UKANO家計のクリニック

契約社員や派遣社員の3年ルールを知って正規雇用か転職かを考えよう

無期労働契約への転換のポイント

契約社員や派遣社員における3年ルール、5年ルールは知っていますか?
派遣社員や契約社員や派遣社員は、新しい派遣先に出向する際、契約期間を定めています。
契約相手の企業により条件は、さまざまですが、労働者派遣法により派遣社員の最長の任期は3年、契約社員は5年と定められています。
これを超えて就労させる場合は、再契約をする必要があります。

そして契約期間が満期になったとき、契約社員、派遣社員は、正社員への正規雇用を願い出ることができます。
この満期の時に正規雇用を願い出ることを3年、5年ルールといいます。
非正規雇用では契約が更新されない場合があるので、就労が安定しません。
そのため、長く安心して働けるように考えられたのがこのルールです。

しかし、このルールがあっても3年、5年の満期の寸前で契約を打ち切られる場合もあります。
3年、5年ルールについて理解して今後の転職に役立てましょう。

3年5年ルールについて

3年ルール、5年ルールは雇用の安定のために定められたルールです。
契約期間が満了した際、非正規雇用者は職を失ってしまいます。
そして、契約期間中であっても会社の都合で解雇されることがあり、正社員のように雇用が安定していません。

このような背景から、2015年9月30日から改定労働者派遣法はが施行されています。
この改定で、企業は非正規雇用者に対し、雇用の安定措置を義務付けられました。
派遣先へ直接雇用の依頼、別の派遣先の紹介などです。
この安定措置のひとつが3年、5年ルールなのです。

派遣法の改定について

派遣法の改定について詳しく解説します。

2015年に法改定があった

派遣法改定により、派遣社員の契約の内容が大きく変わりました。
派遣法改定前はソフトウェア開発や広告デザイン、テレビ局の大道具や小道具、通訳、翻訳、研究開発などの専門性の高い業務26種類については派遣社員であっても、有期契約だけではなく、無期限の雇用が認められていました。

しかし、派遣法改定により、2015年10月1日以降の派遣契約では、この26種についても3年ルールが適用されることになりました。
法改定後はすべての業務に例外なく3年ルールに従って契約が行われます。

2018年に大きな影響が出る

2015年10月1日に契約を開始した人は、今年2018年の9月30日に3年間の契約期間を終えます。
派遣法改定後、初めて3年ルールが適用されます。
3年ルールでは雇用の安定化が企業に義務付けられていて、失職しないように、正社員の雇用の申し出、他の就職先の斡旋をする必要があります。

この制度は契約社員にとって正社員の雇用に繋がる有利な点ですが、企業にとっては、今までになかったコストを払わなければいけない事でもあります。
この余分なコストを払いたくないと思う企業も多く2018年10月を前に契約を終了させる雇い止めなどが起きると予想されています。

派遣社員が気をつけるポイント

派遣社員が注意しなければならないポイントについて覚えておきましょう。

雇用安定措置は派遣会社により異なる

雇用安定措置は、派遣先ではなく、派遣会社に義務があります。
義務の内容は、4つあり、いずれかを講じる必要があります。

まず1つ目は派遣社員に派遣先企業へ正規雇用を申し出ること、2つ目が契約終了時に次の派遣先を紹介すること、3つ目は派遣元事業主において無期雇用をすること。
そして最後の4つ目はその他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置です。
4つ目は具体的にはスキルアップのための職業訓練などです。
4つのうちどれを行うかは派遣会社によって異なります。

同じ組織単位に3年以上はいられない

3年ルールでは同じ会社の同じ組織に3年以上いることができません。
しかし、同じ会社であっても、別の組織であれば、継続して雇用されることが可能です。
この組織というのは、課や部といった単位を指します。
そして、無期契約であれば同じ組織に継続して雇用されることが可能です。
この3年ルールですが、契約を満了してから3カ月を超えた場合、再度雇用されることができます。
これをクーリング期間といいます。
3年ルールでは一つの企業に3年以上いれないように捉える人が多いですが、それは間違いです。
細かい決まりを正しく理解しましょう。

労働者からの申し出が必要

無期限雇用は年数だけ経てば、派遣元の会社から自動的に派遣先に申し出をされるわけではありません。
無期限雇用を申し出る場合は、まず派遣社員自身が無期限雇用を申し出る必要があります。

無期限雇用の権利を得るわけではなく、あくまで、申し出をする権利を得るだけなので、無期限雇用が確実に約束されたわけではありません。
そして、無期限雇用を申し出た場合、即時に契約内容が変わるわけではなく、現在の契約期間が終了した次の契約から、雇用期間が変化することにも注意が必要です。

雇止めの可能性があることを覚えておく

3年ルールは正規雇用に向けて労働者に対し有利な仕組みであると言えますが、雇い止めされるリスクがあることには、かわりありません。
派遣先企業は正規雇用の申し出があったとしても、雇用するかどうかは検討することができます。

雇用の安定化は契約先企業に対してではなく、派遣元企業に義務付けているためです。
そのため、契約が満了する際に失職する可能性は派遣法が改定がされた後でもあります。
そのため無期限雇用への申し出をすることも良いですが、常に雇用を打ち切られる雇い止めがあることを覚えておきましょう。

労働契約法の改定について

改定された労働契約法の内容や、その影響について知っておきましょう。

2012年に法改定された

派遣社員、契約社員の働き方を取り決めている派遣法とは別に、労働契約法というものがあります。
この法律は労働契約において、契約者と労働者感の個別の内容について定められたものです。
労働基準法は働き方全般に対してのものであるので、労働契約法とはちがいます。

労働契約法は2012年8月10日に法改定され、2013年4月1日以降の契約にこの法律が適用されることになりました。
この改定では、有期労働契約から、無期労働契約への転換を定めるということ、無期労働契約への転換を申し出が出来るようになる寸前で雇用を打ち切る雇い止めの防止、不合理な労働条件での契約の禁止などが追加されました。

今回はこのなかでも有期労働契約から、無期限労働契約への転換について詳しく説明していきます。

2018年に大きな影響が出る

この無期労働契約の転換の申し出は2013年4月の契約から5年間が経過した際に権利が発生します。
申し出があった場合、契約会社は正当な理由なく解雇をすることができません。

無期労働契約の申し出は2018年4月1日以降に申し出が出来るようになりました。
派遣法による無期限雇用の申し出と同じように、申し出は次の契約期間から考慮されます。
法改定後、初めて権利が使われる今年は契約者と労働者に大きな影響が出ます。

契約社員が気をつけるポイント

契約社員が気をつけるポイントについて説明します。

勤務先の無期労働契約の内容を確認する

無期限労働契約の内容は契約会社によって異なります。
また、期間の定めのない無期契約であっても、正社員とは限りません。
契約社員が無期限労働契約になっても、賃金に関する取り決めや福利厚生などが契約社員の時と変わらない契約になることがあります。

無期限労働契約の内容は企業によって異なっており、正社員と同じ待遇を得られるとは限りません。
そのため、勤務先の無期労働契約の内容をしっかりと確認することが重要です。
労働者の責任の範囲や仕事内容の変化など、雇用条件の変化についても考慮し、無期限労働契約を結ぶべきかどうかを考えましょう。

労働者からの申し出が必要が必要

無期労働契約への転向の申し出は5年が経った後、契約会社から自動的に行われるわけではありません。
派遣社員と同様、契約社員自ら申し出する必要があります。
申し出が可能となるのは連続した5年目の契約の期間です。

1年ずつの契約であれば5回目の契約中に無期労働契約への転向の申し出ができ、2年契約であれば3回目の契約の半分である1年が経った時に申し出をすることができます。
この申し出があったとしても、契約会社は必ずしも無期限労働契約へ転向する義務はありません。
正当な理由があればこの申し出を断ることができます。
年数が経てば無期限労働契約に切り替えられるわけではないので、注意が必要です。

カウントは改定法が施行されてからとなる

この5年ルールですが、労働契約法が施行された後、2013年4月以降の契約に対して適用されます。
よって2013年4月1日に契約を結んだ場合、2018年4月1日に5年ルールのカウントが適用され、無期労働契約への転向の申し出を行うことができます。

また、無期限労働契約への転向は、次の契約の開始日から適用されます。
派遣契約の期間は人それぞれなので、無期限労働契約が開始されるのは一定ではありません。
派遣法は2015年に制定され、3年後の2018年に適用がはじまったので、どちらも今年から適用されます。
混同しないように注意が必要です。

正しく理解してキャリアプランを考えよう

2015年の派遣法の法改定に伴い契約社員、派遣社員の働き方が大きく変化しました。
2018年10月には初の3年ルール適用となり、雇い止めなどが起きるのではないかといわれています。
契約社員であれば3年ルール、派遣社員であれば5年ルールなので、間違えないようにしましょう。

法改定前と後では契約の内容が大きく異なります。
雇用契約時に無期限労働についての項目をよく確認し、よくわからない場合は、採用担当者に質問し、条件を明確にしておきましょう。
そのうえで、契約満了時に正規雇用を目指すのか、労働の差し止めをされた場合どうするかを考えておく必要があります。
3年、5年ルールを正しく理解して、転職、再雇用といった今後のキャリアプランを考えましょう。