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自衛官の退職金はどのくらい
大きな災害が起こったときや、遭難した場合に助けてくれたり、守ってくれる自衛隊員。
自衛隊に入隊している自衛官は、公務員です。
大きな職務を背負った自衛官が退職した場合の退職金はいくらぐらいもらえるのでしょうか。
実際に自衛隊員として勤めている方は、正しい知識を身につけ、退職後の人生設計に役立てていきましょう。
自衛官の退職金とは、どれくらいの金額になるのでしょうか。
辞めたときの状況によって金額や手続きなどが変わってきます。
どのような状況で何が必要なのかを詳しく見ていきましょう。
自衛官の退職金の平均金額
一般的な民間企業で支払われる退職金の平均額は、約1,600万円だそうです。
気になる自衛隊員の退職金は、階級や勤続年数によって差はありますが、約2,200万円といわれています。
国会公務員の退職金平均額は約2,300万円なので、一般企業と比べ、国家公務員・自衛官の方が退職金の金額が大きくなっているのがわかります。
定年退職の場合の退職金
長年勤めてきて定年を迎えたとき、退職金の金額によっては、そこからの人生にも大きく影響します。
では、具体的な状況によってどの程度違いがでてくるのかを見てみましょう。
貰える金額は勤続年数によって異なる
自衛官の退職金は勤続年数によって異なりますが、一般的な65歳で定年という形と少々異なっています。
自衛隊員は、特殊な能力を求められる仕事のためか、退官(定年)の年齢は「だいたい50代半ば」であることが多いようです。
その中でも勤続年数が多いと、退職金の「支給率」という数字が大きくなり、結果退職金の金額も大きくなるという仕組みになっています。
勤続年数によって増える支給率とは?
- 勤続年数25年 34.6倍
- 勤続年数26年 36.1倍
- 勤続年数27年 37.7倍
- 勤続年数28年 39.2倍
- 勤続年数29年 40.8倍
- 勤続年数30年 42.4倍
- 勤続年数31年 44倍
- 勤続年数32年 45倍
- 勤続年数33年 47.1倍
- 勤続年数34年 49.7倍
- 勤続年数35年~ 49.59倍
上記のように、勤続年数によって、支給率が増え、退職金も増えるようになっているのです。
階級ごとの調整額もある
支給率だけではなく、階級によって「調整額」という金額も変わってきます。
支給率と合わせて個々の退職金額が計算されます。
- (退職日の給料月額×支給率)+調整額=退職金
イメージとしては、「勤続年数が高い」「階級が高い」という状態になれば「退職金の金額が大きくなる」可能性があるということです。
自衛隊の若年定期退職者給付金とは
自衛隊員の定年は一般企業よりも早い時期になることがほとんどです。
若年定期退職給付金とは、退職後に本来働けているであろう期間分の給料を支給するというもの。
では、どういった金額を給付してもらえるのでしょう。
貰えない月給をカバーする
自衛官の定年は、50代半ばがほとんどです。
一般企業で定年が60~65歳であるので、年金がもらえる年齢が65歳からだとすると、自衛官は定年から10年前後は無収入になってしまう計算になります。
本来、一般企業の人であれば元気に働いて稼ぐことができるであろう金額を国で補助するために、「若年定期退職者給付金」が自衛官には給付される仕組みとなっています。
若年定期退職給付金の支給は2回に分けて給付
若年定期退職給付金は、通常の給料と同じように毎月もらえる訳ではありません。
2回に分けて支給されますが、1回目の給付時期は、退職した時期によって異なります。
- 10月~3月に退職した場合:4月
- 4月~9月に退職した場合:10月
上記のように、2回目の給付は退職から2年経過(翌々年)の8月に支給されることになっているのです。
給付される金額
「若年定期退職者給付金」の金額は階級によって異なりますが、約1,000万円前後給付されることが多いようです。
金額だけ見るととても大きな金額に感じますが、本来もらえるはずの給料を「給付」という形でもらうものなので、単純に約10年間を1,000万円で生活する事を考えれば、以下のようになります。
- 10,000,000円÷120カ月(10年)=83,333円(1カ月)
1カ月約8万円弱ということは、月給と比較してもとても大きな金額ではないことがわかります。
2回目の給付は確定申告が必要
2回目の給付については「一時所得」という収入の扱いになるため、確定申告が必要になります。
一時所得には、税金が課せられ、確定申告を行い、税金の支払いが課せられます。
忘れないように注意しましょう。
【参考サイト:http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1990/az19901115_05882_000.pdf】
自衛官を途中で辞める場合の退職金
定年まで働いた場合は大きな金額が退職金として支給されますが、「途中で辞めた場合の退職金」はどのくらいの金額になるのでしょうか。
依願退職金の計算方法
自身の意思で退職を選択する「依願退職」の場合、定年退職の時とほぼ同じような計算方法で算出されます。
- (退職日の給料月額×支給率)+調整額=退職金
ただ、途中での退職ということになった場合、勤続年数によって影響のある「支給率」が下がり、結果退職金額も下がる可能性はあるため、退職後の収入部分を考慮して、その後の行動を計画していく必要があるかもしれません。
依願退職金を多く貰うには
依願退職での退職金を多く貰うには、以下のような条件が必要になります。
- 長く勤める
- 階級を重ねていく
この2つが大切です。
ただ、辞めるという決断をする場合「健康面で難しい」「精神的につらい」という場合もあるかもしれません。
そういった場合には無理をして長く勤めようとせず、環境を変えるということが必要です。
自分の状態とよく相談して決断しましょう。
退職後の生活について
退職金を貰ったあと、自衛官の方はどのような生活を送っているのでしょう。
再就職する人がほとんど
自衛官の定年は50代半ばと、働き盛りの方がほとんどです。
退職金や若年給付金で生活していくこともできるかもしれませんが、再就職して働いている人が多くいます。
もともと体力を使う仕事であったり、特殊な環境にいたということもあり、その経験を活かすことのできる場所で再就職を目指すことができているようです。
定年退職後の再就職先
若い時期に退職した方であれば再就職先の選択肢は多いでしょうが、定年退職した50代の場合は、再就職先が限られてきます。
以下は、定年退職された方の再就職先といわれている業種です。
- 介護:人のために働いていたという経験や体力、筋力があるため
- 運送業:体力が必要であり、運転には慣れているため
- 警備員:人を守るという特殊な経験を積んでいるため
以上のようなものが主な再就職先です。
中でもm警備員は「自衛官」という経歴からすぐに仕事が見つかることが多いのだとか。
一般企業は定年がだいたい60~65歳なので、元気なうちに行動して長く働きたいという方は、定年のない「自営業」を始めるというのも選択肢としてはよいかもしれません。
老後の生活は安泰
再就職して元気に働いた後、65歳以降は「年金」「再就職先での収入」などを合わせて生計を立てることができるので、「老後の心配はそこまでしなくても大丈夫」と考えてよいでしょう。
「退職金」に関しては、基本的な生活費に充てるというより「何かあったときの備え」という位置づけで考えると、万が一の際に安心して過ごす事ができます。
退職金を把握して退職後に備えよう
退職後の人生設計に大きく関わる「退職金」。
公務員でもある自衛官という仕事は、特殊な業務であるため定年を早く迎えます。
給付金制度はあるものの、余裕ある人生設計をするには、多少の蓄えは必要です。
おおよそ、人が定年を迎えて老後を暮らすには最低でも3,000万円は必要といわれています。
もらえる退職金が2,000万円、給付金が1,000万程度あっても、定年が早いので少し足りないかもしれません。
綿密な計画を練り、退職後を見据えて備えていきましょう。