保険者は保険証に名前が書かれているので、そちらに電話などで請求先の確認をしましょう。
年齢別の健康保険
年齢別でも、健康保険の種類が変わります。
対象は70歳以上からになります。
詳しい内容を見ていきましょう。
70歳からの健康保険
70歳から74歳では、年収に応じて2割負担、または3割負担になります。
入院時の食事療法は、標準負担額の支払いになります。
70歳から74歳には、医療機関での受診の際に、一部負担割合を確認するために「高齢受給者証」がそれぞれに交付されます。
一部負担割合が変更されたときは、高齢受給者証も変更になります。
一部負担の割合は、標準報酬月額が28万円未満であれば、1割または2割負担。
標準報酬月額が28万円以上であれば、3割負担となります。
しかし、1部負担の割合が3割であっても、該当機関の収入が一定の基準に満たない場合は、基準収入額適用申請をおこなうことで、1割または2割にすることができます。
75歳以上の健康保険
75歳になったら、後期高齢者医療制度への移行となります。
それまで加入していた国民健康保険や、健康保険組合の医療保険から外れることになります。
医療機関で支払う自己負担額は、一般所得者は1割、現役並み所得者は3割負担です。
保険料は原則として、年金から徴収されます。
健康保険における扶養条件
健康保険に加入する被扶養者には、扶養条件が発生します。
扶養条件から外れると、健康保険から外れるので、自身で新たに健康保険に加入しなくてはなりません。
扶養条件について、詳しい内容を見ていきましょう。
被扶養者の認定基準は健康保険法に定められている
被扶養者に認定されるためには、条件があります。
認定される範囲は限られているので、注意が必要です。
被扶養者として認められるのは、三親等内の親族になります。
同居でなくてもよい配偶者(内縁を含む)、子(養子を含む)・孫・兄弟姉妹、父母(養父母を含む)等の直径尊属です。
同居であることが条件なのは、上記以外の三親等以内の親族(義父母等)、内縁の配偶者の父母・連れ子、内縁の配偶者の死亡後、その父母・連れ子となります。
被扶養者の認定基準なのか分からなくなった際は、会社等の担当者に確認を取りましょう。
被扶養者(59歳以下)の収入は130万円未満
被扶養者は、年収が130万円未満でないと扶養に入ることができません。
いわゆる、「130万円と106万円の壁」です。
また、年収以外にも労働日数・時間・月収など、細かい基準が設定されています。
この条件から外れた場合は、自身の勤める会社の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入することになります。
被扶養者として認定されるために
家族を被扶養者として認定されるためには、被扶養者届の提出が必要です。
被扶養者届の提出期限は、事実の発生から5日以内に勤め先に提出します。
提出を受けた勤め先が、被扶養者届を日本年金機構に提出をして、手続きが完了となります。
扶養から外れる時の保険手続き
被扶養者が就職先で保険に加入したときや、収入が130万円を超えたときなどは、必ず扶養から外れる届を提出しなければなりません。
税金の扶養から外れるタイミングは、サラリーマンの場合、年末前の「扶養控除等異動申告書」の提出の際に、扶養の判断がされます。
1年間の所得見込みが103万円以上であれば、配偶者控除の対象から外れます。
社会保険の扶養に関しては、年間の収入見込みが130万円を超えることが分かった時点で、申告をする必要があります。
保険の扶養における条件は、現時点から向こう1年間です。
1カ月当たりの収入が、130万円÷12カ月=108,333円以上の場合、今後も継続して収入の見込みがあると判断されたら、5日以内に申し出をします。
副業等で保険証を2枚もつときの注意点
副業先の労働時間と労働日数が、一般社員の4分の3以上に該当する場合、社会保険に加入する義務があります。
本業と副業先の2カ所から、社会保険に加入することになります。
その際の健康保険証は、2枚ではなく1枚になります。
複数の会社から給与をもらい、そのうち2カ所以上の会社が社会保険に加入対象の場合は、次の手続きをおこないます。
「健康保険・厚生年金保険、所属選択 二以上事業所届」の提出と、「社会保険の納付・負担」です。
メインとなる会社を選択し、その会社の管轄年金事務所に提出をします。
メインの会社の保険証を手元に残し、もう一つの保険証は返却します。
健康保険証の注意点
健康保険証は、病院での提出以外にも身分証明にも使われます。
そのため、悪用されるケースもゼロではありません。
健康保険証の注意点を確認しましょう。
健康保険証のコピーを悪用された場合
健康保険証のコピーは、消費者金融のローンなどで悪用されるケースもあります。
保険証のコピーを、見ず知らずの第三者に悪用されるケースです。
医療機関でも、本人になりすまして保険証のコピーが利用される可能性も考えられます。
そのため、病院でも金融機関でも、例外的な状況を除いて保険証のコピーは利用できません。
保険証のコピーには効力がないためです。
仮に、金融機関などから支払いの通知が来た場合でも、支払う義務はありません。
もし悪用されて、支払いの請求が来たときには、警察や国民生活センターなどに届けることが大切です。
そのまま放置しないように気を付けてください。
保険証の偽造など不正使用を防ぐ
保険証が悪用されることを防ぐために、国民生活センターでは、事前に個人信用情報機関への登録を推奨しています。
個人信用情報機関に登録し、本人申告制度を利用することで、身に覚えのないカードや借り入れの有無を確認できます。
本人申告制度をすることで、事前に保険証の紛失があったことを、業者に伝えることができます。
本人申告制度で、事前に業者に伝えてあるため、カードや消費者金融に申し込みに来た融資希望者の本人確認が、厳重におこなわれて被害を未然に防ぐことができます。
健康保険証を紛失したした場合
万が一、健康保険証を紛失した場合は、どのようにすればいいでしょうか。
緊急時に慌てないために、紛失した場合の手順を確認しましょう。
遺失届を出す
健康保険証を紛失したときは、すみやかに警察に遺失届を出し、受理番号を控えておきます。
届出をすることで、紛失後に悪質利用された場合の不在証明になります。
また、個人信用情報機関に保険証をなくしたことを登録して、本人申告制度を利用することで、加盟している金融機関が融資の際の登録情報を、厳重に確認するので不正利用防止につながります。
健康保険証の再発行手続き
健康保険証を紛失して、再発行手続きをする場合には、警察署で紛失証明証をもらいます。
このときに注意したいことは、必ず警察署で紛失届を出してください。
交番でも紛失届を提出できますが、紛失届の受理番号しかもらえないようなので、気を付けましょう。
再発行の際は、所定の用紙の記入と紛失届の提出となります。
社会保険の場合は、会社の総務部への提出です。
国民健康保険の場合は、市役所の窓口で本人と確認できる身分証明書と、印鑑で手続きが可能です。
万が一のときのために、しっかり覚えておきましょう。
健康保険証の内容の変更
健康保険証の内容が変わったときは、どのような手続きが必要でしょうか。
住所変更などが起きた際、スムーズに手続きがおこなえるように覚えましょう。
引っ越したら住所変更が必要
会社勤めの場合、総務部に引っ越しをした旨を伝えて、手続きを依頼します。
保険証を含めた社会保険関係の手続きは、全て会社がおこなってくれます。
引っ越しをした事実を、正確に会社に伝えてください。
保険証の住所の変更は、裏面に記載した住所を二重線で消し新しい住所を記載します。
国民健康保険の場合、現住所と新住所の役所の窓口で転出・転入手続きをおこないます。
その際、同時に健康保険の資格喪失と、新住所での加入手続きがおこなわれ、後日郵送で保険証が送られます。
健康保険証は、資格喪失の段階で返却をしましょう。
氏名を変更したとき
氏名の変更があった場合は、5日以内に変更(訂正)届を出す必要があります。
提出書類は、健康保険証、健康保険、氏名・住所・生年月日変更(訂正)届、戸籍謄(抄)本、または婚姻受理証明書です。
これらの書類を変更(訂正)届とともに、各事業所当てに提出しましょう。
健康保険証の返却について
会社を退職した場合には、健康保険証を返却しなければなりません。
健康保険証を返却せずに使用すると、どうなるのか、また郵送での返却方法について確認しましょう。
資格喪失後はすぐに返却する
退職して、任意継続資格喪失日以降に、被保険者でなくなった場合、保険証は使用できないので返却をします。
資格を喪失したら、すみやかに事業所へ返却しましょう。
もしも、資格喪失後に健康保険を不正使用すると、医療費増加の原因になります。
健康保険料率にも大きな影響を与えますし、誤った健康保険の使用をやめることで医療費の適正化につながります。
健康保険は正しく使用し、資格喪失後にはすみやかな返却につとめましょう。
健康保険証は郵送で返却出来る
保険証の返却は、基本的には手渡しですが、郵送での返却も可能です。
しかし、健康保険証は個人情報になるので、郵送方法には気を付けましょう。
また、郵送で返却が可能か、あて先は誰で部署はどこかなどを、確認することが大切です。
あて先が分からない場合は、電話で確認するといいでしょう。
郵送方法は、きちんと手に渡ることを考えて、簡易書留または一般書留で送るようにしましょう。
また、第三者に保険証が入っていると分からないように、封筒には「保険証在中」などと書かないようにしてください。
保険証を送る際は、簡単でいいので、添え状を同封するようにこころがけましょう。
保険証に関する問い合わせ先
保険証に関する問い合わせは、会社の総務等に問い合わせてもよいですが、全国の協会けんぽでも受付をしてくれます。
47都道府県全てに、協会けんぽの支部があるので、引っ越しをしても安心して問い合わせをすることができます。
協会けんぽ支部では、各種申請や届出手続きに関すること、制度に関することを相談できます。
ただしい知識で健康保険を活用しよう
健康保険証は、たくさんの情報が記載されているカードです。
会社の情報や身分証明にもなるので、保管には十分に注意してください。
また、収入などによって扶養から外れるときや住所・氏名変更などが発生した場合はすみやかに連絡しましょう。
さらに、保険証の資格を喪失した場合には、すみやかに返却することを守ってください。
健康保険を使用するときは、正しい知識と正しい報告をして活用するようにしましょう。