転職時に支給される退職金の平均額と制度内容を確認しよう

February, 09, 2018

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転職時に支給される会社の退職金

退職金は従業員が定年退職後も安定した生活ができるよう支給されるものです。
公務員の場合は退職金を支払うことが義務となっていますが、民間企業の場合は任意となってます(就業規則に定めがあれば、経営者には退職金を支払う義務が生じる)。

厚生労働省が発表している平成25年『就労条件総合調査結果の概要』によれば、退職給付制度導入割合は、従業員数1,000人以上の企業で93.6%30人から99人の企業は72.0%と中小企業は退職金制度を導入していう割合が低いという結果がでています。

転職時にも勤務先が退職給付制度を設けている場合は退職金が支給される可能性がありますが、支給される額はそれまでの勤務年数が大きく影響してくることとなります。

転職時の退職金の相場

自己都合退職で784~1,586万円

平成25年就労条件総合調査結果の概要(厚生労働省調べ)によると自己都合退職の場合の退職金平均支給額は高校卒(現業職)で784万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1,159万円、大学卒(管理・事務・技術職)で1,586万円となっています。

なお、退職理由は後述するように会社都合退職、早期優遇退職、定年退職などさまざまでですが、その中で自己都合退職での退職金支給額が一番低い結果となっています。

会社都合退職で1,004~1,807万円

次に会社都合退職での退職金平均額は高校卒(現業職)で1,004万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1,573万円、大学卒(管理・事務。
技術職)で1,807万円
となっています。

なお会社都合退職とは会社のリストラや倒産などにより一方的に労働契約を解除される場合をいいます。
自己都合退職の場合と比較すると退職金額は高めとなっています。

早期優遇退職で1,418~1,966万円

早期優遇退職での退職金平均額は高校卒(現業職)1,418万円、高校卒(管理・事務・技術職)1,945万円、大学卒(管理・事務・技術職)1,966万円となっています。

早期優遇退職とは企業がリストラの一環で、従業員に有利な条件を提示することで、従業員自らの意思で労働契約の解除を行う場合のことです。
早期優遇退職は他の退職事由と比較し、一番退職金額が高い結果となっています。

定年退職で1,128~1,941万円

最後に定年退職の場合の退職金平均額です。
高校卒(現業職)で1,128万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1,673万円、大学卒(管理・事務・技術職)で1,941万円となっています。

ここでいう定年退職の定義は「20年以上勤めた45歳以上の退職者で、定年を迎えた人がもらった退職金」のことをいいます。
早期優遇退職次に相場が高い結果となっています。

会社ごとに違う退職金の制度

会社への貢献度で算出

現在までの退職金は「年功型」と呼ばれる勤続年数に比例して退職金の額を増額させる方法で算出していましたが、現在では会社への貢献度で算出する「成功報酬型」による算出方法も増加しています。
成功報酬型の場合、将来受け取ることができる退職金の金額は定まっておらず、役職や職能等級に会社が掛金を設定し、毎月積み立てていきます。
つまり、会社に貢献し、自身の階級を上げていけばいくほど退職金の額が増えることになります。

成功報酬型の例として「ポイント制」があります。
ポイント制とは社内評価や取得資格などをポイント化し、ポイント数に応じて退職金の額が決まる制度です。
この退職金制度は大企業を中心に増加しています。

成功報酬型のメリットは自身の努力により退職金が増加する可能性があることですが、逆に、会社に評価されなければ少ない退職金となるデメリットもあります。

企業型の確定拠出年金

こちらは退職年金制度になりますが、前述の成功報酬型と同様注目されている制度として企業型確定拠出年金制度があげられます。
導入時は、「日本版401k」と呼ばれていました。
同制度は毎月一定額を拠出し、積み立て、加入者自身が運用しその結果得られた給付額を年金として受け取る制度です。
加入者自身で運用することから、運用方法により将来受け取ることができる年金額が変動することになります。

なお、自社の退職金制度を調べる場合は、まず自社の就業規則内の退職金規定を確認しましょう。

勤続年数で算出

以前は多くの企業で採用されていたのが、「基本給連動型」という方法で退職金を計算する方法です。
退職時の基本給を元に

「基本給」×「勤続年数」×「給付率」=「退職一時金額」

という計算式で算出されます。
この算出方法の場合、勤続年数が長ければ長いほど退職金の額は増加することとなりますが、企業の業績に関係なく上昇していくことや企業への貢献度が反映されないことから、企業側のデメリットが大きい制度です。

転職で退職金を受け取った場合の注意点

勤続年数が短いほど退職金は少なくなる

前述したとおり、勤続年数や企業への貢献度が退職金に反映されることとなるため、勤続年数が短いほど退職金額は少なくなる傾向にあります。

東京都産業労働局が2016年に発表した「モデル退職金」によれば、大学卒かつ自己都合退職の場合の退職金額は1年目で8万7,000円、3年目で23万6,000円、5年で44万円、10年で114万8,000円、15年で225万1,000円というモデルが示されており、勤続年数により大幅に退職金額が変動することがわかります。
中途退職を検討する場合は退職金の金額に留意しましょう。

更に企業によっては勤続年数が3年未満の場合は退職金なしという内容の規定を設けている場合があります。
当該規定の有無を就業規則で確認しましょう。

一時所得として税金が引かれてしまう

受け取った退職金には所得税がかかります。
ただし、退職一時金の場合は税負担が軽減されるよう配慮されています。
具体的には、退職金は他の所得と分離して課税されることや、退職所得控除の存在が配慮事項として挙げられます。
退職所得控除額の計算方法は以下のとおり勤続年数によって変わります。

1.勤続年数20年以下

勤続年数×40万円

2.勤続年数20年超

(勤続年数ー20年)×70万円+800万円

1つ計算例を挙げてみましょう。
21年で2000万円の退職金を受け取る事例です。

退職金の所得控除額は「21年ー20年×70万円+800万円=870万円」となります。
この場合退職金が870万円以内であれば、所得税が発生しないことになります。
課税対象金額は「2000万円ー870万円=1,130万円」となります。

なお、退職金額から上記で計算した所得控除額を差し引き、2分の1をした額に税率をかけた額が実際に支払う所得税額となります。
上記の例で支払税額を計算すると、まず、課税対象金額は「2,000万円ー870万円×1/2=565万円」となります。
そして源泉徴収税額は(565万円×23%ー控除額63.6万円)×復興特別所得税102.1%=67.7万円、住民税は565万円×住民税率10%=56.5万円となり、合計124.2万円が支払わなければいけない税額となります。
その場合退職金の手取額は1,875.8万円となります。

退職所得控除を受けるためには、「退職所得申告書」(国税庁HPでダウンロード可能)を会社に提出する必要があります。
その後の手続きは基本的に会社が行ってくれることとなりますので、それ以外に事務は発生しません。

なお、上記申請を忘れ、退職所得控除を受けられなくなってしまった場合には、退職金の20.42%が税金として控除されることとなりますので、前述の事例の場合であれば退職金2,000万円×所得税20.42%=408.4万円が退職金から控除されます。
その場合退職金手取額は1,591.6万円となり、所得控除申請をしている場合と比較し、手取額が大きく減少することになりますので、忘れずに申請を行うようにしましょう。

退職金が減ることで将来的に不利になる

転職のデメリットの1つとして、将来受け取ることができる退職金額が減少することがあげられます。
退職金は老後に安定的な生活を送るために必要な資金です。
年金の支給年齢も65歳まで引き上げられたことや所有している自宅のリフォーム費用や住宅のローン返済なども考えると、退職金の金額は無視できません。
将来的には金額が少ないと資金繰り面や第2の人生設計では他社より不利な状況に立たされる場合があることに留意しましょう。

損をしないために制度の仕組みを覚えておこう

前述のとおり、退職金には勤続年数や会社への貢献度など退職金制度ごとに金額の算定方法の違いがあります。
転職の際にはご自身が現在所属している会社の退職金規定を就業規則で確認し、今後の退職金額への影響を考えてみましょう。

また、退職金は一時金のみならず、確定給付年金、確定拠出年金、厚生年金基金などの年金制度もありますので、同様に自社の規定や制度設計を確認して転職を含む将来の人生計画をしっかりと立てていきましょう。

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