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退職理由は大きく分けてニつ
退職理由は主にニつに分かれます。
一つは会社都合退職、もう一つは自己都合退職です。
失業保険受給の際や、転職の際にかなり重要なポイントになります。
人によっては「もう、何が何でも今すぐに退職したい。理由なんかなんだっていい」と考える人もいるかもしれません。
すぐにでも退職したいという気持ちはわかりますが、結果を急ぐことで自分自身が損をしたり、金銭面や心身に負担がかかったりすることにもなりかねません。
そのため、一度落ち着いてこの退職理由について、正しく見つめ直していきましょう。
有効な退職理由
会社に起因するもの
会社の都合で退職する場合は、文字通り会社側の予算削減のためであったり、部署の縮小に伴っての人員整理が必要になって、リストラの対象になってしまったなどです。
以下に示す通り、自己都合退職よりも会社都合退職のほうが、失業保険の面で有利になる部分が多くなります。
会社都合退職の場合
・支給開始日までの日数が自己都合退職より短い
・給付日数が自己都合退職より長くなる場合がある
・国民健康保険税が軽減される
一般的な自己都合退職の場合
・支給開始日までの日数が会社都合退職よりも3倍程度長い
・給付日数は会社都合退職よりも短くなる
・国民健康保険税は通常通り納付(ただし免除や軽減を申請すれば変わる可能性あり)
ざっくりですが、このような大きな違いがあります。
会社都合で退職した人がいると、辞める会社が助成金を受けられなくなる等の迷惑がかかるからと、自己都合退職として申請する場合も。
または、会社側が会社都合退職を認めようとしない、退職する本人が自己都合と勘違いしている等の場合もあります。
自己都合の退職理由を、会社都合に変えられることもあるので、それが可能ならば、会社都合での退職として申請をしたほうがよいでしょう。
もしも会社が、「自己都合退職」と離職票に書いてきた場合、たとえば雇用時と就業条件が異なることや、長過ぎる残業時間が記録されたタイムカードの写しなど、会社都合になりうる証拠を準備して、ハローワークに提示できれば、会社都合へ変更になりやすいです。
自己都合でも、やむを得ない理由での退職だったと認められれば、特定受給資格者となり、給付制限がなくなったり給付日数が増えたりなど、一般的な自己都合退職よりも、優遇される部分があります。
これからの自分のためにも、自己都合だ、会社都合だ、と一人で思い悩まずに、しっかりと退職理由を見定めていきましょう。
病気やケガによるもの
有効な退職理由として、労働者自身の病気やケガによるものがあります。
たとえば、下痢や嘔吐が主な症状である急性腸炎、激しいめまいやそれに伴う嘔吐などが起こるメニエル病、あるいは心と身体の両方につらい症状が起こるうつ病などの病気にかかってしまい、働けなくなってしまった、などの理由です。
例に挙げた病気は、就業に支障が出る可能性が高く、きちんと治療して完治しなければ、働くことが難しいため、退職理由として勤務先にも納得してもらいやすいと考えられます。
身内の体調不調
身内の体調不調を、退職理由にすることも有効でしょう。
労働者自身の家族や配偶者の親が、体調不良や高齢により介護が必要になったので、それに専念するために退職したい、または、介護が必要な身内と同居することになり、転居に伴い退職を希望するなどがあります。
介護となると、状況によりけりですが、24時間体制でそばにいる必要が出てくる場合もありますし、転居をする場合は、通勤自体が困難になることが見込まれるため、これも退職理由としては通りやすいと想定されます。
結婚を期に退職
労働者自身が結婚するのを期に、将来的に子供を育てるために適した地域や、両親に育児を手伝ってもらえる田舎などに転居をして、家のことに専念するために退職したいという理由もよいでしょう。
特に女性の場合、結婚および出産、子育てというライフステージの変化は大きく、とても大切なものです。
出産と子育てについては、タイムリミットがあることは広く知られていますし、退職理由として事情を汲んでもらいやすいといえます。
病気やケガによる退職で受け取れる給付金
特定理由離職者は給付制限期間無しの失業保険
特定理由離職者(自己都合だがやむを得ない理由での退職をした人)とみなされれば、7日間の待機期間のあとは、3カ月の給付制限期間無しで、失業保険を受け取れます。
退職理由が病気の場合、すぐに働けない状態だと、ハローワークに行っても、失業状態だと認定してもらえない可能性があります。
在職中は病気だったけれど、現在は回復して働ける状態になっているのであれば、医師に就労可能証明書を書いてもらって、求職の申し込みをするようにしましょう。
健康保険から傷病手当金が支払われる
失業状態がハローワークで認定された場合は、通常は、待機期間や給付制限のあとに、失業給付金を支払ってもらえます。
しかし、病気やケガにより働けなくなって退職した場合は、退職後にも一定の条件を満たすことで、傷病手当金を支払ってもらえる場合があります。
そして、傷病手当金の請求の時効は、受給権が発生する日ごとに2年なので、退職してから時間が経ってしまったからとあきらめずに、まずは自分が受給資格に該当するのかを調べて、確認してみることをおすすめします。
傷病手当金を受け取る方法
傷病手当金を退職後に受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
疾病手当金の受給資格
・退職日前日までに、病気やケガによる休みが連続して3日を含み、4日以上ある
(最初の3日間は待機期間のため、支給されません。支給対象になるのは4日目以降からの日数です)
・休んだ期間に対する給与の支払いがない
・退職日当日までに健康保険に継続1年以上被保険者期間がある
(複数の会社をまたいでも、1年継続して被保険者期間があれば大丈夫ですが、1日でも空白がある場合は、条件を満たしていないことになります)
また、任意継続の社会保険、国民健康保険、共済組合の加入期間は含まれないので注意が必要です。
申請の流れ
1.医師から病気、ケガにより労務不能の診断を受ける
2.会社へその旨を報告する
3.傷病手当金支給申請書を取り寄せる
(郵送してもらったり、ウェブ上からダウンロードも可能)
4.医師に傷病手当金支給申請書の「意見書」への記入を依頼する
(労務不能だった事を証明してもらう書類です。
民間の生命保険会社などの就業不能証明書とイメージが近いかもしれません)
5.会社に傷病手当金支給申請書の”事業主記入欄”への記入を依頼する
(会社を休んでいたこと、給与の支払いがないことなど、つまり休業証明のための書類です)
6.傷病手当金支給申請書を提出する
申請の注意点
医師に記入を依頼するのは、申請期間を過ぎてからになります。
たとえば2月1日~2月28日までの傷病手当金を申請するのであれば、3月1日以降に医師に意見書を書いてもらい、それから申請をするということです。
申請期間が経過する前に書いてもらった場合、その意見書は有効性を認められないことがあります。
また、会社に事業主記入欄へ記入してもらうのも、申請期間を過ぎてからです。
体調が悪い中で待つことは大変かもしれませんが、申請期間が過ぎてから記入を依頼するようにしましょう。
面接時に退職理由を話すときの注意点
病気が理由のときの話し方
退職後に完治しているのであれば、建前の理由を話して、あとからつじつまが合わなくなるよりも、病気が理由で退職したと、正直に伝えた方がよいでしょう。
その際は、現在はもう健康上の問題がないことを、きちんと伝えましょう。
面接先の企業への印象を悪くせずに伝えることも、もちろん大事ですが、「本当の理由を言えなかった…」という、罪悪感めいた気持ちを抱えたままで就業することは、心身ともによくありません。
今が健康ならば、正直に退職理由を話すことが望ましいといえます。
家族の介護が理由の場合
家族の体調が良くなったり、訪問ヘルパーに来てもらえることになった等の状況改善があり、今は何も問題がなく働けるならば、正直に話してみてもいいでしょう。
家庭環境が良くなったことで、就業への熱意も意欲も十分にあると、付け加えて伝えることも忘れないでください。
「家族のためにも、これから頑張って働きたい」という気持ちが伝われば、採用に前向きになってもらえるかもしれません。
短期間で退職した場合の伝え方
3カ月以内など、短期間での退職については、本来は長く働きたいという気持ちがあったこと、不本意ながらやむを得ない理由での退職であったこと、それを踏まえて次は腰を据えてじっくり働く気持ちがあると、意欲を伝えましょう。
能力や熱意を認めてもらって、就業につながったら、次は長く働こうというモチベーションにもなるはずです。
適切な退職理由を選び円満な退職を心掛けよう
退職を検討している裏側では、さまざまな事情がからんでいることも少なくないと思われます。
たとえば、会社の金銭的問題や人間関係の問題、入社してみたら実際には仕事が少なく、就業時間を無為に過ごすしかない、業務内容がどうしても合わないなどです。
その事実は事実として切り離して考え、スムーズに次の仕事に就くためにも、適切な退職理由を伝えて、円満な退職を心がけるようにしたいものです。
退職にまつわる調べものや手続きは煩雑ですが、ご自身の望む環境や状況に、いち早く辿りつけるように、まずは一つずつ向かい合っていきましょう。