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貯蓄額を賢く増やすポイント
子供が高校や大学へ行くときに備えて学費を貯めておきたい、家を買いたいからその頭金をがんばって貯めたいといった、将来必要になるであろうお金を貯めなければと思っている方。
今はあまりにも蓄えが少なすぎるから何かあった時に困るという方や、老後の生活が不安だからとりあえず貯めておかなくちゃとお考えの方まで、貯蓄額を少しでも増やしておきたいと考える方は多いです。
では毎月決まった額を計画的に貯められていますかとたずねてみると、収入が少なくて貯蓄に回すほどの余裕がないといった方や、そもそも良い貯蓄の方法がわからないといった方が多いものです。
そこで今回は上手に賢く貯めていくための方法や貯蓄先など、気になるポイントをみていきましょう。
年代別の平均貯蓄額
就職したばかりの20代は約160万円
20代の平均貯蓄額が約160万円だなんて、本当だろうかと思うような数値ですよね。
自分のことを振り返ってみて、あの頃は貯金なんて全くなかったと驚きの方も多いでしょう。
ちなみに20代の貯蓄額の中央値は約30万円ほどで、4割くらいの方は貯蓄をしていないといわれています。
平均値とは、貯蓄が0の方から最もたくさん貯蓄をしている方までを並べて、真ん中に位置している方の貯蓄額を表しています。
実家暮らしでたくさん貯蓄をしている方が平均値を押し上げていますが、全体で見れば30万円程度の貯蓄額の方が多いのでしょう。
人生の節目を迎える30代は約423万円
結婚するためには資金が必要ですから、おのずと貯蓄額が多くなってくるのが30代です。
やがては子供の誕生やマイホーム購入のための頭金など、何かとお金が必要な時期を迎えるのも、この30代です。
すでにマイホームを購入して毎月のローンの返済が始まっている方も。
この年代でも貯蓄の格差はやはり大きく、まったく貯蓄していないという方は3割にも上り、中央値も130万円と平均の約423万円を大きく下回っています。
出世時期の40代は約707万円
会社では昇進などによって収入が伸びる時期である反面、生活費や子供の塾や習い事などの教育費がかさむ時期でもあり、収入と支出が拮抗して貯蓄額を伸ばしにくい年代でもあります。
平均貯蓄額は700万円を超えていますが、3割の人は貯蓄がないといわれていますし中央値は300万円程度ですから、貯蓄の面でも格差が広がっていく年代のようです。
いまの収入の多少だけではなく、若いうちから貯蓄に取り組んでいるかどうかでこのような差が出てきているともいえるのです。
老後を意識する50代は約1034万円
平均貯蓄額が1000万円を上回る水準となる50代。
課長や部長といった役職に就く年代ですし収入水準も一段と高くなっていきます。
ただし子供が大学へ進学する年代でもありますので意外と支出もかさむ年代だともいえます。
この年代の貯蓄額の中央値は400万円程度と平均値の半分にはほど遠い状態ですから、さらに貯蓄格差は広がっていく年代ともいえます。
30代や40代に貯蓄に対して真剣に向き合ってきた方とそうではない方との差がはっきりと表れてくる年代、それが50代です。
定年時期の60代は約1400万円
60代を迎え退職金を得るなどして貯蓄額が増えるこの年代ですが、年金と貯蓄によって生活をしていくことを考えれば貯蓄は多いにこしたことはありません。
中央値も740万円ですから退職金が入ったために増加したのだろうと推測できます。
しかし、65歳までは会社に残れたとしてもそれ以降も働くことは困難なので、この年代から貯蓄を増やすことはまず無理だと考えてもよいでしょう。
もっと若いときからお金を貯めておくべきだったと後悔しても遅いのです。
公的年金に頼る70代は約1312万円
70代になると大半の方はリタイヤして年金による生活を送ることになります。
70代以上の高齢者の貯蓄額の平均は1312万円といわれていますが、多くの高齢者の実態とはかけ離れているのではないかと思われます。
現役時代の収入による差はもちろんあるのですが、それ以上に上手にお金を運用して貯蓄額を増やせたかどうかによって、老後の生活にもずいぶんと差が生まれていくのです。
子育て世代の平均貯蓄額
働きはじめで給料低い20代
学校を卒業して自由にできるお金が増える、それが20代のイメージでしょうか。
しかし20代でも二人以上の世帯となると平均貯蓄額は約385万円になります。
実家で暮らしながら働いているために余裕があって貯蓄ができる方が平均値を上げているかもしれません。
結婚して家庭を持つようになれば生活費に消えていくお金のほうが多く、貯蓄なんてままならないといった方のほうが多いでしょうが、そういった方を含めての平均額です。
結婚してもきちんと貯蓄できている20代家庭も存在しているのです。
子育てに出費が多い30代
結婚して家庭を持ち子供ができる年代がこの30代ですね。
妊娠・出産・育児とそれぞれに出費がかさんでいきますし、産休を終えて職場復帰する際には保育園代が重くのしかかるといった問題もあります。
また習い事や塾代など子育てにかかる費用は年々増加していくなど、収入と支出のバランスをどうとるのかも難しくなっていきます。
しかし、30代の二人以上世帯の平均貯蓄額は約612万円に上り、上手にやりくりして貯蓄にも回している印象をうけます。
貯蓄の目的でもっとも多いのが教育資金で、70%近くに上ることもうなずけますね。
本格的に教育費がかかる40代
二人世帯以上の40代の平均貯蓄額は約939万円と1000万円に迫る勢いです。
そして貯蓄の目的としてあげたもっとも多い項目は教育資金で、70%を超えています。
大学への進学費用に対する備えをしておかなければ大変だという意識がうかがえますね。
しかし、住宅ローンを抱える方が多い中、中学・高校でもそれなりの費用が掛かるために貯蓄には回らないといった世帯が多いのも事実で、住宅ローンにプラスして大学の費用は教育ローンに頼るケースも多くなっています。
収入別の月々の貯蓄額
ひと月の手取りの10%
世間の人たちは収入の何%を貯蓄に回しているのでしょうか。
貯蓄をまったくしていない世帯は全体の30%もあるのですが、貯蓄をしている世帯の20%以上の方は手取り収入の10~15%を貯蓄に回しているそうです。
毎月の貯蓄額の割合を10%として、毎月25万円の手取りならば25000円ずつで年間30万円も貯まります。
毎月25000円も貯蓄に回すのはきついという方の場合には、毎月15000円を貯蓄に回して年2回のボーナスから6万円ずつ貯蓄に回す方法もあります。
給与とボーナスを足した年間手取り額の10%を貯蓄に回すことにすれば、手取り年収300万円の方でも年間に30万円も貯めることができるのです。
家計苦しい時児童手当を貯蓄に
なにがなんでも年間手取り額の10%を貯蓄に回そうとしても、自動車や住宅のローンを抱えていれば、なかなか難しいかもしれません。
手取りの年収が200万円の世帯で10%の貯蓄を目指したとしても、家計を圧迫して生活自体が厳しくなる恐れがあるのでやはり注意が必要です。
そこでお子さんがいる家庭ならば、児童手当には手を付けずに貯蓄へ回すといった方法が良いです。
児童手当は中学校を卒業するまで支給されるので、貯めていけばそこそこの金額になります。
同じ考えで臨時収入があったときには貯蓄へ回すようにするなど、工夫次第でお金を増やすことも可能となるのです。
共稼ぎの給料の20%を貯蓄
共稼ぎ世帯の平均手取り月収は43万円を超えており、平均支出は32万円ですから毎月の貯蓄額は約11万円となるはずですが、それは机上の空論で現実にはそこまでの貯蓄額には至っていないようです。
平均の貯蓄率は20代~30代で子供のいない世帯では18%ほど、子供が一人いる世帯は15%で子供が二人いる世帯では10%と、子供の数が多くなるにつれて貯蓄率は下がっていきます。
子育ての出費がかさむのでやむを得ないですね。
そのため、子供がいない間にどれだけ貯蓄できるかによって、後々の貯蓄額の差に現れてくるといえます。
そこで、子供がいない世帯では手取り額の20%を毎月貯蓄に回すようにしましょう。
子供がいない共稼ぎ世帯ではついつい散財しがちになってしまいますが、たとえ子供を持たないにしてもマイホームの購入や老後の資金は必要になりますから、月々20%の貯蓄はぜひ実践していきましょう。
現在の貯蓄額を増やす方法
現在加入している保険の見直し
保険の見直しをしてみようと思っていま加入している保険証書を見ても、どの保険がいま本当に必要なのかも分からないものです。
まず覚えておいてほしいことは保険はあくまで保険であり、貯蓄が目的の商品ではないということです。
最近は保険の予定利率も下がったままですし、貯蓄性の保険とはいえ利回りは相当下がっています。
そこで必要な保障は掛け捨ての保険に加入して、貯蓄性の保険は解約し、下がった保険料相当分を貯蓄に回すのです。
貯蓄を差し引いた金額を生活費にする
もっとも効果的だと思える貯蓄の方法は、財形貯蓄・社内預金・積立定期預金などによってあらかじめ貯蓄してしまい、残った金額で生活していくことです。
いってみれば収入ー貯蓄=生活費として浪費出来ない状況を作り上げてしまうのです。
そこで、この貯蓄額をいくらにするのかが問題となってきますが、まずは給料とボーナスを足した手取り額の10%からはじめてみましょう。
無理なく過ごせそうであれば、15%や20%に上げていけばよいのです。
貯蓄額の求め方は年齢や世帯構成によって変わってきますが、共働きで子供がいなければ20%以上、子供がいる世帯ならば無理せず10%から始めればよいでしょう。
投資で貯蓄額を増やすメリット
運用をプロに任せる投資信託
預貯金は、リスクはきわめて小さいものの現在の利率は大変低い状態です。
定期預金にしても同様で満期になって受け取れる利息は本当に微々たるものです。
そこで預貯金よりリスクは高くなりますが、利回りは断然に良い投資信託を利用してみてはどうでしょう。
投資信託は運用のプロであるファンドマネージャーが、集めたお金をさまざまな投資先に振り分けて運用する金融商品です。
株式ほど高リスクではありませんし、何より低額から始められることが魅力です。
ネット証券ならば100円から投資できる投資信託が大半ですから、まずは少額からスタートしてみて徐々に投資額を増やすというスタイルが良いかもしれません。
利益の可能性が広がる分散投資
投資信託は、いってみればオードブルのような金融商品ですが、慣れてくれば好みのものを単品で注文する要領で金融商品に投資するのも良いでしょう。
ただし、その際には株式だけといった投資方法は避けて、さまざまな金融商品を組み合わせてリスクの回避を図ることが大切です。
投資信託と株式、国債や社債といった債権などに分散して投資すれば、一つが値下がりしても他でカバーすることができるのです。
株式だけに投資すれば利益を得ることもありますが大損することもあるので、短期間の利益にとらわれずに長期の貯蓄だということを念頭に置いて分散投資することをおすすめします。
保険で貯蓄額を増やすメリット
低リスクで利回りが良い
今は保険の予定利率もかなり下がっており、投資信託や株などのほうが利回りでは断然有利なのですが、価格下落のリスクがつきまといます。
だからといって預貯金ではあまりにも金利が低すぎます。
そこで、低リスクで比較的利回りの良い保険を選択するという方法もあります。
低解約返戻金型終身保険、学資保険、個人年金保険がそれにあたります。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は払込期間が終わるまでに解約すると、戻ってくるお金(解約返戻金)は払込額を下回ります。
ところが、払込期間を過ぎれば払込額を上回る解約返戻金を受け取ることができます。
若いうちに契約して払込満了を子供の進学前に設定しておけば貯蓄として利用ができる保険です。
学資保険
学資保険は子供がいなければ利用はできませんが、低解約返戻金型終身保険よりさらに高い利回りが期待できる保険です。
学資と名付けられていますが満期金の使途は問われませんので、純粋に貯蓄目的としても利用できる保険です。
ただし医療保険特約や育英年金といった特約を付けると大きく利回りは下がってしまいます。
これらの特約は掛け捨てとなっているためです。
個人年金保険
個人年金保険は老後の資金確保のために利用する保険です。
低解約返戻金型終身保険や学資保険に比べると利回りは低くなりますが備えとして利用したい保険です。
紹介した保険は、生命保険料控除や個人年金保険料控除により節税効果がある点にも注目してみましょう。
終身保険の減額法で賢く増やす
昔加入した終身保険ですが保険料が高く、できれば他の貯蓄に回したいと考えたときに真っ先に思いつくのが解約でしょう。
ただし、保険は年齢が進むにつれて保険料が上がっていきますから、いま解約して他の保険に入り直したりすると、保険料が高くなって保障金額は下がるという事態になりかねません。
保険のセールスの方に話をするとほとんどは転換といって、解約によって入ってくる解約返戻金を新たな保険の一時払いに充当する方法を提案してきますが、この方法では損をしてしまいます。
そこで、保険金額を減額して保険料を下げるという減額法をおすすめします。
例えば、死亡保障の3000万円を1500万円に下げる一方で保険料も同様に下げることができます。
解約返戻金のある保険ならば、この例ですと1500万円分の解約に対する解約返戻金が戻ってきます。
貯蓄する時の注意点
無理なく計画的にする
がんばってお金を貯めるぞと張り切るのは良いことですが、生活をあまりにも切り詰めて無理な貯蓄を行ってはいけません。
必ず息切れしてしまって貯蓄が長続きしません。
貯蓄は長期にわたってコツコツと貯めていくのが本来の姿です。
まずは、いつごろまでにいくら貯める必要があるのかを把握します。
そしてその金額を年数で割れば1年に貯蓄するべき目標となります。
やはり目標を設定して、そこに到達するように頑張るほうが良いでしょう。
また同じように貯蓄に励み成功した人はたくさんいますので、そういった方のブログを見つけて参考にするのも良い方法だといえます。
お金の貯め方だけではなくどうやって節約していくのかなど、ヒントとなる事柄がたくさん散りばめられていますから、貯蓄に成功したブログを参考にしながらも頑張っていきましょう。
貯蓄できても支出増やさない
つい陥ってしまうのが、今月は目標額を貯蓄してもまだ余裕があるからと浪費してしまうことですね。
人は一度贅沢をしてしまうとそこが基準となってしまい、次の月はふつうの生活に戻したとしてもなんだか物足りない生活だと感じてしまうものです。
基本は、収入から貯蓄額を引いて生活費とすることですが、臨時収入があったり残業をがんばったおかげで収入が多い月もあるでしょう。
やはり生活費を一定として浪費せずに貯蓄に回すことが大事です。
日ごろから節約生活を心がけるようにして、生活費を一定水準以下に抑えることが重要になってくるのです。
自分に合った貯蓄方法で老後の備えを
年代別の平均貯蓄額を見てみると思ったより多いと思うかもしれません。
もちろん40代や50代でも貯蓄額が0円という世帯は少なくありません。
そういった方も含めての平均貯蓄額ですから、貯めている人はしっかりと貯めているのだということがいえるでしょう。
手取り収入のうち何%を貯蓄に回せるのかは各世帯の事情もあるので一概には決めることはできません。
しかし、少なくても10%程度は貯蓄に回さなければ、将来の備えとしてはかなり弱いものになるのではないかと思われます。
また、できるだけ若いうちに貯蓄に取り掛かれば、同じ目標額を立てたとしても毎回の貯蓄額は低くて済みますから経済的にはかなり楽になるでしょう。
貯蓄の方法としては預貯金がもっとも多く、何かあればすぐに引き出せる利便性から考えれば良いのですが、増やすという観点から見るといまの利回りでは心もとないでしょう。
そこで、例えば預貯金より利回りは良くて株式などに比べてリスクが低い投資信託や、さらにリスクが低くて保険と貯蓄という二面性を兼ね備えた保険商品の利用も貯蓄には良いでしょう。
あなたの収入や生活スタイルなどさまざまな要因からあなたに合った貯蓄方法を選び、子供の学費や老後の備えを上手に賢く蓄えていきましょう。