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ITパスポート試験の難易度と、合格するための勉強方法を考えよう

IT初心者にもおすすめの資格試験

多くの人がパソコンやスマホなどIT機器を自在に使っていますが、そのテクノロジーやマネジメントに関して詳しい人はどれくらいいるでしょうか。
それらのITの知識は、仕事はもちろんプライベートにも役立つものですが、多くはそれらを「使っているうち」に自然に学んでいるだけで、系統立てて正しい知識を学んでいるわけではありません。

これからも発展するであろうIT分野において、それらの知識をしっかり身につけている証がITパスポート資格です。
IT初心者向けとはいえ難易度の高い「情報処理技術者資格」の試験の一つです。
あらかじめ身につけている知識や経験などによって異なる、必要な勉強時間と方法について考えてみましょう。

ITパスポートは国家試験

ITパスポート試験とは、情報処理の促進に関する国家試験である「情報処理技術者試験」の初心者向けです。
以前あったパソコン系資格の「初級シスアド(シスアド:システムアドミニストレータ)を現代に合わせて改訂・整理統合した資格で、最新のIT技術の知識に関連する中で最も難易度が低いといわれる国家資格です。

ITパスポートを取得するメリット

名前は聞いたことがあっても、どう役に立つのかがわからず受験しようかと迷っているという人も多いでしょう。
多くの企業や教育機関で採用され、毎年約7万人が受験しているこの資格には、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。

幅広いITの知識が身に付く

ITパスポートは経済産業省認定の国家資格で、多くの企業がITに関する幅広い知識を身につけるように積極的に受験を奨励しています。
社会人として必ず役立つと認定されているため、取得すれば就職や転職の際に有利になると考えられています。

また情報処理技術者試験など上位資格への足がかりとなるため、合格することでITコーディネータ試験や基本情報技術者試験の受験を目指して受験するという人もたくさんいます。
上位試験では、プログラミング言語など問題の難易度は上がりますが、ITパスポートの試験範囲をより深掘りしたものがほとんどですから、ここで基礎知識をしっかり身につければ上位資格試験の受験にかなり有利になるでしょう。

就職活動でアピールできる

ITパスポート試験で問われる知識は「ITエンジニアが知っていて当然」のものばかり。
逆に言えば、ITエンジニアになるために知っておかなくてはならないものばかりだともいえます。
ITエンジニアを目指すなら、まずITパスポート試験合格を目指して勉強することから始めましょう。

また、例えば事務系などIT系以外の職種でもPCやネットワークに触れる機会は年々増加しており、ITの知識はどんな社会人にも欠かせないものになりつつあります。
基本的な情報リテラシーやセキュリティ対策などについての知識をもつことは大きなメリットです。
実際に事務系職種に就職しようとした時、一定のPCスキルがあることの証明になることもあります。

どんな問題が出題されるのか

ITパスポート試験の対象者像は「職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識を持ち、情報技術に携わる業務に就くか担当業務に対して情報技術を活用していく者」とされています。
実際の試験は、経営全般のストラテジ系、IT管理のマネジメント系、IT技術のテクノロジ系という3つの分野に分かれます。

経営全般のストラテジ系の問題

ストラテジ系の問題は、企業活動や法務、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、システム戦略、システム企画における基礎的な用語や概念などの知識が問われるもので、問題全体の約35%を占めます。

以前あった初級シスアド試験に比べ大幅に時間が短縮され、長文問題がなくなるなど難易度は下がりましたが、比較すると割合の増えた分野です。

IT管理のマネジメント系の問題

マネジメント系の問題は、システム開発技術やソフトウェア開発管理技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査における基礎的な用語や概念などの知識を問うものです。
全体の約20%を占め、IT技術を開発した後「維持・管理」するための手法や仕組みを学ぶものです。

IT技術のテクノロジ系の問題

テクノロジ系の問題は、基礎理論やアルゴリズムとプログラミング、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ハードウェア、ヒューマンインターフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティにおける身近なシステムの利用に関する知識を問うもので、全体の残り45%を占めます。

ITパスポートの試験概要

IT系の技術的な資格だからと、専門用語が並ぶ難しい試験だと尻込みする人もいるかもしれません。
しかし「IT初心者向け」とされているので初心者にも理解できることであるはずです。
実際の試験はどのような内容なのでしょうか。

試験時間は120分

ITパスポート試験は、試験時間120分です。
記述式で解答する問題はありませんが、計算問題に時間がかかってしまうことがあります。
計算問題に限らずしっかり落ち着いて考え解答することは大切ですが、それを時間内にできるというのも能力の一つ。
知識やスキルだけでなく時間というハードルも試験では試されると考えましょう。

問題数は100問

ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3つの分野から合計100問が出題され、それぞれ4つの選択肢から1つを選ぶ選択式、しかもCBT方式です。
CBT方式とはコンピュータ上に問題が表示され、コンピュータ上で解答を入力する方式です。

受験資格はなし

ITパスポート試験は全ての社会人を対象としているため、年齢・性別・学歴・職歴に関係なく誰でも受験することができます。
大切なのは勉強しようとする向上心であり、その結果仕事などに生かせる能力を身につけることです。
勉強したいという気持ちさえあれば誰もが挑戦し取得することができる間口の広い資格です。

cbt方式について

ITパスポート試験は、CBT方式で実施されます。
国家試験で初の試みとなったこの方式にはどのような特徴があるのでしょうか。

パソコンを用いて行う試験方式

平成22年9月、情報処理技術者試験を実施するIPAは、ITパスポート試験にCBT方式を導入することを発表し、以降の資格試験が筆記方式ではなくなりました。

CBTとは「Computer Based Testing」の略で、コンピュータを利用した試験方式です。
受験者はコンピュータに表示された問題に、マウスやキーボードを使って解答します。
問題にも文章だけでなく、画像や音声などを使った多彩な出題形式が設定できるのも特徴の一つで、より現実に直面する場面に近い問題を出題することが可能になりました。

試験会場や時間を自由に選べる

CBT方式では問題そのものもデータベース化されるため、受験者ごとに違う組み合わせで問題が編成されて出題されます。
そのおかげで極めて公平な試験が実施できるため、さらに受験者は試験会場や時間帯を自由に選べるようになっています。

合否判定がその場で出る

受験後、採点から結果発表までには短くても数日かかるのが普通です。
しかしCBT方式であるITパスポート試験では、試験終了後、試験画面右下のボタンを押すと即座に採点結果が表示されます。
公式には「合否は最終的に経済産業大臣が決定する」ことになっていますのであくまで「参考」という扱いですが、ここで合格点が出ていればひとまず安心してよいでしょう。

ITパスポート試験の難易度と合格率

受験に際して年齢や性別・学歴などの資格が必要ないITパスポート試験ですが、その難易度はどの程度なのでしょうか。
合格率・合格最低点などを参考に考えてみましょう。

試験の難易度は低め

情報管理技術者試験の「初心者向け」といわれるほどですから、他の国家資格などと比べてもかなり難易度は低めで、ITのことをほとんど知らなかった人でも初回受験で合格することも十分可能です。

しかし、だからといって「簡単に合格できる」「楽に取れる」と考えるのは誤りです。
確かにITに詳しくない人が基本的な知識をつけることを推奨する試験である以上、難易度を上げることは合理的ではありません。
しかし実際には受験者の過半数が不合格、または3分の2かそれ以上が不合格となることもありますし、まだ若くいつもパソコンやiPadを使っているなど、ITに慣れているであろう受験者でも不合格になることが珍しくありません。

ITパスポート試験に出題される範囲は非常に広く、多くの受験者にとって初めて聞くような専門用語も相当あります。
「簡単に合格できる」と油断してしまい勉強を怠れば合格は難しくなりますが、一つ一つきちんとこなすことで必ず身につき、合格に近づくことができます。
この点において難易度は低く「誰でも合格が可能な」資格だといえます。

合格最低点と合格率

ITパスポート試験は1000点満点で、合格最低点は600点。
さらに各分野別にそれぞれ30%以上の得点がなくてはなりません。
高校や大学入試のように受験者の数や得点で合格ラインが変わることはなく、600点以上を得点すれば必ず合格できます。
そのため過去問や模擬試験を重ねることでその度に具体的に合否が判定できます。

難易度が同じレベルの他試験との比較

初めて受験する人にとっては、ただ難易度は低いといわれてもピンとこないかもしれません。
ITパスポート試験の合格率や必要な勉強量を、同じIT・パソコン系の資格や受験者数の多い簿記3級と比較してみましょう。

.comMasterのシングルスター

同じIT系資格である「.comMaster★(シングルスター)」で身につくスキルは、PCの接続やWEBブラウザ設定など実践的な技術です。
これらの知識はITパスポート試験でも学ぶことができ、試験の難易度もほぼ同じです。

「社会人に求められるITの知識を一通り」身につけると考えると、ITパスポートの方がよりジャンルは広くより即効的だといえます。
総合的に基礎から、実践的な技術までを幅広く学ぶことができるからです。

パソコン検定の2級

「パソコン検定(P検)」の受験者の7割近くが10代の中・高校生です。
主にその職業能力養成を目的としていますので、試験は最も易しい5級から1級まで8段階に分かれていますが、3級以上になると出題されるセキュリティ管理・システム運用の知識が社会ですぐに使えるほどの高いレベルです。
それを考慮するとITパスポート試験は概ねパソコン検定2級と同じ程度の難易度だと考えられます。

IT系の資格や知識は幅広くたくさん持っていればそれだけできることや理解できることも増えます。
ITパスポート資格の取得を目指すなら、パソコン検定上級の資格をダブルライセンスとして取得すると現場ですぐに役立つ知識を多く身につけることができるでしょう。

簿記3級も同じくらいの努力量で合格できる

ジャンルは異なりますが人気の高い日商簿記3級は、合格に必要な学習時間や合格率で見てみるとITパスポート試験とほぼ同じです。
ITパスポート資格を就職の対策と考えると、経営上での会計の知識も社会人として、またこれから社会人になる学生もぜひ身につけておきたい資格です。

ITパスポート取得に必要な勉強時間

ITに関する試験である以上、コンピューターを含むITに関する知識やスキルがある人とない人では必要な勉強時間には大きく差が出ます。
得意な人と苦手な人それぞれにとって必要な勉強時間を考えてみましょう。

コンピューターが得意な人は

コンピューターが好きで日頃から知識を得ることが当たり前、そのために毎日新しい知識を調べて吸収し仕事に使っている人なら、数時間の勉強でも合格できるかもしれません。
しかしより確実に合格したいなら、早めに勉強を始め、過去問を何度も解くなど実際の問題に慣れるとより安心です。

コンピューターが苦手な人は

コンピューターが苦手なら時間をかけてじっくり勉強する必要があります。
IT分野は日常で使わない専門用語が多く、関連や使い方を繰り返し学ばなくてはなりません。
合格することを当面の目標にするなら、問題を解くことを通じて専門用語を理解すると良いでしょう。

ITパスポート試験は多くの人が30時間から50時間程度の勉強で合格できるといわれていますが、安心して受験するなら最低でも1カ月以上、1日あたり3時間から4時間程度、継続して勉強するのがおすすめです。

独学で合格するための勉強方法

ITパスポート資格を取ろうとすると、特に時間のない社会人であれば、学校や専門学校に行くのではなく独学を選ぶ人が多いことでしょう。
ITに関する知識や理解の度合いにもよりますが、シンプルに「資格試験対策」と考えると独学で押さえるべき確かな勉強方法が絞れてきます。

まずは全体の概要を理解する

初心者なら、まず最初にITパスポート試験に関する勉強サイトや参考書・問題集に一通り目を通して試験の全体像を把握しましょう。
3つのジャンルと、実際にどのような形式でどのような問題が出るのかを知り、自分にとってどれくらい難しいのかを判断し、必要な勉強量とゴールのレベルを明確にしましょう。

参考書と問題集を使う

目標は資格取得すること、つまり資格試験に合格することです。
よりシンプルに「試験問題に正解する」ことと考えると、まずは問題に慣れること、出題される専門用語に慣れることが第一です。
しかしだからと言って覚えなくてはならない用語は多く、参考書を読むだけでもかなりの時間がかかるでしょう。

このように独学では、勉強時間をいかに効率よく使うかが鍵になります。
例えば1カ月で勉強しつくすなら、次のような割合にしてはどうでしょうか。
最初の二週間は徹底的に参考書の勉強にあて、最初は専門用語や出題形式などの概要をつかむため、2度目はしっかり覚えるためにと合わせて2度通るようにします。
その後問題集に10日ほど集中し、最後の3・4日は過去問で最終確認をします。

独学で問題集を通るときは、満点を取れるまで繰り返すようにしましょう。
理解できなかったり間違った部分は参考書の該当部分に戻る、といった「繰り返し参考書に戻って理解を深める」やり方がおすすめです。
また多くの合格経験者が、何冊もの参考書・問題集を勉強するより、一冊を完璧にした方が合格しやすいといいます。

おすすめの教材の紹介

使う参考書・問題集で押さえたいポイントは「初心者でも理解できる」ことと「一冊で試験範囲を全てカバーしている」ことです。
一冊でしっかり勉強できる参考書と問題集を選ぶことはすなわち合格への最短ルートを選ぶことです。

ゼロからはじめるITパスポートの教科書

この参考書は出題されるすべての分野をカバーしており、イラストや図解でわかりやすく解説しています。
テキストだけでも十分に合格圏内の実力がつくように作られていますが、さらに合格に近づくために著者による「解説講義」を出版社ホームページからダウンロードすることができます。

大切なことを見落としてしまわないように「脚注」がなく、重要キーワードを赤文字で、一覧で整理しておくべきことは表形式でまとめ、間違いやすい用語の意味や違いなどが把握しやすくなっています。

【ゼロからはじめるITパスポートの教科書 改訂第四版:https://www.amazon.co.jp/dp/4863341016/

ゼロからはじめるITパスポートの問題集

実際のITパスポート試験の問題を徹底的に分析して最新の出題パターンを網羅し、単語暗記・正誤判定・四択問題を効率よく学習できるのがこの問題集です。
参考書「ゼロからはじめるITパスポートの教科書」に準拠しており、セットで勉強するとより効果が得られます。

また本問題集は、通常有料の専門学校や通信講座でしか受けられないような授業を、無料のWeb音声講義として用意しており、臨場感たっぷりに学ぶことができます。

【ゼロからはじめるITパスポートの問題集 改訂第二版:https://www.amazon.co.jp/dp/4863341024/

ITパスポート最速合格術 1000点満点を獲得した勉強法の秘密

わかりやすさと取り組みやすさが好評だった前作から、最新の出題傾向に対応し、イラストを多数追加した改訂版です。
予備知識ゼロでも取り組みやすく「できるだけ早く合格レベルに達したい」「分厚い参考書は苦手」といった初心者にもなじみやすい参考書です。

著者は第1回ITパスポート試験で受験者数3万9千人に2名しかいない、1000点満点での合格者です。
ITパスポート資格に必要な知識をより本質的に理解でき、効率的な勉強法にのっとって構成されています。

【ITパスポート最速合格術 1000点満点を獲得した勉強法の秘密: https://www.amazon.co.jp/dp/4774185256

ITパスポート試験 対策テキスト&過去問題集

試験主催元のIPAから平成27年5月に改定された試験における知識の細目を100%網羅し、分かりやすくかみ砕いた解説と丁寧な図解で、専門用語や知識をうまく整理できます。

各章末には予想問題を合計100問用意し、別冊の「解答と解説」には詳細な解説を収録しています。
さらに直近4回分の過去問題で出題された新出用語が追加されているのも効果的です。

また付録の過去問CDはCBT試験をリアルに再現してくれます。
全ての過去問と詳細な解説を収録しており、本番さながらに模擬試験を受験できます。
この過去問題プログラムには自動採点機能がついているため、試験結果をビジュアル表示でき、不正解問題や苦手な特定分野だけを解くなど弱点を補強することもできます。

役立つITの知識を身につけよう

今や誰もがコンピューターを使っていますが、その誰もがITに関する正しい教育を受けているわけではありません。
それらを系統立てて整理し、正しく学べるのがITパスポート試験です。
将来にわたって大切な基礎となる知識ですから、ゆくゆくはIT分野で活躍したいという人にとっては入り口として、そうでない人にとってもITを正しく使いこなすために大いに役立つでしょう。

ITの正しい知識を身につけている証としてITパスポート資格を取得し、企業や組織で活躍できる力をつけ将来に生かしましょう。